氷涼祭

氷涼祭とは


毎年この時期に行われる”死者を迎えるお祭り”で、通称フーセン祭とも呼ばれる。

この時期、空想の街には
”銀氷”と呼ばれる”雲もないのに降ってきて地上に着く前に大気中で溶けて消えてしまう氷”が空から降ってくる現象」が起こる。
死者たちはそれを見に帰ってくるのだと言われている。

銀氷が降る前日は、この時期だけ街に渡ってくる”白鴉”街にやってくることが、前兆として広く知られている。
白鴉が渡ってきた日(毎年夏の頭には観測部によってその日付が予測される)の夜に死者たちは風船を使って死の国から戻ってくるとされる。

そのため、生きている者たちは家の扉に風船をひとつ付けて、死者が自分の帰る場所を見つけられるようにしなくてはならない。

死者が帰ってきた日(すなわち白鴉が渡って来た日)の翌日が氷涼祭であり、人々は死者と生者の区別がつかないようにするため、死者が心置きなく生の世界を楽しめるようにするために、風船を一つ持って生活しなければならない。

ちなみに、この風船は自作のものや色々な店で売っているものでも大丈夫だが、夏に入ると時計塔広場で毎日役所が無料で配布もしている。

古い言い伝えでは、死者の区別をさらに失くすために和装をするべき、と言われている。
強制ではないのだが、そのため住民のほとんどは思い思いの”和装”をする。
ここで言われる和装は着物や浴衣だけでなく、着物風ドレスだったり着流しだったり改造してあったりとかなり自由である。

銀氷が降った翌日の夕方に、白鴉は街からまた別の場所へと渡ってゆく。そのワタリに合わせて時計塔で風船を飛ばす風船放し、という行事が行われている。風船を放した後、死者たちは死の国へ帰ってゆく。
風船を放すのは死者を帰すために必要な行動ではあるが、場所が時計塔広場である必然性はないため、自宅や他の場所でワタリに合わせて風船放しをする人もいる。

白鴉が渡っても風船を手放さずに死者を帰さなかった場合、死者は死の国に帰れない代わりに生の国に長く存在もしていられないと言われている。
引き留めた死者は次の年にはもう帰ってこない。

白鴉のワタリ・風船放しから一時間後に、毎年必ずぱらぱらと雨が降る。この雨のことを「涙雨」と呼ぶ人も多い。


去年、街役所が発表したスケジュールは

  • 7月1日  午前中に白鴉のワタリが観測される
       夕に入ってからどの家も風船を付けること(アナウンス予定)
       夜が更けてから死者が帰ってくるとされているため、外出は推奨されない
  • 7月2日  氷涼祭の始まり
       住民は風船を各自一つ持って生活を始め、和装をするものも多い
       夕方から時計塔広場を中心に出店が出始める
       夕方の15時~16時頃に銀氷が降ると予測される
       本祭は22時まで
  • 7月3日  17時頃、白鴉がまた別の場所へ渡る(アナウンス)のに合わせて、時計塔広場で一斉に風船を放す
       風船を放した後、死者はそれぞれ死の国に帰ると言われている
       18時頃、涙雨が降る

最終更新:2020年01月18日 22:32