灯りの樹

灯りの樹

毎年、冬の寒い時期になると、街のあちこちに、一本の”灯りの樹”が現れるようになる。灯りの樹は枝々に花のように灯りをともすのが特徴で、他はなんの変哲もない。冬のせいか、もともとそういう種なのか、葉は一枚もついていない。高さは2~3階ほど、枝は中学生が背伸びして触れるくらい(お花見の桜の体感イメージ)。

昼間は周りが明るく、いつの間にか現れてなくなるので気づかれないことが多いが、夜は灯りをともすので分かりやすい。

本物はタイミングが合わないと出会えないが、昔、本物から枝を採ってきた者がいたらしく、今では日常的に花屋などで子株の苗木が売られている。一般家庭でも庭に植えたり、鉢植えを持っている家は多い。本物に比べると子株の方はやや灯りが弱いと言われている。

 

灯りの樹の夜

灯りの樹が現れてから数日の間、灯りの樹にオーナメントを飾るのが街の伝統になっている。オーナメントはその年の一年の感謝と、来年が平和なものになるよう祈りを込めて飾られる。

オーナメントは大きさや材質はさまざまだが球状で、吊るすための紐が付けられている。自分の手で作る家庭も多いが、この時期になると雑貨屋等でも多く売られている。

普通の飾りとしてのオーナメントを飾る人も増えてきており、最近は球体のものを「灯りの実」と呼んで他のデザインと区別している。

本物はタイミングが合わないと見つけられず、また昼間に見つけるのが難しいため、数年前から役所が飾るための灯りの樹(子株)を時計塔広場に設置するようになった。それなりに大きいので、上の方に吊るす時は脚立を使って吊るすことになる。子供は役所の職員に頼むのがルール。

自宅の庭や鉢植えに飾ったり、見るだけで飾る習慣を持たない家庭もある。

ある夜のある時間を過ぎると、その夜は一晩中、樹に吊るされた灯りの実も一緒に灯りがともるという現象が起こる。その夜を境に、徐々に灯りの樹は街に現れなくなってゆく。

また、灯りの夜は天候観測所によって予測されており、毎年役所から予報がある。去年の役所の発表した灯りの樹の夜の日程は以下である。

 

12日(金):役所が灯りの樹を時計塔広場設置

13日(土):役所一階会議室でオーナメント手作りワークショップ開催(参加費:25クルーク)

       その後、そのまま立候補者によるオーナメントコンテスト開催(優勝作品は雑貨屋さんにて発売されます)

14日(日):灯りの樹の夜。17時を過ぎるとオーナメントに灯りが点る。この灯りは夜明けがくるまで点いたままである。

 

最終更新:2015年02月17日 17:30