【骨折の部位による分類を説明しなさい】
四肢で特に長骨の場合、骨折箇所により骨端部骨折と骨幹部骨折に大別する。 
 ●骨端部骨折・・・骨の上下で近位端部と遠位端部に分類する。
  ・近位端部骨折(中枢端骨折・上端部骨折)・・・①頭部骨折②頸部骨折③骨端線部骨折(骨端線離開)④結節部骨折⑤顆部骨折
  ・遠位端部骨折(末梢端骨折・下端部骨折)・・・①顆上部骨折②顆(果)部骨折③骨端線部骨折(骨端線離開)④辺縁部骨折
 ●骨幹部骨折・・・近位端部と遠位端部を取り除いた部分
  ・上1/3部、中1/3部、下1/3部 鎖骨のみ内1/3部、中1/3部、外1/3部

【骨折の経過による分類を説明しなさい】
新鮮骨折・・・骨折後血腫形成期からおおむね仮骨形成期まで
陳旧性骨折・・・仮骨硬化期以降のもの。臨床的に新鮮骨折と同じ治療ではなく、時間が経過したため
         それに配慮した治療法をしなければならないときに陳旧性と呼ぶ。

【骨折の一般外傷症状を上げそれぞれに説明を加えなさい】
1)疼痛
 ①自発痛・・・安静時にも疼く痛みをいう。骨折時には骨折部を安静にすることにより疼痛は軽減する。
 ②直達性局所痛(限局性圧痛)・・・直接患部に圧迫力を加えたときの疼痛。骨折時には、他組織の損傷と比べ
て非常に強い限局性圧痛を認める。
 ③介達痛・・・患部から離れた部位に力を加え患部に発生する疼痛。骨折時には介達痛は大きい傾向。
   ⅰ)軸圧痛・・・患部より離れた部位から患部へ向かい、骨長軸方向に圧を加えると発生する。
             (大腿骨骨折時に骨折部から離れた足底から下肢の長軸に向かって)
   ⅱ)叩打痛・・・患部より離れた部位から患部へ向かい、骨長軸方向に叩打すると発生する。
             (大腿骨骨折時に骨折部から離れた足底から下肢の長軸に向かって)
   ⅲ)圧迫痛・・・側胸部に骨折があると胸郭の前後から圧迫を加えると側胸部に疼痛が発生する。
             (双手圧テスト)
   ⅳ)牽引痛・・・患部より離れた部位から長軸に牽引力を加えると発生する痛み。
             (指骨骨折時に末梢部から指の長軸末梢方向に牽引)
   ⅴ)動揺痛・・・患部より離れた部位から動揺を加えて患部に発生する痛み。
2)腫脹
   骨折部には熱感を伴った腫脹が現れる。骨折の腫脹は骨髄・骨膜・骨質や骨折部周辺の軟部組織損傷部から
   の出血により発生し、これを骨折血腫という。出血は骨折部に溜まり血腫を形成し、出血が皮下に及ぶと皮
   下出血斑を生じ、骨折が関節腔に及ぶと関節血腫を形成する。
3)機能障害
   骨の支持器官としての機能が低下または消失する。あるいは強い運動痛のため運動を回避する。

【骨折時の固有症状を上げそれぞれに説明を加えなさい】
1)異常可動性(異常運動)
  骨折部における可動性であって、特に長骨の完全骨折などに著明に現れる。骨折したと思われる箇所を動かすと関節以外のところで骨が動くものをいう。
   ●異常運動を証明しにくい骨折
    (1)不全骨折:亀裂骨折、若木骨折、陥凹骨折、竹節状骨折、骨膜下骨折
    (2)圧迫骨折
    (3)噛合骨折
    (4)関節付近での骨折

2)軋轢音
  異常運動があるときに骨折端が擦れあう音。骨折線離開では軟骨性の軋轢音。
   ●軋轢音を証明しにくい骨折
    (1)異常運動のない骨折・・・不全骨折、圧迫骨折、噛合骨折など
    (2)骨折端が離開している骨折・・・剥離骨折や延長転位のある骨折など
    (3)騎乗骨折(騎乗転位)のある時
    (4)骨折端間に軟部組織が介在する場合

3)転移と変形
骨折によってできた骨折端(骨片)の移動を転位といい、この転位により外見上の変形が現れる。
転位は以下のように分類できる。
  ①発生機序による分類
ⅰ.一次性転位・・・骨折を起こしたときの力がそのまま骨折端を移動させたもの。
ⅱ.二次性転位・・・一時性転位の後に加わる力によってさらに骨折端を移動させたもの。
      (1)外力:患者運搬時の乱暴な取り扱い、包帯交換時の不注意な外力によって生じる。
      (2)筋の牽引力:肘頭骨折時の上腕三等筋の筋力によって生じる延長転位。
      (3)患肢の重量:大腿骨骨折時の遠位骨片の外旋転位。
  ②形状による分類
ⅰ.側方転位・・・骨折して一方の骨片が骨長軸上より側方に移動したもの。
ⅱ.屈曲転位・・・一方の骨片が骨長軸上一定の角度をもって移動したもの。
ⅲ.捻転転位・・・骨が長軸上で一定の回旋を生じたもの。
ⅳ.延長転位・・・骨折端が骨長軸で離開して骨の長さが増加するもの。
     ⅴ.短縮転位・・・骨折端が骨長軸上で短縮して、骨の長さが減少するもの。一方の骨折端が他方の骨折端に
                噛み合う噛合骨折が理論的には正しい短縮転位
    完全骨折の際にはこれらの転位が重なり合い転位する。
             ex.騎乗骨折(側方転位+騎乗転位)
最終更新:2006年08月08日 10:57