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「序章」(2007/02/28 (水) 22:17:22) の最新版変更点
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『貴女のとりこ』<br>
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今年もまた、六月が訪れてしまいました――<br>
英語で言うところの、June。<br>
以前に付き合っていた男の人と、語感が似ているのは、何かの因果でしょうか。<br>
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まあ…………それは、さておき。<br>
私には、毎年、六月が来ると思い出す事があるんです。<br>
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それは――とてもとても悲しい思い出。<br>
そして――とてもとても恐ろしい記憶。<br>
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本当は、あまり思い出したくないこと。<br>
本当は、誰にも話したくないこと。<br>
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でも…………独りで抱えているには、余りにも重い記憶。<br>
重くて重くて、今にも足の上に落としてしまいそう。<br>
辛くて辛くて、つい皓々たる月に喋ってしまいそう。<br>
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お願いです。人助けだと思って、私の話を聞いて貰えませんか?<br>
どんな悩みも、人に聞いて貰うだけで、少しは楽になると言いますから。<br>
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え? 本当ですか?! 本当に、聞いて下さるんですね!?<br>
…………あぁ……良かったぁ。断られたら、どうしようかとハラハラしてました。<br>
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ああ、どうぞ、おくつろぎになって下さい。少しばかり、長いお話ですので。<br>
今、お紅茶を煎れますね。今朝、上質の葉っぱが手に入ったんですよ。<br>
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