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「第十話 『fragile』」(2008/05/29 (木) 23:40:18) の最新版変更点
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<p> <br />
<br />
針葉樹の森は、真っ暗な夜闇に沈んで、密やかな寝息を立てている。<br />
幹や枝葉の隙間から滲みだした濃い影が、はたはたと雨だれのように降り、<br />
湿った大地に溜まっていた。</p>
<p> <br />
そんな中、2人の少女を乗せた自転車は、抗議するような悲鳴を放って停まった。<br />
いい加減、ブレーキシューの交換時期なのだろう。どうにも止まりが悪い。<br />
雛苺が鞄を抱えたまま、自転車の荷台から、身軽にすとんと飛び降りる。<br />
それを待って、脚を踏ん張って車体を支えていた雪華綺晶も、サドルから腰を浮かせた。</p>
<p> <br />
アルプスから吹き下ろす冷風に晒されて、2人揃って身震いする。<br />
ごしごしと二の腕を擦りながら、雪華綺晶は両の肩を竦め、顔を上げた。<br />
彼女の眼差しの先には、廃屋かと疑いたくなるほど古びたログハウスが在る。<br />
屋根の煙突から細く吐き出される白煙が、辛うじて、住まう者の気配を知らしめていた。</p>
<p> <br />
それにしても――<br />
雪華綺晶は、針葉樹に囲まれたログハウスのドアを凝視したまま、回想した。<br />
さっき、雛苺が口にしていた、とある秘密結社の話を。</p>
<p> <br />
(よりによって、薔薇十字団ですって? あんなもの、ただの都市伝説でしょうに)</p>
<p> <br />
まことしやかな噂話ほど、実のところ、アテにならないものだ。<br />
人里離れて暮らす偏屈な人形師に、意地の悪い誰かが、悪意ある脚色を加えたのだろう。<br />
きっと、その程度のこと。風聞には良くあることだと、彼女は自らを納得させた。</p>
<p> <br />
「あ……鞄は、私が持ちますわ。こうなったのも、私の失態ですから」</p>
<p> <br />
雪華綺晶は鞄を受け取ると、雛苺に扉を開けさせて、ログハウスに足を踏み入れた。<br />
ここは、ただの工房――そう思い込んでいた彼女たちは、次の瞬間、<br />
異様な光景に息を詰まらせ、言葉を失うこととなった。<br />
夥しい数の人形が、一斉に、2人を無機質な瞳で見つめていたのだから。</p>
<p> <br />
<br />
<br />
第十話 『fragile』</p>
<p> <br />
<br />
<br />
ジュモー、ブリューを初め、製造元や大きさも様々なビスクドールが、<br />
何十(或いは百を数えるほど)となく、壁に設えた棚に陳列されていた。<br />
どの人形も抱っこしたくなるほど愛嬌たっぷりなのだが、こうも数が揃うと威圧的でさえある。<br />
異様な雰囲気に圧されて、雪華綺晶たちは表情を堅くしていた。</p>
<p> <br />
かさ、かさ――<br />
開け放したドアから吹き込んだ風が、テーブルに広げられた新聞の端を巻き上げる。<br />
ル・モンドだ。開かれていた紙面には、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)が、<br />
ドイツの総選挙で第一党となったことが報じられていた。<br />
……だが、今は外国の政治についてなど、どうでもいい。</p>
<p> <br />
「何か、用なのかい?」</p>
<p> <br />
不意に、奥の部屋から問われて、娘たちは慌てた。<br />
人形にばかり気を取られるあまり、注意が疎かになっていたらしい。<br />
もし彼が黙ったままだったら、居ることにすら気づかなかったことだろう。</p>
<p> <br />
声のした方を窺い見れば、この家の主たる人形師の男性の背中が、目に留まった。<br />
よほど作業に没頭したいらしく、振り返るどころか、手を止めようともしない。</p>
<p> <br />
「あの……お仕事中、失礼します」<br />
雪華綺晶は人形師の背中に、丁寧に話しかけた。「お人形の修理を、お願いしたくて」</p>
<p> <br />
『人形』と耳にして、やっと人形師は作業の手を止め、徐に立ち上がった。<br />
思いがけず大柄な男性だった。身長は2メートル近い。</p>
<p> <br />
「どれ? 見せてみて」</p>
<p> <br />
声の響きは若々しいが、なんとなく物憂げな口調。実際、億劫なのだろう。<br />
そうガツガツ仕事をこなさずとも、生活には困らないらしい。いいご身分だ。<br />
<br />
クセのある金髪を手櫛で撫でつけながら、男性が溜息まじりに振り返った。<br />
その面差しは、意外なほど若い。お世辞抜きに、かなりの美青年だ。<br />
人形師という職種から、もっと頑迷で厳つい中年の職人を思い描いていただけに、<br />
彼の端正な顔立ちを目にするや、雪華綺晶たちは暫し見惚れてしまった。<br />
落ち着いた物腰から察するに、歳の頃は30前後といったところか。</p>
<p> <br />
だが、雪華綺晶を見た瞬間、それまで鷹揚に構えていた青年の様子が一変した。<br />
切れ長で涼しげな双眸を、いっぱいに開いて……明らかな動揺を浮かべている。<br />
彼の青い双眸は、雪華綺晶に釘付けとなっていた。</p>
<p> <br />
「お…………おお……」</p>
<p> <br />
青年の半開きになった唇から、低い呻きが零れだす。<br />
そして、2人の娘たちが訝しく思うよりも早く、彼は雪華綺晶に掴みかかっていた。</p>
<p> <br />
「ば……薔薇水晶っ!?」</p>
<p> <br />
突如として、全く面識のない者に迫られたら、誰であれ身を引くだろう。<br />
それが、自分より遙かに身長が高く、腕力に勝る相手だったなら尚のこと。</p>
<p> <br />
「きゃぁ! イヤぁっ!」</p>
<p> <br />
ただでさえ華奢な雪華綺晶は、すっかり脅えて顔面蒼白となり、<br />
さっきまで重そうに抱えていた鞄を、軽々と青年に叩きつけた。<br />
しかし、鞄に胸を強打されようと、青年は決して、掴んだ彼女の腕を離さなかった。</p>
<p> <br />
「や、やめてなのっ! きらきーを苛めちゃダメなのよーっ!」</p>
<p> <br />
雛苺は小柄な体躯にも拘わらず、ガムシャラに青年の脚へと飛びかかる。<br />
人形師の青年は動じず、憑かれたような眼で、雪華綺晶を凝視していた。<br /><br />
></p>
<p>>>4<br />
「きみは、薔薇水晶だ! 生まれ変わった、僕の大切な一人娘だ!」</p>
<p> <br />
衝撃の言葉を、口にした。ビクリ……と、雪華綺晶と雛苺が、身体を震わせる。<br />
雛苺は、彼の言葉を胸裡で反芻しながら、怖々と話しかけた。</p>
<p> <br />
「ホントに……きらきーは、貴方の娘なの?」</p>
<p> <br />
青年は、ああ……と。返答とも溜息ともつかない呟きを放って、重々しく頷いた。<br />
彼の青い瞳は、雪華綺晶の胸元に輝くペンダントを、ひたと見据えている。</p>
<p> <br />
「その、雪の結晶を象ったペンダント――<br />
薔薇水晶のために、僕が作ったものだ。<br />
それこそ、きみが僕の娘であることの、なによりの証だよ」</p>
<p> <br />
「ウソ…………ですわ」ペンダントを手で覆い隠して、雪華綺晶は呟いた。<br />
「私は、雪華綺晶! あなたなんて知らないっ! 薔薇水晶なんて……知らな……い」</p>
<p> <br />
その言葉は、しかし、徐々に尻すぼみとなってゆく。<br />
コリンヌに出逢うまでの記憶がない。そのことが、断言を躊躇わせていた。<br />
雪華綺晶は、かつて無いほどの頭痛に襲われ、頭を抱え、蹲ってしまった。</p>
<p> <br />
「き、きらきー?! 大変……お顔が真っ青なのよ。早く帰らなきゃ!<br />
お人形の修理代は、受け取るときに払いますなのっ」</p>
<p> <br />
二人の間に割って入った雛苺が、青年に睨みを利かせながら、雪華綺晶を連れ出す。<br />
が、彼は追いかけてこなかった。遠ざかる娘たちを、悲しい眼で見送っていただけで。</p>
<p> <br />
小屋を出るなり、雪華綺晶は激しい頭痛に堪えきれず、その場に跪いて吐瀉した。<br />
胃酸に喉を灼かれ、激しく咽せる彼女の背中を、泣きそうな顔した雛苺が撫でさする。<br />
そんな2人を、季節風に揺さぶられた木々のざわめきが、不気味に取り巻く。</p>
<p> <br />
まるで、平凡な日常という砂上の楼閣が崩れゆく音のよう。<br />
雪華綺晶は咽びながら、そんなことを思っていた。<br />
<br />
<br /></p>
<hr />
<br />
<p> 第十話 終</p>
<p> <br />
<br />
【3行予告?!】</p>
<p> <br />
俯くまで、気づきもしなかった。どうしてだろう? 泣いてた――<br />
知ることは、人の望みの歓びを見つけることだと……ずっと信じていました。<br />
識ることが、終わりの始まりだなんて……思いも寄らずに。</p>
<p> <br />
次回、第十一話 『Rescue me』<br />
<br />
</p>
<p> <br />
<br />
針葉樹の森は、真っ暗な夜闇に沈んで、密やかな寝息を立てている。<br />
幹や枝葉の隙間から滲みだした濃い影が、はたはたと雨だれのように降り、<br />
湿った大地に溜まっていた。</p>
<p> <br />
そんな中、2人の少女を乗せた自転車は、抗議するような悲鳴を放って停まった。<br />
いい加減、ブレーキシューの交換時期なのだろう。どうにも止まりが悪い。<br />
雛苺が鞄を抱えたまま、自転車の荷台から、身軽にすとんと飛び降りる。<br />
それを待って、脚を踏ん張って車体を支えていた雪華綺晶も、サドルから腰を浮かせた。</p>
<p> <br />
アルプスから吹き下ろす冷風に晒されて、2人揃って身震いする。<br />
ごしごしと二の腕を擦りながら、雪華綺晶は両の肩を竦め、顔を上げた。<br />
彼女の眼差しの先には、廃屋かと疑いたくなるほど古びたログハウスが在る。<br />
屋根の煙突から細く吐き出される白煙が、辛うじて、住まう者の気配を知らしめていた。</p>
<p> <br />
それにしても――<br />
雪華綺晶は、針葉樹に囲まれたログハウスのドアを凝視したまま、回想した。<br />
さっき、雛苺が口にしていた、とある秘密結社の話を。</p>
<p> <br />
(よりによって、薔薇十字団ですって? あんなもの、ただの都市伝説でしょうに)</p>
<p> <br />
まことしやかな噂話ほど、実のところ、アテにならないものだ。<br />
人里離れて暮らす偏屈な人形師に、意地の悪い誰かが、悪意ある脚色を加えたのだろう。<br />
きっと、その程度のこと。風聞には良くあることだと、彼女は自らを納得させた。</p>
<p> <br />
「あ……鞄は、私が持ちますわ。こうなったのも、私の失態ですから」</p>
<p> <br />
雪華綺晶は鞄を受け取ると、雛苺に扉を開けさせて、ログハウスに足を踏み入れた。<br />
ここは、ただの工房――そう思い込んでいた彼女たちは、次の瞬間、<br />
異様な光景に息を詰まらせ、言葉を失うこととなった。<br />
夥しい数の人形が、一斉に、2人を無機質な瞳で見つめていたのだから。</p>
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第十話 『fragile』</p>
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ジュモー、ブリューを初め、製造元や大きさも様々なビスクドールが、<br />
何十(或いは百を数えるほど)となく、壁に設えた棚に陳列されていた。<br />
どの人形も抱っこしたくなるほど愛嬌たっぷりなのだが、こうも数が揃うと威圧的でさえある。<br />
異様な雰囲気に圧されて、雪華綺晶たちは表情を堅くしていた。</p>
<p> <br />
かさ、かさ――<br />
開け放したドアから吹き込んだ風が、テーブルに広げられた新聞の端を巻き上げる。<br />
ル・モンドだ。開かれていた紙面には、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)が、<br />
ドイツの総選挙で第一党となったことが報じられていた。<br />
……だが、今は外国の政治についてなど、どうでもいい。</p>
<p> <br />
「何か、用なのかい?」</p>
<p> <br />
不意に、奥の部屋から問われて、娘たちは慌てた。<br />
人形にばかり気を取られるあまり、注意が疎かになっていたらしい。<br />
もし彼が黙ったままだったら、居ることにすら気づかなかったことだろう。</p>
<p> <br />
声のした方を窺い見れば、この家の主たる人形師の男性の背中が、目に留まった。<br />
よほど作業に没頭したいらしく、振り返るどころか、手を止めようともしない。</p>
<p> <br />
「あの……お仕事中、失礼します」<br />
雪華綺晶は人形師の背中に、丁寧に話しかけた。「お人形の修理を、お願いしたくて」</p>
<p> <br />
『人形』と耳にして、やっと人形師は作業の手を止め、徐に立ち上がった。<br />
思いがけず大柄な男性だった。身長は2メートル近い。</p>
<p> <br />
「どれ? 見せてみて」</p>
<p> <br />
声の響きは若々しいが、なんとなく物憂げな口調。実際、億劫なのだろう。<br />
そうガツガツ仕事をこなさずとも、生活には困らないらしい。いいご身分だ。<br />
<br />
クセのある金髪を手櫛で撫でつけながら、男性が溜息まじりに振り返った。<br />
その面差しは、意外なほど若い。お世辞抜きに、かなりの美青年だ。<br />
人形師という職種から、もっと頑迷で厳つい中年の職人を思い描いていただけに、<br />
彼の端正な顔立ちを目にするや、雪華綺晶たちは暫し見惚れてしまった。<br />
落ち着いた物腰から察するに、歳の頃は30前後といったところか。</p>
<p> <br />
だが、雪華綺晶を見た瞬間、それまで鷹揚に構えていた青年の様子が一変した。<br />
切れ長で涼しげな双眸を、いっぱいに開いて……明らかな動揺を浮かべている。<br />
彼の青い双眸は、雪華綺晶に釘付けとなっていた。</p>
<p> <br />
「お…………おお……」</p>
<p> <br />
青年の半開きになった唇から、低い呻きが零れだす。<br />
そして、2人の娘たちが訝しく思うよりも早く、彼は雪華綺晶に掴みかかっていた。</p>
<p> <br />
「ば……薔薇水晶っ!?」</p>
<p> <br />
突如として、全く面識のない者に迫られたら、誰であれ身を引くだろう。<br />
それが、自分より遙かに身長が高く、腕力に勝る相手だったなら尚のこと。</p>
<p> <br />
「きゃぁ! イヤぁっ!」</p>
<p> <br />
ただでさえ華奢な雪華綺晶は、すっかり脅えて顔面蒼白となり、<br />
さっきまで重そうに抱えていた鞄を、軽々と青年に叩きつけた。<br />
しかし、鞄に胸を強打されようと、青年は決して、掴んだ彼女の腕を離さなかった。</p>
<p> <br />
「や、やめてなのっ! きらきーを苛めちゃダメなのよーっ!」</p>
<p> <br />
雛苺は小柄な体躯にも拘わらず、ガムシャラに青年の脚へと飛びかかる。<br />
人形師の青年は動じず、憑かれたような眼で、雪華綺晶を凝視していた。<br /><br />
「きみは、薔薇水晶だ! 生まれ変わった、僕の大切な一人娘だ!」</p>
<p> <br />
衝撃の言葉を、口にした。ビクリ……と、雪華綺晶と雛苺が、身体を震わせる。<br />
雛苺は、彼の言葉を胸裡で反芻しながら、怖々と話しかけた。</p>
<p> <br />
「ホントに……きらきーは、貴方の娘なの?」</p>
<p> <br />
青年は、ああ……と。返答とも溜息ともつかない呟きを放って、重々しく頷いた。<br />
彼の青い瞳は、雪華綺晶の胸元に輝くペンダントを、ひたと見据えている。</p>
<p> <br />
「その、雪の結晶を象ったペンダント――<br />
薔薇水晶のために、僕が作ったものだ。<br />
それこそ、きみが僕の娘であることの、なによりの証だよ」</p>
<p> <br />
「ウソ…………ですわ」ペンダントを手で覆い隠して、雪華綺晶は呟いた。<br />
「私は、雪華綺晶! あなたなんて知らないっ! 薔薇水晶なんて……知らな……い」</p>
<p> <br />
その言葉は、しかし、徐々に尻すぼみとなってゆく。<br />
コリンヌに出逢うまでの記憶がない。そのことが、断言を躊躇わせていた。<br />
雪華綺晶は、かつて無いほどの頭痛に襲われ、頭を抱え、蹲ってしまった。</p>
<p> <br />
「き、きらきー?! 大変……お顔が真っ青なのよ。早く帰らなきゃ!<br />
お人形の修理代は、受け取るときに払いますなのっ」</p>
<p> <br />
二人の間に割って入った雛苺が、青年に睨みを利かせながら、雪華綺晶を連れ出す。<br />
が、彼は追いかけてこなかった。遠ざかる娘たちを、悲しい眼で見送っていただけで。</p>
<p> <br />
小屋を出るなり、雪華綺晶は激しい頭痛に堪えきれず、その場に跪いて吐瀉した。<br />
胃酸に喉を灼かれ、激しく咽せる彼女の背中を、泣きそうな顔した雛苺が撫でさする。<br />
そんな2人を、季節風に揺さぶられた木々のざわめきが、不気味に取り巻く。</p>
<p> <br />
まるで、平凡な日常という砂上の楼閣が崩れゆく音のよう。<br />
雪華綺晶は咽びながら、そんなことを思っていた。<br />
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<p> 第十話 終</p>
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【3行予告?!】</p>
<p> <br />
俯くまで、気づきもしなかった。どうしてだろう? 泣いてた――<br />
知ることは、人の望みの歓びを見つけることだと……ずっと信じていました。<br />
識ることが、終わりの始まりだなんて……思いも寄らずに。</p>
<p> <br />
次回、第十一話 『Rescue me』<br />
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