※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

  はじめに

これはJKスレ最終回に、間に合わせで書き上げたSSです。
最後でしたから、スレタイ物として完成させました。
それがケジメかな……と、勝手な解釈をして。


 《使用しているスレタイ》

【寒い季節 二人で・・・・】  【春は もうすぐ♪】
【さよならは 言わないよ】 【花咲く頃は 貴方といたい】
【ねぇ 手、つなご?】    【笑顔が咲く季節】
【この気持ち 忘れない☆】



  『煌めく時にとらわれ・・・』


――春先にありがちな強い風が吹く、小雨降る一日だった。

舞い落ちた桜の花びらは濡れた地面に貼り付き、踏みしだかれていく。
沈鬱な空模様と相俟って、校門をくぐる誰の足取りも、重い……。



  今日、私立薔薇学園高等学校は、卒業式を迎える。



整然と椅子が並べられた体育館に、穏やかな曲が流れ続ける。

 「意外に、あっけないもんだな」

在学中は、あんなに早く卒業したいと思っていたのに――
いざ終わるとなると、なんとも不完全燃焼な気分だった。

静寂が広がる館内の中心に、ジュンは立っていた。
真正面にステージを見据えて、この三年間の思い出を回想する。


……学祭の時には、バンド演奏した事があった。
……舞台で演劇をしたこともあった。
……バスケや卓球に白熱した事もあったっけ。


四季折々、様々な光景が頭をよぎり、いい知れない感情が胸に去来する。
過ぎ去った日常…………二度と、取り戻せない青春。

 「この体育館って、実は結構、広かったんだな」

呟いたジュンの白い吐息が、ふわり……と宙に散った。
何を感傷的になってるんだろうな、僕は。
これが、今生の別れって訳でもないのに――

失笑が、溜息に代わる。
こんなの……柄じゃない。

教室に戻るか――

センチメンタルな自分を鼻で笑って、踵を返すジュン。
ふと体育館の入口に目を向けて、彼の脚が停まった。
――静かに佇む、七人の薔薇乙女たち。

 「どうしたんだよ、みんな。式には、まだ早いだろ」
 「一生に一度のイベントだもの。少しでも長く、胸に刻み込みたいのだわ」
 「寂しいよね……でも、ボクは、さよならは言わないよ」
 「そうです。別れなんて束の間ですよ。新しい出会いの季節、春はもうすぐ♪ ですぅ」

明るい口調で、陽気に振る舞う翠星石。彼女の瞳には、しかし涙が光っていた。
やおら、しゃくりあげる彼女に、雛苺が歩み寄る。

 「うみゅ……泣いちゃダメなのぉ。ねぇ……手、つなご?
  そうしたら、きっと、元気が出るのよ」
 「う……うぅ……ほ、ほっときやがれですぅ」

と言いつつ、翠星石は、差し出された雛苺のを、がっし……と握った。
金糸雀が、湿っぽい雰囲気を嫌って、声を上げる。

 「まあ、みんな一緒に卒業できて嬉しかったかしら。
  カナは一生、この気持ち忘れない☆」
 「そうね……みんなで、笑顔が咲く季節へ、歩いて行くのだわ」
 「来年も…………寒い季節……二人で・・・・」

ひとり、ちぐはぐな事を口にして、水銀燈に抱き付こうとする薔薇水晶。
しかし、水銀燈は彼女の腕をするりと抜けて、ジュンと腕を組んだ。

 「今日が、一生の別れじゃないものねぇ。ジュン……私ねぇ――」

徐にジュンの頬に唇を寄せて、水銀燈は彼の耳元で囁いた。


 「いつまでも……花咲く頃は、貴方といたいわぁ」

その場にいた誰もが、二人のラブラブな雰囲気に当てられて辟易していた。
この二人には、卒業式のしんみりした空気も関係ないようだ。




――厳かに執り行われる卒業式。
校長の挨拶……卒業証書授与……その他、諸々。
さしたるアクシデントもなく、式は静かに締め括られた。

在校生に見送られながら、体育館を後にする卒業生たち。
外に出ると、朝から降りしきっていた雨は、いつの間にか止んでいた。
雲の切れ間から、新たに巣立つ雛鳥たちを祝福するように、柔らかな陽光が降り注いでいる。


――煌めく時にとらわれ……僕らは旅立つ。

 「でも、いつだって会えるよな。だって僕らは――」



 『みんなの心の中に、生きているんだから♪』




私立薔薇学園高等学校に巡り会い、薔薇乙女たちと出会えた幸運に感謝する。

すべての生徒、すべて住民たちの幸せを願って……今まで、本当にありがとう。


JKスレ最終回の即興SS。
この日、『ローゼンメイデンが普通の女の子だったら』スレが誕生した。