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  ~第四十章~


真紅は水銀燈の亡骸を抱き締め、支えながら、はらはらと涙を零した。
左手の甲が、熱い。それは、彼女の御魂が自分の中に宿った証。
だけど、信じたくない。認めたくない。こんな事が、現実であろう筈がない。
真紅にとって、水銀燈は殺したって死にそうもない不死身の娘であり、
それ故に、最も信頼のおける親友という認識だった。
なのに――彼女は、目を開かない。

 「ねえ……起きなさい、水銀燈。悪ふざけは、やめてちょうだい!
  お願いだから、何か言ってよ……ねえ、水銀燈っ!」

水銀燈の背中に回した左手が、ぬるりと滑る。
まだ温かい血液が、彼女の背中を濡らしていた。
血塗れとなった水銀燈の背中を、真紅は撫でた。
傷の上だろうが、構わずに掌を這わせる。

 (水銀燈は、私をからかう為に、死んだフリをしてるだけよ。
  こうしていれば、その内に『痛いでしょぉ!』と、
  文句を言って瞼を開くに違いない。きっと、そうなのだわ)

しかし、真紅の思惑を裏切り、水銀燈は全く反応してくれない。
何も言わずに、ただ、穏やかな寝顔を見せるだけ。
真紅は嗚咽を堪えようとして、しっかりと歯を噛み合わせた。

 (私は……御魂なんか欲しくなかった。こんなもの、集めたくなんてなかった!)

真紅の眦から、悲しみの雫が、尽きることなく落ち続ける。
初めて出会った時は、こんな気持ちになる日が来るなんて思ってもみなかった。
いつも、からかわれてばかりで……
煩わしく思った事が、何度あったか分からない。

 (でも、貴女はいつだって、私を見守ってくれて……勇気をくれたわ。
  必要なときは、惜しげもなく手を差し伸べてくれたわね)

貴女の存在が、どれだけ私の心の、大きな支えになっていたか……解る?
水銀燈を失い、心にポッカリと風穴が空いて……初めて、真紅は悟った。
どれだけ、彼女を頼りにして、依存しきっていたか――と言う事を。

 (ううん……本当は、ずっと前から解っていたわ。多分、出会った時から。
  私に無い強さを持った貴女だから、私は大好きになったのよ)

自分に無いものに対する羨望や憧憬は、誰もが抱く感情。
けれど、真紅は彼女に対して、それ以上の感情を胸に宿してしまった。
本来ならば、その気持ちは不自然なこと。

 (……でも、止められなかった)

本当は、からかわれても嬉しかったし、口喧嘩だって娯楽に等しかった。
いつか気づいてくれると淡い期待を寄せつつ、冗談めかして告白してみたり。

その彼女は今、自分の中に居る。一心同体に成れて、喜ぶべきかも知れない。
しかし、年月と共に記憶が風化していくように、彼女の人格もまた薄れてゆき、
やがて自分と同化してしまうだろう。
凍てついた雪が春になれば解けて無くなるように、消え去ってしまうだろう。
それは真紅が望んだ未来とは、似て非なる結末だった。

 「こんなになるまで……痛かったでしょう? 苦しかったわよね?」

鮮血で滑り、ささくれ立った水銀燈の背中を撫でながら、真紅は嗚咽した。
もはや、自らの口で語ることの無い水銀燈に、囁きかける。
――貴女を、失いたくなんてなかった。

想いとは裏腹に、口を衝いて出たのは、簡潔な言葉のみ。


 「私の中で、お休みなさい」

言って、真紅は頭を振って涙を払い、決然と顔を上げた。
成すべき事は、ひとつ。それは、彼女たちの犠牲を無駄にしないこと。
悲壮な覚悟を、希望へと昇華させること。
間違っても、悲嘆に暮れて自暴自棄になることではない。

真紅は、水銀燈の肩越しに、巴を睨みつけた。
巴は剣を振り上げ、まだ龍の鉤爪を放とうとしている。
真紅が躱せば、彼女の背後に倒れている雪華綺晶が餌食になるという寸法だ。

 「これ以上、水銀燈を――私の仲間たちを、傷つけさせはしない!」

水銀燈の身体を抱えたまま、真紅は巴に、神剣の切っ先を向けた。

 「口では、何とでも言えるわ。でも所詮は、負け犬の遠吠えよ!」
 「どうかしらね。冥鳴っ!」

真紅の精霊起動によって、神剣が黒い雷を纏った。
雛苺の時よりも起動時間が短かったのは、真紅と水銀燈の信頼関係が、強く影響している。
遅れて仲間入りした雛苺とは、信頼関係を強化する時間が足りなかっただけだ。

巴が龍の鉤爪を放った直後、やや遅れて、真紅の神剣から冥鳴が放たれる。
それは巴にとって、予想外の反撃だった。

 「そんなっ……どうして?! 冥鳴は、水銀燈の太刀と同体型の筈なのに!」
 「太刀や呪符は、精霊との契約書であり彼等の住処でしかないわ。
  必ずしも、所持している必要はないのよ」

神剣の加護を受けた冥鳴は、見た目にも威力が増しているのが解った。
正面衝突した龍の鉤爪と冥鳴は、刹那の鬩ぎ合いも見せず、冥鳴が押し切る。
漆黒の顎が、巴の身に迫った。

巴は身を竦ませ、避けることも忘れて、冥鳴を剣で受け止めようとした。
勿論、無謀な真似だ。並の者なら、直撃を受けて五体が千切れ飛んでしまう。
暫し押し止めていたものの、結局、巴は冥鳴に弾き飛ばされてしまった。
巴の身体が、ふわり……と宙を舞い、斜方投射の軌跡で床に叩きつけられた。

がしゃり! と甲冑の砕ける音に続いて、巴の呻き声が真紅の耳に届く。
軽い脳震盪でも起こしているのか、巴は身動きせず、倒れたままだ。
真紅は、乳飲み子を寝かし付けるように、抱えていた水銀燈の亡骸を横たえた。

 「終わりにするわ。私なりのやり方で、必ず――」

言って、真紅は雪華綺晶に目を向け、話しかけた。

 「動ける? 雪華綺晶」

雪華綺晶は微かに口元を弛め、弱々しく頭を横に振った。
どうやら意識はハッキリしている様だが、無理はさせられない。
只でさえ満身創痍なのだ。早く治療を施さなければ、出血多量で死んでしまう。

 「……暫く、休んでいなさい。決着は、私が付けるから」

それが、房姫の生まれ変わりである、真紅の役目だ。

神剣を携え、巴の元へと歩み寄る真紅の足音を聞き付け、巴が身体を震わせた。
絶対的な力量差を、本能的に感じ取ったのだろう。
巴は、剣を支えにして立ち上がろうとしたが、その都度、無様に転がった。
膝が笑っている状態では、まともに立てる筈がない。

真紅の足音が、すぐ真後ろで停止した。

 「もう、観念しなさい……巴。貴女の負けよ」
 「わたしは……まだ負けてないわっ!」

巴は床に座り込んだまま、上半身を捻って、背後の真紅に斬りかかった。
しかし、そんな斬撃は予想の範疇。真紅は身軽に飛び退いて、神剣を構え直した。

 「わたしは負けない! 彼と添い遂げる為に、負ける訳にはいかないわ!
  たとえ相手が、誰であっても…………わたしは勝ってみせる」
 「可哀想な娘ね、貴女は。転生してまで、前世の因縁に縛られているなんて。
  いい加減、目を覚ましなさい。時代錯誤の復讐劇は、もう幕引きよ」
 「まだよ! まだ、幕は引かせない! 終わらせたりするものですか。
  赤の他人ごときに、わたしと彼の邪魔はさせないわ!」

凄まじい気迫を発して、巴が立ち上がった。
なんという執念だろうか。真紅は眉間に皺を寄せて、嘆息した。

 「……どうしても、闘うというの?」
 「当然よ! 真紅……貴女さえ斃せば、全てが終わる! 全てが変わるわ!」
 「確かに、全ての終わりね」

待ち受ける結末は、平穏な日常か……それとも、救いの無い破滅の連鎖か。
真紅は神剣を正眼に構えて、巴と対峙した。

 「でも、そうはさせないわ」
 「真紅ぅっ!」
 「貴女もろとも、鈴鹿御前を滅ぼす! それが、私の使命よ!!」

頭の中で、真紅は雛苺に、精霊起動の指令を出す。
縁辺流を巴に撃ち込み、鈴鹿御前を燻り出すも良し。
奇襲の際に、目眩ましとして使うも良し。

 (行くわよ、貴女たち! 私に、力を貸してちょうだいっ!)

斬り込む前に、真紅は胸の内で、眠っている娘たちに囁きかけた。
果たして、彼女たちが答えてくれたものか……
真紅の左手の甲が、仄かに熱を帯びる。優しく、包み込まれるように温かく。

時を同じくして、縁辺流の起動も完了。後は、行くのみ。
もう、真紅の心に迷いは無かった。
巴と、彼女の内で眠っているという鈴鹿御前を……斬る!!


真紅は突進を始めた。
巴はまだ、冥鳴の直撃を受けた後遺症で思うように動けない様子だ。
斬るのであれば、この機をおいて他にない。

謁見の間に一発の銃声が轟いたのは、まさに、その時だった。
驚いた真紅の動作が止まる。振り下ろさんとした剣は、頭上で停止している。
神剣を掲げた姿勢のまま、真紅は銃声の放たれた方角に視線を走らせた。




金糸雀が放った銃弾は、双子の姉妹に迫っていた凶刃に命中して、
義仲――ジュンの手から、皇剣『霊蝕』を奪い去った。

突然の事に、彼は愕然と脚を止めて、衝撃で痺れた手首を押さえながら、
弾き飛ばされた剣の行方を眼で追っていた。
皇剣『霊蝕』は玉座の後ろに落着すると、御簾が降ろされた大奥の間へと
滑っていき、その手前で止まった。

大奥の間とは、巴が鈴鹿御前となっている時にしか踏み込まない場所であり、
四天王は勿論のこと、義仲ですら立ち入りを禁じられた霊域だ。

 「今のは警告よ。次は、あなたの脚に当てるかしらっ!」
 「相変わらず、大した射撃の腕前だな。俺が出会った中じゃあ、一番だぜ。
  医者を辞めても、猟師で喰っていけるな」

そんな軽口を叩きつつも、ベジータは金糸雀の護衛に余念がない。
どの方角から敵が攻めて来ても、即座に迎撃、もしくは彼女を庇える位置に陣取っていた。

けれども、ベジータや金糸雀、翠星石と蒼星石の心配を余所に、
剣を奪われた義仲は立ち尽くしたまま、茫然と自分の両手を眺めていた。
翠星石と蒼星石に向けられていた殺気も、いまや雲散霧消している。

けれど、間近で見ていた蒼星石には、彼の変貌が良く解っていた。
先程までジュンを包み込んでいた穢れの波動が、今はすっかり消え失せ、
まるで憑き物が落ちたかの様な、邪気のない表情をしていたからだ。


一発の銃声と、手から身体中に伝播した鈍い痺れは、深い眠りに就いていた
ジュンの心にも届き、目覚めを促していた。
まるで、夢と現実が入れ替わるように、ジュンの覚醒の伴い、
義仲の人格は眠りへと誘われていく。

 (――僕は……今まで、何を?)

徐に、五感が呼び覚まされる。身体が、ジュンの意識化に戻ってきた証だった。
自分の両手を眺めていた視線を、前へとずらしていく。
すると、そこには翠星石を抱きかかえて座り込んだ蒼星石の姿があった。
振り向いた翠星石の顔には怯えの色が見て取れる。
対して、蒼星石の表情は大部分の動揺と、僅かばかりの希望に占められていた。

 (蒼星石と、翠星石じゃないか……何してるんだ、お前たちは)

その問いを口にしかけたジュンの脳裏に、突如として、
鮮明な映像が走馬灯の如く浮かび上がってきた。
隠し湯で蒼星石との再会を果たし、巴と彼女の決闘を苦々しい想いで見守った記憶。
蒼星石の勝利で決着が付いて、胸を撫で下ろしたこと。
安堵も束の間、化け物の集団に襲撃され――

 (なんなんだ……この、胸騒ぎは)

これ以上は、思い出さない方が良い。
そう気付いているのに、ジュンの記憶は映像の再生を止めない。
或いは、無理矢理に眠らされることとなった義仲の意趣返しかも解らないが、
ジュンには見当も付いていなかった。

再現映像は留まるところを知らず、ジュンの頭に浮かび、瞼に投影されていく。
暗い森の中から、火縄銃を構えた法師姿の男が、自分を狙っていた。
引き金が引かれて、銃声が轟く。
そして、放たれた灼熱の鉛塊に胸を穿たれて――
再現映像は、プッツリと途絶えた。

 (そうか…………僕は、一度……死んだんだ)

実感は湧かない。今、こうして生きているのだから、それも仕方あるまい。
しかし、ジュンの身体は覚えていた。
熱い鉛の塊が皮膚を突き破り、メリ込んでくる激痛を。
悔恨と懺悔の想いに苛まれた胸の痛みは、それに勝るとも劣らなかった事を。
彼女を残して死に逝く我が身の不運を呪う間もなく、意識が途切れた事すらも。
疼きとなって甦る感覚は、あれが夢などではなかった事を雄弁に物語っていた。


あの時に流せなかった悔し涙が、今……ジュンの頬を濡らしていく。
彼の震える唇から、弱々しくも明瞭な声が解き放たれた。

 「……すまない、蒼星石」
 「えっ!?」
 「いま……なんて言ったです?」

間近に居て、聞こえていたにも拘わらず、翠星石と蒼星石は自分の耳を疑った。
そんな彼女たちに向けて、ジュンはもう一度「すまない」と繰り返した。

 「僕は……二度までも、蒼星石に辛い想いをさせてしまったんだな」
 「ジュンっ!? お前、ジュンに戻ったですかっ?!」
 「どういう意味だ? 撃たれてからの事は……何も、解らないんだ。
  教えてくれ。僕は今、蒼星石たちに、何をしようとしてたんだ?」
 「……ジュンは、穢れに心を支配されていただけです。
  だから、何も気にしなくたって良いのですよ」

翠星石の言葉が意味するところを悟って、ジュンは身を強張らせた。
抜け落ちた記憶は、穢れに心を支配されていた期間。
つまりは、自分が彼女たちに危害を加えようとしていた事実を裏づける証。

 「なんで……僕はいつも、こうなってしまうんだよ!
  どうして、弱い心のまま、過ちを繰り返してしまうんだよ!
  僕がもっと強ければ、父上を説き伏せられたのに。
  僕らの仲を認めさせれば、蒼星石たちが国元を離れなくても済んだのに」
 「ジュン…………お前は、まだあの時のコトを気に病んでるですか。
  馬鹿ですね。後悔したところで、あの頃には戻れないのに」
 「解ってるけど! 僕は――」
 「……ジュン」

その場に頽れ、跪くジュンを目にして、蒼星石の双眸から涙が溢れた。
過去に縛りつけられたまま、一歩も未来に踏み出せない哀れな青年。
ジュンの中で眠っていた義仲が目を覚ましたのも、彼自身が抱いてきた遣る瀬ない想いが、
原因だったのかも知れない。
緋翠の瞳には、ジュンの姿が元服前の、小さな小さな男の子として映っていた。

彼を、こんなにも哀切極まりない存在にしてしまったのは、誰のせい?
その一因は、自分にもある。
離れなければ良かった。
公私の区別だなんて物分かりの良いフリをして、突き放すべきではなかった。
やるせない想いが胸の奥底から衝き上がってくる。

気づけば、蒼星石は抱いていた姉を脇に除けて、彼の肩に手を添えていた。
ハッと上げられたジュンの頭を、優しく……だが、しっかりと両腕に抱く。

 「心の弱さを恥じる必要なんて無いんだよ、ジュン。
  誰だって、強くなんてない。だから、誰もが心の支えを求めるの」
 「蒼星石の言うとおりです。見知らぬ土地に、たった一人で取り残された
  場面を想像してみるです。心細くて、手始めに心の拠り所を探そうと
  する筈ですよ。ソレが人であるか物であるかは、人それぞれですけどね」
 「ジュンと別れても、ボクには姉さんが居た。
  でも、キミにはもう、誰も居なかったんだね。だから、こんなに――」

蒼星石の腕の中で、ジュンは声を押し殺して泣いていた。
悲しかっただろう。辛かっただろう。苦しかっただろう。
蒼星石はジュンの髪に頬を寄せて、愛おしげに擦りつけた。

 「もう、平気だから。ボクが、キミの心を支えてあげるから。
  二人で支え合えたなら、きっと強くなれるよ。キミも……ボクも……」

ジュンは、蒼星石の声に小さく頷いて見せた。




仲睦まじく抱き合う二人を、巴は眼を見開き、凝視していた。
認める訳にはいかない。彼は、自分のもの。漸くにして、手に入れたのに。
こんなにも、あっさりと奪われるなんて許せなかった。

 「ダメよ…………彼から離れて……」

譫言を呟いたかと思った直後、巴は対峙していた真紅に背を向けて走り出した。
抱き合うジュンと、蒼星石の元へ。

 「待ちなさい、巴っ! 決着は、まだ――」

真紅の制止には耳も貸さず、巴は軋む身体に鞭を打って走り続けた。
許さない! 赦さない! ゆるさない!
彼を愛して良いのは、わたしだけ。彼に愛されて良いのは、わたしだけ。
絶対に、貴女なんかじゃない。

 「彼に触らないでよっ! 蒼星石っ!」

巴が龍の鉤爪を放とうと、走りながら剣を振り上げる。
その剣は、真紅が起動した冥鳴によって、巴の手からもぎ取られた。
しかし、巴は脚を止めない。ジュンを抱く蒼星石に向かって、突き進んでいく。

 「貴女なんかに――」

玉座に続く階段を駆け上がりながら、巴は懐から小刀を抜いた。
ジュンを抱き、巴に背を向けていた蒼星石は、巴の急襲に対応するのが遅れた。
元より、剣は翠星石を解放する条件として、投げ捨ててしまっている。
それは今、ジュンの背後に転がっていた。腕を伸ばしたって届かない。

ジュンを押し退けて、拾いに行くべきか? そんな時間の余裕が有るのか?
蒼星石は、一瞬、躊躇してしまった。
その一瞬で勝敗が決することを、誰よりも解っていた筈なのに。

 「彼は渡さないっ!!」
 「危ない! 逃げろ、蒼星石っ!」 

このままでは、蒼星石が殺されてしまう。
ジュンは蒼星石を傍らに屈み込んでいた翠星石の方へと突き飛ばすと、
咄嗟に周囲を見回し、自分の後ろに在った蒼星石の剣を手にした。

 「やめるんだ、巴っ!」

ジュンは叫びながら、蒼星石に白刃を振り翳した巴に向けて、剣を突き出した。
彼の腕に、剣の切っ先が、何かを刺し貫く感触が伝わってきた。


  =第四十一章につづく