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「明日へ」(2005/07/16 (土) 20:30:03) の最新版変更点
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*明日へ
「メイ、早く…っ!乗り遅れるぞ。」
[ギルバートはメイの手をしっかり握り、砂浜に向かって走り出した。私はギルに遅れをとらないように足を動かした。私の走る遅さに悪戯っぽく笑みを浮かべると、ギルは無言で私を背負った。]
ギル、いいよ。走れるよ。
[メイはギルバートの背の上で必死にもがいた。]
「暴れるなよな。転ばないように背負ってるのに、落ちたら洒落にならない。」
[ギルバートは一瞬歩を止めると、メイの頬にそっと口づけした。私は恥ずかしさの余り、ギルバートの背の上に居る事を忘れてた。ギルバートは優しく微笑むと、再び走り出した。私は彼に寄り掛かりながら、いつもより高い視点で目に入ってくる景色を眺めていた。鮮やかな緑色の葉をつけ、空に向かって生える木々は、柔らかな風を感じていた。]
この島ともお別れなんだね…。
[メイはそっと呟く――物寂しげな表情で。私の表情を見ずとも、声の調子から心を感じとったギルバートは、少し息を切らせながら口を開いた。]
「そうだな…。でも、俺は淋しくないぜ。メイと一緒だからな。」
[深い森を抜け綺麗な砂が広がる地に辿り着くと、ギルバートは歩を緩めてメイを下ろした。そして私を真っ直ぐみつめながら言葉を続けた。]
「メイ、俺はお前を愛してる。俺についてきてくれるか…?」
[メイはギルバートの言葉に黙って頷くと、小さく笑みを浮かべながら彼の頬に口づけをした。彼は私を抱きしめると、今度は私の唇に優しく口づけした。そして、手を差し延べる――]
「行こう、メイ。」
[メイはギルバートの手をしっかり握り、救助船へと向かった。それは今日…陽が昇ってる頃、この島に辿り着いた。何故、この島に辿り着いたのか…それは誰にも分からなかった。救助隊員はギルバートとメイを船内に誘導すると二人に名を聞いた。ギルバートは先に自分の名を伝えると、私の顔を優しくみつめた。私は彼をみつめ返した後、救助隊員にこう伝えた。]
私は、メイ…
メイ・バルバロッサ―――と。
[ギルバートはメイを強く抱きしめた。月明かりが二人を照らす。]
ねぇ、ギル。
これからどこに行くの…?
「さぁな。どこへ行こうと、俺たちは離れないよ。ずっと…ずっと一緒だ。」
[二人はその後、一言も言葉を交わさなかった。互いの温もりが、何よりの言葉だったから…。
私たちは一面に広がる海を眺めていた。この先にあるもの―――それは楽園だろう。私たちは、明日へと向かって歩き出したのだった。]
*明日へ
「メイ、早く…っ!乗り遅れるぞ。」
[ギルバートはメイの手をしっかり握り、砂浜に向かって走り出した。私はギルに遅れをとらないように足を動かした。私の走る遅さに悪戯っぽく笑みを浮かべると、ギルは無言で私を背負った。]
ギル、いいよ。走れるよ。
[メイはギルバートの背の上で必死にもがいた。]
「暴れるなよな。転ばないように背負ってるのに、落ちたら洒落にならない。」
[ギルバートは一瞬歩を止めると、メイの頬にそっと口づけした。私は恥ずかしさの余り、ギルバートの背の上に居る事を忘れてた。ギルバートは優しく微笑むと、再び走り出した。私は彼に寄り掛かりながら、いつもより高い視点で目に入ってくる景色を眺めていた。鮮やかな緑色の葉をつけ、空に向かって生える木々は、柔らかな風を感じていた。]
この島ともお別れなんだね…。
[メイはそっと呟く――物寂しげな表情で。私の表情を見ずとも、声の調子から心を感じとったギルバートは、少し息を切らせながら口を開いた。]
「そうだな…。でも、俺は淋しくないぜ。メイと一緒だからな。」
[深い森を抜け綺麗な砂が広がる地に辿り着くと、ギルバートは歩を緩めてメイを下ろした。そして私を真っ直ぐみつめながら言葉を続けた。]
「メイ、俺はお前を愛してる。俺についてきてくれるか…?」
[メイはギルバートの言葉に黙って頷くと、小さく笑みを浮かべながら彼の頬に口づけをした。彼は私を抱きしめると、今度は私の唇に優しく口づけした。そして、手を差し延べる――]
「行こう、メイ。」
[メイはギルバートの手をしっかり握り、救助船へと向かった。それは今日…陽が昇ってる頃、この島に辿り着いた。何故、この島に辿り着いたのか…それは誰にも分からなかった。救助隊員はギルバートとメイを船内に誘導すると二人に名を聞いた。ギルバートは先に自分の名を伝えると、私の顔を優しくみつめた。私は彼をみつめ返した後、救助隊員にこう伝えた。]
私は、メイ…
メイ・バルバロッサ―――と。
[ギルバートはメイを強く抱きしめた。月明かりが二人を照らす。]
ねぇ、ギル。
これからどこに行くの…?
「さぁな。どこへ行こうと、俺たちは離れないよ。ずっと…ずっと一緒だ。」
[二人はその後、一言も言葉を交わさなかった。互いの温もりが、何よりの言葉だったから…。
私たちは一面に広がる海を眺めていた。この先にあるもの―――それは楽園だろう。私たちは、明日へ向かって歩き出したのだった。]