雨上がりの午後 欲望のままに



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欲望のままに


天頂よりやや西に月が傾いた頃、本堂を出て一人屋敷に向かう片李の姿が在った。薄紅色の着物が月の光に照らされ、より一層綺麗な色を放っていた。其の後を、一人の男が追う…足音と気配を消して――

片李との距離を縮めながら、白はある事を思い出していた。昔、己の命を引き換えに、鬼子と呼ばれた少女の命を奪おうとしていた事を……。其れを思い出した白は一瞬其の場に立ち尽くし、前を行く小さな姫君の背を呆然とみつめていた。その時、彼は魂の叫びを聞いた。愛しい蒼の魂の叫びを……

―――皆殺しよ…非情になるのよ……

白は再び、片李の許へ歩を進める。そして彼女の許に辿り着くと、彼女を自分の方に振り向かせ大きな力で地に押し倒した。片李は地に頭をぶつけ、力なく横たわった。

「片李、俺は…お前を殺さなければならない。蒼と緋の魂を甦らせる為に……蒼に許しを乞う為に…」

白は横たわる片李の身の上に跨り、彼女の白く柔らかい頬に爪を立てた。其処から赤い血が流れ出る…甘く、鮮やかな色に血が……。白は其れを優しく舐めると、其の味に快楽を憶え一気に彼女の体を引き裂いた。痛みで瞳を開けた彼女は、目の前に居る鬼をみて大声を揚げた。

「叫んだって無駄だぜ…?誰も助けにはこない…。生きたいのか…?なら、俺にお願いしてみろよ。」

白は低い、重い声で片李に向かって呟いた。彼女は恐怖から声を出す事ができなかった。ただ、次々に溢れてくる涙を必死に堪えようとするだけであった。その姿に満足すると、白は彼女の首筋に牙を向けた。片李は最早、瞳すら開けられない状態だった。薄れ行く意識の中で最後に発した言葉……

―――お父様、お母様…先立つ不幸をお許し下さい。そして、感情を出してしまった事も、と。