第1話 幸せの壺

今回予告

 迷路の街メアンダールにて商売を始めた、ディアマンテ商会。
 商売あがったりな日々が続く中、事件は起こった。
 まさか、あの壺がそんなものだったなんて……
 アリアンロッドRPG・アルカナ 第一話『幸せの壺』
 冒険の舞台がキミを待つ!

登場人物


PC


砂嵐(ハムシーン)メンバー

  • グレイ(ドゥアン(天翼族)、男性、年齢不詳)
 迷路の街メアンダールにて、自警団『砂嵐(ハムシーン)』を束ねている男性。
 誰もが思わず息をのむようなイケメンだが、何処か近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
 ミラに特別な視線を注いでいるようだが……?

  • リーゼロッテ(ヒューリン、女性、15歳)
 天真爛漫な少女。グレイの義理の妹で、砂嵐では主に諜報活動に専念している。
 罠の探索と解除が得意で、助っ人としてミラ達に同行した。

メアンダール住人

  • セルド・ベラーノ(ヒューリン、男性、61歳)
『ディアマンテ商会』メアンダール支店長。
 悪徳商売に引っ掛かり、怪しい壺を10万Gで買ってしまう。
 末期のポメロオタク。残念なじいさん。

  • カイツ・レガイン(ドゥアン(有角族)、男性、57歳)
 酒場『デザートイーグル』のマスター。
 筋骨隆々としているが喧嘩は嫌いらしく、乱闘はルクスに任せている。

その他

  • キリヤタン(ドゥアン(天翼族)、女性、45歳)
 憩いの街コンディートの長老。
 保守派であり、革新派の動向を探るべくサヌキをメアンダールへ派遣する。
 ……が、人選をミスったのではないかと後悔しているようだ。

  • 剛腕のバシュタール(フォモール、男性、年齢不詳)
 フォモールの傭兵団長。今回の事件で雇われていた。
 温厚そうな顔立ちだが性格は生粋の武人で、強者との戦いを求めている。
 ルクスと刃を交えて、完敗。邪教団とは縁を切ったようだ。

  • 幻惑のアネモネ(魔族、女性、年齢不詳)
 妖艶な姿をした女性魔族。邪教団の幹部だが、間違って必要だった壺を売ってしまう。
 壺に執着しているのには理由があるようだが、それを語ることなく倒される。無論、魔族のため完全に倒すには至っていないようだ。
 名前の由来は、植物のアネモネから。

  • ユージェン(魔族、男性、年齢不詳)
 飄々としたアラストル。今回の事件では、アネモネに雇われていたようだ。
 多くのインプを雇っているが、上下の連携がまるで取れていない。
 残念なイケメンである。

  • イスマイリア(ヒューリン、女性、25歳)
 『竜の顎門(あぎと)』の暗殺者。久々の仕事ということで意気込んでいたが、怪しい団体の手伝いということで不満を持っていた。
 ミラと死闘を繰り広げられるが、彼女のナイフ捌きには敵わず倒されてしまう。
 名前の由来はエジプトの都市名から。

  • カティフ(ヒューリン、男性、18歳)
 イスマイリアの部下の一人。常にやる気満々だが、やる気の分だけ空回りする。
 イスマイリアとともに、あっけなく倒されてしまう。
 名前の由来は、サウジアラビアの都市名から。そこそこイケメン。

  • フォモールシューター
 ハイMPポーションおいしいです^p^
 ……ドロップ豪華すぎるよね。

セッションまとめ

「あなたには、革新派の動向を探っていただきます。手始めに、メアンダールへと赴いてください」
 傍から見れば、上司と部下の事務的な会話だろう。対立する革新派の動向を探れと、密偵へと指示をしているだけのようだ。だが、キリヤタンの表情は優れなかった。
 彼女の視線の先には――
「うどん美味しいドーン」
 奇妙な金属音を鳴らすドラム缶。どういうわけか、よく解らない屋台を引いている。
 サヌキ・ウ=ドーン。こう見えても、密偵である。
「……ともかく。まだ貴方は実戦に不慣れでしょう。暫くの間、冒険者として活動して結構です」
「わかったドーン」
 やる気があるのか無いのか解らない返事をして、屋台を引いて去っていくサヌキ。向かう先はメアンダールだが――
 サヌキを送った後、キリヤタンと彼女の部下達は深い溜息をついた。
「キリヤタン様、大丈夫なのですか?」
「私としたことが、人選を誤りましたね」

 ディアマンテ商会メアンダール支店――
 その胡散臭い商会の屋敷で、若きメイド、フィール・スピリアは働いていた。
「ほら、しっかりと掃除して! 洗濯は終わったの? ちんたらやってないで、テキパキ動きなさい!」
「フィール、ポメロちゃんがお腹をすかせていますよ。ご飯を与えてください。まったく、頼みますよ? あなたの失態で我々もお叱りを受けるのですから」
 先輩のメイドや執事の指示にうんざりしていると、セルドから声がかかる。
「フィールか。私の可愛いポメロちゃんの世話も怠ってないな!? ツヤとハリが大事なのだよ! まあいい、世話が済んだのならば、少しは我が商会の宣伝でもしてくるのだ」
(ヤバ、餌やり忘れてたわ)
 ポメロちゃんに餌をやり忘れたことを思い出しながらも、宣伝という口実のもと、フィールは街へと羽根を伸ばしに赴いた。

 酒場『デザートイーグル』は、昼間から多くの客で賑わっていた。
 尤も、この時間から酒を飲んでいるのはほとんどがならず者達なわけで――
「おい酒が足りねえぞごらぁ!」
「何だこのマズイ酒は!」
 などといちゃもんをつける客もいれば、殴り合いの喧嘩をしている者もいる。
 酒場としてはありがちな光景なのだが、店主のカイツはウンザリとしていた。
「あー、ルクス。ちょっとあいつらシメてこい」
「おう」
 ルクス・ウェーバーは、この酒場で働く用心棒だ。
「喧嘩は外でやりな」
 微笑みながらならず者達の腕を締め上げるルクス。当然、目は笑っていない。
 暴れるならず者達をルクスが懲らしめる光景は、一種の名物と化しつつあった――

 ミラ・レイクサイドは自警団員として、見周りの仕事にあたっていた。
 楽天家でのんびりとしている彼女は、日陰でこっそりと休んでいた。すると、リーダーであるグレイとはち合わせる。休んでいたことを咎めるわけでもなく、グレイはミラへと労いの言葉をかける。
「ミラか、見周り御苦労。何か変わったことは無かったか?」
「いえ、特に何もないですよ~」
 と、適当に誤魔化すミラ。
「そうか。だが、油断はできまい。最近は妙な教団が動いているからな。過去に遺跡の調査に行った際も、不覚にも奴らの手に落ちるところだったが……」
 思い出してはいけないことを思い出したのか、気まずそうに視線を逸らすグレイ。
「……引き続き見周りを頼みたい」
 すぐに平静を取り戻してそう告げると、グレイはその場から去っていった。

 自警団員、メイド、密偵、用心棒――
 何の繋がりも無い四人が、メアンダールで起きた事件によって巡り合う。

 事の発端は、ディアマンテ商会から轟音が鳴り響いたことだ。
 自警団のミラと地元愛の強いルクスがかけつけると、屋敷から黒煙が上がり、壁に巨大な穴が開いていた。送れること数分、呑気にうどん屋を開いていたサヌキとイケメン探しをしていたフィールも、自警団のリーゼロッテによって消火活動を手伝わされる。火の手はすぐに収まったものの、屋敷の中は荒らされていた。その場に居合わせた四人はセルドによって掃除をさせられる羽目になった。
 掃除のために地下に降りると、そこには妖魔とドラゴントゥースの姿があった。セルドのポメログッズを守りながら、四人は彼らを撃破することに成功する。しかし、セルドが大事にしていた壺は、既に盗まれたあとだったようだ。


 情報を集めたミラ達は壺を取り返すべく、怪しい者達が出入りしていたという倉庫へと赴く。同行していたリーゼロッテから鍵を受け取ったミラは倉庫の扉を開けるが、見事にトラップが作動。リーゼロッテが噴き出しそうになったのは言うまでもない。
 倉庫の中に入ると、インプやストラスといった弱い魔族達がぐっすりと眠っていた。どうやら、仕事に疲れているらしい。近くに通信機のようなものが置いてあったが、サヌキはそれのスイッチを切ってこっそりとドラム缶の中に収納するのだった。
 寝ていた魔族達をやり過ごして奥に進むと、そこにはトゥースリーダーのイスマイリアと、魔族アラストルのユージェンが待ち構えていた。ここで、サヌキはこっそりとスイッチを入れる。
 ユージェンは持ち前の通信機で部下を呼びだそうとしたが、どういうわけか彼の声はドラム缶から聞こえてきた。
「インプちゃーん、仕事の時間だよー」『インプちゃーん、仕事の時間だよー』
「あれ? インプちゃーん? 応答してー」『あれ? インプちゃーん? 応答してー』
「え? ちょっとどういうこと」『え? ちょっとどういうこと』
 此処で、ユージェンは己の失敗に気づくのだった。
 やけくそになった彼らと激突する。ユージェンの呼びだしたインプは、サヌキが放った《アースブレット》により一瞬で倒され、ユージェン本人もルクスの剣術の前にあえなく倒れる。一方、イスマイリアは己の俊敏さを生かして次々と攻撃をかわすが、ついにミラの華麗なナイフ捌きの前に敗れる。
 倒した二人から情報を聞き出すも、どうやら彼らは雇われた身らしい。彼らを自警団に突きだし、壺を取り返すことに成功したミラ達だが、まだ黒幕がいることを悟る。

 倉庫の奥の地下通路を進んでいくと、転送装置が鎮座していた。
 それを利用して辿り着いた先には、妖艶な魔族の女と温厚そうなフォモールが待ち構えていた。
 今回の事件の首謀者アネモネと、彼女に雇われた傭兵であるバシュタールだ。どうやら、二人は魔族や妖魔の中ではそれなりに実力を持つ者達のようだ。
 事実、彼らとの戦いは熾烈を極めるものだった。ミラ達の射程外からは、バシュタールの部下による銃弾の雨が降り注ぎ、攻撃はストラスによる《プロテクション》によって思うように通らない。アネモネの魔法とバシュタールの大剣は非常に重たい攻撃だったが、死闘の末にミラ達は彼らを倒すことに成功する。
 無事に事件の首謀者を倒し、壺を取り返すことに成功したが、彼らがなんのために動いているのか、また壺がどのような存在なのか、多くの謎を残しつつひとまず事件は幕を閉じることとなる。