第8話 ポメロパニック

今回予告

 隠者の行方を追うべく、死神と戦車が動き始めた。二人のアルカナが留守にしている間に、アルカナフォースにディアマンテ商会関連の依頼が舞い込んできた。
 ディアマンテ商会に向かうと、多くの客で賑わっていた。だが、集まっているのは客だけではなく、丸くてぶよぶよした可愛らしい生物の姿も多く見られた。
 アリアンロッド・アルカナ第八話『ポメロパニック』
 至高のさわりごこちが君を待つ!


登場人物

PC


PC関係者

  • マカロン・エクレール(ドゥアン(天翼族)、女性、29歳)
 マウラの護衛として働いているメイド。その正体は、影の二十二神将(シャドウ・アルカナ)の『正義』。魔導剣の使い手。自称か弱い乙女。
 コーネリアスに、ミラ達の手伝いをすることと、頼りになる旦那さん探しを頼んだ。色々と残念な美人である。

  • ササメ・ユウナギ(エルダナーン、女性、 検閲により削除 )
 敏腕メイド長。アルカナの一人、『戦車』。フィールの良き相談相手。年齢と体重は絶対に聞いてはならない。
 グレイと共にシユウの行方を探すため、アマルへと赴いた。

  • グレイ(ドゥアン(天翼族)、男性、年齢不詳)
 砂嵐リーダー。アルカナの一人、『死神』。相変わらず良いお嫁さんっぷりを披露。桜でんぶ。お仕事頑張ってね。
 ササメと共にシユウの行方を探すため、アマルへと赴いた。

砂嵐

  • ダイチ・ケルヴィン(ヒューリン、男性、22歳)
 空気。名前だけの登場。メイジ/レンジャー。

  • カルロス(ドゥアン(牙爪族)、男性、23歳)
 砂嵐のサブリーダー的ポジション。妻子持ちだが、カップリング被害者。
 筋力に物をいわせて、ポメロを無理矢理捕まえていた。

  • リーゼロッテ(ヒューリン、女性、15歳)
 気が利く妹キャラ。風邪は良くなったらしいが、まだちょっとだるいとか。
 罠解除の他、情報収集・提供などに長ける。冒険者よりマネージャーに向いていると思う。

  • シェラザード(ヒューリン、女性、16歳)
 ┌(┌^o^)┐ ┌(┌^o^)┐ ┌(┌^o^)┐ ┌(┌^o^)┐ ┌(┌^o^)┐
 一応、仕事はしていた。某皇帝の極秘写真を40000Gで買い取った。

  • スフィ(ネヴァーフ、女性、17歳)
 彼氏持ちなのにグレイに鼻の下を伸ばしている人。
 彼氏の設定は決まっていない。関係は良好の様子。

ディアマンテ商会

  • セルド・ベラーノ
 ディアマンテ商会メアンダール支店長。
 末期のポメロオタク。今回のシナリオでポメロ品評会を開いた。黙ってれば無害。

  • マウラ・ディアマンテ(ヒューリン、女性、14歳)
 ディアマンテ商会会長兼カルカンド本店店長。姫様。黙ってればいい人。
 経営手腕はアレだが、幅広くコネが利く。鉄扇術の使い手で、戦闘力もそこそこ高い。

  • セバスチャン(ドラゴネット(メディオン)、男性、76歳)
 マウラの執事。腰痛&胃痛持ち。当セッションに於いて、数少ない常識人。
 単眼鏡・じいさん・ダンディな髭・戦闘能力あり・名前がセバスチャンと、執事の鑑である。

チュロスゲーム 別行動組

  • レイシャ(ヴァーナ(兎族)、女性、16歳)
 弓の扱いと隠密行動に長けた少女。アルカナの一人『女教皇』。 チュロスゲーム
 コーネリアスとは同郷だったらしい。里を滅ぼされたのには、やはりアルカナが関係しているとか。

  • アステール(ヒューリン、男性、20歳)
 水の精霊や妖精に好かれる体質の青年。アルカナの一人『星』。 チュロスゲーム
 勇敢だが考えなしに動くため、度々レイシャに諌められている。本人に悪気はないがデリカシー皆無。憎めないタイプの天然。

その他

  • カイツ・レガイン(ドゥアン(有角族)、男性、57歳)
 酒場デザートイーグルの店主。昔は神官戦士だったらしい。
 彼の店は色々なお酒を扱っている。

  • ミスターゼット
 ポメロ品評会に参加すべく、ヴァンスターからやってきた自称貴族。仮面を被っている。
 偽名だが、ぶっちゃけると公式NPC。PLにはバレバレである。ポメロマニアで、凄いポメロを持っている。

  • ボブ&マイケル
 邪教団の下っ端。ポメロ品評会をビジネスチャンスとして乗り込み、失態を犯す。
 スイッチは無闇に触れてはいけません。

  • 邪教団の妖魔の皆さん
 だはぁーマジ寝てないからつれーわー

敵対者

  • ラスヴェート(ヒューリン、男性、28歳)
 お嬢様ことクリュエの娯楽のためにメアンダールへとやってきた。優秀な神聖魔術の使い手。
 今回は敵対する気はないらしい。彼曰く、いつでも倒せるからとのことらしい。ロリコン疑惑あり。

  • クリュエ(エルダナーン、女性、年齢不詳)
 ラスヴェートと共に行動している甘ロリ幼女。身体は弱いが、人間離れした魔力を持つ。
 「お遊びはまた今度にしましょ♪」とのこと。彼女の言うお遊びとは勿論……。純粋すぎて残虐なロリ。

セッションまとめ

OPENING PHASE 1

 黄金の街カルカンド。その一角にある悪趣味な豪商、ディアマンテ商会の屋敷。そのお屋敷で働くメイドであるコーネリアスは、いつものように仕事をしていた。ちなみに、メイドの格好をしているが、男の子である。男の子である。そこに、商会のトップである姫様マウラに声をかけられる。
「おお、コーネリアスよ。マカロンの奴がお主を呼んでおったぞ。これ、爺。もっと早く動くのじゃ」
「ひ、姫様、爺はこ、こ、腰が……」
 頑張ってくださいセバスチャンさん。お馬さんになっている哀れな執事とお転婆な姫様を後に、コーネリアスはマカロンの部屋へと向かう。部屋では、一人のオルニスの女性マカロンが休憩していた。マカロンは婚活関係の雑誌を読みながら、「こんな神殿で式を挙げてみたいなぁ」だの「こんなウェディングドレスを着てみたいなぁ」だの、自分の世界に入りながらブツブツ呟いていた。しかし、すぐにコーネリアスの存在に気付くと、無理矢理平静を取り繕った。
「よく来たな、コーネリアスよ。今日は、お前に頼みたいことがあってな」
 マカロンは言った。ミラという少女達の力になってほしいと。コーネリアスの優れた洞察力は、これからの彼女達の旅路に於いて重要になってくるだろう、と。何故自分なのかと疑問に思うコーネリアスだったが、そこでマカロンはアルカナに関する説明を始めた。
 エリンディルに存在し、歴史の表舞台に立つことのなく、当事者の間だけで語り継がれてきた二十二の未知の力。アルカナは非常に強力な力を秘めている。それこそ、運命を操作したり、絶大な破壊力を生み出したり――使い方によっては、国一つを簡単に滅ぼすことが出来ると。もし、そんな力が悪しき者の手に渡ればどうだろうか。その問いに対し、コーネリアスは悪用されるでしょう、と答える。マカロンも頷き、誰でも使いこなせるわけではないがなと付け加える。
 彼女曰く、ミラ達はそのアルカナを探っているという。それはとても過酷なものであり、アルカナに選定される素質があるからこそやっていけている。そして、コーネリアスにもそのアルカナの素質がある、と。過酷な旅になるかもしれないが、どうか力になって欲しい、と。
 今までの恩もある。どんな人達なのか気になるところもあるが、恩返しということでマカロンの頼みを聞いても良いだろう。
「本来なら私が行くべきなのかもしれない。だが、私は純情可憐なか弱い乙女だからな」
「…………」
「ところで、コーネリアス。か弱い乙女である私を守ってくれそうな強くて頼りになる男に心当たりはないか?」
(マータハジマッタ……)
「どういうわけか、お見合いの際に相手がすぐ逃げ出してしまってな。私って魅力ないのかな……」
 長くなりそうなので、適当に探して置きますとだけ答えて部屋を去るコーネリアス。まずはその魔導剣をお見合いの席に持ちこまないことからです。去り際にコーネリアスは、ただそう思った。
 彼が去った後に、部屋から「きゃー、この服可愛い! 着てみたいなあ!」と黄色い声が聞こえてきた。お見合いに行くには、まずはその物騒すぎる魔導剣を置いてください。そんなことを想いつつ、コーネリアスは目的地へと向かうのであった。

OPENING PHASE 2

 マカロンと旅をしていたこともあってか、メアンダールにはすぐに辿り着くことができた。しかし、他の街に訪れてゆっくりと見物することはなかったため、何処となく新鮮な雰囲気だ。考えてみれば、色々なことがあった……。元々、コーネリアスは識別能力に長けていた。よく、マカロンさんからは敵の識別を頼まれたものだ。

「コーネリアスよ、あのエネミーは何と言う?」
「はい。あのt「なるほど。こちらが斃れる前に相手を斃せば問題あるまい」
 一瞬で蜂の巣&細切れになるエネミー。
(まだ何も言ってないんですけど)

 脳筋だったな、マカロンさん。
「こんにちわ♪」
 街を散策していると、パゴダ傘を差した一人のエルダナーンの幼女が声をかけてきた。年齢は十歳前後といったところ。ピンクのフリフリヒラヒラの、所謂甘ロリのドレスを着ている。彼女の手には、つぎはぎだらけの兎のぬいぐるみが握られている。一見、可愛らしい幼女に見える。だが、何か背筋が凍りつくような、ゾクリとするものが少女からは感じられた。
「お兄さんはこの街は初めてなの?」
「初めてじゃないけど、見て回るのは初めてです」
「なんかね、面白い催し物があるみたいなの。クリュエもね、見て回るんだ♪」
 幼女はそう言うと、コーネリアスを興味深そうに一瞥した。
「えっとね、クリュエはね、クリュエって言うんだ♪」
「コーネリアスです」
 お互いの自己紹介を済ませた後、クリュエは面白い催し物について話し始める。何でも、ディアマンテ商会――自分が所属している商会のメアンダール支店で、ポメロの品評会が開かれるのだという。少女と会話をしていると、暫くすると、一人のヒューリンの男性が現れる。年齢は二十代後半と言ったところだろう。落ち着いたダークブラウンの髪に、整った顔立ち。一見、草食動物のような温厚そうな青年に見える。だが、眼鏡越しに光る緑色の双眸は、獲物を屠る肉食獣のそれに近い。
「お嬢様、こちらにいらっしゃいましたか。勝手に出歩くのは謹んでください。お身体に障ります」
「ラスヴェート、ずっとご本ばっかり呼んでるんだもん! クリュエ、退屈だったんだもん」
「これはこれは、申し訳ありません。お詫びに、美味しい物でも食べにいきましょう。貴方は……お嬢様のお話し相手になってくださったようで、有難うございます」
 慇懃無礼とも取れる態度で、コーネリアスに礼をする男――ラスヴェート。彼からも、クリュエに似たゾクリとするようなものが感じられた。この時、コーネリアスは知らなかった。この二人が、アルカナに関わるものであるということを。

OPENING PHASE 3

 話は少し前に遡る。メアンダールに帰るや否や、早速商会の仕事が入り込んできたフィール。解りきっていたことだが、ポメロ関係の仕事が多い。
「フィールよ、ポメロちゃんの餌やりはしっかりやってくれているかな? あとはポメロちゃんのベッドメイクと、お風呂と――。おお、そうだそうだ。重要なことを忘れていた。実はな、我が商会を通じてポメロちゃんの品評会を行うのだ。いやはや、世界各地から様々なポメロちゃんがやってくると思うと、ワクワクしてしまうな」
 うぜー。またこのポメロオタクの道楽が始まるのかよ。面倒なこと起こしてくれんじゃねーよ、と思いつつも、それなりの処世術に長けたフィールは、適当にポメロちゃん関係の労働をこなしていった。一度セルドに「ちゃんをつけろよデコ助野郎」と罵られる。しかし、フィールにとってポメロとはただのつまらない脂肪の塊のようなものに過ぎないワケで、セルドの見ていないところで適当に与えられた仕事をこなしていった。愚痴をこぼしながらポメロ関係の仕事をしていると、ササメが声をかけてきた。彼女も適当にやっておけばいいと言っているあたり、上手いこと自らの負担を減らしているのだろう。こういう黒いところは学ぶべきなのだなとフィールは改めて認識させられた。
「でも、何なのかしら。本当に嫌になっちゃいますよ、この仕事。大体――」
「フィール。世の中、思い通りにならないこともあるのよ。それを受け入れて、大人になれるの」
 フィールが一皮剥けた瞬間であった。
 今日はもう遅いから休むように言われたフィールは、適当なところで切り上げることにした。去り際にササメがぼそりと言った。
「私にもしものことがあったら、その時はよろしくね」
 確かに、そう聞こえた。一体、何のことなのだろう。気になったフィールは問い返そうとしたが、既にササメはその場から離れていた。

OPENING PHASE 3

 カルカンドでの過酷な労働を終えたミラ達は、砂嵐のアジトでくつろいでいた。そこに、ポメロを連れた一人のエルダナーンの少年が訪れる。
「あの、ミラさんを探しているのですが」
「私だけど」
 見掛けない顔だ。いったい何の用なのかとミラが尋ねると、少年はコーネリアスと名乗った。コーネリアスは自分がマカロンの頼みでこの場に来たこと、そしてアルカナについて共に協力するように言われたことを告げる。
「どうなのかしらねぇ、ミラ姉さんの力になれるのかしら」
 何処か訝しげに、コーネリアスが連れているポメロを突いたり弾ませたりするフィール。
「何をするんですか! ポメロが可哀想じゃないですか」
「はぁ!? あんなただのブヨブヨの塊の何処が良いのよ、考え直した方が良いわ!」

 一通りの自己紹介(?)を済ませると、アルカナフォースにグレイから呼び出しがかかる。自分も付いていっていいのか気にするコーネリアスだが、共に付いていくことにした。グレイの部屋に入ると、一人のオルニスの青年が雑誌を読みながら君達を出迎えた。絹糸の輝きを思わせるかのような美麗な銀髪。背中から生えた、白と黒の一対の翼。一言で言えば美形だ。街中で彼とすれ違えば、十人中十人の女性は振り返るであろう。いや、女性だけではない。同性でさえも、彼の魅力に吸い込まれそうになるに違いない。だが、何処か影のある表情をしており、近寄りがたい雰囲気がある。まるで、彼が現世の者――神や魔の類に近しい存在であるかのように。しかし、そんな青年が、可愛らしいエプロンを装備している。何と言うか、色々とぶち壊しである。
「ふむ、今度外回りの仕事に出る団員のお弁当はこれにするか。しかし、野菜が少し足りない。バランスに問題がある。そろそろ桜でんぶと海苔も切れそうだし、そちらも買い足さねばならないな」
 相変わらずである。ちなみに、彼が読んでいる雑誌の表紙には「キュートなエプロンで彼のハートをゲット」だの「甘い新婚生活のためのアドバイス」だの、どう見ても男が読む代物ではないようなことが書かれている。
「よく来てくれたな。ところで、そこの少年は誰だ?」
「コーネリアスです。マカロンさんの紹介で、ミラさん達のお手伝いをすることになりました」
「なるほど……。素質はあるみたいだ。生半可な気持ちで挑んでは……と思うが、運命には逆らえまい。過酷な旅になるかもしれないが、頼んだぞ」
 特に気にした様子も無く、コーネリアスを迎え入れるグレイ。
 グレイの様子を見て、頼りになりそうだと判断したコーネリアスは、ついでに受けてきた仕事である、マカロンさんの旦那さん探しについて切り出すことにした。尤も、これは自分がこれから関わることに比べれば、どうでもいいような内容だ。しかし、一応マカロンさんには恩がある。駄目元で聞いてみることにしたが、
「悪いな、その願いは聞き入れられない」
 二秒で玉砕した。
「俺には、心に決めた相手がいるからな」
 その場にいた者達に衝撃が走った。確かに、グレイは妙なところが抜けていることを除けば、完璧といっても良いイケメンである。しかし、女性関係があるかと聞かれればどうだろう。自分達と同じく過酷な使命を持っていることを除いても、まるで興味が無いようにしか見えない。だからといって、男に興味があるわけでもないが。
 だが、そのグレイに好きな人がいるというのだ。とてもではないが、信じられない。
「何、過去のことだ。お前達が気にすることではない」
「過去の人間に囚われる奴って、正直気持ち悪いっていうか、ダサいっていうか」
 彼女からしたら、何気ない言葉だったのだろう。ポメロで遊びながら、フィールは言った。だが、フィールの言葉を聞いて、グレイは彼女に対して、今までにないような、突き刺さるような冷たい視線を向けた。それこそ、視線だけでその者を射殺すかのような威圧を孕んだ視線だ。いや、フィールだけではない。その場にいた者全員が、背筋に氷塊を落とされたかのような凄まじい寒気を覚えた。
「い、いえ、何でもないです」
 どうやら、あのグレイにも触れてはいけないものがあるようだ。

「さて、お前達を呼んだのにはワケがあってだな。隠者――シユウとの連絡が、此処のところ取れていない。お前達は何か聞いていないか?」
「いえ、何も……」
 出掛けてから暫く経つのだが、音信不通だという。シユウが半生をかけて作り上げた『あるかなしーかー・はいぱーいずもたん』にも反応が無いという連絡が、彼の部下であるエクスマキナ達からもあったという。
 グレイはササメと共に、一度アマルへと赴くらしい。その間、砂嵐へと舞いこんできたとある依頼を代わりにこなしておいてほしいという。仕事の内容は簡単なもので、ディアマンテ商会で開かれるポメロ品評会の警備をするというモノだ。
 フィールは悟った。ろくなことにならない、と。

MIDDLE PHASE 1

 まずは情報を集めねばならない。去り際にグレイは、いくつかの気になる情報を話していた。それらの情報を集めるため、アルカナフォースの面々は街へと赴いた。

  • その名もミスターゼット
 グレイの知り合いが街に来ているという。その人物は、高貴な身分でありながらも、ポメロが好きという一面があるらしい。何でも、過去に幾度か仕事の関係で関わったらしい。
 その人物はすぐに見つけることが出来た。砂嵐の一部のご腐人による、イケメンセンサーによるものだ。その辺りにいるポメロとは異なる、何処か神々しい雰囲気を放つ虹色のポメロを連れた、身分の高そうな仮面の男がいるという情報を手に入れたミラ達は、すぐに目当ての人物へと辿り着く。
「余は……じゃない、私は、えーと、ミ、ミスターゼットだ。ポメロちゃんについては、ちょっとうるさいよ」
 ヴァンスター出身の貴族らしい。お忍びで来ているため、仮面は取れないという。ポメロを連れているあたり、もう残念な香りしかしないとフィールは思うのだった。
 彼からは、その時の一行からしたらどうでもいい情報を手に入れることが出来た。彼のポメロちゃんはレインボーポメロという非常に珍しい種類であること、暫く好物である芋焼酎を与えないと、空を飛んだり脚止めをしたり、気性が激しくなったりするという情報だ。しかし、この一見どうでもいい情報は、後に役に立つこととなった。
 どうでもいいPL情報だが、彼は神聖皇帝である。

  • ポメロ品評会
 品評会には多くのポメロがエントリーされている。かなり珍しいポメロが多い。そして、そのポメロ達は狭い檻に入れられて不満なのか、ムスッとした表情で内側から体当たりを繰り返しているようだ。ぶっちゃけると、いつ逃げ出してもおかしくない。パニックが起きれば、一斉に逃げだすだろう。
 また、あまりにも大量のポメロがいるため、もし混乱が起きれば判別が大変になるかもしれない。

  • 怪しげな動き
 武装した冒険者らしき者達が動き回っているらしい。以前、メアンダールで暗躍していた者達と似たような雰囲気を持っている。何でも、大量のポメロが詰め込まれた馬車を引いていたとか。何か、妙なことを企んでいるかもしれない。
 ただのポメロはともかく、珍しいポメロは高く売れるという情報も手に入れる。それを狙った者達が私利私欲のため、妨害をしてくる可能性も考えられるであろう。

  • 太陽と月 ロリコン疑惑と残虐系ロリ
 街の中を歩いていると、嫌な気配がした。思わず振り返ると、そこには二人の見覚えのある顔があった。一人は眼鏡をかけた美青年、もう一人は甘ロリドレスの幼女だ。忘れる筈もない。以前、カルカンドで一戦交えた相手だ。
「え、知り合いなんですか? 先程、この人達と出会ったんですが」
 コーネリアスは此処で、この二人――ラスヴェートとクリュエが、敵対者であることを知らされる。確かに、この二人からは異常なほどの寒気が感じられ、アルカナフォースの他の者達は二人に対して明らかに敵意を向けていた。だが、ラスヴェート曰く、今のところは騒ぎは大きくしたくないらしく、今回は敵対する気はないという。それには、いつでも容易くミラ達を斃すことが出来るという意味合いも含まれていた。
「では、失礼。さあ、参りましょうお嬢様」
「くすくす、お遊びはまた今度にしましょ♪」
 言って、立ち去る二人。去り際にクリュエは、歳相応の可愛らしい笑顔を浮かべた。だが、そこにあるのは子供特有の、純粋すぎるが故の残酷さだった。そう、彼女の言うお遊びというのは――

  • 星と女教皇、そしてまさかの再会
 探索をしていると、群青色の髪のアウリラの少女が屋根から降り立った。ちょうど、アルカナフォースの者達が見えたのだという。
「え……コーネリアス? 貴方、無事だったのね」
 一瞬、驚愕とも思える表情を見せるアウリラの少女レイシャだったが、すぐに普段の冷静な様子を取り戻す。知り合いだったのかと尋ねるミラ達に対し、レイシャとコーネリアスはかつて同郷であったことを告げる。しかし、ある時に何者かに集落を滅ぼされてしまい、それ以来離れ離れになっていたという。その時の様子は、二人ともあまり覚えていないようだ。ただ、滅ぼされた原因はアルカナが関係しているらしい。尤も、今はそれを詮索する時ではないし、暫く落ち着いてからの方がいいだろう。ミラ達は話題を変え、何故此処にいるのかをレイシャに尋ねた。
「私は……。アステールがうるさいから、それに付き合ってるだけ」
 仄かに顔を赤らめて俯くレイシャ。フィールはバーストルビーを探し始めた。
 そんな時に、空気の読めないヒューリンの男が現れる。
「おーい、焼きそば買って来たぞー。って、あれ? お前らも来てたの? 久しぶり!」
 冬の夜空の如く澄んだ艶やかな黒髪に、雪の如く突き抜けるような白い肌。男にしてはやや華奢とも言える身体つきだが、貧弱さは感じられない。澄んだ碧眼からは、何か覚悟を決めたかのような闘志のような物が感じられる。一言で言えば、美青年だ。だが、まだ成熟してはおらず、内には少年の快活さを少し残したかのような、そんな雰囲気が感じられる。頬には水精霊をあしらった紋章が刻まれており、頭の上には可愛らしい水妖精がちょこんと腰かけ、「揺れるでし! もっとゆっくり歩くでし!」とポカポカと彼の頭を叩いている。
 青年アステールはコーネリアスに自己紹介を済ませると、自分達はデートのためにこの街に来たのだと言ってのけた。本当にデリカシーの無い男である。当然、すぐにレイシャに否定されてしまう。こちらも相変わらずのクーデレっぷりである。天然とクーデレの組み合わせとか、さっさと爆発すればいいのよ、とフィールは内心思った。
「マイナーアルカナの方は順調だぜ」
 リア充組も一応仕事はしているらしい。既にかなりの数のマイナーアルカナを仕留めているという。二人の調査によると、かりそめのアルカナであるマイナーアルカナは56種あると言われており、既に12を仕留めたようだ。また、マイナーアルカナはその数が大きければ大きいほど、力が強くなるらしい。
「さっきから不機嫌そうだけどどうした、レイシャ」
「バカ、何でもないわ」
 爆発しろ。そんな想いを抱きながら、一行は彼らと別れた。

MIDDLE PHASE 2

 ディアマンテ商会では、式典の準備が進められていた。当然、警備がザルになるワケで。倉庫を漁る何者かの姿があった。
「うーん、どうも価値のあるものってのが解らないぞ? どうだ、ボブ」
「これは凄そうだが、問題はこのでかさなんだよな。運ぶのは諦めた方が良いぜ、マイケル。俺達の目的は、高いポメロを売りさばいて大金を手に入れること、そしてその大金でヴェレーナ様に認めて貰うことだ」
 男の目の前には、巨大なポメロを象ったゴーレムが佇んでいた。どうやら、動いていないようだが――
「いや、待て。街の外には馬車があるから、何とかして運べないか? これも結構高い値段が付きそうなんだよな」
「しっかし、よく出来てるな。これはポメロの――」
「おいマイケル、不用意に触れると――」
 手が触れた先には、ONと書かれた文字があった。

MIDDLE PHASE 3

 ポメロの品評会がスタートする。多くの人々があつまり、自慢のポメロを見せ合っている。コーネリアスが目を輝かせる一方で、フィールはつまらなさそうにコーネリアスのファミリアのポメロを弾ませていた。
「ご来場の皆様、こんにちは。我がディアマンテ商会が開催するポメロちゃん品評会も、今回で5回目を迎えました」
 商会のトップであるセルドが演説しているも、誰も聞いていない。
「ウチのポメロちゃんは艶が違うざます、艶が」
「あら、わたくしのも負けていませんわよ」
 突っ立っているだけの簡単なお仕事なのだが、どうもストレスが溜まる。ポメロ好きでなければ、この場の雰囲気はつらいものがある。
「おお、君達もきていたのか。しかし、ポメロちゃんを連れていないようだが……」
 先程出会った仮面の男ミスターゼットが声をかけてくる。仕事であることを告げると、同情したかのように嘆息を漏らす。
 ミスターゼットと談笑していると、遠くの方から悲鳴が聞こえてきた。そちらに視線を移すと、ポメロの形をしたゴーレムが、倉庫の方から猛スピードで突っ込み、暴れ回っているのが見えた。ゴーレムの傍らには、武装した男が二人いるようだ。
「うわあああ止まんねええ! でもこうなったらやけくそだ! 混乱に乗じて、高そうなポメロを奪っていくしかねえ!」
 言うと、男の一人が近くにあったポメロのつまった馬車の檻を開けた。すると、そこから大量のポメロが一斉に飛び出し、会場がポメロで入り乱れている。最早、どれが誰のポメロか解らない状況だ。幸い、民間人に被害は出ていないようだが、このまま放置していては危険だ。
「む、これはいけないな。私は参加者の安全を確保するから、君達はアレを止めてくれ」
 ミスターゼットに避難を任せ、ミラ達はゴーレムを止めるために各々の武器を構えた。
 戦闘に入ると、コーネリアスの本領が発揮された。戦いは苦手であったが、彼は識別能力に長けていた。すぐに彼はゴーレムの性質を見破り、武装した男達が魔術の使い手であることを看破した。
 ゴーレムは無駄に高性能なステルス機能が搭載されていたが、如何せん命中精度に難があった。手当たり次第に暴れ回るも、一行の敵ではなかった。新たな力を手に入れ、熟練していたミラ達の前には成す術も無かった。鉄壁の防御力もミラが一瞬で急所を捉え、やはり魔法への耐性は通常のゴーレムと変わらないために、うどんの石の弾丸の前には無力であった。

 無事にポメロ型のゴーレムを無力化させるが、会場は大変なことになっていた。
「大変なことになった。私のポメロちゃんも逃げてしまったようだが……」
 ミスターゼットが上手く参加者を避難させてくれたようだ。だが、参加者のポメロが、今の混乱で逃げ出してしまったのだ。そして、彼の珍しいポメロちゃんも見失ってしまったという。
「私は此処の会長さんと大事な大事なお話がある。君達は、逃げ出したポメロちゃんを捕まえるんだ。私のポメロちゃんも気になるところだが、まずは参加者のポメロちゃんだけでも救ってあげてくれ」
 かくして、ポメロ捜索が始まるのだった。

MIDDLE PHASE 4

 逃げ出してしまったポメロの数は多く、邪教団の者達が混乱を起こすために解きはなったポメロもいる。しかし、捕まえるべきポメロはコーネリアスが上手く識別してくれた。尤も、識別が出来たところで捕まえるのは至難の技であった。逃げられはしなかったものの、条件の悪さも相俟ってか、体力と精神力を消耗していった。
「ママー、あの人達なにしてるの?」
「しっ、見ちゃいけません!」
「やぁねぇ、最近の若い子達って」
「やだ、あの子ったらあの商会の……」
 こういったこともあり、一行のストレスは着実に溜まっていった。

  • 妻子持ちだけど、カップリング被害者
「大変なことになってんなあ、オイ。街中ポメロだらけだしなあ」
 カルロスと出会った一行。彼もまたポメロを捕まえるのに追われているらしい。彼からはポーションの差し入れがあり、ポメロを捕まえるためのコツも教えて貰えた。

  • デザートイーグル
 途中でデザートイーグルに寄ると、店主のカイツが労ってくれた。ポメロの予想以上の動きや、邪教団の妨害、主婦達の視線で色々と参っていた一行には有り難いものだった。
 また、事前にミスターゼットのポメロの話を聞いていた一行は、芋焼酎がないかをカイツに尋ねる。すると、彼は喜んで芋焼酎を差し出してくれた。

  • 気配りのできる妹
 アジトではリーゼロッテが留守番をしていた。まだ風邪気味だが、少しだるい程度でだいぶ楽になったらしい。
「久しぶり、お姉ちゃん達。って、何やってんの?」
 一行のただ事ではない様子を悟ったリーゼロッテは、見回りついでにミラ達が街のために働いていることを住人達に伝えてくれるという。こうして、住人達の視線を気にせずにポメロを捕まえる作業に打ちこめるようになった。やはり、こういった気配りのできる人は組織に必要である。
「ミラお姉ちゃんなら、この先どんなトラップが出ても余裕だよね♪ 頑張ってね!」

  • 残虐系ロリ
 路地裏に足を踏み入れると、そこには商店街とは異なり、粗末な露天商が多く建ち並んでいる。非正規品やアレなもの他、食べ物の類もある。そんな露店を、クリュエが興味深そうに、露天商の売っている飴をみつめている。
「ねえねえ、お姉さん達。クリュエね、とってもお腹すいたの。飴買って欲しいな」
 断ったら暴れるんだろうな。そんな予感がしたミラは、クリュエに10Gの飴を買ってあげた。すると、クリュエはとても可愛らしい笑顔を浮かべて礼を言って去っていった。

  • ロリコン疑惑
 大通りを歩いていると、ラスヴェートがうろついているのを発見する。どうやら、クリュエを探しているようだ。教えるのは気がひけたが、下手に敵対的な行動を取るとまずいと判断した一行は、彼女を見かけた場所を教えた。
 ラスヴェートは礼を言うと、今回の騒ぎは下の者達が勝手に暴れているモノだと告げた。大金でヴェレーナの気を引こうという考えのもと、今回の騒ぎをおこしたのだと。だが、彼曰くそれは無駄な行為であり、金で気を引けるほどヴェレーナが甘い相手ではないと言った。また、マイナーアルカナについてもいくつかの情報を提供した。それを持っている者は、何れは自我を抑えられなくなり、崩壊するということを。
 何故そのようなことを教えるのか尋ねると、ラスヴェートはクリュエの居場所を教えてくれたことへの対価だと告げた。そう。この男は善悪や邪教団の損益よりも、クリュエのために動いているのだ。

  • 取り込み中失礼します
「こんなところで何考えてるの? ちょっ、やめなさ……」
 そこにいたのは、二人の若い男女であった。一人は、頭に水の妖精を乗せた青年アステール。もう一人は、隠密行動に長けた弓の名手レイシャだ。二人は、白昼のもとにあるにも関わらず、お互いの身体を抱き寄せ、両端からチュロスを咥えていた。

(中略)

「誰か! バーストルビー持ってない!?」
 あまりのバカップルっぷりにフィールは激昂した。無理もない。距離が縮まってからの彼らの甘ったるさときたら、もう見ていられなかった。
「お、おおおおお、お前らいつからそこに!? 頼む、これは見なかったことに……」
「莫迦……だから言ったのに……」
 手遅れである。
 遊んでないで手伝え、ということで彼らを働かせることにした。

  • 駄目だこいつら、早く何とかしないと
 ミラの同僚である二人組の少女、シェラザードとスフィが気だるそうに寛いでいた。他の団員は頑張って働いているのだが、彼女達ときたらベンチに腰掛けてくだらない会話をしている。
「ポメロに押し潰されて喘いでいるイケメンって萌えるわ~。今度の即売会に向けて描く本の良いネタになりそう」
「あんた趣味悪いわね~。何それ~」
「うっさいわね~、私から薄い本を取ったら何が残るのよ。それより、あなた今カレとはどうなのよ」
「良好だけど、肝心なところでヘタレるのよ。グレイ様みたいに、しっかりしてほしいわ」
 そんな誰得な会話をしている彼女達からは、珍しそうなポメロが馬車に詰め込まれ、街の外へと出ていったという情報を手に入れた。話を聞く限りでは、確実にあのミスターゼットのポメロである。これは急いだ方が良さそうだ。既に参加者のポメロを捕まえていた一行は、一先ず報告に戻ることにした。

MIDDLE PHASE 5

 一度報告に戻ると、ミスターゼットは支店長セルドとの大事な大事なお話を終えたところだった。
「厚かましいのは承知している。しかし、このままでは私が枕を高くして眠れない。報酬は払おう、私のポメロちゃんを取り戻してくれ。気性が荒いから力ずくになるかもしれないが、頼むぞ」

 手早く参加者のポメロを捕まえることが出来たため、街の外へと出て行った馬車を捉えることは 思った以上に容易かった。バカップルの援護もあってか、すぐに馬車へと追い付くことが出来た。

CLIMAX PHASE

 ようやく馬車に追い付いたミラ一行。相手もただでは退かないようで、見られたからには返すわけにはいかないと襲い掛かってくる。しかし、ポメロは足(?)をにゅーんと伸ばすと、一行の持っていた芋焼酎を取り上げ、一気に飲み干した。お酒の影響なのか、今にも暴れ出しそうだったポメロは若干落ち着いたようだ。それでも持って帰るのには未だ危なっかしいため、可哀想ではあるが無力化させることにした。
 邪教団の下っ端達は、ミラ達を包囲殲滅するつもりであった。だが、コーネリアスはあえて識別を行わずに《ヘイスト》による行動力の上昇を図ったことで、邪教団の戦術は一気に崩壊する。また、広範囲への攻撃を身に着けていたミラにとって、彼らはむしろ恰好の餌食であり、近づいてきたところを一網打尽にした。そこにうどんとルクスの範囲攻撃が重なり、邪教団の前衛部隊は一瞬にして壊滅した。また、後方から支援を行っていた一人の後衛も、アレックスとミラの攻撃により撃沈した。あっという間に、仕留める相手はミスターゼットのポメロのみとなった。
 ミスターゼットのポメロ、レインボーポメロは状況に応じて属性や武器に対する完全な耐性を身につけるという能力を持っていた。だが、所詮は動物に過ぎないポメロは、自分の思うとおりの耐性を付けることは出来ず、満足に戦うことは出来なかった。また、好物の芋焼酎を与えられたことで、肉体的、精神的にもリラックスしており、発狂して暴れまわることはなかった。レインボーポメロが出来たのは、反撃による腹パンだけであったが、それも思うように発動することが出来ず、ミラに対してはまったく当たらないという有様であった。
 うどんとミラの連携攻撃と、極限まで体力を削ったアレックスの怒りの一撃により、レインボーポメロは数発の腹パンを撃っただけで無力化された。

ENDIND PHASE 1

 バカップルと砂嵐の者達が馬車を手配してくれたおかげで、無事にメアンダールへと戻ることが出来た。
 ミスターゼットは大喜びでミラ達に礼を言い、レインボーポメロを潰さんばかりの勢いで抱きしめた。この時のポメロはすっかり傷が完全回復しており、また、戦っている最中も対して痛がっている様子はなかったことから、ただのポメロではないということを改めて知らされることとなった。

ENDIND PHASE 2

 ポメロの一件が終わって暫くすると、ぷちいずもたんに連絡が入ってくる。どうやら、グレイとササメの協力により、『あるかなしーかー・はいぱーいずもたん』の感知能力を、彼らのアルカナの力によって増幅することが出来たらしい。その結果、音信不通となったシユウを捉える事が出来たようだ。
 無事ではあるものの、かなり厄介なことになっているらしい。一先ず、一行はアマルへと赴くことになった。