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'''裁定取引'''(さいていとりひき、アービトラージ, ''Arbitrage'')とは、[[金利]]差や[[価格]]差を利用して売買し利鞘(りざや)を稼ぐ取引のこと。'''サヤ取り'''(鞘取り)ともいう。
通常「[[裁定]]」とは、A、B、Cから一者を選定する際に[[選挙]]や[[抽選]]ではなくABC以外の権威者の指名によって決することをいうが(たとえば「[[椎名裁定]]」)、裁定取引はこの「裁定」とは関係がない。
== 一般例 ==
ある場所では豊富に存在していて安い[[商品]]が、ある場所では極めて貴重で高値で取引されていたとする。その事実を知っていれば、安いところで買い、高いところに持って行って売るだけで、利益を得ることが可能となる。
例えば、[[日本]]などの水資源が豊富な地域では[[水]]は[[希少性]]が乏しいため、極めて安価である。しかし、この水を[[砂漠]]のような水の希少性が高い地域に運んでいけば、高値で売ることができる。[[金融]]の世界でも同様な取引があり、金利の低いところで金を借り、金利の高いところで貸し出せば、元手が少なくても多額の利益を手にすることが出来る([[レバレッジ]])。
このような取引が行われた結果、価格(金利)の低い[[市場]]では需要増大で価格(金利)が上がり、価格(金利)の高い市場では供給増大で価格(金利)が下がり、次第に価格差や金利差が収斂していく。価格が収斂していくこの過程を[[一物一価の法則]]という。
同じ品質([[財]]の同質性)の二つの商品に異なる価格が成立していることが知られている(完全情報)場合、両者の価格差は裁定取引の対象となる。裁定取引の対象となるまでは、分断された別々の[[市場]]として別の価格がついていても、対象となれば価格が収斂していくので、裁定取引には市場の接続、あるいは拡張の効果があることになる。こうすることで、より必要なところへ必要なものが供給され[[経済]]の資源配分が効率的になる。
不確実性のない市場では裁定取引を行う機会がないため、[[裁定取引非存在条件]]が成り立つ。
== 裁定取引の例 ==
Aと言う商品の現物取引と[[先物取引]]を用いた裁定取引の例を紹介する。
ある時点で商品Aの現物価格が100円、3ヶ月先の先物価格が120円だったとする。
裁定取引では安いほうを買って高いほうを売るから、この場合は現物を買って先物を売ることになる。
先物価格は、3ヵ月後の清算日には現物価格と一致する。
3ヵ月後に商品Aが140円になっていたら、
*現物取引 140円-100円=+40円
*先物取引 120円-140円=-20円
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合計 20円の儲け
一方、3ヵ月後に商品Aが80円になっていても、
*現物取引 80円-100円=-20円
*先物取引 120円-80円=+40円
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合計 20円の儲け
つまり、裁定取引をした時点で、将来の価格の値上がり/値下がりに関係なく利益を得ることが出来ることになる。ノーリスクで利益を確定できる取引手法である。
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