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S楽園」(2005/09/02 (金) 08:56:37) の最新版変更点

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<p>おてんこさま<br> 「とうとう来たな・・・<br> ここはかつて月の一族がくらした月面都市、<br> まほろばとよばれた天上の楽園だ<br> 月の一族によって封印された破壊の獣、ヴァナルガンド<br> その封印をとくための2つのカギ、<br> 月の巫女(月下美人)の赤き血と皆既月蝕による赤き光・・・<br> すべての条件はそろってしまったが、<br> サバタへの呪縛は取りのぞかれたはず<br> ジャンゴ、<br> とにかくサバタをさがすんだ!!<br> 太陽と共にあらんことを!」</p> <p><br> ジャンゴ<br> 「サバタ!?」<br> <br> サバタの幻影<br> 「死の都イストラカン・・・<br> 父の仇である伯爵と、とらわれの母を求め、<br> おまえはあの、呪われた大地にいどんだ<br> 闇の一族(イモータル)の敵、<br> 太陽の血と、太陽銃(ガン・デル・ソル)の継承者、太陽少年ジャンゴ<br> そしてこのおれは、おまえに対するカウンター・・・<br> 光の戦士をたおすために用意された闇の戦士、暗黒少年<br> おれたちの出会い、そして戦い・・・<br> すべては銀河宇宙の意思によって仕組まれたものだった<br> 年老いた太陽系からの生命種の拡散により、<br> 銀河系そのものの死が早まることをおそれた銀河意志(ダーク)は、<br> 反生命種である闇の一族(イモータル)と、その下僕、アンデッドの介入により<br> 生命種の進化と、その拡散を止めようとしたのだ・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「今のは・・・<br> サバタの魂が幻影となってさまよっているのか?<br> あいつの身に、いったい何が起こっているんだ?」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「おれは・・・<br> いつわりの母である闇の女王(クイーン・オブ・イモータル)ヘルの下で、<br> 暗黒銃(ガン・デル・ヘル)の使い手として・・・<br> 暗黒少年として育てられた<br> おれの身体に宿った暗黒物質(ダークマター)・・・<br> それはおれに暗黒の力をあたえはしたが・・・<br> 同時におれの身体と・・・<br> ・・・心を蝕んだ<br> 月の血のおかげで・・・<br> 吸血変異(アンデッド化)こそしなかったがな・・・」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「暗黒物質(ダークマター)を使うたび、<br> おれの身体と心は闇に飲みこまれていった・・・<br> 闇の女王(クイーン)にとらわれたその妹、月下美人マーニ<br> 真実の母からおのれの正体を知らされてなお、おれはおまえとの戦いを止めはしなかった<br> だが・・・<br> 古の精霊、ムスペルとガルム、そして嘆きの魔女、カーミラ・・・<br> すべてを犠牲にして得た力をもってしても、<br> おまえには勝てなかった・・・」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「結果的に・・・<br> あの戦いで2人の母をも犠牲にしたおれは、<br> おれたちを利用した銀河意思(ダーク)と、<br> その地上代行者たる闇の一族(イモータル)への復讐を誓った<br> だがおれが真に戦いたかったのは、やつらなどではなかった<br> 太陽の街、サン・ミゲル・・・<br> あの街でおまえと共に戦ったとき、<br> おれはようやく、そのことに気づいた・・・」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「あの新月の夜・・・<br> 破壊の獣のまどろみの中に引きずりこまれたおれは、<br> 暗黒物質(ダークマター)による人形使いの支配を受けた<br> ラタトスクは、おれをヴァナルガンド復活のための生贄としてささげ、<br> その後継者とすることで、<br> 破壊の獣の持つ大いなる力を手に入れようとしたのだ<br> ラタトスクによって、ヴァナルガンドに魂をささげられたおれは、<br> その破壊の衝動に共鳴し、おのれの狂気を増大させた<br> やつの命ずるまま、おまえをほうむるまでに・・・」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「あの満月の夜・・・<br> 月光に横たわるおまえの姿に、おれはようやく自らを取りもどした<br> だがラタトスクによる支配と、<br> ヴァナルガンドとの魂の共鳴・・・<br> それらをたち切るには、おまえの力を借り、<br> おれの身体に宿る暗黒物質(ダークマター)を浄化する他はない<br> 自らの手でほうむったおまえを待つなど・・・<br> まさにおれは、狂気のただ中にいた<br> それでも・・・<br> そこには確信もまた、あったのだ<br> おまえは必ずや復活を果たし、このおれの前に現れると・・・」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「あの時、白き森で・・・<br> おれは自らを浄化させるため、おまえにいどんだ<br> おまえとの戦い、それこそが、おれが待ち望んでいた戦いだった<br> そう、おれは・・・<br> おまえと戦うために用意された闇・の・・戦士・・・<br> 戦え、ジャンゴ・・・<br> 戦って戦って戦いぬいて・・・<br> すべてを・・・<br> そう、すべテヲ・・・<br> ハカイスルンダ・・・!!<br> ハカイ!<br> ハカイハカイハカイハカイ<br> ハカイダァ、ジャンゴ!!<br> フッハッハッハッハッ!!」</p> <p><br> おてんこさま<br> 「これはいったい・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「まさか・・・<br> サバタの魂が、ヴァナルガンドのそれと交わり始めている!?<br> このままでは取り返しのつかないことになってしまう!」<br> <br> おてんこさま<br> 「通路を迂回して、都市中央を目指すんだ!<br> 行くぞ、太陽少年ジャンゴ!!」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「ハカイ・・・<br> ハカイ・・・<br> ハカイ!!」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「ツブセ・・・<br> コワセ・・・<br> ハカイセヨ!!」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「ハカイセヨ!<br> イキトシイケルモノ・・・<br> ソノスベテヲハカイセヨ!!」</p> <p><br> カーミラ<br> 「やはり来てくれたのね・・・<br> 暗黒物質(ダークマター)とラタトスクの支配というささえを失ったことで、<br> 命を失いつつあったサバタさまは、<br> サバタさまが死ぬことで、月の巫女(月下美人)の力が失われることをおそれた、<br> ヴァナルガンドによって、<br> 生と死をこえたその存在の根源である<br> 原種の欠片をあたえられ、<br> ヴァナルガンドそのものに成り変ろうとしている・・・<br> 過去の呪縛にとらわれたあの人の心は、<br> ヴァナルガンドのあたえる狂気にそまろうとしている・・・<br> 急いで、ジャンゴ!!<br> もう、あの人を止められるのはあなたしかいない!<br> あなたと戦うことでしか、あの人の心はいやされない!<br> もうわたしでは・・・<br> あの人を救うことはできない<br> あの人に・・・<br> 安らぎをあたえてあげて」</p> <p><br> サバタ<br> 「来たか、ジャンゴ・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「サバタ・・・<br> 無事なのか!?」<br> <br> サバタ<br> 「フッ・・・<br> 愚問だな?」<br> <br> おてんこさま<br> 「その身体・・・<br> やはりおまえはもう・・・」<br> <br> サバタ<br> 「そう・・・<br> おれは破壊の王!!<br> 今やおれのすべては・・・<br> ヴァナルガンドと共にある!」<br> <br> サバタ<br> 「おれの中の獣が言う<br> 破壊せよと・・・<br> 生きとし生けるもの、そのすべてを破壊せよと!<br> そして何よりもジャンゴ、<br> おまえをたおせとな!!」<br> <br> おてんこさま<br> 「何を言っている!!<br> あの星に生きるすべての命、<br> それをほろぼそうとする銀河宇宙の意思<br> おまえが戦うべき相手は・・・<br> その銀河意思(ダーク)ではなかったのか!<br> 正気を取りもどすんだ、<br> サバタ!!」<br> <br> サバタ<br> 「正気になれ?<br> フッハッハッハッハッ!!<br> おれは正気だ!<br> 大崩壊(ラグナロク)・・・<br> それこそがわが意思だ!!」<br> <br> おてんこさま<br> 「前にも言ったはずだ!<br> 世界を破壊して、その後に何が残る?<br> 人も動物も植物もいない・・・そんな世界に何の意味があるというのだ?」<br> <br> サバタ<br> 「破壊の後に何が残るのか?<br> 何も残りはしない・・・だが、<br> 新たなる世界の始まりは、世界の終わり、大崩壊(ラグナロク)の果てにこそある<br> 失われた者はもどりはしない<br> 新たなる世界での新生・・・<br> ただそれだけが、最後の希望なのだ!<br> 原種の欠片をもってすれば、それが実現する!!」<br> <br> おてんこさま<br> 「バカな!!<br> おまえのやろうとしていることは、闇の一族(イモータル)と同じだ!<br> 命あるものにとって重要なこと・・・<br> それは、死があるがゆえの生をどう生きるかだ!<br> 何を成そうとするかだ!<br> その意思こそが・・・<br> 未来を切り開く!!<br> 失われた命をよみがえらせることを新生というのなら・・・<br> それは、われわれに未来をたくして死んでいった者たちへの、うらぎりに他ならない!!<br> そんなことをリンゴやマーニが・・・<br> カーミラが望むとでも思うのか!?<br> 答えろ、サバタ!!」<br> <br> サバタ<br> 「ジャンゴ、<br> おまえはどうする?<br> おまえにできるか?<br> このオレを止めることが・・・<br> 破壊の獣と化したこのオレをたおすことが!!<br> できはしないっ!!!!<br> すべてはもう、手後れなのだ!!<br> 行くぞ、<br> 太陽少年ジャンゴ!!!!!!」</p> <p><br> サバタ<br> 「あまいぞ、ジャンゴ!!<br> なぜおれを攻撃しない?<br> このおれをたおさなければ、破壊の獣を止めることはできないぞ!<br> おまえの仲間たちを、<br> あの星に生きるすべての命を、<br> その未来を守ることはできない!!<br> それとも・・・<br> すべてをあきらめ、このおれを受け入れるのか?<br> このおれがもたらす、破壊と新生を!<br> フッハッハッハッハッ!!」</p> <p><br> サバタ<br> 「どうした、ジャンゴ?<br> おれをたおすのがこわいのか?<br> おれたちは今、多くの犠牲の果てに、ここにいる<br> 血塗られた道の、その果てに立っている<br> 今さら何をおそれる?<br> その深紅のマフラーはいったいだれの血でそまっている?<br> フッハッハッハッハッ!!」</p> <p><br> サバタ<br> 「なぜだ、ジャンゴ?<br> おまえはなぜ、そこまで・・・<br> まさかおまえは、<br> このおれを・・・<br> おれは・・・<br> おれは、いったい・・・<br> う・・・<br> ウウ・・・<br> ウワアアアアアアッ!!」</p> <p><br> おてんこさま<br> 「・・・<br> やったのか?<br> 生と死をこえた絶対存在(エターナル)であるヴァナルガンドを・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「石化している?<br> これは・・・<br> かつてわたしをも打ちくだいた嘆きの魔女の石化能力・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「カーミラ!!」<br> <br> カーミラ<br> 「おてんこさま、<br> ジャンゴ・・・<br> サバタさまの魂は、今やヴァナルガンドのそれと同化しつつある<br> このまま同化が進めば、いずれは破壊の獣そのものになってしまう<br> それを止めるには、<br> ヴァナルガンドを墓石とし、共に永遠をねむるしかない・・・」<br> <br> ジャンゴ<br> 「そんな・・・」<br> <br> カーミラ<br> 「世界の崩壊を止めるには・・・<br> もはやこうするしかない<br> あの方の、最後の願いをかなえるには・・・」</p> <p><br> サバタ<br> 「カーミラ・・・<br> この声がとどいているのなら、どうか聞いてほしい<br> ヴァナルガンドの力は強大だ<br> いつまでも、その意思にあらがいつづけることはできない<br> もしおれがふたたび、ヴァナルガンドにくっするようなことがあれば・・・<br> そのときは、おまえの手ですべてを終わらせてくれ<br> おまえにならそれができる<br> あいつなら必ず・・・<br> そのチャンスくれる<br> そうだろう、カーミラ?」</p> <p><br> おてんこさま<br> 「サバタ・・・<br> われわれには結局、おまえを助けることはできないのか?<br> 犠牲をはらわずして、未来をつかむことはできないのか?<br> 教えてくれ!<br> リンゴ、マーニ・・・<br> トリニティ!!」<br> <br> ???<br> 「グ・・・ガ・・・ガ・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「こ、これは!?」<br> <br> カーミラ<br> 「サバタさま・・・<br> いえ、ヴァナルガンド!!<br> わたしをも取りこみ、石化をのがれようというの?<br> きゃあっ!!」<br> <br> カーミラ<br> 「だめっ!!<br> このままでは・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「カーミラ!!<br> 太陽の光を・・・<br> わたしの力を使え!」<br> <br> カーミラ<br> 「おてんこさま!?<br> いけません、そんなことをすればあなたまで・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「かまわん!!<br> ここでヴァナルガンドをたおさねば、どの道われわれに未来はない!<br> ジャンゴ・・・<br> おまえは行くんだ!!<br> おまえにはまだやるべきことがある!<br> それは生きること・・・<br> そして未来をきずくことだ<br> おまえがリンゴとマーニからその命を受けついだように・・・<br> おまえの子が、子孫が・・・<br> その命を受けつぎ、未来をきずき上げていく<br> 生きること・・・<br> それが今、おまえのすべき戦いだ!!」<br> <br> ジャンゴ<br> 「ボクは・・・いやだ!!<br> もうこれ以上、だれかを犠牲になんてできないよ!」<br> <br> おてんこさま<br> 「心配するな<br> たとえわたしがいなくとも、<br> おまえは決して1人ではない<br> 太陽はいつまでもおまえを、あの星のすべての命を、照らし続ける<br> みんながおまえの帰りを待っている・・・<br> さあ、走れ!!<br> 太陽と共にあらんことを!」<br> <br> ジャンゴ<br> 「おてんこさまーーーっ!!」<br> <br> おてんこさま<br> 「ありがとう、ジャンゴ<br> さらば、太陽少年!!」</p> <p><br> by kame</p>
<p>おてんこさま<br> 「とうとう来たな・・・<br> ここはかつて月の一族がくらした月面都市、<br> まほろばとよばれた天上の楽園だ<br> 月の一族によって封印された破壊の獣、ヴァナルガンド<br> その封印をとくための2つのカギ、<br> 月の巫女(月下美人)の赤き血と皆既月蝕による赤き光・・・<br> すべての条件はそろってしまったが、<br> サバタへの呪縛は取りのぞかれたはず<br> ジャンゴ、<br> とにかくサバタをさがすんだ!!<br> 太陽と共にあらんことを!」</p> <p><br> ジャンゴ<br> 「サバタ!?」<br> <br> サバタの幻影<br> 「死の都イストラカン・・・<br> 父の仇である伯爵と、とらわれの母を求め、<br> おまえはあの、呪われた大地にいどんだ<br> 闇の一族(イモータル)の敵、<br> 太陽の血と、太陽銃(ガン・デル・ソル)の継承者、太陽少年ジャンゴ<br> そしてこのおれは、おまえに対するカウンター・・・<br> 光の戦士をたおすために用意された闇の戦士、暗黒少年<br> おれたちの出会い、そして戦い・・・<br> すべては銀河宇宙の意思によって仕組まれたものだった<br> 年老いた太陽系からの生命種の拡散により、<br> 銀河系そのものの死が早まることをおそれた銀河意志(ダーク)は、<br> 反生命種である闇の一族(イモータル)と、その下僕、アンデッドの介入により<br> 生命種の進化と、その拡散を止めようとしたのだ・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「今のは・・・<br> サバタの魂が幻影となってさまよっているのか?<br> あいつの身に、いったい何が起こっているんだ?」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「おれは・・・<br> いつわりの母である闇の女王(クイーン・オブ・イモータル)ヘルの下で、<br> 暗黒銃(ガン・デル・ヘル)の使い手として・・・<br> 暗黒少年として育てられた<br> おれの身体に宿った暗黒物質(ダークマター)・・・<br> それはおれに暗黒の力をあたえはしたが・・・<br> 同時におれの身体と・・・<br> ・・・心を蝕んだ<br> 月の血のおかげで・・・<br> 吸血変異(アンデッド化)こそしなかったがな・・・」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「暗黒物質(ダークマター)を使うたび、<br> おれの身体と心は闇に飲みこまれていった・・・<br> 闇の女王(クイーン)にとらわれたその妹、月下美人マーニ<br> 真実の母からおのれの正体を知らされてなお、おれはおまえとの戦いを止めはしなかった<br> だが・・・<br> 古の精霊、ムスペルとガルム、そして嘆きの魔女、カーミラ・・・<br> すべてを犠牲にして得た力をもってしても、<br> おまえには勝てなかった・・・」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「結果的に・・・<br> あの戦いで2人の母をも犠牲にしたおれは、<br> おれたちを利用した銀河意思(ダーク)と、<br> その地上代行者たる闇の一族(イモータル)への復讐を誓った<br> だがおれが真に戦いたかったのは、やつらなどではなかった<br> 太陽の街、サン・ミゲル・・・<br> あの街でおまえと共に戦ったとき、<br> おれはようやく、そのことに気づいた・・・」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「あの新月の夜・・・<br> 破壊の獣のまどろみの中に引きずりこまれたおれは、<br> 暗黒物質(ダークマター)による人形使いの支配を受けた<br> ラタトスクは、おれをヴァナルガンド復活のための生贄としてささげ、<br> その後継者とすることで、<br> 破壊の獣の持つ大いなる力を手に入れようとしたのだ<br> ラタトスクによって、ヴァナルガンドに魂をささげられたおれは、<br> その破壊の衝動に共鳴し、おのれの狂気を増大させた<br> やつの命ずるまま、おまえをほうむるまでに・・・」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「あの満月の夜・・・<br> 月光に横たわるおまえの姿に、おれはようやく自らを取りもどした<br> だがラタトスクによる支配と、<br> ヴァナルガンドとの魂の共鳴・・・<br> それらをたち切るには、おまえの力を借り、<br> おれの身体に宿る暗黒物質(ダークマター)を浄化する他はない<br> 自らの手でほうむったおまえを待つなど・・・<br> まさにおれは、狂気のただ中にいた<br> それでも・・・<br> そこには確信もまた、あったのだ<br> おまえは必ずや復活を果たし、このおれの前に現れると・・・」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「あの時、白き森で・・・<br> おれは自らを浄化させるため、おまえにいどんだ<br> おまえとの戦い、それこそが、おれが待ち望んでいた戦いだった<br> そう、おれは・・・<br> おまえと戦うために用意された闇・の・・戦士・・・<br> 戦え、ジャンゴ・・・<br> 戦って戦って戦いぬいて・・・<br> すべてを・・・<br> そう、すべテヲ・・・<br> ハカイスルンダ・・・!!<br> ハカイ!<br> ハカイハカイハカイハカイ<br> ハカイダァ、ジャンゴ!!<br> フッハッハッハッハッ!!」</p> <p><br> おてんこさま<br> 「これはいったい・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「まさか・・・<br> サバタの魂が、ヴァナルガンドのそれと交わり始めている!?<br> このままでは取り返しのつかないことになってしまう!」<br> <br> おてんこさま<br> 「通路を迂回して、都市中央を目指すんだ!<br> 行くぞ、太陽少年ジャンゴ!!」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「ハカイ・・・<br> ハカイ・・・<br> ハカイ!!」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「ツブセ・・・<br> コワセ・・・<br> ハカイセヨ!!」</p> <p><br> サバタの幻影<br> 「ハカイセヨ!<br> イキトシイケルモノ・・・<br> ソノスベテヲハカイセヨ!!」</p> <p><br> カーミラ<br> 「やはり来てくれたのね・・・<br> 暗黒物質(ダークマター)とラタトスクの支配というささえを失ったことで、<br> 命を失いつつあったサバタさまは、<br> サバタさまが死ぬことで、月の巫女(月下美人)の力が失われることをおそれた、<br> ヴァナルガンドによって、<br> 生と死をこえたその存在の根源である<br> 原種の欠片をあたえられ、<br> ヴァナルガンドそのものに成り変ろうとしている・・・<br> 過去の呪縛にとらわれたあの人の心は、<br> ヴァナルガンドのあたえる狂気にそまろうとしている・・・<br> 急いで、ジャンゴ!!<br> もう、あの人を止められるのはあなたしかいない!<br> あなたと戦うことでしか、あの人の心はいやされない!<br> もうわたしでは・・・<br> あの人を救うことはできない<br> あの人に・・・<br> 安らぎをあたえてあげて」</p> <p><br> サバタ<br> 「来たか、ジャンゴ・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「サバタ・・・<br> 無事なのか!?」<br> <br> サバタ<br> 「フッ・・・<br> 愚問だな?」<br> <br> おてんこさま<br> 「その身体・・・<br> やはりおまえはもう・・・」<br> <br> サバタ<br> 「そう・・・<br> おれは破壊の王!!<br> 今やおれのすべては・・・<br> ヴァナルガンドと共にある!」<br> <br> サバタ<br> 「おれの中の獣が言う<br> 破壊せよと・・・<br> 生きとし生けるもの、そのすべてを破壊せよと!<br> そして何よりもジャンゴ、<br> おまえをたおせとな!!」<br> <br> おてんこさま<br> 「何を言っている!!<br> あの星に生きるすべての命、<br> それをほろぼそうとする銀河宇宙の意思<br> おまえが戦うべき相手は・・・<br> その銀河意思(ダーク)ではなかったのか!<br> 正気を取りもどすんだ、<br> サバタ!!」<br> <br> サバタ<br> 「正気になれ?<br> フッハッハッハッハッ!!<br> おれは正気だ!<br> 大崩壊(ラグナロク)・・・<br> それこそがわが意思だ!!」<br> <br> おてんこさま<br> 「前にも言ったはずだ!<br> 世界を破壊して、その後に何が残る?<br> 人も動物も植物もいない・・・そんな世界に何の意味があるというのだ?」<br> <br> サバタ<br> 「破壊の後に何が残るのか?<br> 何も残りはしない・・・だが、<br> 新たなる世界の始まりは、世界の終わり、大崩壊(ラグナロク)の果てにこそある<br> 失われた者はもどりはしない<br> 新たなる世界での新生・・・<br> ただそれだけが、最後の希望なのだ!<br> 原種の欠片をもってすれば、それが実現する!!」<br> <br> おてんこさま<br> 「バカな!!<br> おまえのやろうとしていることは、闇の一族(イモータル)と同じだ!<br> 命あるものにとって重要なこと・・・<br> それは、死があるがゆえの生をどう生きるかだ!<br> 何を成そうとするかだ!<br> その意思こそが・・・<br> 未来を切り開く!!<br> 失われた命をよみがえらせることを新生というのなら・・・<br> それは、われわれに未来をたくして死んでいった者たちへの、うらぎりに他ならない!!<br> そんなことをリンゴやマーニが・・・<br> カーミラが望むとでも思うのか!?<br> 答えろ、サバタ!!」<br> <br> サバタ<br> 「ジャンゴ、<br> おまえはどうする?<br> おまえにできるか?<br> このオレを止めることが・・・<br> 破壊の獣と化したこのオレをたおすことが!!<br> できはしないっ!!!!<br> すべてはもう、手後れなのだ!!<br> 行くぞ、<br> 太陽少年ジャンゴ!!!!!!」</p> <p><br> サバタ<br> 「あまいぞ、ジャンゴ!!<br> なぜおれを攻撃しない?<br> このおれをたおさなければ、破壊の獣を止めることはできないぞ!<br> おまえの仲間たちを、<br> あの星に生きるすべての命を、<br> その未来を守ることはできない!!<br> それとも・・・<br> すべてをあきらめ、このおれを受け入れるのか?<br> このおれがもたらす、破壊と新生を!<br> フッハッハッハッハッ!!」</p> <p><br> サバタ<br> 「どうした、ジャンゴ?<br> おれをたおすのがこわいのか?<br> おれたちは今、多くの犠牲の果てに、ここにいる<br> 血塗られた道の、その果てに立っている<br> 今さら何をおそれる?<br> その深紅のマフラーはいったいだれの血でそまっている?<br> フッハッハッハッハッ!!」</p> <p><br> サバタ<br> 「なぜだ、ジャンゴ?<br> おまえはなぜ、そこまで・・・<br> まさかおまえは、<br> このおれを・・・<br> おれは・・・<br> おれは、いったい・・・<br> う・・・<br> ウウ・・・<br> ウワアアアアアアッ!!」</p> <p><br> おてんこさま<br> 「・・・<br> やったのか?<br> 生と死をこえた絶対存在(エターナル)であるヴァナルガンドを・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「石化している?<br> これは・・・<br> かつてわたしをも打ちくだいた嘆きの魔女の石化能力・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「カーミラ!!」<br> <br> カーミラ<br> 「おてんこさま、<br> ジャンゴ・・・<br> サバタさまの魂は、今やヴァナルガンドのそれと同化しつつある<br> このまま同化が進めば、いずれは破壊の獣そのものになってしまう<br> それを止めるには、<br> ヴァナルガンドを墓石とし、共に永遠をねむるしかない・・・」<br> <br> ジャンゴ<br> 「そんな・・・」<br> <br> カーミラ<br> 「世界の崩壊を止めるには・・・<br> もはやこうするしかない<br> あの方の、最後の願いをかなえるには・・・」</p> <p><br> サバタ<br> 「カーミラ・・・<br> この声がとどいているのなら、どうか聞いてほしい<br> ヴァナルガンドの力は強大だ<br> いつまでも、その意思にあらがいつづけることはできない<br> もしおれがふたたび、ヴァナルガンドにくっするようなことがあれば・・・<br> そのときは、おまえの手ですべてを終わらせてくれ<br> おまえにならそれができる<br> あいつなら必ず・・・<br> そのチャンスくれる<br> そうだろう、カーミラ?」</p> <p><br> おてんこさま<br> 「サバタ・・・<br> われわれには結局、おまえを助けることはできないのか?<br> 犠牲をはらわずして、未来をつかむことはできないのか?<br> 教えてくれ!<br> リンゴ、マーニ・・・<br> トリニティ!!」<br> <br> ???<br> 「グ・・・ガ・・・ガ・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「こ、これは!?」<br> <br> カーミラ<br> 「サバタさま・・・<br> いえ、ヴァナルガンド!!<br> わたしをも取りこみ、石化をのがれようというの?<br> きゃあっ!!」<br> <br> カーミラ<br> 「だめっ!!<br> このままでは・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「カーミラ!!<br> 太陽の光を・・・<br> わたしの力を使え!」<br> <br> カーミラ<br> 「おてんこさま!?<br> いけません、そんなことをすればあなたまで・・・」<br> <br> おてんこさま<br> 「かまわん!!<br> ここでヴァナルガンドをたおさねば、どの道われわれに未来はない!<br> ジャンゴ・・・<br> おまえは行くんだ!!<br> おまえにはまだやるべきことがある!<br> それは生きること・・・<br> そして未来をきずくことだ<br> おまえがリンゴとマーニからその命を受けついだように・・・<br> おまえの子が、子孫が・・・<br> その命を受けつぎ、未来をきずき上げていく<br> 生きること・・・<br> それが今、おまえのすべき戦いだ!!」<br> <br> ジャンゴ<br> 「ボクは・・・いやだ!!<br> もうこれ以上、だれかを犠牲になんてできないよ!」<br> <br> おてんこさま<br> 「心配するな<br> たとえわたしがいなくとも、<br> おまえは決して1人ではない<br> 太陽はいつまでもおまえを、あの星のすべての命を、照らし続ける<br> みんながおまえの帰りを待っている・・・<br> さあ、走れ!!<br> 太陽と共にあらんことを!」<br> <br> ジャンゴ<br> 「おてんこさまーーーっ!!」<br> <br> おてんこさま<br> 「ありがとう、ジャンゴ<br> さらば、太陽少年!!」</p> <p><br> by kame</p> <center> <p><br> <a href="10.html">S目次</a><br>   <a href="40.html">←S暗黒城</a>  <a href="42.html">Sエピローグ→</a><br> <a href="43.html">Sダンジョン外</a></p> </center>

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