宇治市は何を血迷ったのか、地域住民313名が休止差し止めの訴訟・仮処分を提起したのに、その直後に休止の実力行使に出た…★ 第5回公判(1/21)―431名原告団を代表し、25人が原告席で被告代理人に対峙 ☆依然不明のまま、浄水場廃止を必要とする真の理由… ★
最終更新2010年11月15日 (月) 19時16分12秒

1. 経過 2006~2007年

2006年12月21日 市水道部は市議会建設水道常任委員会に府営水切替方針を報告。休止理由は、経費と水質の2点で、水質については、環境省の指導があったと説明。-■建設水道委議事録18.12.21?
2007年 1月22日 市水道部、自治連合会長に休止理由は、原水の水質悪化と説明
2007年 1月25日 京都新聞に廃止の記事。2月27日地元紙「城南新報」に同様の記事。
2007年 3月 5日 第1回地元住民への説明会
 市水道部は「給水系統切り替えのお知らせ」と題する文書を配布。水道水の基準値を超えた環境汚染物質が検出している、地下水質改善の見通しが立たない状況にあるなどの休止理由を説明。
2007年 3月 9日 市議会予算特別委員会(水道部局審査)
  市側は急遽休止の理由としていた「環境省の指導」はなかったことを認め、陳謝。 また浄水場原水の汚染原因調査を実施すると答弁。
2007年 4月 1日 第2回地元住民への説明会 
  市水道部、水質悪化の事実はないことを認める市水道部は一貫してこの事実を隠している!)。自治連合会は次回説明会を行わないと通告。また一方的に休止・切り替えしないことを再確認
*

(2007年6月11〜12日)府営水道への切り替え作業阻止


*

2007年12月28日 宇治市、「今後、話し合いを継続しない」「早期に休止することが水道事業者の努めである」旨通告、
「開浄水場休止の話し合いについて」(19宇総第224号)
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2.経過 2008年

2008年1月11日 京都地裁へ提訴決定 
2008年1月16日 提訴行動
2008年1月18日 宇治市 「京都府営水への切替えのお知らせ」配布
2008年1月18日 実力行使撤回申し入れ
2008年1月21日 拒否回答 山口弁護士作業中止申し入れに対しこれを拒否 
           20時半 決起集会
   同日深夜    実力行使を再び阻止
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提訴へ

自治会員への呼びかけビラ 1/11
開地区自治連合会会員の皆さま
開ヶ丘自治会・一里丘住宅地自治会会員の皆さまへ                      
2008(平成20)年1月11日
開地区自治連合会々長 俊正和寛
開ヶ丘自治会々長 森本眞理子
一里丘住宅地自治会々長 川崎裕子
第二次水道問題対策委員会委員長 木村正孝
1月16日京都地裁へ提訴します 自治会員の皆さん、ご一緒に参加しましょう!
   宇治市は、昨年末の12月28日付けの文書で「今後、話し合いを継続しない」「早期に休止することが水道事業者の努めである」旨、私たちに改めて通告してきました。
   私たちは過去8回、水質・コストの両面で水道部のゴマカシを明らかにしてきましたが、私たちの追求のたびに、水道部は回答の内容を変える無責任な態度に終始しました。そして、自分たちの思惑どおりに物事が進まなくなると、一転して話し合いを打ち切つてきたのです。
   私たちは、この一方的なやり方を認めることはできません。しかし、市が話し合いを拒否し、府営水への切り替え強行に踏み切ることを通告してきた以上、私たちは裁判の場で自らの主張の正当性を明らかにして争うことにしました。それは次の二点です。
一、開浄水場休止差止請求
二、上記請求を本案とする仮処分の申し立て
   1月16日当日、原告団を代表して開地区自治連合会々長・開ヶ丘自治会々長および第二次水道問題対策委員会委員長、一里丘住宅地自治会々員が京都地裁へ出向きます。ご都合の付く方々は、ぜひご一緒にご参加ください(提訴は短時間で終了、現地解散します)。
午前9時45分、京都地裁前に集合。
代表団は、近鉄伊勢田駅出札日に午前8時半集合(8時42分国際会館行きに乗車。)

<原告団は、311名に>
当初、「100名の原告団を」と考えておりましたが、原告団に加わってくださった方々は 3自治会で311名となり、当初予定の3倍を超えるものとなりました。
<カンパは、80万円を突破>
   「一口千円のカンパを」とお願いしました訴訟カンパは、80万円を超えました。今後も、積極的にカンパの訴えをつづけていきます。
   原告団へのご参加、カンパヘのご協力など、さまざまなお力を貸してくださった自治会員を皆さまに、心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。

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▼京都地裁へ提訴 1月16日

▼宇治市 京都府営水への切替えのお知らせ配布 1月18日

開浄水揚休止に伴う京都府営水への切替えのお知らせ(抜粋)
   市水道部では、開浄水場の休止について理解を得るため、地元説明会を8回開催してきましたが、地元の「開浄水揚の水を継続して飲み続けたい」との意向は変わらないことから、これ以上話し合いを続けることは難しいとして、平成19年12月末に地元役員の方々に通知したところです。
   市水道部では、休止理由を右記の6点にまとめ地元の皆さんに誠意を持って説明をしてきましたが、理解を得ることができていません。
   水道水の供給は地下水・河川水を問わず、どちらの水も市民の方々に飲用していただく水道原水であり、市民の皆様方の水道料金で経営している公営企業としての水道事業は、宇治市全体の水道のあるべき姿を理想として、経営をしていかなければなりません。
   また、これまでに地元に説明をしてきましたが、地下水を汲み上げる揚水ポンプの能力が低下してきているため、断水する可能性が高まってきており早期に府営水に切替える必要が出てきています。
   この開浄水場の休止につきましては、平成18年12月21日に宇治市議会・建設水道常任委員会に報告の上、平成19年3月議会では「地元の理解を得るよう、努力するように」とのご意見をいただきましたものの、市民の信託を受けた議会におきまして、全会一致で予算を可決いただきました。また、平成19年6月議会におきまして、「開浄水場の一方的な閉鎖をしないでいただきたい」との請願が提出され継続審議となりましたが、9月議会では不採択となりましたこと、さらに、これまで6月、9月、12月の各議会でお答えしてきましたように、安全で安心していただける水道水を安定的・継続的に供給することが、市水道部の努めであると考えています。 
   右記の期日に開浄水場を休止し、府営水に切替えを行いますので、ご協力をお願い申し上げます。
切替え理由
①水質 人の健康に影響のある物質が基準値を超える水は、水道原水として原則使用しない。
②施設の老朽化 施設も建設後30年が経過し老朽化しており、当面の修繕費用に7,100万円,新設をする場合、用地費を除いても2億1,00万円以上の費用が必要です。
③揚水量の低下 地下水を汲み上げる揚水ポンプの能力低下により、現在、断水の可能性が高まっています。
④小規模浄水場の統廃合 水道事業は利用者からの水道料金を基本に独立採算で行う事業であり、経営の安定化のため効率の悪い小規模浄水場の統廃合は避けて通れません。
⑤府営の水道水に余裕があること 利用者の節水意識の向上や節水型の家電製品の普及等により、府営水の使用量は平成10年度と比較して年間700,000㎥減少し余裕があります。
⑥経済的、効果的に安全安心な水道水を安定的に給水できる パルプの開閉操作のみで、約12万4000人の市民が飲用している高度浄水された府営水が提供できます。開地域の新しい開発区域の皆さんは府営水を既に飲用いただいています。 

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切替強行阻止へ

「自治会員への呼びかけビラ 1/18
開地区自治連合会会員の皆さま
開ヶ丘自治会・一里丘住宅地自治会会員の皆さまへ
2008(平成20)年1月18日
開地区自治連合会々長 俊正和寛
開ヶ丘自治会々長 森本眞理子
一里丘住宅地自治会々長 川崎裕子
第二次水道問題対策委員会委員長 木村正孝

府営水への切り替えを、みんなの力で阻止しよう!

   本日、宇治市水道部は「府営水への切り替えのお知らせ」のチランを配布しました。
切り替え理由として6点を挙げていますが、それは私たちが「話し合い」の中で何度もそのゴマカンを指摘してきたものばかりです。
   一昨日、私たちは京都地裁に「「府営水への切り替えをしないよう」提訴し、裁判所はそれを受理しましたので、これから審理に入ることになります。
   市は昨年末の12月28日、「今後、地元とは話し合いをしない」「早期に休止することが水道事業者の努めである」と、一方的に話し合いを打ち切つてきたため、私たちは止むを得ず今回の提訴に踏み切つたのです。
   したがつて、今後この問題は裁判所の判断を仰ぐことになりました。しかし、そういう状況の下で宇治市は、切り替えを強行しようとしています。いわば裁判所の判断が下る前に、実カ行使で既成事実をつくってしまおうということです。
   自治会員の皆さん、こういう汚いやり方が許されるでしょうか !
土俵に上がる前に相手の回しにキズを付け、正々堂々と勝負ができない状態にしてしまおうというに等しいものです。これが行政のやることでしょうか。
   自治会員の皆さん、宇治市のこのセコイやり方を断固阻止しましょう !
1月21日(月)、開福祉センターで抗議集会を開きます。午後8時半9時半。
この集会で、抗議と切り替え阻止の意志を固め合いましょう。
配布されたチランによれば、切り替え作業は深夜から明け方までとなっています。
寒い時期ですから、防寒対策を十分にしてお集まりください。私たちは、どんなことがあっても切り替え作業は断じて許さない、その気迫をもって結集しましょう。
   福祉センターでの集会後、何ヶ所かに「たまり」を設けます。ストープも何台か用意する予定です。暖を取りながら22日の朝まで監視をつづけます。
   全体の指揮は、第二次対策委員会委員長が当りますので、規律と結束を固めて行動をお願いいたします。
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▼実力行使撤回申し入れ 1月18日

宇治市に対する申入書 1/18

宇治市長 久保田 勇さま
2008年1月18日
開地区自治連合会々長 俊正和寛
開ヶ丘自治会々長 森本眞理子
一里丘住宅地自治会々長 川崎裕子
第二次水道問題対策委員会委員長 木村正孝
申し入れ書
   本日1月18日午後、宇治市水道部発行のチラシが、私ども開浄水場から給水を受けている地域の全戸に配布されました。
   内容は、「開浄水場休上に伴う京都府営水への切り替えのお知らせ」についてというものでした。ご存知のとおり、市水道部とは8回に旦つて「話し合い」をしてまいりましたが合意に至らず、昨年末になつて突然水道部は「今後、話し合いはしない」旨の通告をしてきました。そして本日の「府営水への切り替え」通知です。
   話し合いの道を絶たれたため、やむ無く私どもは提訴という方法を採らざるを得なくなりました。そして一昨日、京都地裁へ訴状を提出したところです。したがつて今後は、裁判所の判断を仰ぐこととなつております。この経過については新聞でも報道されましたので、貴職におかれてもご承知のことと存じます。
   裁判所の裁定がなされる前に、実力で目的を達しようとする宇治市のこのやり方は常識を逸した行為であり、また行政としての道義に反するものと言わざるを得ません。私たちは、この非常識で市民の意向を無視した宇治市のやり方を、到底認めることができません。
   ここに、強い抗議の意思と共に、実カ行使の撤回を求めるものです。  
   以上、申し入れます。

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▼決起集会

開浄水場存続へむけてみんなの力を結集しよう!
    ―開浄水場休止・府営水への切替―を許さない住民決起集会
日時:2008(平成20)年1月21日 午後8時半~9時半
会場:宇治市開地区福祉センター
次第
○ 俊正開地区自治連合会会長 挨拶
○ 経過と今後の取り組み 木村第二次水道問題対策委員長
○ 支援者アピール 
○ 切替を許さない行動 各切替バルブ前にて、抗議行動。


▼21日深夜 切替強行を再び阻止

「自治会員への報告ビラ 1/23
開地区自治連合会会員の皆さま
開ヶ丘自治会・里丘住宅地自治会会員の皆さまへ
開地区自治連合会々長 俊正和寛
開ヶ丘自治会々長 森本眞理子
一里丘住宅地自治会々長 川崎裕子
第二次水道問題対策委員会委員長 木村正孝

団結の力で、パルプの切り替え許さず !

   昨日午後11時50分、水道部は約10台の車を連ねてやってきました。
   私たち自治会は、対策委員を中心に午前8時半から、切り替えパルプのある場所で終日待機し、監視をつづけていました。
   開第一児童公園に集合した水道部職員たちは、見る間に私たちの仲間に取り囲まれ、身動きできない状態になってしまいました。私たちの追及に、小西水道部長の答弁もシドロモドロ。繰り返し口にしていたのは「私たちの主張は正しい」の一点。
   「地下水を守り抜こうとする住民の姿」を見てもらいたいと、切り替えパルプの場所(主要な5ヶ所)へ小西部長を案内して回りましたが、実は桑田水道事業管理者(水道事業の最高責任者)こそ、昨夜のこの現地のようすを摑んでもらわねばならない人物でした。しかし彼は一度も姿を見せませんでした。
   水道部と私たちの話し合いの道が開ざされ、問題解決の場が裁判所に移されている時に、なぜ宇治市は強行突破しようとしているのでしょうか。3月議会は、来年度予算審議を中心に3月21日から開催予定ですが、それまでにシャニムニ突っ走りたいというのでしょうか。
   午後8時半からの決起集会には、パルプ監視要員を除き80名ほどが参加しました。私たちの抗議の前に水道部職員は、パルプ切り替えを断念して午前1時半には、いったん引き上げました。しかし、こちらの手薄になった時を狙って再度戻ってくることが予想されたため警戒をつづけました。その後、小西部長から「本日の作業は中止する」との確認をとり、解散前に集会を持ち、理不尽な宇治市のやり方は断じて許さない意志を確認し、午前三時半に解散しました。
   自治会員の皆さん !
   住民の声も聞かず、力づくで市政を動かそうとする久保田市長を糾弾しましょう。
   私たちは、市が何度パルプ切り替え強行を企もうとも、阻上できる力が私たちにはあることを、この夜実感しました。厳しく、長い時間を要しようとも宇治市の主人公は、私たち宇治市民・住民なのですから。
   「長いものに巻かれる」ことなく、「太いものに呑み見込まれる」ことなく、正々堂々と胸を張り、発言し、行動していきましょう !
   私たちの行動に参加いただき、激励をいただいた浅見議員、池内議員、水谷議員、片岡議員、川原議員、向野議員、中路議員、西川議員の皆さまに、心から感謝を申し上げます。
   また、最後まで一糸乱れず行動を共にされた自治会員の皆さまにも、心から敬意と感謝を表したく存じます。有難うございました。

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3. 私たちは何故仮処分を求めるか

1 被告・市の実力行使について

 被告・宇治市はこれまで2回にわたり、府営水への切り替えを強制的に執行(以下実力行使という。)しようとしてきた。その1は、平成19年6月11日であり、その2は平成20年1月21日である。いずれの場合においても、市水道部は住民との協議において説明の根拠がゆらぎ、説明がつかなくなつた段階で、あたかも住民に非があるかのように「住民が話し合いを拒否した」との理由をつけて協議を打ち切り、実力行使をしたのである。
(住民は深夜、抗議の意思として切替バルブのあるマンホール周辺に立ち、執行を許さなかつた)
 その1 6月11日の場合は、第3回説明会(平成19年4月26日)において、住民が京都府調査結果[*①]をふまえ、給水に問題はなく、原水においても問題がなければ、今回の休止措置を撤回すべきであることを求めた時である。[*②]
 この時被告・市は、京都府調査結果とは見解が違うと述べたため、それなら京都府同席のもとで協議をすすめるか、京都府調査結果(安全宣言)に対し市水道部としての見解を表明するかを住民が迫つた。さらに次回話し合いは水質問題に限定して行うこととした。
 後日被告・市は、京都府同席は困難、市見解も出せない、さらに水質問題に限定した話し合いは出来ないと回答。住民は約束に基づく協議を求めたところ、被告・市は自治会とは話をしないと通告してきた。そして単独で説明会開催のチラシを給水家庭全戸に配布、わずかな出席者の中で実施したのである。(開浄水場休止説明会平成19年4月26日)(この場においても、参加した住民から、休止理由が不可解との意見が相次いだ。)その後、住民への説明は尽くしたとして、実力行使をするのである。
その2は、平成20年121日の実力行使である。
 12月19日の経費の検証をする協議の場において、被告。市を代表して答弁した小西部長は、「経費における問題として、開浄水場の給水を受けている2千人住民が19万市民に迷惑をかけている」との発言(第8回説明会11月30日)を訂正した。
 住民は、そうであれば、桑田水道事業管理者の議会における同趣旨の答弁も訂正される必要があると求めたところ、検討を約束して持ち帰つた2日後の22日に、協議の打ち切りを通告してきた。(12月28日、その旨の公文書を持参 )[*③]
その公文書に対すると私たちの反論は別紙の通りである。)[*④]
 被告・市が実力行使するとき必ず、議会の議決を得ているので執行する責務があるという。議会議決に至る討議の経過や議員の意見、議会一般質問、建設水道常任委員会での質疑などを一切横におき、全会一致で予算が議決されたことだけを金科玉条に、議会の議決を得ているという。被告・市は住民との話し合いを軽んじ、住民への説明、説得、住民との合意形成よりもこの「議会議決」をたてに、また実力行使を繰り返すことは明らかである。
 この1年間被告・市は、休止理由を再三変更し、休止の合理的根拠を明確にせず、1年間かけても住民に納得の出来る説明ができないばかりか、都合が悪くなると、あたかも住民に非があるかの言辞で協議を打ち切り、実力行使することに、住民は憤つている。住民の意思は固い。しかし、開浄水場の給水を受けている住民は高齢者が多い。70歳を超えた多くの住民が、90歳の長老を含め強行を許さないために、寒空の下、深夜数時間、路上に立つのである。
 このような事態を幾度も繰り返すことは忍びないと、誰もが思うはずである。

2 切替における不利益について

 住民は、地下水を休止し府営水に切り替えることを、不利益と考えている。
 その1は地下水の固有価値にある。
 地下水は、水資源として潜在特性を有する。①簡易性 ②経済性 ③良質な水質 ④恒温性である。[*⑤]開浄水場の地下水は、特に良質な水質を有する。適度にミネラルを含み、うまみもある。河川水である府営水は、無味性が指摘されている。また給水において府営水は、発ガン性指標の総トリハロメタン値は開浄水場給水の10~20倍である。開浄水場給水値は0.001以下で、無いに等しい。これは原水の汚濁物質の違いである。総トリハロメタンは、原水中における汚濁物質が多い場合に、塩素処理をする過程で生成される副生成物であることによる。
 その2は開浄水場の歴史性である。
 この地域の住民は戦前から、この地下水を重要な生活用水として使用してきた。宇治市水道ができたのちも、多くの住民はこの地下水を選択してきた。旧日国(国策会社。日本国際航業)や現日産の簡易水道時代から、この地下水浄水場を存続するため、経費(ポンプ等の修理費等)や人力(管理人)に貢献し、一方、夏の断水にも耐えてきた。そのようにしてこの地下水浄水場を守つてきた歴史がある。
[*①]京都府調査結果(京都府安全宣言)「宇治市浄水場及び周辺井戸の汚染について」平成19年4月13日(京都府企画環境部環境管理室 京都府保健福祉部生活衛生室 京都府山城広域振興局山城北保健所 )
「測定結果コメント 体重50kgの人が毎日、これらの水を仮に約20リッル一生涯飲み続けても、健康への影響はないと考えられます。」
(京都府調査結果全文はhttp://www.pref.kyoto.jp/news/press/2007/4/1176364496781.html
[*②]「京都府・保健所が浄水場原水と周辺の調査を行いました」平成19年4月26日
[*③]開浄水場休上の話し合いについて 平成19年12月28日
[*④]一方的協議打ち切り通告に対する反論 平成20年1月
[*⑤]今後の地下水利用のあり方に関する懇談会報告 国土交通省 平成19年3月
*

再ぴ一方的な、話し合い打ち切り通告への反論


2008.2.6
開地区自治連合会々長 俊正和寛
開ヶ丘自治会々長 森本眞理子
一里丘住宅地自治会々長 川崎裕子
第二次水道問題対策委員会委員長 木村正孝

話し合い途中での突然の打ち切り通告 
   市水道部は12月19日の話し合い(経費検証のための協議協議)が継続中にもかかわらず、12月21日突然電話で、話し合いを継続しないと打ち切りを通告してきました。私たちはこのことを直ちに、自治会員のみなさんにチラシでお知らせしました。またこのことは、翌日の毎日新聞。城南新報・洛南タイムス各紙で報じられました。
   後日12月28日に文書が出されました。それは、「開浄水場休止の話し合いについて」という公文書(19宇総第224号)ですが、事実に基づかない感情的なものでした。

私たちは反論します 事実に基づかない市水道部の主張 ―開浄水場休止の話し合いについて(12月28日付文書)―

①通告文書―「去る11月30日に行いました第8回地元説明会において、給水単価について地元より申し入れがあり…」「今回突然に給水単価の突き合わせの申し人れ」
事実と反論― 申し入れではありません。交渉経過による確認です。確認するまでに休憩をとり、市水道部の判断を求めた結果、市水道部も了解したことです。元々この話し合いは、第8回地元説明会(交渉)の席上、市水道部が「開浄水場の水を飲んでいる2千人住民は19万市民に迷惑をかけている」「その理由は開浄水場の経費は高くついているから」と説明したため、紛糾、それでは双方で具体的に検証しようということで決めたものです。
②通告文書―「『断水するなら断水させてもいい』とのことでしたが、市水道郁としては一部の人の考えで、多くの人々の生活に影響する断水を発生させることは可能な限り回避すべきものと考えます。」
事実と反論― 「断水の可能性があるから府営水に切り替える」との説明があったため、紛糾したのです。府営水への切り替えは許さないとの話の経過上でのことで、市水道部の責任において対処すべきことを確認して、その日は終えています。話し合い途中の言葉尻だけをとらえ、自らを正当化する表現はいかがなものでしょうか。
③通告文書―「休止理由を説明しても、全く理解しようとしないばかりか、約12万4千人の市民が飲用している府営水を否定し…」
事実と反論― 府営水を否定したことは一度もありません。私たちは、開浄水場の給水を休止にする合理的根拠がないため、この良質で安価な地下水を飲み続けることを主張しているのです。
④通告文書―「さらに、地元からの申し入れによる説明会を、自分たちの都合で、市水道部の年内の説明会を受け入れないことは、話し合いと言いながらいたずらに話し合いを長引かすだけの口実と判断せざるを得ないことから、今後、話し合いを継続しないことと致しました。」
事実と反論― いいがかりをつけて、一方的打ち切りを正当化。経費の検証は始めたばかり、まだ入り口です。私たちは更に、経費の積算根拠のでたらめを指摘する準備をしていたのです。その入り口段階で、11月30日の説明(見解)の間違いを市水道部は認めました。私たちはさらに桑田水道事業管理者の議会における同趣旨の答弁(平成19年12月15日)を訂正するよう求め、市水道部は検討を約束したのです。この事実を反古にして、水道管理者は突然、話し合いの打ち切りを通告してきたのです。
⑤通告文書―「これまで8回に及ぶ地元説明会で、休止理由を説明しても全く理解しようとしないばかりか…」
事実と反論― 説明会のたびに住民から反論され答えに窮し、その場逃れに説明会ごとに内容が変わることの繰り返しのため、住民の不信はつのる一方でした。 当初住民への説明は、水質悪化の一点張り。近年水質が悪化している、発ガン性物質が混入していると、いかにも休止が緊急に必要なように説明していたのでしたが、事実でないことが判明後は、休止理由に経費が加わり2つに、さらにその後6つに変わりました。また、当初の「水質悪化」はなくなりました
⑥通告文書―「ただ単に「開浄水場のおいしい水を飲み続けたい」との地域の一部の人の思いから…」「地域の一部の方々の思いや考えで…」
事実と反論― 一部住民の考えや思いだけで、313人(世帯)が原告団に名前を連ねるでしょうか。水質悪化や環境省の指導があったなど事実に反する説明(嘘)、議会での議論内容と違う説明、結論.の押しつけ、住民の声を全く聞こうとしない水道管理者の姿勢などに、住民の不信感が強まったことの結果だと、私たちは考えています。また、地下水の保全、活用を求める署名に1万人を超える市民の賛同、地下水の大切さを思う市民が多い事実を、どう考えるのでしょうか。

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4.報道

6月11〜12日 住民との対立により府営水道への切り替え作業中止

各紙2007年6月13日新聞記事より

宇治市6月議会で、浄水場問題が焦点となる

1月16日京都地裁へ提訴、原告団313名に

  • 京都新聞 yhooニュース(1月16日)
休止差し止め求める 宇治開浄水場 住民、市を提訴
 京都府宇治市が地下水を活用した市営開(ひらき)浄水場を休止し、府営水道に切り督えるのは住民の給水を受ける権利の侵書だとして、同市開地区などの住民313人が16日、開浄水場の休止の差し止めを求める訴えを京都地裁に起こした。同様の趣旨の仮処分も申し立てた。
 訴状などによると、浄水場はもともと企業社宅用の簡易水道だったが、周辺住民も利用していた。1978年に市に譲渡され、現在は約910戸、2300人に供給されている。市は水質悪化や経費削減などを理由に昨年3月に休止を提案し、市議会で可決された。
 住民側は「市が企業から譲渡を受けた際、住民との間で地下水による水道供給が合意されており、現在の結水契約も地下水を前提としている」と主張する。原告代表の本村正孝さん(62)は「水質は悪化しておらず、経費も府営水道より安い。訴訟で良質な地下水の保全・活用の意強を訴えたい」と話している。
 宇治市の小西吉治水道部長は「休止は水道事業者の裁量の範囲と考えている」としている。
  • 洛南タイムス ニュース ■Rakutai On The Web 2008年1月17日
休止差し止め求め、宇治市を提訴 宇治市開浄水場の地元住民313人 府営水への切り替え「契約変更で違法」 同時に仮処分申し立てる 市水道部「裁量の範囲」とコメント

 宇治市が市営開浄水場(神明宮北65)を休止して、府営水の供給に切り替えようとするのは「給水契約の変更にあたり、水源の種別を地下水から配水池に変更するもので、必要な厚生労働大臣の認可なく、切り替えようとするのは違法」などとして16日、同浄水場からの給水を受けている開地区などの住民313人が休止差し止めを求める訴えを京都地裁に起こした。差し止め請求とあわせ、同様の趣旨で仮処分の申し立てをした。仮処分については、1~2週間後に審理開始される見通しを弁護士が伝えた。
 休止をめぐっては、市水道部と地元の開地区自治連合会(俊正和寛会長)などの住民との話し合いが昨年3月以降、8度にわたり続けられてきたが、主張が平行線のまま折り合いがつかず、昨年末に市水道部が協議の打ち切りを正式に通知。住民側が昨年10月末に決めた提訴方針に基づき、裁判の場で決着を図ることになった。
 開地区自治連合会と原告住民で構成する原告団が、久保田勇市長を相手取って提訴した。
 訴状などによると、開浄水場は、日産車体の社宅向けの簡易水道だったが、昭和53年に市と同社、地域住民の合意によって、市に施設が移管・譲渡された経過がある。現在に引き継がれ、910戸、2300人の給水エリア住民に、市との給水契約に基づき、供給されている。
 その際、3者で当時に覚書が締結されたが、住民らは「以降も開浄水場で浄水された水の供給を受けてきており、浄水場地下水の給水を受ける利益は、現在の個々の給水契約にも引き継がれてきており、その権利を有する。府営水への切り替え変更には、住民との合意成立が前提となる」と主張している。覚書の解釈をめぐっても、この間の話し合いで「今回の休止にまで、効力が及ぶものではない。地下水と府営水のどちらの水を供給するかは、水道事業者の裁量行為の範囲だ」とする市水道部の主張と、相容れない、物別れ状態に終始してきた経過がある。
■切り替えには住民の合意が前提 住民25人地裁に足
 裁判所への提訴には、住民ら25人が詰め掛け、午前10時からの提訴手続きを見守ったあと、裁判所内での記者会見に臨んだ。俊正会長が「休止については、昨年3月議会で『住民合意を得ること』を大前提に、関連議案が可決されたが、議会可決のみが一人歩きする形で、話し合いは空中分解となった。不本意ながら、裁判で判断を仰ぐことになった」と説明。原告団団長の木村正孝さん(62)は「市が休止理由の一番に挙げる水質悪化は認められず、市が提出した資料でもコスト比較で、府営水道に比べても安価といえる。自分達が飲む水を、どこのものを選ぶかの権利は、給水契約の中身として現有している」と話し、提訴した住民らも過去の経過から、今後も開浄水場の地下水を飲み続ける権利・地位は今に継承されるものだとの主張をする。
 市水道部は「提訴は直ちに市の休止執行を拘束するものではない」として、近々に休止執行に入る構えで準備を進めている。小西吉治水道部長は「訴状を見ていないので具体的コメントはできないが、休止切り替えは市の裁量行為の範囲だと考えている」と話している。
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開浄水場休止の強制執行を再び阻止 21日深夜

  • 京都新聞電子版(1月22日)
住民側抗議で職員引き揚げ 宇治市の開浄水場休止作業
 宇治市と住民が対立している開(ひらき)浄水場(同市神明)の休止問題で21日夜、浄水場の休止作業に入ろうとした市側と、阻止しようとする100人近い住民側が対(たい)時(じ)した。両者の押し問答で住宅街は一時騒然となり、市側はいつたん現場を引き揚げたが、住民らは警戒を続けた。
 開浄水場をめぐっては、市が昨年6月、水質悪化や施設老朽化を理由に休止しようとしたが、地下水での給水継続を求める住民が作業を阻止した。住民313人が今月16日、休止差し止めを求め、京都地裁に提訴している。
 市は休止作業を21日深夜から行うと住民側に通告。同日午後11時50分ごろ、市職員約20人が浄水場の休止作業に訪れた宇治市職員を取り囲み、浄水場近辺にある府営水道のバルブの切り替えにかかろうとした。これに対し、決起集会を開いて中止を訴える住民ら(22日午前0時5分、宇治市開町)現場で警戒していた開地区自治連合会など3自治会の住民らが取り囲み、「司法の判断を仰ごうとしているのを無視している」などと抗議し、中止を求めた。住民から「掃れ」と怒号が飛ぶ中、市側は「けが人が出る恐れがある」として30分ほどで1度引き揚げたが、住民らは暖を取りながら現場警戒を続けた。..
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5. 洛南タイムス電子版 洛タイ投書箱より

再び、開浄水場問題から問う 2007年 8月 31日 北村信隆氏  
◆…「施設移管当時の覚書解釈で意見対立」の記事をみて、直接当事者でない(実は、繋がっている)私が思うことを書く。
◆…最近、阪神淡路大震災の記録を見る機会を得た。神戸を中心とした都市の「水行政」が、震災以降「地下水」「自営水」の大切さを見直して方針転換していることが分かる。
◆…宇治市も災害時の水確保に「地下水」利用を数ヵ所指定しているが、今のところ水質に問題ない開浄水場をも閉鎖して、京都府から「水を買う(購入する)」と言う。
◆…市の給水口は、何年か先の「天ヶ瀬ダム」の建て替え?(大型ダムの経験と歴史はないのではないか)とも関連する。
◆…食料にして言えば、自給率が40%を切ったという。広域大規模処理システムは、生産・流通も含めた新たな問題を露呈し、ゴミや下水同様、そのシステム自体が、個々のミニマム単位の個々意識や処理(「ちりも積もれば」「各家庭から」)に支えられ影響され皮肉にも立ち返らざるをえない。
◆…私は、今回の開地域の浄水場をめぐる「覚書」の内容は知らないが、言いたいことは、他地域から見れば、覚書の解釈や閉鎖一点に拘る押し問答に見えるけれども、その基本は、これからの宇治市の「水行政」をどうしていくかということであり、開浄水場問題はその指針となるものである。一度止めた水脈は変化すると予測されるから閉栓せず、話し合いを継続されることを望むものです。
◆…住民の「同意」がいることではないという態度は、御上的発想に裏打ちされ、温存されたお役人思考で、ご意見拝聴や公聴会的市民参加型自治から、(これからは各地方自治体がこぞって)「市民とともにある、市民とともに創る『地方自治』の基本」を発展させ、さらに「自立都市」を推し進めようとする道からも遠ざけるものと思われる。
◆…それゆえ「開地域の浄水場・水問題」は「地方自治」「民主主義」はいかにあるべきかという問題をはらんでいると言える。少なくとも、十分な調査・調査結果など事実の開示とその陳述は、行政の責任と住民の権利に基づくものである。知らされるべきものは多いのに知らされず、知らしむべからず・知らせずは、これからも続かせるのであろうか。情報公開も個人的プライバシーに阻まれ十分に機能しているとは言えない。
◆…覚書は「何故、この結論に至ったか、どういう問題を解決し、どういう問題を残したか」は明らかなのだろうか。後世の人への引き継ぎとしても、行政や議会の問題解決への判断と選択理由をはっきりと明らかにしておくことは、本当に大切である。
(宇治を愛し水問題を考える一市民・北村信隆)洛南タイムス投書箱2007/08/31
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6.湯川二朗弁護士ブログ

原水の水質悪化というが、それはもう何年も前からのことなのに、それを今まで黙っておいて、いきなり休止の理由とするのはおかしい。 水質悪化というが、浄水後の水質は水道法の水質基準をクリアしている。原水の水質を問題にするのなら、府営水道だって同じだ。 更新費がかかるというが、つい最近エアレーション装置を設置したばかりじゃないか。それに古い施設は他にもいくつもある。どうして開浄水場だけ休止するというのか。 そもそも開浄水場は簡易水道事業として始まったものを住民の力で宇治市に移管してこれまで維持してきたものだ。それを住民に黙って廃止を決めて、それを議会に報告して承認を得たから、休止だというのはおかしい。
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最終更新:2010年11月15日 19:16