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5.原告・第2準備書面

平成20年(ワ)第77号事件
原告ら       開地区自治連合会外10名             
被告       宇治市            
原告ら第2準備書面
京都地方裁判所           
第2民事部合議3C係            御 中
平成20年9月4日
原告ら訴訟代理人
弁護士  湯   川   二   朗
弁護士  山   口       智
 上記当事者間の頭書事件について、原告らは、以下のとおり、弁論を準備する。

第1.裁判所からの求釈明事項について

1.原告開地区自治連合会は誰の訴訟担当か。
 原告開地区自治連合会は、その余の個人原告ら、及び開地区自治連合会を構成する自治会の会員であって、被告との間で給水契約を締結している者らの訴訟担当者である。
2.本件訴訟の構成は、個人原告らと日産車体との間の給水契約に基づく契約上の地位が被告に承継されたというものであるのか、それとも昭和53年に個人原告らと被告との間で給水契約が成立したというものであるのか。
 そのいずれも選択的に主張する。その詳細は以下に述べる。

第2.個人原告らは、①府営水=府営宇治浄水場からの水ではなく開浄水場からの水を、②府営水=天ヶ瀬ダム水ではなく井戸水を、③府営水=府営水道購入水ではなく現在飲んでいる水質の水を受ける権利を有していること

1.個人原告らは元々開簡易水道の水を供給されていた
 開町は日本国際航空工業の社宅として開発された町であるが、同地に社宅が建設されたのは、そこに良い水、良い地下水があったからであった。個人原告らは、自らが又はその親の代が、日本国際航空工業の従業員として地下水付の社宅を借家として借り受けその後当該借家を買い受け、又は地下水付の住宅として直接これを買い受けた。
 そして、個人原告らは、自らが、又はその親の代が日産車体株式会社との間で給水契約を締結して、「宇治市開町社宅の給水施設より」送水を受けていた(甲39)。
 こうして個人原告らは、何十年来、開簡易水道の水、そして市営開浄水場の水の供給を受け、これを飲用に供してきた。

2.宇治市長が住民(個人原告ら又はその先代を含む)に対して開浄水場の継続を約束し、市議会もそれを承認した
(1)昭和36年8月、日産車体株式会社は、京都府知事に対し簡易水道事業の廃止届出を提出した。京都府知事は、同年12月28日、他の水道が完成するまでこれを廃止してはならないとの条件付で、簡易水道事業の廃止を認可した。
 その後、被告は、開簡易水道施設を受けて経営することは多額の費用がかかるという理由で市水道(府営水道)への切り替えを検討し、昭和46年4月、直接工事費用は日産車体が負担し、間接経費は被告が負担するということで補助配水管敷設工事を行い、同年7月から府営水を給水することを地元に説明した。
 他方、原告開地区自治連合会の前身である開自治会は、昭和44年に水道対策委員会を設置して、開簡易水道の継続を求めるようになった。
 そうして、簡易水道の廃止を求める日産車体、開簡易水道の継続を求める地元住民、市水道(府営水)への切り替えを求める被告との三者との間で協議が重ねられた(昭和50年3月本会議議事録=甲63)。

(2)昭和50年3月、宇治市行政当局は、ついにそれまでの「市水道(府営水)に切り替える」との方針を変更して、「将来の水需要の増加に対処するためには山城水道のみに依存せず、自己水源を確保していく」という方針をとることとなった。 ★注1 その方針変更を受けて、同月3日、宇治市議会も、地元住民の要望に応えるために、「宇治市開町の簡易水道存続に関する請願書」をほぼ全会一致(日産車体を選出母体とする議員1名を除く全議員が当該請願の紹介議員となっている。)で採択した(甲63)。
 かかる市当局の方針変更、市議会でのその承認を受けて、宇治市長は、精力的に開地下水存続に向けて日産車体との交渉を開始し、昭和51年11月6日、開町の住民・宇治市・日産車体株式会社の三者三様負担の斡旋案(①被告は建設資金として、当初約5000万円程度かけて、新しい浄水場を建設すること、②水道管の引込み工事費については開町住民の個人負担とすること、③日産車体株式会社は被告が新しい浄水場を建設するための用地として約200坪の土地を提供すること。「新しい浄水場」とは、現在の開浄水場(本件浄水場)を指す。)を提示した(三者三様の負担について=甲42)。

★注1 被告は、昭和50年には府営水の受水枠稼働率が86.5%に達したため府営水への切替えが難しい状況となり、新たな水源確保の必要性に迫られた旨主張するが、乙2号証を見ても、府営水の受水枠稼働率が96.5%に達したことはうかがわせる数値的根拠はない。そればかりか、昭和54年度版水道統計年報(甲66)を見るならば、府営水道受水量は昭和50年度以降も増えているのであって、それに加えて、昭和52年度以降の自己水源配水量が著しく増加しているのである。これは、府営水の受水枠の余裕がなかったために自己水源確保に動いたのではなく、市の水道政策として自己水源を増やしていった証左である。


(3)宇治市長は、この三者三様の負担を旨とする市長斡旋案に基づいて日産車体及び地元住民との協議を主導し、その中で、以下に指摘するとおり、繰り返し、宇治市が日産車体に代わり責任を持って地下水を供給することを明言した。
 すなわち、宇治市長は、昭和51年8月5日の市長や開町の住民ら等の会議においては、上記約200坪の土地から地下水が出なかった場合は、宇治市の責任で、地下水が出る用地を探し、住民に対して地下水を供給するということを発言した(甲52)。
 昭和51年8月16日の会議、同年8月20日の会議においても、宇治市長は、被告が住民に対して、地下水を供給する義務を負っていることを認めている。すなわち、昭和51年8月16日の会議において、宇治市長は「市水に切り替えが出来た時点で、日産の給水責任は終わることになり、以後の給水責任は宇治市にある。地下水は宇治市が責任をもって給水するのである。」、「地下水は宇治市が責任をもって給水するのである」と述べており(甲53)、住民に対して地下水を供給する義務についてはそれまでは日産車体株式会社があったが、市水に切り替えた以後は、宇治市がその義務を引き継ぐことを明言している。また、昭和51年8月20日の会議においては、井戸が枯れ、地下水が供給できなくなった場合はどうするのかという住民からの問いに対し、宇治市長は「この付近で掘る。将来的にも考えている。神明浄水場でも新しく掘っている。井戸を廃止する場合は皆さんのご了解を得る。」という発言をした(甲54)。
 さらに、宇治市長は、昭和51年10月4日付けの住民宛の手紙の中で、三者三様負担を確認する手紙を送付している(甲55)。
 また、宇治市長は、同年11月11日にも、住民に対して、①日産車体株式会社が経営していた簡易水道施設のある敷地約200坪の用地を無償で借り受け、新しい浄水場を建設すること、②土地の使用についての契約は半永久的に使用できる内容とすること、③新浄水場建設にかかる手続きは市議会及び厚生省(当時)に申請すること、④新浄水場建設中は市水を給水すること、⑤引き込みは出来るだけ短期間に行い、経費は安くなるように宇治市は協力することを確認している(甲57)。
 さらに、宇治市長は、新聞記者に対する報道発表の中で、「市水道問題は市が一定の条件を設定し責任をもって開町に地下水を供給することを提案した。また、長年にわたって地元との問題が解決することで、市へ20,000千円の寄付の申し出があり、受けることとした。最後に覚書に基づきそれぞれの立場と責任において浄水場の建設、給水管の施設等を施工して参ることになりますが、市長として予定の本年10月に市の地下水になる給水が出来るよう皆さんのご協力を願ってやみません。」と談話を発表して、宇治市が住民に対して地下水を供給する責任を持っていることを公言している(甲59)。

(4)このような宇治市長のリーダーシップの下に、昭和53年1月17日、宇治市長、日産車体及び開自治会との間で、市長斡旋案をほぼ踏襲する覚書締結に至った(甲1)。
 それに先立ち、宇治市議会は、昭和51年12月議会において、宇治市長から提出された開浄水場建設を目的とする事業変更認可申請のための水道事業会計補正予算を承認し(甲64)、昭和52年3月議会で、昭和52年度の予算に本件浄水場の建設費用を計上する水道事業会計予算を承認した(甲65)。

3.10,180人もの住民が開浄水場の休止に反対し、地下水の保全活用を求めている
 平成19年9月18日、10,180人もの住民が「地下水(井戸水)を守り、自己水(源)を増やす施策を進める」ことを要望している(甲12、乙8)。市水道として地下水の供給を求める声(広範な住民のニーズ)は極めて大きいものがある。
 なお、被告は、「地下水(井戸水)を守り、その積極的な活用と自己水源を増やすことを求める」要望書は、本件浄水場の休止に反対する署名ではない旨主張しているが、この署名は原告開地区自治連合会をはじめとする4自治会が行った本件浄水場の休止反対署名であり、本件浄水場休止反対の趣旨は「地下水(井戸水)を守り」の部分に明確に現れている。

4.このように、個人原告らは、戦前から現在に至るまで開水道施設による地下水の供給を長年にわたって受けてきたものである。そして、被告も、個人原告らを含む住民による開簡易水道存続の強い要望を受けて、当初の市水道(府営水)切り替えの方針を撤回して、地下水の供給を継続するために市長斡旋案を示し、市議会もこれに応えて開簡易水道存続に関する請願を採択し、開浄水場建設のための予算を承認するなどして、原告ら住民に対して地下水(井戸水)を供給する約束を原告ら住民に対して行ってきたのである。そして、この三者三様の斡旋案をこれまで各自が履行してきたからこそ、被告より原告らに対して地下水の供給が行われ、現在に至っているのである。
 このような市営開浄水場による給水に至る経緯に照らせば、開簡易水道から市水道に切り替わったときに、被告は日産車体が開簡易水道施設により原告ら(その先代を含む)に給水する債務を承継したか、そうでなくとも、被告と原告らとの給水契約の内容として開浄水場の水ないし地下水を供給することをその目的としたと解されるのである。


第3.開浄水場の休止は日産車体からの開浄水場敷地の寄付の条件に反する


 先にも述べたとおり、被告は日産車体に対して、昭和50年11月以来、三者三様負担の斡旋案として浄水場建設用地の提供を求めてきた。
 それに対し、日産車体株式会社は、昭和51年4月20日、浄水場を建設するための用地を譲渡することはできないが、無償で貸与することはできると被告に対して回答を行った。その際、日産車体株式会社は当該土地を浄水場として使用することを無償貸与の条件とした(甲49)。
 その後、日産車体株式会社は、平成15年4月14日付けの宇治市長からの「下記土地は宇治市水道浄水場用地として、昭和51年12月25日より今日まで、貴社のご厚意により無償貸与を受けております。同じく、浄水場施設は貴社より移管を受け、今日まで施設更新を行いながら開地域の旧社宅居住者に水道給水を続けてまいりましたし、今後も給水事業を継続していく責任もございます。ついては貸借契約にある同地について、今日までの歴史的経緯を勘案いただき、(略)公共用地(水道用地)に無償寄付することについて、ご検討いただきたくお願いする」との通知(甲62の2)を受け、平成15年8月12日、被告に対し、「開浄水場用地」とすることを目的として、寄付をした(甲62の4。被告は、この土地を水道用地として地目変更した上で寄付を受けている。)。
 このように、被告は、日産車体に対して「開浄水場用地」とするために土地の寄付を求め、同社から「開浄水場用地」とする目的で土地の寄付を受けたのであるから、被告は水道用地を財産として保持し続ける以上は、給水契約の需要家(個人原告らを含む)に対して開浄水場を存続してその水を供給する義務を負っているのである。それにもかかわらず、開浄水場を休止するというのは、寄付の条件に違反するものであって、日産車体株式会社からの申し出(土地の提供)だけを快く受け、原告ら住民との約束は無かったことにするに等しく、あまりにも理不尽な行動と言わざるを得ない。


第4.開浄水場を休止して府営水に切り替えることは債務の不履行である


 以上に述べてきたとおり、被告の個人原告らに対する給水契約の債務の目的は、開浄水場の水=地下水=現在飲んでいる水質の水を供給することにある。ところが、本件浄水場の水と府営水とは明らかに水質を異にする(詳細は第5の3)。
 したがって、開浄水場を休止して府営水に切り替えることは、債務の本旨に従った履行をしないときに当たる。


第5.開浄水場を休止することには正当な理由がない


 1.施設の老朽化?

 被告は施設の更新費用として7100万円が必要となる見込である旨主張する。
 しかし、被告はこれまでの住民説明会でも全くその内訳明細を明らかにしてこなかったものであって、ようやく本訴に先立つ仮処分審理の中で、乙4号証の1を作成して(平成20年1月26日作成)提出してきた。しかしこれにしても、計装設備の修理概算費用に見るごとく、耐用年数の半分も過ぎていないのに費用が計上されているものもあるなど、裁判にあわせて資料をでっち上げたのではないかとすら疑われる。しかも、この修理概要にしても、それぞれの修理が、何故、今、それだけの金額を要するのか、何ら具体的に明らかにはなっていない。
そもそも施設の保守修繕費というものは、公共施設であれば、仮処分の審理のためにわざわざ作成せずとも、毎年、予算計上の必要からも、保守修繕計画・維持管理計画を作成しているのではないか。それを提出せずして、乙4号証の1を提出されても、その信用性はないと言わざるを得ない。
 しかも、そもそも、本件浄水場の施設運営費用の実績は、これまで28年間(昭和53年建設当初以降平成18年まで)で約1億2700万円しか要していないのである(甲22号証6頁)。そうすると、その半額以上の更新費用である7100万円もの費用がかかると思えない。
 原告らにおける調査の結果、当面必要なのは、取水ポンプの取替と配水池の水漏れの修理である。ところで、被告は、平成18年度の予算において、取水ポンプの購入費用を計上し、同年9月、金71万4000円にて購入しながら(甲22号証6頁)、これを神明浄水場に流用している 。 ★注2
 本件浄水場の主要設備機器は何の異常もない。本件浄水場に当面の間必要とされる設備機器は取水ポンプのみであるが、この取水ポンプについては神明浄水場に流用された。それ以外に修理が必要な部分としては、配水池の水漏れの修理であるが、この修理に関しては、早急に修理しなければならないというものではないばかりか、当面シーリングをすることで対応できるのでそれほど費用も要しない。
 そもそも、中長期整備計画では、老朽化は指摘されておらず、「施設管理は、比較的良好であるが、機械・電気設備においては法定耐用年数を超過している可能性もあるため、機能診断調査を実施する。」とされているのに、被告においては、かかる機能診断を行っていない。それにも関わらず、本件浄水場の設備が老朽化していると断じる根拠はないと言うべきである。

★注2 なお、被告は、平成19年7月6日付「話し合い再開に当たっての質問書に対する回答について」(甲11)において、既に取水ポンプを714,000円で購入しているのにその事実を隠して「ポンプ代金については、ポンプが約190万円」になります(同4頁 取水ポンプについて)と虚偽の説明をした。


 2.府営水に余裕がある?
 府営水の年間受水量は、平成10年以降総じて減少してきているにもかかわらず、被告は平成14年になって、協定水量を3%増やした(乙7)。必要以上に購入水量を増やしておいて、余裕があるからという理由で開浄水場を休止するというのは、およそ合理的とは言えない。
 他方、被告水道事業管理者は、平成19年6月宇治市議会において、協定水量は過大な契約ではなく適正である(むしろ水道使用量のピーク時を考慮すれば余裕はない)と答弁している(甲35号証178頁 ★注3 ) のであって、「余裕がある」という主張とは異なる答弁をしている。
そもそも、府営水の受水量に余裕があるからといって、本件浄水場を休止する必要があるという関係にはならない。従って、受水量に余裕があるということは、休止する必要性の根拠とはならないのである。

★注3 桑田水道事業管理者は「受水量の契約量が1日当たり6万2,800トンが適正ではないとのご意見ですが、水道水の使用の最も多い6月から9月には、1時間当たり2,600トンの水を京都府より受水しております。(略)水道使用量のピーク時を考慮し、市民の皆様に安定した水道水を供給する立場から、現在の1日当たり6万2,800トンは決して過大な契約を行っているとは考えておりません。」と答弁している。


 3.水質
(1)被告も認めるとおり、本件浄水場の水道水(浄水)は、飲料水としての基準内にあり安全な水道水である。にもかかわらず、被告が原水の悪化を休止理由にしているのは、本末転倒であり、全く理由にならない。
(2)原水の悪化は、産業排水、生活排水、肥料や農薬、化学物質流入等により、地下水よりもむしろ河川・ダム水で顕著に進行してきたのであり、被告の理屈で言えば府営水こそ問題なのである(それが水道行政にとり重要な課題であった。)
(3)事実、府営水の原水は、琵琶湖を水源とする天ヶ瀬ダム湖水で、カビ臭や藻臭があり、一般細菌や大腸菌も存在するなど汚濁物質が多い。また、高マンガン、白濁水流入によるアルカリ度やPH値の変動見られるなど、本件浄水場の原水である清澄な地下水とは大きく異なるのである。
 このため府営水においては、凝集沈殿や急速ろ過に加えてオゾンや活性炭による高度処理を要する。しかも、浄水でも、発ガン性物質である総トリハロメタン値が開浄水場よりも20倍以上悪い。水源である琵琶湖の水質悪化が懸念される今日(毎日・日経新聞)、今後さらに原水が悪化する兆しがあるなか「安全であっても安心」とは言うことができない状況にある。
(5)本件浄水場の原水に混入しているトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン量は、京都府保健所など三部門合同調査結果のコメントにあるように、「体重50キログラムの人が毎日約20リットル一生飲み続けても健康への影響はないと考えられる」程度のものである(平成19年4月13日付京都府調査結果。甲6末尾)。しかも、これらは、エアーレーションで容易に除去できるものであり、現に本件浄水場では平成3年にエアレーション設備を設置してこれを除去している。また、その水質が年々悪化しているとの事実はない(被告の説明は虚偽である。)。
(6)被告は府営水と本件浄水場との水に差異はないと主張している。しかしこれも事実に反する。「おいしい水の要件」(1985年に厚生省による「おいしい水研究会」が科学的な数値で表現したもの)に基づけば、「おいしい水」の水温は20℃以下である。年間を通じて16℃、夏場においても19.5℃の開浄水場給水と、季節により約10℃から26℃の間を変動する府営水では、「おいしさ」が客観的に全く違うのである。また、硬度は「10~100mg/l」とされているが、硬度が低い方がくせがなくおいしい水とされているところ、約30度の超軟水である本件浄水場の水と50度前後の一般的な河川水である府営水とではうまみが異なるのである。
 以上のように、水質の点は本件浄水場の休止の理由にはなり得ないのである。
(7)なお、水質について補足すると、本件浄水場の給水(原水)が水道水基準(環境基準値)を超えたのは平成2年であるが、被告は原告らにその事実を何ら告げず、その対策のために平成3年に曝気装置(エアーレーション)を設置した。その結果、水質が大幅に改善されたとして以後今日まで、給水を継続してきたのである。現在も、その状況に変わりがない(エアーレーションにより浄水の水質には何の問題もない)。ところが、被告は、平成19年になって突如、原水の水質悪化を声高に叫んで本件浄水場の休廃止を主張し始めたのであり、被告のその姿勢は原告ら住民に対してあまりに不誠実と言う他はない。

 4.小規模浄水場の統廃合
 中・長期整備計画は、「合理的かつ総合的な水道施設整備」を基本方針として掲げるが、浄水場の統廃合はその施策とはされていない(同36頁)。施設の機能診断調査を実施することを指摘するのみである。
 ちなみに、中・長期整備計画が施設の老朽化を問題点として指摘し、統合を含めた更新の必要性について言及しているのは、神明浄水場と奥広野浄水場であり(甲3号証37頁)、本件浄水場ではない。
 被告は、本件浄水場は給水収益が悪いと主張するが、むしろ逆であって、本件浄水場は給水収益は極めて高い。
すなわち、本件浄水場の場合、浄水費は24.4円/t、配水費0円/t、給水費0円/tであるのに対し、府営水の場合は、浄水費82.8円/t、配水費は数多くの配水池を経由する配水設備の建設・維持・運転費を要し、給水費も配水池から家庭までのポンプや水道管建設費・運転費を要する(甲67)。


第6.開浄水場を休止することは市の水道政策に反している



第7.開浄水場の休止に至る手続の不合理性・説明責任の欠如



第8.結語


 被告は、被告が開町・広野町桐生谷住民に対して本件浄水場の水を供給することとなった歴史的経緯や今日まで本件浄水場から給水をしていた事実を完全に無視して、突如として地下水の水質や更新費用等の問題を持ち出し、本件浄水場の休止を正当化しようとしている。これらの事実を踏まえるならば、被告は個人原告らに対して単に水を供給すれば足りるのではなく、開浄水場の水、ないしそれに代わる現在給水されている地下水を供給すべき義務があることは明らかである。
 ところが、今、被告は本件浄水場を休止して府営水に切り替えようとしている。それに対して、個人原告らは、現在飲んでいる地下水の供給を今後も続けて欲しいと主張している。
本件の争点は、本件浄水場の水の給水に代えて、府営水を供給することに正当な理由があるのか(本件浄水場を休止する合理的な理由があるのか)にある。
 どうか裁判所におかれては、被告の債務の目的は何か、給水契約において特定の水を供給する義務が観念できるのか、どの浄水場の水を供給するかは水道事業者の裁量の範囲内であるなどという被告のごまかしのレトリックに騙されることなく、上記の争点の審理に直ちにお入りいただきたい。そして、原告らの望む地下水の供給を認めていただきたく切望する次第である。
以 上
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6.原告・意見書

.水質について(本訴意見書)改訂 E  081021.doc「河川水と地下水、その水質の違いについて」


【休止差止請求訴訟】
訴状・答弁書(1/16,7/9)
本訴-準備書面(7/15)
本訴-準備書面Ⅱ(9/4)
本訴-準備書面Ⅲ(10/7,12/26)
本訴-準備書面Ⅳ(1/21)