Cryptococcal Meningitis



鑑別診断
単核球優位の細胞増多を示す髄液所見と糖の低下より:
真菌性髄膜炎(クリプトコッカス)
結核性髄膜炎
癌性髄膜炎
ウイルス性髄膜炎


 Gd造影にて脳幹部及び脳表面の髄膜(軟膜)が造影されている。このような所見は、結核や真 菌の感染を契機に血管炎が起こるために強く造影されると考えられており、これらの診断にか なり有用(Pathognomonic finding)である。





治療経過中に左半身麻痺を起こした際に撮影した造影MRI.。右前頭葉にリング状に造影される結節影を認め、クリプトコッカスによるgranuloma(Cryptococcoma)と考えた。この時には周囲に浮腫を伴っており、この結節の圧迫による麻痺と診断した。


 上記のような疾患が鑑別に挙げられたが、MRIの特徴的な所見より真菌性(特にクリプトコッカス)と結核性髄膜炎の
 可能性を強く疑った。真菌性の診断目的にて髄液の墨汁染色・クリプトコッカス抗原を提出し、結核に対しては
 ADAやPCRを提出した。墨汁染色は陰性であったが、クリプト抗原が16倍と低値ながら陽性であった。ADAやTb PCRは
 3回提出したが陰性であり、最終診断はクリプトコッカス髄膜炎とした。Amphotericin Bとフルシトシンの併用で、
 6週間治療し、その後に経口のフルコナゾール200mgに変更した。 髄液所見は正常化し、クリプト抗原も陰性化した。
 髄液の培養は何れも陰性であった。
 本例はHIV(-),HTLV-1(-)であり、また他の免疫を抑制するような疾患も検索したが、明らかな基礎疾患は分からなかった。
 1年前にブドウ膜炎の既往があり、また入院時に頸部に小さなリンパ節腫脹があり、サルコイドーシスやベーチェット病
 などの可能性も考えられたが、現時点では不明である。


                                          2001.7.31 松田・吉留・久松

最終更新:2006年08月19日 14:00