症例検討会 2005年11月11日 今村病院分院
1)検診で胸部画像異常を指摘された男性.縦隔リンパ節が累々と腫脹し,VATSで得られた検体で
sarcoidosisの診断が確定した症例.アプローチの是非について,がテーマでした.
提示者は松田先生.
「破門になりそう」とのことでしたが,「症状は生理学的に.病変は病理学的に.」の基本の観点
から,決して問題のあるアプローチではないと思います.
が,多少難を述べればPETは余計だった気がします.PETの読影コメント(MLの可能性があり
ます)が背中を押す強いきっかけになったことは事実でしょうけど,それをやって方針が変わっ
たかどうかは疑問です.要するに,ほっとくか組織で確定診断をつけるかです.
結果的に,臓器機能障害のないsarcoidosisということでobservationでよいわけですけど.
PETの偽陽性例は,昨年だったか航先生が肺MACで出していたように,今は「出したもん勝ち」
なので,ちょっとあたってみて誰も出していなければきっとアクセプトされそうな勢いです.
2)提示者は松木薗.
67歳肺腺癌女性.多発脳転移に対して全脳照射+化学療法で,突然発症した意識障害+呼吸困難
(低酸素)+胸痛.DVT/PTEのリスクファクターであることは既知のことですが,鑑別と同時進行
の治療のプロセス,IRBBBがあるときにMIはどう考えるか,のほか本邦初の64MDR-CT画像を供覧
しました.
3)鹿児島市医師会病院池田先生による,発熱と重度の下痢を呈した虫垂炎の高齢女性の症例.
こういうところに出て来る症例は一筋縄では行かないことが多い(バイアスかかってますね)
ですが,common diseaseのatypical presentationとして興味深かったです.
FOMが使われていたのがちょっと?でしたが,代理提示だったので,まあ突っ込みは控えて
おきましょう.
4)大学吉村先生による,IBM(Inclusion-body myositis)のリハビリ中に頭痛を来たし,吐き気・嘔吐
と小脳症状を呈した症例.acute (abrupt) onsetではなく,site of lesionはcerebellarで,
courseはvascularなので,それと併せてもCTでは梗塞の様に見えますが”なんか違う”,
Venography(? sinosography?)をみたあとではやっぱり違う.
”なんか違う”の感覚を養うことは大事ですね.穿ってみてばかりだとそれはそれで”
ちょっと違う”方向性ではあると思いますが...静脈洞血栓症の症例でした.
以上,主観を交えてご報告でした.
最終更新:2006年10月12日 23:35