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Diagnostic approach to syncope      12/01/2000 Yoshikazu Hisamatsu,MD.


Problem: 入院中の患者が倒れたとcallされた。Bedsideに到着した時に....

1.What should we do first?-- まず何をすべきか?

    1.Check conscious status!
      意識は完全に回復している→原因診断へ。
      まだもうろうとしている--- 痙攣後は回復後も完全に覚醒していないことがある。
      まだ意識消失の状態--- 誤嚥防止のために左側臥位をとらす。
        持続時間が長い→心原性か神経原性が疑われる。
        IV line確保。EKG check、monitor装着。
        低血糖が疑われる状況では50%糖液を静注。
    2.Check vital signs !
      脈拍は?--- 通常、心拍数40未満、180以上でなければsyncopeは起りにくい。
      血圧は?--- 徐脈+血圧低下はvasovagal syncopeを疑わせる。もちろん房室ブロックも考える。
      体温は?--- 発熱があればそれに起因する脱水、痙攣後、髄膜炎からの痙攣なども考える。
    3.Look for evidence of trauma.
      転倒に伴う外傷を素早くチェックする。
      口腔内の裂傷(舌、頬粘膜)は痙攀によるものかもしれない。
    4.Confirm whether it was syncope or fall !
      単なる転倒だったのか、意識消失が原因で転倒したのか確認する。

Problem: 転倒する前に意識を失っていたことが判明し、syncope を疑った。


Syncope

1.Definition

    急性の脳血流低下に起因する,一過性の意識消失。
    意識消失までいかない前段階:presyncope, lightheadedness, faintness と呼ぶが
    これらを含めてsyncopeと考えることが多い。

2.Causes of Syncope

   Cause & Prevalence of syncope, % (range)
  A. Vasovagal (Vasodepressor, Neurocardiogenic) syncope, 18% ( 8-37)
  B. Sudden decrease of venous return, 5% ( 1-8 )
   1.Micturiton or Defecation syncope
   2.Cough syncope
   3.Valsalva maneuver
  C. Orthostatic hypotension, 8% ( 4-10 )
   1.Hypovolemia
    a.Dehydration
    b.Blood loss, anemia
   2.Neurologic causes
    a.Diabetes
    b.MSA(Shy-Drager syndrome, OPCA..,),
    c. Peripheral neuropathy, pandysautonomia, tabes dorsalis
  D. Medications, 3% ( 1-7 )
    a. Diuretics, Anti-hypertensives, Tricyclic antidepressant--- orthostatic hypotentsion
    b. digoxin, β-blockers, Ca-blockers---- bradycardia
    c. qunidine,procainamide, dysopiramide, amiodarone, antihistamine--- Torsa de pointes
    d. oral hypoglycemic agents, insulin --- hypoglycemia
  E. Cardiac syncope
   1.Arrhythmias, 14% ( 4-38 )
    a. Tachyarrythmias
       Ventricular tachycardia, Torsa de pointes
       Supraventricular tachycardia, WPW syndrome
    b. Bradyarrythmias
       Sinus bradycardia
       A-V block (second- and third-)
   2.Structural causes, 4% ( 1-8 )
    a. Aotic stenosis, Hypertrophic cardiomyopathy
    b. Atrial myxoma
   3.Others
    a. Pacemaker syncope
    b. Primary pulmonary hypertension
    c. Myocardial infarction
    d. Cardiac tamponade, Aortic dissection, Pulmonary embolism
  F. Cerebrovascular accident
   1.Basilar artery insufficiency
   2.Subarachnoid hemorrhage
   3.Subclavian steal syndrome
   4.Carotid sinus syndrome
  G. Miscellaneous causes
   1.Hypoglycemia
   2.Psychiatric, Hyperventilation, 2% ( 1-7 )
   3.Seizures
   4.Hypoxemia

3.What is the cause of syncope? --- 問診と身体所見にて50%は原因が判明する。

Medical interview
  1.What was the patient's activity and position immediately prior to the incident ?
    (直前に何をしていたのか、どのような体位・行動をとっていたか?)
    臥位にて起った場合--- Stokes-Adams attack をまず疑う。
               低血糖発作や痙攣の可能性も考慮する。
   座位や立位時に起こった--- vasovagal syncope や起立性低血圧が疑われる
   労作時や労作中のsyncopeは心臓由来(特にASやIHSS)のことが多い。
   首を捻ったりしていなかったか?-- 頸動脈洞症候群
   咳,排尿,排便後に起こっていないか?
   痛みや感情的刺激が直前にあった--- Vasovagal syncope を疑う。
   腕を動かしているときに起こった--- subclavian steal syndrome

  2.How did the patient feel immediately prior to the loss of consciousness ?
  (倒れる直前の気分はどうだったか?)
   Vasovagal syncope、低血糖発作は直前に悪心、発汗、顔面蒼白などを随伴することが多い。
   痙攣ではauraがあるかもしれない(稀)。
   起立性低血圧や心原性では前駆症状は無く、突然起こることが多い。
   四肢のしびれ感は不安症や過呼吸症候群でよくみられる。
   動悸の有無--- 心疾患の可能性。

  3.What is the type of onset ? (発症形式は?)
   突然の発症(数秒以内)は起立性低血圧、心原性を疑わせる。
   数十秒から数分での発症はVasovagal syncope、過呼吸症候群、低血糖を疑わせる。

  4.How quickly was the consciousness regained ? (意識の回復具合はどうだったか?)
   臥位をとると数秒以内に完全に回復した--- Vasovagal syncope、起立性低血圧を疑わせる。
   もうろうとしている--- 痙攣、低血糖発作が疑われる。
   回復までに時間がかかったが、その後の意識は清明--- 心原性を疑わせる。
   まだ意識が戻っていない--- 心原性や神経原性を疑わせる。

  5.Has the patient ever had a seizure ? or Was any seizure-like activity witnessed ?
  (痙攣発作であった可能性は?)
   痙攣様の不随意運動は目撃されていないか?
   失禁は?--- 痙攣以外のsyncopeでは括約筋の緊張は保たれるので、失禁は起こらない。
   auraの有無は?

  6.What medical conditions dose the patient have ? (現在罹患している疾患や既往歴は?)
   Is there any history of cardiac disease or diabetes? (特に心疾患や糖尿病の病歴はどうか?)

  7.What medications is the patient receiving ? (服用中の薬剤は?)



Physical examination
    Vital signs:繰り返して測定する。
     血圧の左右差があればsubclavian steal synd. も疑われる。
    HEENT:外傷(頭部、口腔内)をチェック。発熱があれば項部硬直を確認。
     結膜所見にて貧血の可能性をチェック。
     頚動脈雑音(carotid bruits )をチェック。
     subclavian steal synd.が 疑わしければ鎖骨上・下の血管雑音も確認。
     眼底もチェック---出血があればクモ膜下出血も考える。
    Chest:wheeze,crackles→誤嚥による肺炎が起こっていないか?
     CVS :心拍数とリズムを確認。
     収縮期雑音は無いか?--- AS,PS,HCM
     頚静脈の拍動が臥位にてみられない(Flat JVP)---脱水を示唆
    Genitourinary system: 失禁の有無をチェック。GI bleeding が疑わしければ直腸診も行う。
    Neurologic exam--- Focal sign の有無。感覚障害のチェック。

    Orthostatic hypotention test --- 起立性低血圧が疑われる患者で再現されるか確認してみる。

Laboratory data
  syncopeの鑑別は多く、またそれに応じて検査も多くなりがちである。
  不必要な検査を省くためにも、病歴と身体所見が重要である。
  ・EKG
    診断に直結することは少ない(約5%)。
    1度房室ブロック、脚ブロック、洞性徐脈の所見は徐脈性のsyncope を予測させる。
    陳旧性心筋梗塞の所見、著明な左室肥大所見、PVCなどがあれば心室性頻脈由来のsyncope を
    予測さ せる。
    非侵襲的・簡易・安価な検査であり、syncopeのwork-upではルーチンに勧められる。
  ・CBC,Electrolyte,Glucose
    貧血、不整脈や痙攣の原因検索のための電解質異常、低血糖のチェック目的。
    ルーチンに提出する必要はない。
    病歴と身体所見から予想されり異常を確認する目的でオーダーする。
    予想外の結果が出る可能性はかなり低い.
  ・Neurologic testing---Brain CT, MRI,Electroencephalogram (EEG), Carotid ultrasonography
    ルーチンに施行する意味はない。
    病歴と身体所見より、CVA, Seizure など神経疾患が疑わしい患者のみに考慮すべきである。
  ・Carotid massage
    頚動脈洞の過敏性を確認するには有効だが、手技自体が脳虚血を起こす可能性があるので
    外来ベースでは行わない方が良い。
    行うに際しても対側の血管に狭窄が無いか、bruit の有無などを確認し慎重を期する。
  ・Head-up tilt table testing
    Vasovagal syncope の診断に有用。syncope を繰り返して起こし、心原性のsyncope の可能性が
     否定的なcase を対象に行う。(1回きりのエピソードでは行わない)
    標準的な方法は無いが、通常60〜80度の角度で30〜40分間施行する。
    これまでのstudy からは感度は30-85%と幅広く、特異度は80-90%と考えられる。
    Vasovagal syncope がかなり疑わしいが、tilt table testing が陰性であった場合には、
     β刺激薬のイソプロテレノールを投与しながらこの検査を行うこともある。

心原性のsyncopeに対するtests
  • Holter EKG
  病歴と身体所見より不整脈が示唆されたり、原因が不明であったり、心疾患をもっていたり、異常な
  EKG所見がある場合には勧められる。
  • Echocardiography
  病歴と身体所見より不整脈、心疾患が示唆されたり、異常なEKG所見がある場合には重要である。
  ルーチンに施行する意義は不明。
  • Exercise stress testing
  労作中に起こったsyncope のwork-up に勧められる。HCM を疑う場合には心エコーを先に行う。
  • Electrophysiologic study (EPS)
  心疾患がある、心筋梗塞やうっ血性心不全の既往がある、心電図で異常がある等の場合にはかなり
   有用な検査となり得る。

◎まず問診! そして身体所見とEKG!




参考文献
1.Clinical guideline; Diagnosing syncope Part1. Ann Internal Med. 1997 ;126:989-996
2.Clinical guideline; Diagnosing syncope Part2. Ann Internal Med. 1997 ;127:76-86
3.Alexis M. et al. Vasovagal syncope.Ann Internal Med. 2000;133:714-724
4.Steven A et al. Internal Medicine On Call 2nd ed. Connecticut : Appleton & Lange
5.Marshall. On Call , Principles and Protocols 3rd ed. Philadelphia : W.B. Saunders
6.Harrison's Textbook of Internal Medicine