Cerebral Toxoplasmosis




 67歳男性のAIDS患者。CMVによる直腸炎や陰部潰瘍にて入院治療中であった。
入院後4ヶ月して少し物忘れしやすくなったのではと周囲よりの訴えがあり、MRIを撮影した
ところ(右側)、TIにてリング状に造影される腫瘤を数個認めた。
入院時はToxoplasma IgG抗体価が512倍(既にこの時点から高かった)であったが、MRI(左側)
では特に異常をを認めていなかった。
 病変が認められた時の抗体価は32768倍と著明に上昇しており、画像所見と血清学的な証拠より
Cerebral toxoplasmosisと診断した。
 AIDS患者では中枢神経原発のLymphomaとの鑑別が必要となってくるが、タリウムを用いた
SPECTにてLymphomaではuptakeが上昇し、toxoplasma抗体価と合わせると、これら2つの
判別に有用であるという報告が最近多くみられるため、本患者でもSPECTを行ったがuptakeは
認めず、Toxoplasmosisの診断をより支持する結果となった。
前記のような曖昧な症状以外は特に病変に起因するような症状はみられなかった。




                               コロッケ会 2001/07/05
最終更新:2006年08月17日 00:28