57歳男性、何も効かない肺炎
症 例 57歳男性。症例3と同じ症例。
主 訴 低酸素血症、胸部異常影
既往歴 #糖尿病 食事療法のみでコントロール良好。
家族歴 特記なし。
生活歴 飲酒なし。喫煙 一日1箱。
現病歴 平成12年4月より粟粒結核にて入院加療中。
多臓器不全のため、人工呼吸管理、CHDF(結核による間質性腎炎?で無尿)、IVH管理下で
あった。
その他胃結核による消化管出血、肝結核による著明な黄疸、結核性髄膜炎、結核性腹膜炎など
があったがINH,RFP,PZA,EBの4剤で加療してしだいに改善。
人工呼吸からも離脱して少量の食事をとれるまでに改善していた。
ところが5月になり熱発、血液培養よりカンジダとEnterococcusが認められたため、Wルーメン
を抜去しフルコナゾールとVCM(後にABPC)で治療開始して解熱していた。
ところがその一週間後より発熱はないものの低酸素血症が徐々に進行。胸部レントゲンでも
両肺野にび慢性に肺胞性の陰影が進行。喀痰のグラム染色では好中球が少量のみ。ガフキーは
2号。呼吸状態は悪化傾向であったためIPM/CS、EMを開始したが、人工呼吸管理となる。
そこでBAL施行後ステロイドパルスを行い、ST合剤も開始。若干改善したが、また悪化。
血液培養は陰性。喀痰培養の結果はMRSAとアスペルギルスであったが、スメア上は何も
見えないため加療せず。サイトメガロ抗原は陽性細胞数168個で陽性と出たためガンシ
クロビルを開始したが改善なし。
現 症 血圧120/90 脈拍94 呼吸数14 体温37.6℃
意識混濁。頚部硬直なし。心音正常、肺音両側にlate crackleみられるも、入院時とさほど変化なし。
黄疸改善傾向。腹部膨満。皮膚所見著変なし。
検 査 WBC 23700 (Neut 92% Lymp 2% Eos 1% ), Hb 8.2, Plt4.1×104,
AST 23, ALT 12, LDH 733, ALP 602, CRP 8.0
BUN 44, Cr 1.8, Na 133, K 3.8, Cl 94, Ca 6.8, Glu 102
胸部レントゲン 両肺野に肺胞性の浸潤影あり。
問題点 抗結核剤、フルコナゾール、ABPC使用中に出現した熱を伴わない肺炎。
IPM/CS、ST合剤、ステロイドパルス、EM、ガンシクロビルに反応しない肺炎。
経 過 上記のような治療に全く反応がなく悩んでいた時にCHDFの廃液を溜めている容器が
写真のようになっているのに気づいた。
最終更新:2006年09月07日 21:52