Hypoparathyroidism and Fahr syndrome

てんかんの既往の無い成人の初発の痙攣発作であり、鑑別にはCVD、脳腫瘍、代謝性疾患中毒、Alcohol
withdrawal、てんかん発作などが挙げられる。

生化学で血清カルシウムの著明な低下と血清リンの上昇を認め、また頭部CTでは大脳基底核と小脳に一致
して石灰化と思われる高吸収域が認めれられた。
血清PTHは150(正常160-520)と低下し、1-25-(OH)2VitD 25.4 (20-60)であり、副甲状腺機能低下症と
診断した。偽性副甲状腺機能と鑑別するために実施したEllsworth-Howard試験では正常反応であり、
特発性副甲状腺機能低下症と診断した。
以前からの筋肉のつる感じ(muscle cramp)や痙攣発作は低カルシウム血症に起因するものと考えられ、
また身体所見での小脳失調所見や軽度のrigidityは、頭部画像所見にて示された著明な石灰化部分が原因
病巣と考えられた。

大脳基底核や小脳の著明な石灰化を示すこのような疾患は、Fahr病と呼ばれている。加齢とともに
大脳基底核の石灰化はある程度は認められるが、本疾患はその程度が著明で、比較的若い世代に認めら
れることが特徴である。
症状は本疾患で見られた痙攣の外にもテタニ−や大脳基底核の病変によると推定されるchoreathetosis、
Parkinsonian syndromeを呈する。常染色体劣性遺伝形式の家族例も報告されている。
本症例ではカルシウム製剤の経口投与を行ったところ、血清カルシウムの改善を認め、その後は痙攣発作
の再発はみられなかった。                   

同一症例のMRI

                                     01/19/2001  井上

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最終更新:2006年09月18日 15:39
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