Case 14 29歳女性。右胸背部の疼痛、全身倦怠感、発熱

診断 
   #レプトスピラ脊髄炎
   #レプトスピラ肺炎
   #糖尿病性ケトアシドーシス

入院時、肺異常陰影と脊髄炎がみられ、DKAは2次的に引き起こされたと考えられた。DKAを治療しながら、
肺炎と脊髄炎を生じる原因を検索した。鑑別として感染症、血管炎を含む膠原病、脊髄血管病変(壊死性血管炎)
等をあげ、ステロイド、抗生剤、アシクロビル、高圧酸素療法等を使用した。しかし、髄液所見の改善とは逆に
症状は進行していき、T4以下の全感覚脱失、対麻痺となった。
結局入院後以下のような検査結果で、上記診断とした。
ハワイは米国のレプトスピラ症の大半を占める地域であるが、本人は明らかな曝露歴はない。
レプトスピラ肺炎はこれまで幾つもの症例報告はあるが、脊髄炎についてはない。(髄膜炎はもちろんあるが)
レプトスピラ肺炎の場合はpneumonitisやhemorrhageやARDSの形をとることが多い。

【入院後検査所見】
     血液・髄液・尿培養:negative
     TSH:0.22 T3:0.37 T4:8.1 IgG:1187 IgA:238.0 IgM:265.4 IgE:58
     CK分画 CK-MM:99.5 CK-MB:0.5 CK-BB:0.0
     抗核抗体:20倍(speckled) P-ANCA:10未満 C-ANCA:10未満 C3:128.7 C4:26.8
     ループスアンチコアグラント:1.1(1.3以下) 抗カルジオリピン抗体 0.7未満(3.5以下)
     RPR test:(-) TPHA:(-) 
     髄液クリプトコッカス抗原:陰性 髄液トキソプラズマ抗体:<16 髄液細胞診:negative
     髄液オリゴクローナルバンド(-)
     血中 単純ヘルペスIgM:(-) 抗体指数:0.44(0.80未満) 単純ヘルペスIgG:(-) EIA価:2.0未満(2.0未満)
     クラミジアニューモニエ AIGG IgA判定:(-) IgA cut-off index:0.859 IgG判定:(+) IgG cut-off index:2.314(0.9未満)
     マイコプラズマ抗体:80倍(<40倍) 寒冷凝集素:128倍(<256倍) 髄液マイコプラズマPA法:40倍未満(40倍未満)
       →11/24マイコプラズマ抗体:40倍 寒冷凝集素:64倍<ACE:11.9(7.0-25.0)
     抗GAD抗体:109(4.9以下) IRI;食前:28.5 食後2時間:43.8 血中C-peptide 尿中C-peptide
     ツベルクリン反応:negative 髄液 ADA:0.1 Tb PCR:negative 髄液 乳酸:40.0
     サイトメガロウイルス CF:16倍(4未満)HIV-1,2抗体:(-)HTLV-I:negative
     11/19 レジオネラ抗体:<64倍 

     転院直前 レプトスピラ;アキヤミA:<10倍 アキヤミB:<10倍 アキヤミC:<10倍 カニコーラ:<10倍
     入院後レプトスピラ;ワイル病:<40倍 アキヤミA:80倍 アキヤミB:<20倍 アキヤミC:<40倍
     4週後 レプトスピラ;アキヤミA:<10倍 アキヤミB:<10倍 アキヤミC:<10倍 カニコーラ:<10倍


この症例についてのコメント募集します。            西垂水  2000.2.8


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最終更新:2006年09月14日 22:33