DM Type 1B



【診断】DM Type 1B
【入院後経過】
DKAの治療に準じて生食補液、ヒューマリンの持続点滴を開始、同日夜には血糖が250mg/dlに下降。食事摂取可能を確認し、ヒューマリンの持注を毎食前:速効型+眠前:中間型の4回皮下注射へ変更した。インスリン分泌能ほとんどなく大量のインスリンを必要とした。昼食前血糖200台で、食後に同じ運動量(食前インスリン量は一定)をしても日により低血糖を来たしたりが何度かあり一日3回食では血糖不安定のため5回の分食を採用、その後は食前血糖80~200前半(低血糖なし)にやや落ち着いた。
ペンフィルR(12,7,10)+ペンフィルN(12)で退院となった。


Type 1B はType 1Aと違い急性発症し、数日でインスリン分泌能不全となるため 初診時DKAで発見されることが多い。
AKIHISA IMAGAWAらはNEJM 2000;342:301にこのタイプの症例をまとめて報告している。
Type 1B DM の特徴は非自己免疫性、劇症型1型糖尿病で日本人の成人に発症する

自己免疫性との相違点は
1)自己抗体(ラ氏島抗体・GAD・IA-2・インスリン抗体)がいずれも陰性
2)発症が急激で状態はシビア
  高血糖症状があって糖尿病と診断されるまでの平均期間は4日であった。
  この短期発症はHbA1C、グリコヘモグロビンが低値であることに反映されている。
  尿中Cペプチドは低値である。
  このためDKAで初診されることがほとんど(報告例は全例DKA発症)である。
3)膵酵素の上昇
  腹部エコーは正常、生検:外分泌にT-cellの浸潤(ただし典型的な急性慢性膵炎の所見である浮腫・壊死・出血・膿・嚢胞形成・センイ化の所見は報告例ではいずれもみられなかった)

原因はウイルス説が言われていますが不明です。(本症例は約10日前に感冒の先行感染ありましたが。) 
北九州に多いようです(実は糖尿病をローテーション中もう一例経験しました)が、日本各地で報告例があり症例数は少なくないようです。


                       2001.2.10 徳永

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最終更新:2006年09月18日 15:29