Hypokakemic myopathy secondary to RTA type1


 四肢近位筋優位の筋力低下・筋肉の自発痛と把握痛を認め、筋力低下の原因は何らかのミオパチーと考えられた。急性の経過を考えると内分泌・代謝性が疑われ、検査上は著明な低カリウム血症とCKの上昇を認めたことより、筋力低下は低カリウムによるミオパチーと診断した。心電図では低カリウム血症時に特徴的なU波が認められた。
 他の鑑別としては重症筋無力症や、反射の低下からギランバレー症候群も挙げられるが、電解質異常やCK上昇、筋痛などから否定的であった。

 低K血症著しいことより、入院後はまづK補充を優先させ、その後HCO3補充を開始した。2/7には歩行可能となり、hand grip;(2/7)rt.16,lt.12,(2/10)rt.21,lt.23。2/10にはMMT;UE/LE,proximal/distal;5/5 full、reflex低下も改善した。

 治療と並行して低カリウム血症の原因を検索した。ANA;2560↑, RNP;2.7, ss-DNA;12↑, ds-DNA;<10, SS-A抗体;133.5↑, SS-B抗体;7.4, IgG;2088↑, IgA;327.0, IgM;127.2, C3;149.5, C4;22.2, TSH;3.39, FT4;1.13.
 通常の食事摂取かつ尿中ナトリウム排泄量も100mEq/dayを越えている条件のもとで血圧は高くなく、尿中K排泄15mmol/day以上でありTTKG=7.1(>4)、metabolic acidosis;(2/6;RA,RR21)pH;7.360, pCO2;25.0, pO2;102.0, HCO3;13.8, Na133, K;1.5, Cl;116, AnGap;3.2(正AG性matabolic acidosis+軽度respiratory alkalosis)認めることより低K血症の原因としてrenal tubular acidosis typeⅠが疑われた。尿pH=7.303、尿AG=64+13.6-71=6.6>positiveであり、typeⅠを支持する所見であった。


 腹部CTにて両側腎髄質に放射状に広がる多数の石灰化濃度認め、renal tubular acidosis type Ⅰに伴う石灰化に合致する所見と思われた。

 唾液腺シンチにて両側耳下腺・顎下線での集積低下(特に顎下線)、ビタミンCによる排泄試験で耳下腺では反応鈍く、顎下線ではほとんど反応認めず、耳下腺での集積カウントは通常の1/3以下に減少しており機能低下は顎下線同様顕著であり、Sjogren's syndrome compatibleの所見であった。

 (耳鼻科受診)sialographyにて典型的ではないがapple tree様の所見あり。
 (眼科受診)シルマーテスト;rt.17mm,lt.15mm, ローズベンガルテスト;陰性。

 Sjogren's syndromeにRTA type1を合併し、それによる低カリウム血症、更には急性のミオパチーまで併発したものと考えられた。


                           05/18/2001  高田

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最終更新:2006年09月18日 15:53