Endophthalmitis with liver abscess



眼窩部MRI(FLAIR法)

眼窩部MRI,FLAIRでは,左眼部周囲の肥厚とともに,眼球内の脳によると思われる二ボー像を呈しており,眼窩部蜂窩織炎と眼内炎を起こしていた.

左硝子体培養からKlebsiella pneumoniaeが検出され,AST,ALT,ALP,γ‐GTP等肝胆道系酵素の上昇がみられた。
眼内炎の内因性原因検索として,腹部CTを施行したところ,下のようにS7領域に単純でψ5cmの低信号域を認め,造影のearly phaseにおいて,内部が不均一に造影される所見がえられた. 典型的な被膜形成はないが、
肝膿瘍と考え,肝膿瘍原発の転移性眼窩蜂窩織炎,眼内炎と診断した.


腹部CT

CAZ点滴静注,左結膜下局注,当科入院より,IPM/CSの点滴静注,CAZの左結膜下局注,ステロイド・パルス療法により,治療し,眼窩部の腫脹発赤,眼痛,炎症反応,胆道系酵素は,減少を認めた. しかし,治療開始が3月7日発症から,6日経過後であったため,視力については,入院時の光覚弁(‐)からの回復は得られなかった.

J. Am. Coll. Surg., 1996, 182: 33-36に掲載されたFong-Fuらの報告によると,352例の肝膿瘍経過中,11例(3.1%)に眼内炎を合併しており、.そのうち,肝膿瘍穿刺培養8例中7例,血液培養11例中10例,硝子体培養10例中3例にクレブシエラが検出されている.また,眼内炎発症後1日以内で治療開始した群は,それ以外の群に比して,有意に視力予後が良好な結果となっており、早期診断の重要性が強調されている. 眼内炎の原因として,内因性のものは約5〜10%であり,髄膜炎,心内膜炎,尿路感染症からが多く,肝膿瘍からの転移は数は少ないが,眼痛,眼部腫脹発赤等症状を呈し,外傷などの既往が無く、内因性と考えられる場合,速やかにこれら原因検索を進め,治療を施す必要がある.


                                          2001.8.04 西郷



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最終更新:2006年09月19日 00:06
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