花咲雷鳴(はなさき らいめい)


『現世への執着』

初恋の女の子に自分の気持ちを伝えるため

キャラクター設定

小柄で痩せ型の体型ながら、そこそこ凛々しい顔立ちをした男の子。
髪型は、前髪が視界に入らない程度の長くも短くもない状態を適当に維持している。

体格の関係上、実年齢より幼く見られがちだが、格好良いことは格好良いので、
気さくに接すれば女の子にも多分モテる……のだが、
生憎、当人は女の子と接するのが苦手であったため、その外見はあまり役立たなかった。

基本的に物事をよく吟味し、几帳面にこなす慎重派。
ただし、ここぞというときは思い切り良く行動力を発揮する。そんな男の子。

黙々と作業を重ねることが得意で、勉学と肉体鍛錬を怠らなかったため、
学業成績は優秀、身体能力も攻撃特化型ながら、なかなかのもの。

自分のことに熱意をあげて打ち込むばかりだったため、
やや世間の常識に疎い、子供らしさを多く残したままの男の子、だった。
話しかけられればよく喋るが、話しかけられなければ黙っている、そんな自己集中タイプ。

本戦式に表すならば生前のステータスは以下の通り。
攻撃:20 防御:0 体力:5 精神:5 FS:0

地獄では耐久力が上がっているため、恐らく以下程度のポテンシャルは発揮する。
攻撃:20 防御:5 体力:10 精神:5 FS:0

頑丈な魔人でなければ、当たり所が悪ければ一撃で即死しかねない攻撃力と、
人間であれば、たとえ格闘家の攻撃であろうと、受け切っても反撃の余力を残せる頑丈さ。
今回のトーナメントでは、この基礎体力の高さをメインウェポンに戦いを繰り広げる予定。

特殊能力『LOVE and PIECE 改め 地獄の沙汰もLOVE and PEACE』

花咲雷鳴の特殊能力『LOVE and PIECE』


好きな子と手を繋ぎたい。
好きな子と一緒に歩きたい。
好きな子と同じ景色を見て、同じ音を聴いて過ごしたい。
誰もが抱く、些細で繊細な願い。そんな気持ちが募って発現した能力。

一度ターゲッティングした相手の腕や足、視覚や聴覚を好きなときに『奪い』、保管する。
この能力を受けた相手は突如として『奪われた』部位の機能、感覚を失う。
もしも雷鳴が心臓や頭を相手から奪えば、その場合、相手は即座に死亡する。

元々、この能力には隠匿効果がついており、
この能力により起きた事象が魔人能力によるものであると認識されることはなかった。
しかし、今日からは新たな自分として生きようと雷鳴が決心した日、隠匿効果は消失した。

雷鳴が恋をした相手に対してのみ使用可能な能力。
だが、今回のトーナメント中にこの能力が使われることはない。

今回のトーナメント中に使用する特殊能力『地獄の沙汰もLOVE and PEACE』


初恋の人からもらった4枚の鉄板に備わった魔人能力。
写したいと念じた対戦相手の『奇跡を願う思い』と『魔人能力』を写す能力。

魔人能力コピーは上書き式のため、1枚に同時に複数の能力を写すことはできない。

4枚のうち3枚までは既に使用済みであり、かつ上書きも出来なくなっているため、
雷鳴がコピー能力を使用できるのは4枚のうちの1枚のみ。

雷鳴の中二力を吸収して効力を発揮しているため、
この鉄板を使用することができるのは雷鳴だけである。
この鉄板に能力の源を吸われているため、雷鳴は自身の能力を使用できない。

プロローグSS

プロローグ1

幼い頃に一目惚れした女の子のことを想い続け、
でも告白する勇気が持てずに遠くからこっそり見守る、そんな臆病な男の子。

好きな子と手を繋ぎたい。
好きな子と一緒に歩きたい。
好きな子と同じ景色を見て、同じ音を聴いて過ごしたい。
誰もが抱く、些細で繊細な願い。その気持ちが募って魔人となった、そんな男の子。

恋をしたあの日から、
魔人となったあの日から……。

自分の恋心を隠し、幾年か過ごし、
自分が魔人であることを隠し、幾年か過ごし……。


けれど、自分のことを伝えない、一方通行の恋を続けるのはもう嫌だ。
雷鳴は初恋の女の子に自分の気持ち、自分が魔人であることを伝えようと決心する。
しかし、その言葉は聞き届けられることなく、その想いは伝えられることなく、終わる。

女の子を『呼び寄せ』『面と向かい』、告白をしようとした雷鳴であったが、
目をぎゅっとつぶり、自分が魔人であることを告げた雷鳴が、語り終えて目を開けたとき、
眼前にあったはずの初恋の人の姿はなく、おぼろげな彼女の残滓がそこにあるのみだった。

逃げられてしまったのだろう。

自分には何が足りなかったのか。

その後しばらくは酷く落ち込んでいた雷鳴であったが、しかし、やがて奮起する。
うじうじしてなんていられない。自分から変わっていかないといけない。

以降、雷鳴は勉学に励み、身体を鍛え、日々を暮らしてきた。

――いつかまた、初恋の人に。
――今度こそは、しっかりと。
――あの子に、自分の気持ちを伝えよう。

その胸に、どうしても晴れることのない、靄のような彼女の残滓を抱えて。
きっとこの靄は、その想いを伝えられたとき、晴れるだろうと信じて。




プロローグ2

今にも泣き出しそうな空模様。灰色の雲がどす黒く変色しだしているし、早く帰らないと。
遠くに聞こえる繁華街の雑音が、薄青く染まった街の景色に寂しさを加えている気がする。
鉄錆のジンとくる臭いと、油のモヤっとした臭いと、とにかく湿っぽい臭いが胸を圧す。

ああ……いやになっちゃうなぁ。

時折、あちらこちらを窺いながら、ゆっくりと移動する黒尽くめの大きな人影。

ああ……まいっちゃうなぁ。
今日は本当に、気分が良くない。ついてない。

「いたか?」
「いや、だがこの辺に隠れてるだろ」

変な人達の数は3人。どうも僕のことを探していたみたい。
こんな天気だし、さっさと帰ろうと思った矢先のことだった。
こんな日に限って、いきなりあの人達に追い回されたのが今の事態の始まりだった。

本当に……僕が何をしたっていうんだろう。

まあ、いいや。役に立たないことを思い出しても、感傷に浸っていても、しょうがない。
まずは現状をどうにかしなくちゃ。
左肩からたすき掛けしているショルダーバッグの位置を正し、気合充填。

さて、どうしよう。まいったなぁ。もう一度確認。変な人達の数は3人。
捕まったら酷いことをされそうだし、ここが学校の中なら思いっきり暴れちゃうけど……。
街中、魔人、殺人事件……魔人警察。やだやだ。怖い怖い。

多分、ヤクザ屋さんだよね。あの人達。みんなスーツ姿に強面の男の人。
脛に傷を持つ人達なら……怪我くらいなら黙っているよね。多分。
よし、ちょこっと暴れて、その勢いで逃げちゃおう。

人通りの少ない路地裏。十字路の先端が行き止まりになったような形の場所。
僕のいる場所はその行き止まりの先端部分。遺棄されてる家電の山の陰。
行き止まりのブロック塀は高いから、よじ登っている間に見つかっちゃうだろうし、
正面突破しよう。

表通りとの境を見張っている1人はとにかく、残りの2人が他所を見ているうちに……。
あ、まずい。1人がこっちに来ちゃった。……ええい、もう!仕方ない!

「アッ!テメ……」

こっちの姿を認めた途端、怒りの表情を見せてスーツの胸元に手を差し込む男の人。
でもそこは僕の間合い。一足飛びでそのお腹に一発、パンチを叩き込む。
左拳に伝わるぐちゅっとした感触。何か言いかけていたけれど、呻き声を残して倒れる相手。
まず1人目。死んでないよね……死んでいませんように。

こうなったら仕方ない。迷わず家電の山を蹴飛ばす。
錆とか油とかが混じった黒い水飛沫をまき散らして、洗濯機や冷蔵庫が宙を舞う。
飛ぶ家電の横を並走するように、僕も猛ダッシュ。ここで一気に逃げ切ろう。

「待てコラァ!!!」

上手い具合に家電達が十字路の中央、やや右寄りにドカンガチャンと落下する。
さっき右側に1人、歩いていってたから、その人はこれで僕が走り抜ける邪魔は出来ない。
即席バリケードの向こう側、男の人が腹立たしげに怒声をあげているのがちらっと見えた。

あとはひたすら一直線。
拳銃を取り出して、こちらへ構え、立ち塞がっている、最後の1人。

ずっと身体を鍛えてきたから、この通り、瞬発力には自信があるけれど。
正直、何か武術を習ったわけでもないし、防御のいろはだとか、銃器への対処だとか、
そんなことはさっぱり分からない。

だからこんな時、どうすればいいかって。
僕がやれることは多くない。

自慢の足で全速力。
それまで握り続けていた左拳を、相手に向かって振りぬく。
左手から放たれたブロック塀の破片が、銃を構える男の人の左脛をしっかりと捉えた。
……緊急事態だったし、ちょっとくらいブロック塀壊してても……ごめんなさい。

「あがッ!?」

銃口を中空へと逸らし、奇声と共に、つっかえ棒を失くしたみたいに斜めに倒れる男の人。
倒れている最中に、男の人を一気に飛び越え、表通りへゴールイン。
飛び越える際には男の人の拳銃を蹴っ飛ばしておくことも忘れずに。

「あぐぅっ……くっそ!待て!」

背後から声だけが追いかけてくるけれど、これでなんとかやりきった。
防御のいろはだとか、銃器への対処だとか、そんなことはさっぱり分からない僕だけれど。
だからこそ、やれることには迷わない。

あるいはこっそりと身を隠し、機を窺い。
あるいは真正面から、全速力で。
相手の攻撃より先に、自分の攻撃を当てる。それで大体なんとかなる。

「テメェ!うちのお嬢様に手を出しておいて無事で済むと思うなよォッ!」

訳の分からない言葉が聞こえてくるけれど、気にしていたって仕方ないから、帰ろう。
ああ、とうとう雨が降り出してきた。

本当にもう……今日はついていない一日だなぁ。
魔人警察とか……家に押しかけてきたらどうしよう……やだなぁ。
どうか来ませんように!


――――――


「どうだったかな?今日の僕、格好良かった?」
「な、情けなかった……かな?」
「で、でもね!ほら!ちゃんと右手は君のこと、ずっと離さなかったでしょ!」
「怖かったかな?まったく、あの人達、なんだったんだろうね」
「……どきどきした?」
「……ね、ねぇ」
「あ、あのさ……僕達、付き合ってもう1週間になるし……」
「キ……キスとか……」
「ねぇ……顔を……こっちに……」
「……」
「……また……逃げられちゃった」
「……」
「……やっぱりこんなこと、良くないよなぁ」
「あの子に会いたいなぁ」



プロローグ3


「「「というわけで皆さん、生き返りたかったら死ぬ気でがんばってくださいねー!」」」

よし、やろう。
何でか知らないけれど、僕は死んでしまったらしい。
でも、何だか知らないけれど、生き返るチャンスがあるらしい。

僕にはまだ遣り残したことがある。
あの子にもう一度会って、この気持ちを伝えたい。
あの子に面と向かって、あの子の名前を聞いて、そして僕の名前を伝えたい。

惚れっぽい性格だから、あれから沢山の女の子と付き合ってきたけれど、
やっぱりあの子のことが、いつまで経っても忘れられなかった。

毎度毎度、ここぞというときに女の子に逃げられちゃって、ファーストキスもまだだけど、
それもやっぱり、あの子を忘れられない僕への、神様からの罰なのかもしれない。

幸い、腕っ節には結構自信もあるし。
思いっきり暴れて、きっと生き返ってやろう。

それであの子に伝えよう。

君の名前も知らないけれど、僕は君のことがずっと好きでした。

僕の名前は――


――――――


「花咲雷鳴といいます。
 家族には、裸繰埜家身割(らくりのやみさき)雷鳴って呼ばれています。どうか――」

これからずっと、よろしくお願いします。




■花咲雷鳴 補足

自覚なき日常系殺人鬼。
好きになった女の子の手や足、視覚や聴覚を奪い、
身近なものに封じ込めて一緒にデートをしていた。

自分の能力を把握しておらず、
キスをしようと相手の頭全体を奪うことで幾人もの女の子を殺してきた。

相手が死んだ瞬間に、奪った部位は靄のように霞んでしまい、
以降、新たな部位を奪うことも出来なくなるため、
雷鳴はこれを相手に逃げられたと勘違いしている。

初恋の人を知らず殺した際に、女の子に逃げられない男になろうと奮起する。
その後も多くの女の子を殺しつつ、頭脳・肉体鍛錬に明け暮れていた。

一通りの鍛錬を終え、今日からは生まれ変わった自分として生きようと決心した際に、
能力にかかっていた隠匿効果が消失。

その後、一度死んだり、生き返ったり、騒動があったものの、
やはり能力使用による無自覚の殺人を繰り返す日々を送る。

いつしか、雷鳴は一部の人間からは抗生剤あるいは変異種とも呼ばれる、
裸繰埜一族の一員として生活することとなる。

そんなある日、大組織の一人娘を能力ターゲットにした際、
組織の人間に雷鳴の存在がばれ、最期は闘争と逃走の日々の末、死亡した。


MPおよびGKスタンス

キャラ 能力 SS ボーナス 増減 仕様
2 1 2 5 ゆとり


最終更新:2012年05月29日 21:48