不破原 拒(ふばはら こばみ)


『現世への執着』

死後の世界。
半ば夢物語と思っていた世界の実在を、自らの身を以て知ったことで
『改造』に関する新たな着想を男は得た。

しかし、実証のできぬ理論はしょせん机上の空論に過ぎない。
だからこそ。
何としても現世へと舞い戻って『実験』する必要がある。
そして有意義な結果を、あるいは無様な失敗を得なければならない。
全ては、自らの信じる科学の為に。

例えそれが、他人にとって狂気と悪趣味の塊であろうとも。

キャラクター設定

希望崎学園・理系科目担当の教師。
端正な顔立ちを覆い隠すように伸びた黒髪と、その下で光るメガネが特徴。
白衣を常に着ている。
少し弱気な面があるものの、授業は丁寧でわかりやすいことから
生徒からはそれなりに親しまれていた。

が、それはあくまでも仮の姿。
本性はマッドサイエンティストという言葉がこれ以上ない程に相応しい人格破綻者。
豊富な知識と悪魔の如き知恵で冷酷・残忍な性格を隠し、周囲を欺いて目星を付けた相手を攫っては
様々な『改造』を施した上で飼育・観察していた。
他の人間や生物を実験動物としてしか見ておらず、自らの興味と好奇心の赴くままに
実験動物を弄ぶのが趣味でありライフワーク。
また、『失敗作』や『試作品』を学園に解き放ってはそのデータを集め、よりおぞましい『改造』を行っていた。
その過程で多くの生徒・教職員を巻き込み、希望崎に恐怖と混乱をもたらすこととなる。

人前では物腰柔らかく普通に喋るが、『実験』中はどこかネジが緩んだような喋り方になる。
また「キキキキキキターッ!」といったように、単語の一部を連呼するクセがある。

ある事件で遂にその尻尾を掴まれ、生徒会の名を受けて動いた
『七芸部』の精鋭七人によって、その生命を絶たれる。
しかし、死して尚。彼の遺した『実験動物』によるトラブルは絶えない。


【一人称】私
【所持品】実験道具一式・メス・注射器・薬品など

特殊能力『超科学的改造術』

自らの思い描く物体・生物のイメージを、中二力によって触れたモノに流し込むことにより
ごく僅かな時間で、思い描いた別のモノへと造り替えてしまう能力である。
範囲は無機物・生物を問わず、自らの肉体もこの能力によって自在に造り替えることが出来る。
また、複数の物質を材料にすることや、特定の成分を抜き出して利用することも可能。
造り替えた物体は、不破原が死んでも消滅しても元に戻らない。
(戻すこと自体は「物質の時間を巻き戻す」等の能力で対処可能)


生命を無から生み出すことはできず、生物を造る場合は他の生物を必ず素体にする必要がある。
自分以外の生物に対して使用する場合、「相手が自分より下等な生命体(小動物など)」か
「相手の精神が折れている・弱っている、もしくは相手の同意がある」ことが条件となる。
生み出された生物は、基本的には不破原の実験動物としてコントロールされる。
知的レベルは素体の生物に大きく左右され、生物を複数融合させた場合は合成数が増えるほど理性が落ちる傾向がある。

気体は基本的には「触れない」ので、造り替えることはできない。
ただし、気体を造ることは可能。
能力は希望崎学園関係者のみに知られている。

プロローグSS

「えー、このように陽イオンは電子を手放して+に、陰イオンは電子を受け取って-になります。
 +だから受け取った、-だから手放した……と逆に覚えないように気をつけて下さいね」

六時限目、第二理科室。
黒板に簡単な図解を描きながら、一人の教師がイオンについての説明を行っている。
熱心な生徒が頷きながらノートを取り、普通の生徒が黒板の内容を写し、
不真面目な生徒は欠伸をしながら携帯電話を弄っている。
なんら変哲のない、日常的な化学の授業だ。

教師の名前は不破原 拒、希望崎学園の教師である。
化学の他にも生物・物理・地学と、理系科目全般を担当している。
少しよれよれの白衣と、目元を覆い隠す程に伸びた髪は、見た目にも
理系教師――それも、根暗な研究者の典型を思わせる。
事実、彼は弱気な面があった。不良生徒の振る舞いも、半ば黙認している節がある。
それでも、生徒からの質問には丁寧に答えるし、授業を脱線して語る冗談や雑学は
普段怠けている生徒も、思わずクスリと笑ってしまうものがあった。

総合的に見れば――いい先生だ、と多くの生徒が口を揃える。

「……と、本日はここまで。
 何かわからないことがあったら、後で聞きに来てくださいね」

チャイムが鳴り、本日の授業が終わる。
だが、彼の一日はまだ終わりではない。
大事な、しかし誰にも知られることのない――重要なタスクが、残っている。

~~~~~~~~

放課後。
希望崎学園の端にある、小さな飼育小屋に、不破原はいた。
正確に言うなら――その地下に隠された彼専用の『実験室』に、である。

「ン~……さぁて、“みんな”の様子はどうでショ?」

飼育小屋の面積の十数倍はあろうかという広大な地下の空間を、ステップを踏みながら歩く。
白い壁と床が広がるその部屋には、

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!」
「キィー…… キィー……」
「あは、あはは、あはハはハハは」

大小様々の檻が、所狭しと並んでいた。
中にいるモノもまた――様々であった。

トカゲと猪を混ぜ合わせたような、不格好な獣。
蝶の羽と頭を持つ、全長30cmほどの小さな人間。
下半身がスライムのように溶けている男子学生。

統一感のない異形が押し込められた檻からは、雄叫びや壊れた笑い声が響く。
しかし、不破原は――
「うんうん、みんな元気そうですネ!」
髪で覆い隠された上からでも解る程に、喜色満面の笑みを浮かべていた。

「さて、新入りのコ達の調子はどうでしょうカ……」
不破原が、比較的新しい檻の前で立ち止まる。
中にいたのは、

「あはぁ、はぁん、あははははあ」
「はぁ、ふああ、あ、あぁん」

服を着ていない、年頃の娘二人――『だった』モノである。
二人とも希望崎の女子学生で、いわゆる百合関係にあった。
そんな二人が、人目を忍んで飼育小屋の前で逢っていたことが災いした。
ほどなく不破原の目に留まり、二人まとめて捕らえられ――
肉の塊から、二人の上半身と脚が突き出た姿へと変えられた。
その際、性器部分が癒着した影響で――二人は常時、性的快感に震え続けている。
彼女達は、文字通り『一つになれた』のである――無論、それは到底幸福とは程遠い姿だが。

「いやあ、愛する少女達を結びつけるなんて!流石ワタシですねえ!」
びくびくと震える二人を横目に、自画自賛の言葉を吐く不破原。
その視線は興奮していたが――そこに、性的興奮は無い。
あるのは、自らの思いつきがさも最上であるという、根拠のない過剰な自信への陶酔である。

「っととと、そういえばエサの時間でしたねえ……」
そう呟きながら、中程にある大きな檻の前に立つ。
直径数mに肥大した腹によって、手足と首が埋没し。
代わりに、奇妙な肉の管が大量に生えた生命体がそこにはいた。

――おそらく、コレが元々は飼育委員会の男子だったことを一目で見抜ける者はいないだろう。

「彼も本望でしょうネ、皆の栄養供給タンクなんて大役!
 飼育委員冥利に尽きるというものですヨ!」
誰に聞かせるでもない賞賛の言葉を叫びながら、肉の管を他の檻へと差し込んでいく。
管が全て行き渡ったところで、不破原が管の根元に巻き付いたベルトを外す。
と、その瞬間。

「があああああああああ!!!あがああああああああ!!!!」

飼育委員の腹の中で生産された栄養液が、多数の管を一斉に駆け昇る。
そして管の終点では、ドロリとした液体が噴水の如く同時に飛び出していく。
その液体を、貪るように他の生物が舐め取り、飲み干す。
これが、この『実験室』で日常的に行われている食餌風景なのである――!!

「がああああああああ!!ひいいいいいいいいぃぃぃぃ!!!」
そしてその間、元・飼育委員だったモノは。
腹の中身を出し切るまで、絶え間ない激痛に苛まれるのだ。
当初は、放出時に快感――射精のソレを数十倍にしたものを与えるように設計したのだが
快感を求める余りに、十分な栄養液が溜まる前に勝手に放出してしまうので――
痛覚を刺激するように造り替えた。
その結果の、絶叫である。

やがて、腹がしぼみきって――股間に生えた無数の管以外、人間の姿とほぼ変わらない状態に戻った
男子学生は――そのままばたり、と倒れ込み……ぴくりとも動かなくなった。

「んん? ……オーマイガガガ、死んじゃいましたカ……」
男子学生を一瞥し、冷めたように呟く。
「痛覚に脳が耐えきれなかったのですかねえ……マ、飼育期間115日なら、保った方ですネ」
肩を竦め、檻を開き……体温を失い始めた『実験動物』を外へと引き摺り出す。
「とはいえ、代わりを用意しなくてハ……やれやれ、今日は厄日ですネ」


十数分後――
檻の中には再び『栄養供給タンク』が用意された。
それは先刻、授業中に携帯電話で遊んでいた不良生徒だったのだが――不破原にとっては、全く関係のないことだった。

MPおよびGKスタンス

キャラ 能力 SS ボーナス 増減 仕様
2 2 2 -1 5 ドM


最終更新:2012年06月24日 18:37