右手首の怨念(みぎてくびのおんねん)


『現世への執着』

なんか倒さなければいけないような相手がいるような気がするため

キャラクター設定

とある剣士より切り落とされた手首と感情が、怨念により自我を持った者。
空くまで切り落とされた部分を核に誕生したため、過去の記憶などは曖昧。自分が鬼無瀬時限流の剣士だったことと、自分を切り落とした相手への強い怨み以外は断片的な記憶しか持っていない。

地獄に落ちた時点では右手首しかなかったが、怨念と発生した能力により現在は一応人間としての形をしている。

性格はよく言えば純真、悪く言えば単純でだまされやすい。
能力により作られたかりそめの体は十代後半の巨乳の女の子であることも、はたから見れば御しやすく感じさせることに拍車をかけている。

が、女性と見て侮るなかれ。
人間離れ――否、魔人離れした身体能力と三尺と五尺のニ刀から手足を扱うように繰り出される斬撃、そして奥義や禁じ手までも駆使した鬼無瀬の技は、たとえ生前に鬼無瀬の剣士と対峙したことのあるものでも目をむくだろう。

【所持品】
  • 三尺之太刀『ニ刀路』
とある魔人鍛冶師によりうたれた刀。
鬼無瀬御用達の品であり、同銘の刀は多数ある。
特徴は魔人の力、魔人の技で振るっても『折れず』『曲がらぬ』こと。
一撃虐殺を標榜する鬼無瀬時限流の剣士にとってもっとも重要視されるのは「何人切っても刀の体裁を保てる」ことであり「刀の切れ味など鬼無瀬時限流の技術の前では誤差にすぎない」のである。


  • 五尺之大太刀『俱利瀬鈴』

とある魔人鍛冶師によりうたれた刀。
鬼無瀬御用達の品であり、同銘の刀は多数ある。
五尺という長さはすでに一般的な「刀」に分類すべきものではなく、槍等と同様の長柄武器である。
重量や重心の観点から言っても、片手で扱うのは狂気の沙汰。抜刀術など笑い話にしかならない代物。
が、魔人を甘く見るなかれ。
一般人から見れば常識外にしか見えない事を実現するのが魔人の力、ましてや魔人専用に発展した技術である鬼無瀬時限流からすれば、五尺の刃などまだ常識的な範囲である。

特殊能力『右手首の怨念』

形をもった怨念としての能力。
怨霊としてはまだあやふやな彼女は、右手首から先以外の部分に確固たる実体が無い。

故に、戦闘中であっても右手首以外の部分を非実体化し攻撃を透過させることができる。

ただし、意識的に非実体化させようとしないとこの効果は発揮しないため不意打ちや奇襲には意味がない。
また、攻撃の最中は全身を実体化させているため、カウンターを防ぐことも出来ない

プロローグSS

『怨みの源、あるいは地獄の永い責苦の合間にみた短い夢――』

これは、いつのできごとだろうか――

対峙しているのは高校生ぐらいの男子。
相手はこちらを年下と見て油断しているのだろう。表情にはあきらかな油断が見て取れる。
だが、それをとがめられるほどの実力は私にはあるのだろうか……
額を汗が流れる。
緊張で竹刀を持つ手が震える。
相手の背後に、私をこの道場に誘ってくれた師範代の姿が見える。
背が高く、悪相で、筋肉の塊のような体格をしている師範代。
彼は私と目があう。感情の見えない目。
その瞳に何が込められているのかは分からなかったけれど――
それを見た瞬間、手の震えはぴたりととまった。
ふっと、軽く呼吸をする。
剣士としては致命的な隙。
それを見過ごすほどの相手でもなく、振るわれた竹刀は私の眼前せまる。
だが。

「一本!それまで」

相手の剣先が私に触れるよりも早く勝利が告げられる。
習ったばかりの技――基本の基本、初伝「抜駆逐」
私の放った技は、名前にたがわず抜くと同時にあいてを倒していた。
キツネにつままれたような表情の相手の背後、再び師範代の顔を見る。
常に不機嫌そうに見える悪相の師範代だが、そのときだけは、微笑んでいたように見えた。

これは、いつのできごとだろうか――

「受けきれ、とは言わん」

師範代の声。

「技を見せた事を、後悔させるなよ」

私は全神経を集中させる。

「鬼無瀬時限流奥義――」

振るわれる刀は影すら残さず。

「『暮蛇蛙』」

遅れて、無数の攻撃が私へと殺到する。
刃の届かぬ射程、明らかに振るった太刀数より多い攻撃。
手数が足りない、攻撃がさばききれない――
だが――
――見え

そう思うと同時に、私の意識は消え――

「……空、君のやり方はどうも荒っぽくていけないね。技をみせるにしろ、もっとやり方があるだろう?」
「全、お前のやり方を否定するわけではないが――『ザザッ――』は体で覚える奴だ」

2人の男性の声で目がさめる。
どれだけ気絶していたのだろうか。
気づけば、私の上にコートがかぶせてある。

「それにしたってやりすぎだろう……大体、暮蛇蛙を見せるならなんで私を呼ばないんだ」
「……一番上手い奴が見せる。それが道理だろう」

話しているのは、希望崎道場の師範代2人だ。

「ほう?その言葉、いくら空の言うことといえ聞き捨てならないな」
「だとしたらどうするのだ?」

2人の間に張り詰めた空気が流れるけれど、言ってはなんだがこれはこの二人の師範代にとっては日常茶飯事で
思わず、私の口から笑いがこぼれた。

「……なんだ、起きていたのか」

張り詰めた緊張の糸がほぐれる。
悪相の方の師範代は呆れた顔を、美形の師範代はやさしい笑みを私に向ける。

「大丈夫かい、『ザ――ザザッ』?」

美形の師範代の問いにこくりとうなずく。

「そうか、じゃあ――」
「見えたか?」

悪相の師範代が言葉を継ぐ。
私は深呼吸をし、うなずく。

2人の師範代が破顔する。
まるで我がことのように喜ぶ2人をみて、私は――


これは、いつの出来事だろうか――

……師範代はもう、居ない。
1人は、外道と堕ちた後、鬼無瀬の誇りを守るために姿を消し。
1人は、最強へと登りつめた後、己の誇りを守るために彼を追った。

私は、2人の居場所を守るために、2人の戻ってくる場所を維持するために――

「どういう事ですか!」

私は代表と秦観に食ってかかる。

「何故、私ではなくあなたが鬼無瀬の正統を――」
「わきまえてください『ザ、ザザッ』。いくら候補だったとは言えあなたは所詮一道場の師範代、我々の決定に口を出す権利は――」

代表の言葉を秦観が遮る。
彼は、柔和な笑みを浮かべ

「……不服ですか?」

背筋に寒気が走る。
この男が、こんな顔をするときは、絶対にろくなことにならない
だが、それでも。
空兄と、全兄のかえってくる場所を守るには――

「ええ。不服です」
「それなら―――」


『ざ、ざざッ――』
『ざ――――――――――――』

MPおよびGKスタンス

キャラ 能力 SS ボーナス 増減 仕様
1 3 2 1 7 ゆとり


最終更新:2012年06月24日 18:39