Aブロック第一戦場「蟻地獄」講評
赤鹿うるふ(あかしかうるふ)【ゆとり】
- 投稿者よりも存分に肉皮の能力を使用しています。特にVS赤鹿うるふ戦ではそれが顕著です。
- 肉皮の変身能力を外見だけと捉えず、身体能力まで拡大して解釈しているのは好判断ではないでしょうか。
- 利根アリアの迷路作成能力も舞台装置として最初に設定するだけに留まらず、赤鹿うるふの他者強化能力と組み合わせて戦況変化のアクセントとして上手い活用です。
- 前述のとおり、各キャラクターの能力使用がそれぞれ2~3回であり、単発で終わらない構成です。
- 能力バトルとしての要点を備えつつ、前編を通してのテーマ性も感じられます。
- 文字数9311
肉皮リーディング(にくかわ りーでぃんぐ)【ゆとり】
- 漁夫の利。時間制限のある戦場と他二人の能力を余すところ無く描写し、利用しています。設定を良い意味で裏切るシリアス展開が良いです。
- スペック的・能力相性的な不利を逆に活かして、微妙な読後感すら武器にしています。
- 文字数5665
利根アリア(とね ありあ)【ドM】
Aブロック第二戦場「畜生界」講評
夜魔口工鬼&夜魔口断頭(やまぐちぐれむりん あんど やまぐちでゅらはん)【ドM】
- 「俺達は先輩の頼みにになら~」⇒「俺達は先輩の頼みになら」
- 「転がっている獣を頭部を~」⇒「転がっている獣の頭部を~」
- 「紅が先ほどの攻撃を意にも解さなかった」⇒「紅が先ほどの攻撃を意にも介さなかった」
- 「その地は何かの図形や~」⇒ 「その血は何かの図形や~」
- 「では焼死ななかった理由は?」⇒「では焼死しなかった理由は?」もしくは「では焼け死ななかった理由は?」
- 「連側の攻撃を受け止め弾く」⇒「連続の攻撃を受け止め弾く」
- 「先ほどの地割れは違う牽制の一手」⇒「先ほどの地割れとは違う牽制の一手」
- 「軽傷にとどめる」⇒「軽傷にとどめる。」
- 「地獄の責めにでも会うんだろ?」⇒「地獄の責めにでも遭うんだろ?」
- オープニングが能力バトルの王道である敵の能力考察から始まっています。あえて対戦者と相対するところから書いていないのが効いています。
- 「へらへらと余裕の笑いを浮かべて、ニヤリと不敵な笑いを浮かべて~」二人組である事を生かした対比の記述は非常に好みです。
- 『数学格闘秘術』について。魔人能力と格闘技の設定を本人のプロフィールでは表現されていない部分まで分解し、再構成しています。戦闘能力に説得力が出ていると思います。
- 『百獣の道之崎オンセ』による獣の操作。このシーンは少し苦しく感じました。操作できる、というのは良いとして、魔獣は一体ずつしか召喚できない設定なのでルチオラとの同時発現はキャラ設定からは少し外れています。
- 『百獣の道之崎オンセ』による獣の群れへの潜伏&生命吸収。アイディアとしては非常に素晴らしいと思います。ただ、やはり魔獣は一体ずつしか召喚できない設定からは乖離していると言わざるを得ません。
- 法帖紅の死に様は、能力の代償設定を余すところ無く組み込んでおり、見事です。絶望の表情が見えるようです。
- 本文冒頭部分の挿入句を決着の理由に絡めて来たのは、不意打ち的でいて溜めが効いています。ただ、もう少し事前に匂わせておいても良かったかも。
- 文字数11576
法帖 紅(ほうじょう くれない)【ドM】
- 「狙いを定める獣がたちが」⇒「狙いを定める獣たちが」
- 「前進転の構え」⇒「前進の構え」?
- 「フッっと息を」⇒「フッ、と息を」?
- 「トドメを刺されそうなっていた」⇒「トドメを刺されそうになっていた」
- 畜生達の陰に潜ませた小悪魔たちが、その畜生達に襲われない理由が書けていれば潜伏にももう少し説得力が出たかと思います。
- オフィオファガスの能力を相当使っているものの、虚栄心の減少があまり描写されていないように思えたので、その辺りを詳述してほしかったところです。
- 人質展開は、対戦者の二人組設定をうまく利用しています。普通は人質を取った方が勝つ展開は少ないものなのですが。
- 文字数6930
鬼屋敷 凉(きやしき りょう)【ドM】
- 「鋼ととケイ素酸化物の~」⇒「鋼とケイ素酸化物の」
- 「鬼屋敷の一〇メートル先まで」⇒「鬼屋敷の一〇メートル手前まで」
- 「とりたった戦闘要素がない。」⇒「とりたてて戦闘要素がない。」
- 「口の橋から唾液を」⇒「口の端から唾液を」
- 「五メートル毎秒毎秒で」⇒「五メートル毎秒で」
- 「鬼屋敷加速を続け」⇒「鬼屋敷は加速を続け」
- 『大小様々な異形の生物が蔓延るこの畜生界では、ルチオラのような存在は逆に印象に残ってしまう可能性もある。』
この部分は異形の獣とただの蛍にしか見えないルチオラ、という対比意図だと思うのですが、それを活かすためにはもう少し畜生界の獣の異形さを詳細に描写しておけばより説得力が出たかと思います。
- ルチオラの収納は、同戦場SSの中でも一番ビジュアル映えする描写です。
- 『このライオンの存在を隠すため、あえて自らの能力を暴露したのだ。』
恐らく投稿者が意図したであろう、能力の部分隠蔽を演出しているところが高評価です。
- 畜生への実験もそうですが、全編に渡って論理的に考察する鬼屋敷の性格設定が徹底されています。
- 最終行が特に素晴らしいです。
- 文字数7161
Aブロック第三戦場「鏡面破心地獄」講評
安全院 綾鷹(あんぜんいん あやたか)【ドM】
- 「白い車体を目測を図る。」⇒「白い車体との距離を図る。」もしくは「白い車体との間隔を目測する。」(「目測」自体にはかるという意味が含まれている為)
- 「先ほどよりスピートは」⇒「先ほどよりスピードは」
- 「擦すれ合う音が響く。」⇒「擦れ合う音が響く。」
- 「態勢を崩していた」⇒「体勢を崩していた」
- 「アクセルとブレーキ踏めないことに」⇒「アクセルとブレーキが踏めないことに」
- 「観察を開始し始めていた」⇒「観察を開始していた」
- 「気を逃した」⇒「機を逃した」
- 「一度興味を持つとを」⇒「一度興味を持つと」
- 「緊張感のないこの上ない話だ。もとっとも」⇒「緊張感のないことこの上ない話だ。もっとも」
- 「失笑し続けれる者は」⇒「失笑し続けられる者は」
- 「歌を口ヅサミ始めた。」⇒「歌を口ずさみ始めた。」
- 「地面を観察してる。」⇒「地面を観察している。」
- 「彼女も慌て」⇒「彼女も慌て、」もしくは「彼女も慌てて」
- 「雷鳴が鳴り響く嵐の日」⇒「雷鳴が響く嵐の日」もしくは「雷が鳴り響く嵐の日」にした方が重複感は薄れるかと思います。
- 「より少女をより陥れるために」⇒「より強く少女を陥れるために」直前の文章から、「より」が頻出している為、ここは削った方がスマートかと思われます。
- 「幾学的な模様」⇒「幾何学的な模様」
- 「コンボイトレーナ」⇒「コンボイトレーラー」or「コンボイトレーナー」?
- 「稲妻は彼女の全てを爆し」⇒「稲妻は彼女の全てを曝し」
- 「驚くべき運動脳能力で」⇒「驚くべき運動能力で」
- 「だが現実は非常だ」⇒「だが現実は非情だ」
- 「別の中身のほう魔人の精神のほうに~」⇒「別の中身のほう、魔人の精神のほうに~」区切りを入れた方が良さそうです。
- 「過去の自分に囚われるず」⇒「過去の自分に囚われず」
- 「娘さんの名前呼ばれ」⇒「娘さんの名前を呼ばれ」
- 「”手を差し伸べれる”」⇒「”手を差し伸べられる”」
自分を名前で呼び、客観視するのはハリウッド的でかっこいい独り言です。
実は既に登場していた、は未知花の能力の初期描写演出としては優れた効果です。戦況を大きく左右するほどではなく、それでいて能力紹介の用を為しています。
英語での能力使用は想定外で、これはすっかり騙されました。非常に素晴らしいと思います。
背景の雷鳴を心境描写に上手く借景化させており、文章の語感的にも優れています。
おまえは何を言っているんだwww 思わず吹き出してしまいました。笑える狂人描写です。
- クルマ星人メイン部分は雰囲気ががらりと変わっていて、前後のシリアス感の強い部分の良いクッションになっています。
- 『その時速は優に時速40kmを超えていた。』
ここは時速を繰り返すよりも、別の表現(その速さは優に~等、もしくは40km毎時を~)にした方が良いように思います。
- 戦車のスペック表記は下手に戦闘描写するよりも雄弁に戦闘力を誇示でき、いい演出です。
- 『セダンの時は中途半端な熱感知自動システムが備わったため~』
セダンに熱感知自動システムが備わっているのは少し苦しいかな? と思いました。
アイディアとしてはシンプルながらも能力との組み合わせが良く、秀逸です。ただ、文章的に少し言い回しを変えた方がより伝わりやすいかと思います。
例えば、『しかし、その前進の先。先程未知花が一足に飛び越えたある地点、そこは『CROWN MAKE』が施され表面を偽装した窪みが。綾鷹と未知花が共同で作成した天然の落とし穴があった。クルマ星人はそこになすすべなく突っ込む』
- 単純に戦術的な意味だけではなく、戦車の構造的弱点をトラウマと捉える構成は戦場把握度が高く、見事です。
- 『投擲の為、振りあげ維持していた腕とナイフを~』
都合の良い選択肢以外の場合も想定して、その場合でも潰せていた描写は論理的説得力を感じさせます。
- 最後のくだりは詩的で涙を誘います。未知花がただの敵として終わらないところも良いです。
- 軽微な誤字脱字や重複表現が多いものの、話の構成力は非常に高いです。書き上げた後に一度推敲すれば更に読み易く引き込み易くなるのではないでしょうか。
- 文字数9198
未知花(みちか)【ドM】
- 「毎日ひたすらに酒を煽っていた。」⇒「毎日ひたすらに酒を呷っていた。」
- 「愛する娘に殴りつける。」⇒「愛する娘を殴りつける。」もしくは「愛する娘に殴りかかる。」
- 「あまり覗き見はいい趣味とは言えないな」⇒「覗き見はあまりいい趣味とは言えないな」
- 「砲台の標準が向けられる。」⇒「砲台の照準が向けられる。」
- 「ごめん、おじさん結構もうギリギリかも」⇒「ごめんおじさん、結構もうギリギリかも」こちらの方がしっくりくると思います。
- 「耳まで分投げるから」⇒「耳までぶん投げるから」語源的には分捕る、の分(ぶん)ではなく打つ(ぶつ)-投げるの方かと思われます。
- 『その差は、1対象の時は対象が近いほど近いことと、』
文章が途中のようで、意味が取りづらいです。
- 「やはり俺が生き返るべきだと思う」⇒「やはり俺が生き返るべきだと思う。」
- 「拳銃など持っていない」⇒「拳銃など持っていない。」
- 「君に投げらた時に」⇒「君に投げられた時に」
無意味な視点変換はあまり好まれない事が多いのですが、ここは後に続く人称変化を生かしていて上手いですね。
ここは虚像だとわかった理由の説明がもう少し欲しいところです。
ダブルミーニングは言霊の華です。
- キャラ投稿者の仕掛けた問いを、ある意味投稿者以上に見事に処理しています。
- 文字数8206
クルマ星人(くるませいじん)【ドM】
- 鋭利な切れ味を持つそれは「鞭」にして「定規」⇒「鋭利な切れ味を持つそれは「鞭」にして「定規」。」
- 安全院綾鷹の能力描写。連続使用は他の対戦者と比較しても強力さが出ていて非常に良いです。
- 『彼と、彼の娘を映し出す虚像に~』
現れた虚像に一瞬攻撃を躊躇い、その隙を突かれるというのが王道展開だと思うのですが、敢えてそれを外しています。ただ、その場合であってもどういう虚像であったかを詳述しておくのも一つの手かと思います。現れた虚像に、それでもなお攻撃する、という強さ(弱さ)を表現できるので。
既に脱落している者の影響が後まで続いている、のはいいですね。
最終更新:2012年06月24日 18:26