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導入部分シナリオ - (2012/03/08 (木) 22:46:00) のソース

http://mulberry.cside.com/smachine/intro.html より転載
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 ミシンがほしいなあ、買いたいなあ、って、ずっと思っているの。
 ミシンって、なんだか便利そうじゃない? 家にあったらいろんなものが作れそう。かわいい巾着とか、ポーチとか、バッグとか、もしかしたら自分の好きなデザインの服まで縫えちゃったりして!

 でも……ミシンって、よくわからない。
 一応家庭科の授業で使ったことはあるんだけど、最後に触ったの、もう何年前かなあ。

 ミシンって、種類も会社もいっぱいあるでしょ?
 大型スーパーの手芸コーナーでも何台か置いてあるし、手芸専門店に行ったらそれこそ十数台ずらっと並んでいるし。
 なんであんなに種類があるの? あれ、全部使い道が違うの?
 おまけに、通販のカタログにも載ってたりするじゃない? キャラクターのイラストがついてたりしてかわいいの。そういうのは一万円くらいから買えるけど、お店で売ってるのはその何倍もするし。
 でも、高いものが売られているって事は、それを買う人がいるってことよね。値段が高ければ、それだけ便利で使いやすいのかしら。

 周りに、ミシンに詳しい人っていないの。母も、持ってないしよくわからないって。
 ミシン売り場の人に聞いてみたらいいのかしら。でも「これがいいからこれ買いなさい!」って、その人が売りたいミシンや、値段の高いミシンを押しつけられたらちょっとイヤよね。
 この間、近所のスーパーで実演販売していて、ちょっと気になったんだけど、なんだか近寄りづらくて素通りしちゃった。
 だれか、私にミシンの選び方を教えてくれる人、いないかなあ――


*   *   *   *   *


 そんなことを考えながら商店街を歩いていたら、ふと、一軒の店が目に入った。
 洒落た色彩のオーニングと、全面ガラス張りの店頭。カフェかな、でなければケーキ屋さん? と思ったけれど、そのガラスに浮かんだ文字は、

『○○ミシン』

 思わず足が止まった。
(……え? ミシン屋、さん?)
 今まで気にしたことはなかったが、世の中にはミシンだけを売っている店、ミシン専門店というものがあるらしい。
(ミシン屋さんだったら、当然、ミシンのことには詳しいわよ、ね)
 ああいう店なら、自分がわからないことを、というか、自分はいったい何がわかっていないのかから、きちんと教えてくれるのではないだろうか。
 それでもどこか躊躇ったまま店内を眺めていたら、一人の女性の存在に気づいた。
 ガラスのすぐ内側の、作業用テーブルらしき机に向かって座っている、可愛らしい服を着た髪の長い女性。少しうつむき加減の視線は左手に持った刺繍枠に注がれ、右手は素晴らしいスピードで針を操っている。
 なにより、柔らかな陽の光を受けて微笑む、とても幸せそうなその表情が印象的だった。
(店員さん、かな?)
 あんな優しそうな人がいる店なら、いろいろと丁寧に教えてくれそうだと思った。
 自然と足が動き出し、気がついたときにはガラスの扉に手がかかっていた――

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こんな感じで考えてみましたが、いかがでしょうか。
どなたか(うさこさんかな?)が以前、「店頭でデモンストレーションをしている刺繍ミシンに一目惚れして連れて帰った人もいらっしゃるでしょう」とおっしゃっていたのが印象的だったので、刺繍ミシンさんに登場してもらいました。
この後工業用ミシンさんに声かけられたら、ちょっとびっくりしてしまうかな(笑)

なお、前半のプレイヤーの独白は、数年前、今のミシンを買うときに、私が実際に思っていたことです。
あの時、今回教わったような情報を知ることができていたら、ミシン選びも楽だったろうなあ、としみじみ思います。

2011.12.6 Tue.