プレイヤー、商店街の中の、一軒の店の前に立っている。

主 : このお店……よね。

ショーウィンドウに「最縫ミシン~貴方のミシン探します~」という文字。
「最縫」には「さいほう」というルビが振られている。

主 : 貴方のミシン探します、だって。
   選び方から教えてくれるのかな……

それでもどこか躊躇ったまま店内を眺めたプレイヤー、一人の女性の存在に気づく。
ガラスのすぐ内側の、作業用テーブルらしき机に向かって座っている、可愛らしい服を着た髪の長い女性。
少しうつむき加減の視線は左手に持った刺繍枠に注がれ、右手は素晴らしいスピードで針を操っている。
柔らかな陽の光を受けて微笑む、とても幸せそうなその表情が印象的だった。

主 : 店員さん、かなぁ。
   あんな優しそうな人なら、いろいろと丁寧に教えてくれるかな――

プレイヤーはガラスの扉に手をかけ、店内に入る。
ドアの開いた音を聞いて、奥から店長(以下「店」。実は工業用ミシン)が出てくる。

店 : いらっしゃいませ。

つなぎを着た中年の男性。人は良さそうだが父親ほどの年代だし、先ほどの女性と会話するイメージが
あったので、その落差にちょっと戸惑う。

主 : (あ、なんか違う人が出てきちゃった……さっきの店員さんの方がいいな……)

振り返ってびっくり。窓際に確かに座っていたはずの女性がいない。

主 : (え、あ、あれ?)

代わりにそこにあるのは、一台のミシン。刺繍のデモンストレーションの真っ最中。
戸惑っていると、店長が何かを悟ったように言う。

店 : ――もしかして、そこに誰かいましたか?
主 : え?
店 : 実はですね、この店、ちょっと変わってまして。
   ミシンがほしいって思っている人には、ミシンの妖怪が見えることがあるんですわ。
主 : (よっ妖怪!?)

プレイヤーが驚くと同時に、若い女性の声がする。

刺繍ミシン(以下「刺」) : もう、お父さん!

もう一度窓際を振り返ったプレイヤー、今度こそ言葉を失う。
なぜなら、確かにミシンがあって動いていたはずのその場所に、外から見かけたあの女性が座って
いたからだった。

刺 : 妖怪だなんて……せめて妖精っておっしゃってくださいって、あれほど!
店 : お前の方こそなんだ! 店では店長と呼べと言っとるだろう!

そこまで言い合った後、プレイヤーの存在を思い出す二人。

店 : いや、これは失礼しましたな。
刺 : (軽く咳払いをし)こんにちは。いらっしゃいませ。

にっこり笑って言われ、プレイヤー、我に返る。

主 : (ミシンの妖怪……妖精、なの? 本当に?)

でも、なぜか恐怖は感じない。
とても不思議で素敵な出来事が始まるような予感を覚える。

主 : (なんでだろう、不思議だけど、怖くない……なんだか私、わくわくしてる……?)

店 : いかがですか、お客さん。あなた、ミシンがほしいって思ってるんじゃありませんか?
主 : ――はい!

しっかりとした声で返事をするプレイヤー。
それを聞いて店長と女性は嬉しそう。

店 : では、あなたのミシンをお探ししましょう!(→決め台詞的に)
主 : よろしくお願いします。

店 : それで、どのようなミシンをご希望なんですか?
主 : それが……どんなミシンを買ったらいいのか分からなくって。
店 : ああ、なるほど。そういうことですか。
   では、これから私がいくつか質問させていただきますから、答えていただけますか。
   そのお答えを聞いたら、用途や使用頻度によってあなたにあったミシンがご紹介できると思います。
主 : はい、お願いします。
店 : では、まずは用途をお伺いします。あなたは、何のためにミシンを使いたいと思っていますか?


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