H17. 7.19 東京簡易裁判所 平成17年(ハ)第5837号 損害賠償請求

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平成17年7月19日判決言渡 同日原本受領 裁判所書記官 平成17年(ハ)第5837号 損害賠償請求事件 口頭弁論終結日 平成17年7月8日 判    決 主    文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請 求   被告は,原告に対し,12万8844円及びこれに対する平成17年4月3日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要  1 請求原因の要旨 (1) 原告は,平成17年4月3日午後5時過ぎ,被告の店舗A店(以下「被告店舗」という。)で食事をしたところ,被告店舗が管理する駐車場(以下「本件駐車場」という。)で車上荒らしの被害に遭い,原告所有の自動車(以下「本件自動車」という。)の運転席側窓ガラスを割られ,車内に置いていた別紙被害物件目録記載の物品を窃取された。したがって,被告は,本件駐車場の管理者として原告が被った損害を賠償する責任がある。 (2) すなわち,原告が前記日時ころ被告店舗に行き飲食を注文した時点で,被告との間で,本件自動車に積載の物品(時価12万8844円相当)について,寄託契約が成立した。本件駐車場は被告が管理するものであり,同所に駐車することによって,本件自動車及び積載物は被告が現実に管理支配が可能な状態に達していることから,原告と被告との間に黙示的に寄託契約(有償)が成立したものとみるべきである。 (3) また,本件駐車場は,来客者が被告店舗内で飲食する場合にのみ利用が許されており,当然,飲食代金には本件駐車場料金が転嫁されている。したがって,本件駐車場は無償で提供されているものではなく有償であり,被告は,原告との間に締結された飲食物供給契約の付随義務にも違反している。 2 被告の主張 (1) 原告との間には,寄託契約は成立していない。 本件駐車場には門扉が存在せず,来客者は空いている場所に自由に駐車できるうえ,被告は原告から本件自動車の鍵の引渡しも受けていない。被告は,原告に対し,単に駐車場所を提供したに過ぎない。 (2) 飲食物の提供と駐車場の利用とは全く別個の法律関係によるものであって,来客者の車両の管理が飲食物供給契約の付随義務となる余地は皆無である。被告は,来店する客の便宜に供するため駐車場を無償で提供しているに過ぎず,駐車場の使用関係が使用貸借であることは明らかであって,被告には駐車車両を管理する義務はない。 第3 当裁判所の判断 1 被告が本件店舗2階で来客者に飲食を提供しており,1階部分が同店舗の駐車場として来客者に対し提供している事実は,当事者間に争いがなく,証拠(甲1,2,乙1,3)及び弁論の全趣旨によれば, (1) 原告は,原告主張の日時ころ,仲間数人とエアロビクスに参加した後,飲食のため本件店舗を本件自動車で訪れ,本件駐車場に駐車させた後,2階部分で飲食した。 (2) 途中で戻ってみたところ,本件自動車の窓ガラスが割られ,車内に置いていたエアロビクス用品などを入れたスポーツバッグを窃取されていた。 (3) 本件駐車場は,広い通りの歩道に面し,駐車場入口の表示が設けられており,入口手前の矢印の表示に従って入ると,左右に駐車できるようになっている。 (4) 入口には門扉や仕切の柵等は設けられておらず,出入りは自由になっている。 (5) 駐車場に入って右側と突き当たりの壁部分に,「防犯カメラ作動中 お客様へお願い 防犯対策の為,貴重品等は必ず携帯するようお願い致します。※ 尚,当駐車場での事故につきましては一切の責任を負いませんのでご注意下さい。」という注意書きが張られている。 以上の事実が認められ,他に同認定に反する証拠はない。 2 ところで本件の主たる争点は,商法594条にいう寄託があったか否かであるので,以下に検討する。 (1) 寄託契約成立のための要件である「寄託」とは,受寄者が寄託者のために 物を保管することを約してこれを受け取ることであるといわれ,ここでいう物の保管とは,受寄者の支配内においたその物の滅失毀損を防止し,原状を維持する方途を講じることであると解されている。 (2) そこで,この点を本件についてみると,前述したとおり,原告は,本件駐車場に本件自動車を駐車させ,施錠しその鍵を持参して被告店舗で飲食していること,本件駐車場は道路に面した1階部分で,門扉や柵で仕切られておらず,特に店員からの指示を受ける必要もなく,空いているところに自由に出入りができるようになっていること,被告は駐車車両の鍵の引渡しを受けていないこと,駐車場内の2箇所には,駐車場内の事故については一切責任を負わない旨の注意書きが掲示されていることなどが認められるのであるから,これらの事実を総合すると,本件自動車及びその積載物件について,被告がこれを保管した状態になったこと,言い換えれば,本件自動車に対する支配が原告から被告に移ったと解することは到底困難である。また,本件店舗には駐車場を利用しない客が多数いることも明らかであることからみれば,駐車車両の管理をすることが飲食物の供給契約の付随義務となる余地は全くないものといわざるを得ない。 そうすると,原告は,被告が主張するように,飲食の間単に本件店舗の駐車場を一時利用したに過ぎないと考えるのが相当であり,寄託契約が成立しているとの原告の主張は採用できない。 3 以上の事実に基づいて判断すれば,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく失当であるからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京簡易裁判所民事第2室      裁 判 官 中  島     寛 (別紙被害物件目録省略)

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