H17.11. 4 東京簡易裁判所 平成17年(サ)第793号 不動産仮処分異議申立

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平成17年(サ)第793号不動産仮処分異議申立事件 (基本事件平成17年(ト)第507号不動産仮処分命令申立事件) 決    定 主    文 1 東京簡易裁判所平成17年(ト)第507号不動産仮処分命令申立事件において,当裁判所が平成17年8月11日にした仮処分決定は,これを取り消す。 2 債権者の仮処分申立てを却下する。 3 本件に伴う執行取消申立事件(当裁判所平成17年(サ)第800号)において,当裁判所が平成17年9月26日にした決定を認可する。 4 本件申立費用は債権者の負担とする。 事実及び理由 第1 事案の概要 本件は,債権者が,申立外A,同B(以下,「Aら」という。)から別紙物件目録記載の土地(以下,「本件土地」という。)及び隣接地並びに隣接地上建物(以下,これらを「本件不動産」という。)を買い受け,これらの土地の移転登記手続を経ないうちに,債務者が,Aらから二重に譲り受け,移転登記を備えたが,それはいわゆる背信的悪意者に当たるとして,債権者が,本件土地について所有権に基づく所有権移転登記の抹消登記手続等の請求権を被保全権利として処分禁止仮処分を申し立てたところ,当裁判所が,上記申立てを認める旨の仮処分決定(以下,「本件仮処分決定」という。)をしたので,債務者が,被保全権利を否認して,本件仮処分決定に対し保全異議を申し立てたものである。 第2 主な争点 1 所有権に基づく移転登記抹消登記手続等請求権(被保全権利)の有無 2 保全の必要性の有無 第3 争点についての当事者の主張の要旨 1 争点1について (1) 債権者の主張 ア 債権者は,Aらとの間で,平成17年3月9日,本件不動産を代金1億2000万円で買い受ける契約(以下,「本件売買契約」という。)を締結し,同日売買代金の手付金として,金500万円を支払った。残金は,金500万円を中間金として,その余を平成17年4月末日に支払うこと,所有権移転登記手続は,売買代金完済時に直ちに行うことを約した。 イ 本件土地について,平成17年6月22日売買を原因とする債務者名義の所有権移転登記がある。 ウ 債務者は,①債権者がAらと本件土地を含めた隣地についての売買契約が進行中であったことを知っていたこと,②同物件が競売手続中であることを承知の上で債務者がAらに対して二重売買譲渡するように働きかけていたこと,③債務者が債権者に対する害意,不当な利得の確保など反倫理的な意図,動機をもって譲り受けたことから,いわゆる背信的悪意者に当たる。 (2) 債務者の主張 ア 債権者が本件土地の所有権者であることは否認する。本件売買契約は,本件不動産の引渡し及び所有権移転登記申請手続完了と同時に売買代金を支払い,売買代金の支払いが完了した時に所有権が買主に移転する旨の約束があり,債権者は,売買代金の内金1000万円を支払っただけである。 イ 債権者は,本件土地の所有権を取得していないので,登記を具備した債務者に対し,いわゆる背信的悪意者の主張をなし得る権利者に該当せず,主張自体失当である。 2 争点2について (1) 債権者の主張 ア 債務者は金策に窮しており,買い受けた地上建物は現在取り壊し中であることから,早急に処分するおそれが十分にあり,また,近時の土地の値上がりを見込んで,本件不動産を第三者に譲渡したり,担保に供するなどの処分をするおそれが大である。 イ 債務者を被告として,本件不動産について所有権移転登記の抹消登記等の手続を求めるため本訴請求の準備中である。 (2) 債務者の主張 ア 債権者は,本件土地の所有権を取得していないので,その保全の必要性もない。 イ 債務者は,本案不起訴による仮処分命令取消の申立て(当裁判所平成17年(サ)第904号事件)をしたが,債権者は,本案の訴えを提起したことを証する書面を提出していない。 第4 争点に対する当裁判所の判断 1 争点1について 債権者とAらとの間で,平成17年3月9日,本件不動産について売買契約が締結されたこと,債権者がAらに対し,売買代金1億2000万円の内金1000万円を支払っていること,本件土地について,債務者名義の所有権移転登記があることは当事者間に争いがない。 証拠(甲1の1,2)によれば,本件売買契約については,所有権の移転時期について,債権者とAらとの間で,売買代金完済時とする旨の合意がされていることが認められる。しかしながら,本件売買契約について,債権者が売買代金残金1億1000万円を完済したとする証拠はない。他に債権者が本件土地について所有権を有することを証する証拠もない。 なお,証拠(乙8,9)によれば,本件土地は,申立外C電鉄株式会社が世田谷区成城○丁目○○番○を分筆し,申立外Aが,平成17年5月9日,取得したことが認められる。 2 債権者が,起訴命令期間内に本案の訴えを提起したことを証する書面を提出していないことは,当裁判所に顕著な事実である。 3 結論 以上によれば,債権者は,本件土地について,所有権を有していないのであるから,債務者に対し,所有権に基づく所有権移転登記の抹消登記等の手続を求めることができないというべきである。したがって,争点2について判断するまでもなく,本件仮処分申立ては理由がなく,却下を免れない。 よって,主文のとおり決定する。 平成17年11月4日 東京簡易裁判所民事第8室 裁 判 官  堀 田 文 雄 物 件 目 録 1 所 在  世田谷区成城○丁目 地 番  ○○番○ 地 目  宅地 地 積  4.99平方メートル 2 所 在  世田谷区成城○丁目 地 番  ○○番○ 地 目  宅地 地 積  4.32平方メートル

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