H17. 8.26 東京簡易裁判所 平成17年(少コ)第1527号(通常手続移行) 敷金返還請求

「H17. 8.26 東京簡易裁判所 平成17年(少コ)第1527号(通常手続移行) 敷金返還請求」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

H17. 8.26 東京簡易裁判所 平成17年(少コ)第1527号(通常手続移行) 敷金返還請求」(2005/12/14 (水) 17:31:52) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

平成17年8月26日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官  平成17年(少コ)第1527号(通常手続移行)敷金返還請求事件 口頭弁論終結日 平成17年7月15日 司法委員 判 決 主      文 1 被告は原告に対し,金25万7200円及びこれに対する平成17年1月10日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 4 この判決は仮に執行することができる。 事 実 及 び 理 由 第1 請求 被告は原告に対し,金25万7200円及びこれに対する平成17年1月10日から支払済みまで年20パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 請求原因の要旨 原告は,平成8年5月27日,被告から東京都中央区A町b丁目c番d号所在の○○マンションB号室を,期間2年の約束で借り受け,敷金25万7200円を支払い,4回の更新を重ねた後,平成16年11月19日,被告に対し,上記賃貸借契約を解除する旨を通知し,平成17年1月10日,建物を明け渡したと主張して,敷金25万7200円の支払を求める。 2 被告の主張 本件賃貸借契約は,対象物件を事務所用として賃貸したものであるから,居住用賃貸借契約とは異なり,本件賃貸借契約書20条1項の「この契約が終了したとき,乙は,契約終了までに甲の指定する業者により,乙が本物件内に設置した造作その他の設備を乙の費用に於いて撤去し,本物件を現状に復し,且つ,本物件の内装及び付属諸設備,諸造作等の破損,汚損箇所を甲の指定する業者に於いて修復し,甲に明渡しをする。」という原状回復条項,つまり,造作その他を賃借人の負担において契約締結時の原状に回復させるという条項は,そのまま適用されるべきである(東京高等裁判所平成12年12月27日判決,判例タイムズ1095号176頁)。したがって,本件における原状回復費用は40万9500円であるから,これに敷金を充当すると,原告に返還すべき敷金は存在しない。 3 争点 本件原状回復特約の適用の可否 第3 当裁判所の判断 1 オフィスビルの原状回復特約とその必要性 被告が,参考として挙げる前記判例は,本件と同様の原状回復特約「本契約が終了するときは,賃借人は賃貸借期間が終了するまでに,造作その他を本契約締結時の原状に回復しなければならない。」の必要性について,一般に,オフィスビルの賃貸借においては,次の賃借人に賃貸する必要から契約終了に際し,賃借人に賃貸物件のクロスや床板,照明器具などを取り替え,場合によっては天井を塗り替えることまでの原状回復義務を課する旨の特約が多いということを認定したうえ,賃借人の保護を必要とする民間居住用賃貸住宅とは異なり,市場性原理と経済的合理性の支配するオフィスビルの賃貸借では,このように,賃借人の建物の使用方法によっても異なり得る原状回復費用を,あらかじめ賃料に含めて徴収する方法をとらずに賃借人が退去する際に賃借人に負担させる旨の特約を定めることは,経済的にも合理性があると説明する。当裁判所もオフィスビルの賃貸借契約においては,このような原状回復特約の必要性についてはそれを肯定するものである。 2 本件はオフィスビルの賃貸借契約といえるか。 前記判例における賃貸物件は保証金1200万円という典型的オフィスビルであり,しかも新築物件である。それに比して,本件物件は,仕様は居住用の小規模マンション(賃貸面積34.64㎡,)であり,築年数も20年弱という中古物件である。また,賃料は12万8600円,敷金は25万7200円であって,事務所として利用するために本件物件に設置した物は,コピー機及びパソコンであり,事務員も二人ということである。このように本件賃貸借契約はその実態において居住用の賃貸借契約と変わらず,これをオフィスビルの賃貸借契約と見ることは相当ではない。 3 結語 本件賃貸借契約は,その実態において居住用の賃貸借契約と変わらないのであるから,オフィスビルの賃貸借契約を前提にした前記特約をそのまま適用することは相当ではないというべきである。すなわち,本件賃貸借契約はそれを居住用マンションの賃貸借契約と捉えて,原状回復費用は,いわゆるガイドラインにそって算定し,敷金は,その算定された金額と相殺されるべきである。 しかしながら,被告は物件明渡時,絨毯下の床まで傷がついた状態であるなど,経年劣化を超える汚れや傷が認められたと主張するが,それについて,何らの立証もなく,また,その他の原状回復についても,何らの主張,立証もない。 なお,原告が遅延損害金として,年20パーセントの請求をする根拠はない。 よって,主文のとおり判決する。 東京簡易裁判所少額訴訟6係 裁 判 官   岡  田  洋  佑            

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。