H17.10.26 名古屋地方裁判所 平成16年(ワ)第2868号 保険金請求事件

「H17.10.26 名古屋地方裁判所 平成16年(ワ)第2868号 保険金請求事件」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

H17.10.26 名古屋地方裁判所 平成16年(ワ)第2868号 保険金請求事件」(2006/01/20 (金) 18:16:26) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 所有権留保特約付きで売買された自動車の買主は,自動車損害保険契約約款にいう「被保険自動車の所有者」に当たる。 主       文  1 被告は,原告に対し,400万円及びこれに対する平成16年8月10日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。  2 原告のその余の請求を棄却する。  3 訴訟費用は被告の負担とする。  4 この判決は,1項に限り仮に執行することができる。 事       実 第1 当事者の求めた裁判  1 原告   (1) 被告は,原告に対し,400万円及びこれに対する平成16年2月25日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。   (2) 訴訟費用は被告の負担とする。   (3) 仮執行宣言  2 被告   (1) 原告の請求を棄却する。   (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 当事者の主張  1 請求原因   (1) 被告は,各種保険業務をなす株式会社である。   (2) 原告は,平成11年9月30日,別紙自動車目録記載の自動車(以下「本件自動車」という。)を前所有者であるA自動車株式会社から買った。     なお,本件自動車の引渡は,後記保険契約の締結後であるが,原告は,平成15年12月29日にローン残金141万9080円を支払って完済しており,本件自動車の実質的所有者は原告にある。   (3) 原告は,平成14年10月16日,被告との間で以下の保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結した。    ア 保険の種類  B家庭用総合自動車保険    イ 保険期間   平成14年11月4日午後4時から平成15年11月5日午後4時までの1年間    ウ 被保険者   原告  エ 被保険自動車 本件自動車    オ 限定運転者  原告及びその家族    カ 車両保険金額 400万円    キ 約款      第3章第1節第1条1項 被告は,衝突,接触,墜落,転覆,物の飛来,物の落下,火災,爆発,台風,こう水,高潮その他偶発な事故によって被保険自動車に生じた損害および被保険自動車の盗難による被害に対して,この車両条項及び一般条項に従い,次条に定める被保険者に保険金(損害保険金および費用をいいます。)を支払います。      同第2条 この車両条項において,被保険者とは被保険自動車の所有者をいいます。   (4) 平成15年9月15日,午前3時ころから午前6時までの間に,愛知県豊明市a町b番地c所在のハイツC駐車場内に駐車していた原告所有にかかる本件自動車が盗難された(以下「本件盗難事故」という。)。   (5) 原告は,本件盗難事故が発覚した直後,最寄りの交番に届け出るとともに,被告名古屋支店にも連絡した。   (6) 被告は,平成15年9月17日,その調査会社により盗難の際の事情及び盗難品の調査をし,直ちに約定の保険金を原告に支払うべきであるにもかかわらず,平成15年12月10日付御通知(甲5)により,保険金の支払を拒絶した。   (7) 原告は,被告に対し,平成16年2月24日到達の内容証明郵便をもって,本件保険契約に基づく保険金の支払を催告した。   (8) よって,原告は,被告に対し,本件保険契約による保険金支払請求権に基づき,400万円及びこれに対する支払催告をなした日の翌日である平成16年2月25日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。  2 請求原因に対する認否   (1) 請求原因(1)の事実は認める。   (2) 同(2)の事実のうち,平成11年9月30日,本件自動車を買ったことは知らず,その余の事実は否認する。    (3) 同(3)の事実は認める。   (4) 同(4)の事実は否認する。   (5) 同(5)の事実のうち,原告が本件盗難事故後被告名古屋支店に連絡したことは認めるが,その余の事実は知らない。   (6) 同(6)の事実のうち,被告が,平成15年9月17日,その調査会社により盗難の際の事情及び盗難品の調査をし,平成15年12月10日付御通知(甲5)により,保険金の支払を拒絶したことは認め,その余は争う。   (7) 同(7)の事実は否認する。  3 被告の主張    本件盗難事故は,次の事情から盗難の立証はない。   ア 原告は,本件盗難事故のほか,平成11年7月にも,同様の盗難事故に遭っている。   イ 盗難防止装置を作動させなかったことの不自然性     原告の妻であるDの陳述書(甲10)には,「盗難防止装置のホーネットを盗難前に作動させなかった理由として,以前,暴走族の車両が大きな音で本件自動車の近くを通過しただけで作動したことがあり,知らない場所で迷惑をかけたくないという理由で作動させなかった。」との記載があるが,Dは,平成15年9月17日に調査会社担当者に対し,「自宅前ではないため,ホーネットを作動させなくても大丈夫だと思った。ハンドルに装着させる棒状の盗難防止装置に関しては夜間は常に装着していたが,本件盗難事故当時だけは装着していなかった。」と説明していた(乙1)。     ホーネットの構造から考えて,暴走族の車両が大きな音で本件自動車の近くを通過しただけで作動するとはとても考えられない。   ウ 原告は,平成15年度の給与収入が268万5420円であったにもかかわらず,その収入に見合わない負債(住宅ロ一ン1700万円,有限会社E製作所からの借金600万円)を負っていた。   エ 本件自動車の積載物に関しての不自然性 Dの陳述書(甲10)には,「Dは,平成15年9月14日午後11時前後にFの自宅アパート敷地内へ本件自動車を駐車させて,結婚式へ出席するための衣装や装身具(指輪,ネックレス,靴の類),翌日に髪のセットを行う道具,自分のハンドバッグを載せたままにしてFの部屋へ入室したが,うっかりして,本件自動車の車内へ被害積載品が載せたままになっていた。Fの部屋へ入室して,3人で乾杯して話し込んだ後,眠くなりそのまま寝てしまった。」との記載がある。     しかし,Dは,平成15年9月17日に調査会社担当者に対し,「Fの自宅アパートへ到着し,本件自動車からはハンドバッグを持って出た。携帯電話とタバコも持って下りた。Fの自宅アパートヘ到着し積戴物を下ろそうと思ったが,眠くなりそのまま寝てしまった。」と説明していた(乙1)。     これに対し,Fは,平成15年10月11日に調査会社担当者に対し,「DはFの部屋へ入室後は,話しに夢中になっていたため積載品を下ろすことができなかったようだ。Dは,ポシェットを所持していた。」と説明している。   オ 積載品の購入金額に関しての不自然性     原告作成の警察署への被害届では,本件自動車とともに盗難にあったプラチナ台にメキシコオパール,ダイヤがついている指輪の被害金額を,1個時価80万円としている。しかし,Dは,平成15年10月2日に調査会社担当者に対し,「指輪の購入金額は100万円で,購入先は大府市にある宝石のGである。」と説明した(乙3)。     調査会社担当者が平成15年11月14日にGで確認したところ,平成14年3月9日に原告が購入されているプラチナ・メキシコオパールリングの販売価格は22万4308円であった。     原告作成の警察署への被害届では,本件自動車とともに盗難にあったヒステリックミニ製の鞄の被害金額を3万円とし,Dは,平成15年10月2日に調査会社担当者に対し,「ヒステリックミニ製の鞄の購入金額は3万円で,購入先は八事のHである。」と説明した。     調査会社担当者が調査したところ,名古屋市昭和区d丁目eに,Hプラザ店という百貨店があり,ユニスタイルという店舗がヒステリックミニというブランド品を扱っていたことが分かり,平成15年11月3日に店長のIへ確認に行った。Iは,3万円もする商品はめったにないと述べ,調査会社担当者は,1個3万円のバッグは店内に確認できなかった。  4 被告の主張に対する原告の反論    次のとおり,被告主張にかかる疑惑に,被告の保険金支払を免れさせるほどの不自然さはない。   ア 以前に盗難された自動車や本件自動車がいずれも自動車盗の犯人から垂範の的とされるランドクルーザー100型であったことや,前回は自宅マンション駐車場での盗難であったが,本件盗難事故は妻であるDが出先で遭った不慮の出来事であって,以前のものとは態様が異なることから,2度目だからということだけでは疑惑に根拠があるとは言い難い。   イ 盗難防止装置の非作動について     Dが盗難防止装置を作動させなかったこともうかつではあるが,出先で深夜警笛が鳴るという他人迷惑なことをしたくないと判断し,また,大丈夫だろうと考えて作動させなかっただけである。     また,以前暴走族が近くを通過した際に警笛が鳴ったのは,暴走族の大きな音のみで反応したのではなく,その音とともに自動車の振動等何らかの衝撃で反応したものと考えられる。   ウ 原告の負債について     原告は,平成15年当時勤務先の有限会社E製作所に勤務し,268万5420円の給与収入を得ていたものであるが,同製作所は妻の実家であり,仕事上割りと自由がきくし,自宅の住宅ローン月々6万5000円や同製作所への借入金の月々の返済5万円は,同製作所の義理の両親から実質的に援助されており,原告の生活自体窮することはない。もともと原告は,労災事故をきっかけとして,妻の実家の家業の後継を約束された婿となっており,比較的恵まれた経済状態にあった。   エ 荷物を車に置いたままにしたことについて     被告は,Dの説明が前後で違うことを疑惑の理由にする。     しかし,Dは,平成15年9月17日の説明(乙1)では,夜10時頃Fさんのアパートに着き,「この鞄」と携帯電話とタバコを持って部屋に上ったが,「後から下ろそうと思ったんだけど。眠たくなったもんで。」「寝ちゃって。」と言うもの(22頁)で,寝たのは「3時半くらい」と言うのであり(6頁),被告の言うような「そのまま寝てしまった」とはとても受けとれない。また,F夫妻の説明では,「嫁さんターがしゃべっとった話しやもんで‥・3時半か‥・」「寝たのは3時半頃」,「しゃべりに夢中だったもんであのとき。」「ずっとしゃべっとったで,オレが寝るときに。」(乙2)というようにDの説明を裏づけており,「眠くなり寝ちゃった。」というのは,「(疲れてて)到着後わずかの間眠った。」という意味でとらえることができ,矛盾はない。加えて,Fの「バックはポシェットだけです。」というのも,Dの説明と合致する。     したがって,Dの説明は,前後で違うことはない。   オ 積載品について     プラチナ台にメキシコオパールとダイヤモンドの付いている指輪について,Dが盗難届に「時価80万円くらい。」と表示した(甲4)のに対し,調査会社担当者が「指輪が100万円。」と言ったことにDが「指輪も宝石屋さん,大府のG」と答えている(乙3,2頁)が,もともとレシートも何も残っていない状態で,記憶に基づいて「時価80万円くらい」と被害届に表示したところ,平成15年10月2日の「あ,指輪が100万円」という調査会社担当者の質問に対し,うまく訂正しなかっただけである(乙3)。     また,調査会社担当者が平成15年11月14日にGで確認したことを裏付ける証拠はない。     ヒステリックミニ製の鞄については,Dが「時価3万円くらい」と表示(甲4)しているが,その鞄は,八事のHで平成10年6月頃購入したものである。調査会社担当者は,あたかもヒステリックミニ製の鞄が前日の9月14日買われたものとの前提で誤解したまま,八事のHで調査をしている(乙4)。 理       由 1 請求原因(1),(3)の事実,原告が本件盗難事故後に被告名古屋支店に連絡したこと,被告会社が平成15年12月10日付御通知により,保険金の支払を拒絶したことは当事者間に争いがない。 2 まず,原告は本件保険契約のうち車両保険にかかる部分について自己のためにこれを締結したものと解されるから,原告が本件保険契約の車両条項(第3章第1節第1条1項,2条)にいう被保険者すなわち「本件自動車の所有者」であるか否か(請求原因(2))につき検討することとする。   証拠(甲1,7ないし9)及び弁論の全趣旨によれば,A自動車株式会社は,原告に対し,平成11年9月30日,同社所有にかかる本件自動車を所有権を留保して577万0834円で売却したこと,原告は,A自動車に対し,同代金のうち363万3000円を現金で支払い,残金213万7834円をJファイナンス株式会社からの借り入れにより支払ったこと,原告のJファイナンスからの借り入れの条件は,月々3000円ずつの支払で,3年後に又同様にするか残金を完成するか選択し,その残金完済後に本件自動車の所有権が原告に移転するというものであったこと,原告は,Jファイナンスに対し月々3000円の支払をしてきたほか,平成15年12月29日に借入残金141万9080円を全て支払い,本件自動車の所有権を取得したことが認められる。   ところで,自動車販売会社がローン会社の債権を担保する目的で所有権留保して自動車を売り渡した場合には,自動車販売会社はローン会社の債権担保の目的を達するのに必要な範囲内においてのみ当該自動車の所有権を有しているにすぎず,他方,買主は被担保債務を弁済して当該自動車の完全な所有権を取得することができるのである。このような所有権留保の趣旨及び効力にかんがみると,ローン会社及び買主は共に所有権留保の自動車につき保険事故が発生することによる経済上の損害を受けるべき関係にあり,したがって,当該自動車についていずれも被保険利益を有するが,当該自動車の売買代金を全て取得した自動車販売会社は当該自動車について被保険利益はないと解するのが相当である。   そうとすると,所有権留保の対象である本件自動車の買主である原告は,本件保険契約の車両条項(第3章第1節第1条1項,2条)にいう被保険者すなわち本件自動車の所有者であるというべきである。   なお,ローン会社であるJファイナンスの被保険利益につき付言するに,自動車販売会社はローン会社の債権担保の目的を達するのに必要な範囲内においてのみ当該自動車の所有権を有しているのであるから,ローン会社においては原告に対する貸金債権を原告から回収する見込みが確実であり,当該自動車の引渡し請求や他への売却などの留保所有権の行使がないことが明らかである場合においては被保険利益はなく,保険事故発生後に貸金債権の全額の回収を受けた場合においても,結果的に被保険利益はなかったものというべきであり,本件盗難事故後に原告から貸金全額の返済を受けたJファイナンスについては,結果的に被保険利益はなかったということができる。 3 次に,本件保険契約の車両条項(第3章第1節第1条1項,2条)にいう「被保険自動車の盗難による被害」があったか否か(請求原因(4))につき検討する。  (1) 証拠(甲4,9,10,12,13の1・2,14の1・2,15,17の1ないし4,19,20,証人D,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。   ア 原告の妻であるDは,平成15年9月15日(敬老の日,友引)友人であるKの結婚式に招待されるとともに,同様に招待されたFの髪のセットの仕事を頼まれ,当日は朝が早いので,前日から愛知県豊明市a町b番地cハイツCのFのマンションに泊まりがけで出かけた。DがFのマンションに入ったのは,9月14日午後11時前後で,本件自動車の内には,結婚式に自ら出席するための衣装や装身具(指輪,ネックレス,靴の類),その他翌日の髪のセットの道具類や自分のハンドバッグ等があった。   イ Dは,Fのマンションに着くと,とりあえず本件自動車のロックだけして,Fの部屋に入り,Fの夫と出会って3人で話し込んだ。     本件自動車の駐車場所はハイツC駐車場の空きスペースで,Fの部屋の窓から見える場所であったので,Dは,特に盗難を気にかけることもなく,自動車からハンドバッグや装身具などの貴重品をFの部屋に運んで入れることもなく,本件自動車に設置されていた盗難防止装置ホーネットの設定をせず,別の盗難防止装置のハンドルロックもしなかった。Dが盗難防止装置ホーネットについてその設定をしなかった理由としては,以前暴走族の車両が大きな音で近くを通っただけで警報装置が鳴ったことがあったということがあり,誤作動すると近所迷惑になるという配慮もあった。     Dが午前3時頃,皆で寝ようとした際,窓から本件自動車を見ており,その頃は,本件自動車は確かにあったが,翌朝Fの夫が盗難に気付いて出勤先から電話をかけてきたため,Dは本件自動車の盗難が分かった。   ウ 原告は,平成15年9月15日頃,本件自動車につき,愛知県L警察署に被害届を出したところ,平成15年12月23日頃,愛知県M警察署から,同署管内で発生した自動車盗の捜査中,別の盗難車両から多数の変造ナンバープレートとともに,本件自動車のナンバープレートが変造された状態で発見されたことを知らされた。しかし,本件自動車の所在は不明である。   エ 本件自動車には,キャッシュカードやクレジットカードが積載されていたため,原告は,平成15年9月15日から16日にかけて,N銀行鳴海支店,O信用農業協同組合,P銀行,郵便局,Qカード,Rカード,Sカードなどにも盗難の届出をした。  (2) 上記認定の事実によれば,本件保険契約の車両条項(第3章第1節第1条1項,2条)にいう「被保険自動車の盗難による被害」があったと認められる。  (3) この点,被告は,被告の主張のとおり,盗難の立証がない旨主張する。    しかし,原告は,本件盗難事故のほか,平成11年7月にも,同様の盗難事故に遭っているが,そうであるからといって,上記(1),(2)の認定判断を左右するものではない。    Dが本件自動車に設置されていた盗難防止装置ホーネットの設定をせず,別の盗難防止装置のハンドルロックもしなかったことについても,本件自動車の駐車場所はハイツC駐車場の空きスペースで,Fの部屋の窓から見える場所であったことから,Dが盗難はないと軽信したためであって,格別不自然であるとはいえない。    原告は,本件盗難事故当時,平成15年度の収入(給与収入268万5420円,給与所得169万8800円)に見合わない負債(住宅ローン1700万円,有限会社E製作所から600万円)を負っていた(甲11の5,16)が,原告は,原告の妻の父が経営するE製作所の取締役であり,原告の父から援助を受けていたと窺えること(甲16,原告本人)から,そうであるからといって,上記(1)の認定判断を左右するものではない。    本件自動車の積載物に関してのDの調査会社担当者への供述(乙1)と陳述書(甲10)の記載内容は,被告主張のとおり一部異なるかにみえる点はあるが,さほど重大な食い違いとは言い難いうえ,調査会社担当者への説明が不十分なためにそのような食い違いが生じたとも考えられることから,そうであるからといって,上記(1)の認定判断を左右するものではない。    本件自動車の積載物の価額に関しての被害届の金額(甲4),Dが調査会社担当者に述べた金額(乙3)及び実際の価額との間には一部食い違いがあるが,指輪の価額について,Dは,80万円ほどであるもののおおよそ100万円くらいの記憶で調査会社担当者に答えたもので(証人D),その被害届の金額(甲4),Dが調査会社担当者に述べた金額(乙3)との間に不自然な点はない。実際には,この指輪は30万円ほどにプライスダウンされていたものであるが,Dは原告からその旨聞いていなかったことから,調査会社担当者に上記のとおり回答をしたもので,実際の価額と異なる点についても格別不合理ではない。    ヒステリックミニ製の鞄については,Dが平成10年6月頃八事のHで3万円くらいで購入したものであり(証人D),被害届の金額(甲4)と齟齬はない。    したがって,被告の同主張は採用できない。 4 請求原因(7)の事実はこれを認めるに足りる証拠はない。原告は,被告に対し,平成16年2月24日到達の内容証明郵便を送付しているが,その内容は,被告が言う盗難状況等の納得しかねる多々の点の概略の教示を求めるというもので,保険金の支払を催告するものとはいえない(甲6の1・2)。 5 以上によれば,原告の請求は,400万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成16年8月10日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は棄却すべきである。   よって,主文のとおり判決する。    名古屋地方裁判所民事第6部         裁判官   内  田  計  一 (別紙) 自 動 車 目 録 1 登 録 番 号   T 2 車 台 番 号   U 3 種 別・用 途等   自家用普通乗用自動車(ステーションワゴン) 4 通     称   トヨタランドクルーザー

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。