H17.12.26 松山地方裁判所 平成17年(わ)第381号,第382号 業務上過失致死,道路交通法違反

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H17.12.26 松山地方裁判所 平成17年(わ)第381号,第382号 業務上過失致死,道路交通法違反」(2006/02/08 (水) 14:00:15) の最新版変更点

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主 文 :被告人Aを懲役1年8月に処する。 被告人Bを懲役1年に処する。 被告人両名に対し,この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。 被告人両名をその猶予の期間中保護観察に付する。 裁判所が認定した事実の要旨 :(被告人Aにつき)  被告人は,少年であるが, 第1 公安委員会の運転免許を受けないで,平成17年6月5日午前1時36分ころ,愛媛県東温市甲a番地先付近道路において,普通自動二輪車を運転した 第2 前同日時ころ,業務として普通自動二輪車を運転し,前同所付近道路を西条市方面から松山市方面に向かい進行するに当たり,当時は夜間で前照灯を下向きにしていた上,同所付近道路は暗い場所であり,公安委員会の指定により最高速度が40キロメートル毎時と指定されていたのであるから,その最高制限速度を遵守するはもちろん,適宜速度を調節し,進路の安全を確認しながら進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,スピード感を楽しむため,あえて時速約70キロメートルの高速度で漫然と進行した過失により,折から自車進路前方約32.1メートル地点付近にC(当時53歳)が佇立しているのを発見したが,衝突回避の措置を講じる間もなく,同人が振り上げた右手付近に自車右バックミラー付近を衝突させてそのはずみで同人を回転させながら路上に転倒させ,自車の後方を追従して進行してきたB運転の普通自動二輪車にその腹部付近を轢過させ,よって,上記Cに多臓器損傷等の傷害を負わせ,即時同所において,同傷害により死亡するに至らしめた 第3 前同日時場所において,前記普通自動二輪車を運転中,前記のとおり,Cに傷害を負わせて死亡させる交通事故を起こしたのに,直ちに車両の運転を停止して同人を救護する等の必要な措置を講じず,かつ,前記事故発生の日時場所など法律で定める事項を最寄りの警察署の警察官に報告しなかった ものである。 (被告人Bにつき)  被告人は,少年であるが, 第1 平成17年6月5日午前1時36分ころ,業務として普通自動二輪車を運転し,愛媛県東温市甲a番地先付近道路を西条市方面から松山市方面に向かい進行するに当たり,当時は夜間で前照灯を下向きにしていた上,同所付近道路は暗い場所であり,公安委員会の指定により最高速度が40キロメートル毎時と指定されていたのであるから,その最高制限速度を遵守するはもちろん,適宜速度を調節し,進路の安全を確認しながら進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,スピード感を楽しむため,あえて時速約70キロメートルの高速度で漫然と進行した過失により,折から自車進路前方約32.7メートル地点付近で回転しながら転倒中のC(当時53歳)を発見したが,急制動等衝突回避の措置を講じる間もなく,路上に転倒した同人の腹部付近を轢過し,よって,同人に多臓器損傷等の傷害を負わせ,即時同所において,同傷害により死亡するに至らせた 第2 前同日時場所において,前記普通自動二輪車を運転中,前記のとおり,Cに傷害を負わせて死亡させる交通事故を起こしたのに,直ちに車両の運転を停止して同人を救護する等の必要な措置を講じず,かつ,前記事故発生の日時場所など法律で定める事項を最寄りの警察署の警察官に報告しなかった ものである。 量刑の理由の要旨 :1 被告人Aによる業務上過失致死,道路交通法違反(無免許運転,報告義務違反及び救護義務違反)及び被告人Bによる業務上過失致死,道路交通法違反(報告義務違反及び救護義務違反)の事案である。   被告人両名は,仲間数人とともに,週末に自動二輪車で走行し,速度を出すことや互いに追い越したり,追い越されたりすることを楽しむことを繰り返していた。平成17年6月5日午前1時30分ころ,被告人両名やその仲間の少年は,いつものように交互に抜きあうなどして走行を楽しんだ後,途中道路でUターンし,仲間の少年が運転する自動二輪車を先頭に,被告人Aが運転する自動二輪車,被告人Bが運転する自動二輪車の順で走行していた。被告人両名は指定最高速度が40キロメートル毎時と指定されている道路であったが時速約70キロメートルで走行していたところ,被告人Aは道路中央付近に立っていた被害者が振り上げた右手付近に自車右バックミラー付近を衝突させ,被害者を転倒させた。被告人Aは,怪我を負わせたと思ったが,停止しなかった。被告人Aの後方を追従して走行してきた被告人Bは,転倒した被害者の腹部付近を轢過した。被告人Bは同乗者が自動二輪車から振り落とされたため,自動二輪車を止め同乗者の安否を確認した後被害者に声をかけたが反応がなかったため,重大なことをしたと思ったものの,その場から走り去った。その後被告人両名と仲間らは今回のことはなかったことにしようなどと,口外しないことを話し合うなどした。 2 本件は人の生命を奪うという重大な結果を生じさせたこと,週末毎に前記のような仲間らとの運転行為を繰り返していたこと,指定最高速度を遵守するなど安全な運転をしていれば被害者が道路中央付近にいた状況であっても結果は回避できたこと,事故があった場合の救護などの最低限の義務を果たさなかったばかりか,本件後仲間らと証拠隠滅工作までしていたことからして相当悪質な事案である。被害者の妻が「(被告人らは)何もせずそのまま現場から逃げたそうですが,そういうことは人間のする行為ではなく,絶対に許せる行為でありません」「十分に反省してもらわないといけないと思いますので,本人の為にも厳しく処分して下さい。」と述べ,また被害者の姉は厳罰を望んでいるのも当然である。なお,被害者が道路中央付近にいた理由については証拠上一律に断定できないが,歩行者が本件の道路を横断することはあり得ることであるし,また,仮に被告人Aが供述するように酔っぱらいが絡んできたような状況であったとしても,被告人らの前記のような運転行為を考えれば,被害者の行為を相当な落ち度とまでいうことはできない。 3 他方,前記のように被害者の相当な落ち度とまでは言わないが被害者が道路中央付近にいた状況があること,被告人両名は本件を反省していること,被告人両名の両親が被害者方を訪問し,被害者の妻に謝罪していること,被告人両名は被害者の妻の意向もあり被害者方を訪問していないが,謝罪の意思を有していること,被害者の妻は,被告人両名の両親が来てくれて誠意を示してくれたことはよかったと思う旨述べていること,被害者の妻は「犯人を刑務所に入れて欲しいというほどの気持はない」とも述べていること,被告人両名運転の自動二輪車は自動車損害賠償責任保険に加入しており,合計5千万円余りが被害者の妻の口座に振り込まれ,「損害賠償に関する承諾書(免責証書(人身用))」が作成され,それ以外に被告人Aの父が30万円,被告人Bの父が20万円をお供え料として支払い,被害者の妻に受け取っていただいていること,被告人両名の父親が情状証人として出廷し,それぞれ監督を誓っていること,被告人両名は若年であること,被告人Aは前科・前歴はなく,被告人Bは前科はなく,反則金前歴1件であること,一定期間身柄拘束されたことなどの事情も認められる。 4 そこで,今回に限り刑の執行を猶予することとしたが,社会内での更生を期するため保護観察に付することとした。 (求刑 被告人A・懲役1年4月以上2年以下,被告人B・懲役10月以上1年2月以下)

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