H18. 3.28 甲府地方裁判所 平成15年(ワ)第461号 土地明渡請求

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判示事項の要旨: 土地境界確定訴訟の一事例           主    文  1 別紙物件目録1記載の土地と同目録2記載の土地の境界は,別紙第1図面A2,H5,H4及びC3の各点を順次直線で結んだ線であることを確定する。  2 別紙物件目録1記載の土地と同目録3記載の土地の境界は,別紙第1図面C1とC3を結んだ直線であることを確定する。  3 訴訟費用は被告らの負担とする。           事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判  1 請求の趣旨(原告及び参加人ら)    主文同旨  2 請求の趣旨に対する答弁  (1) 別紙物件目録1記載の土地と同目録2記載の土地の境界は,別紙第1図面A2,A4,H1及びA3の各点を順次直線で結んだ線であることを確定する。  (2) 別紙物件目録1記載の土地と同目録3記載の土地の境界は,別紙第1図面A1とA3を結んだ直線であることを確定する。  (3) 訴訟費用は,原告及び参加人らの負担とする。 第2 事案の概要  1 事案の要旨    本件は,別紙物件目録2記載の土地(以下「本件31番1土地」という。)及び同目録3記載の土地(以下「本件31番3土地」という。)を所有又は共有する原告及び参加人ら(以下「原告ら」と総称する。)が,前記各土地の北側に隣接する同目録1記載の土地(以下「本件30番土地」という。)を共有する被告らとの間において,土地の境界の確定を求めている事案である。  2 前提となる事実(証拠等を掲記した事実以外は,当事者間に争いがない。)  (1)ア 被告らは,本件30番土地を共有している。    イ 原告らは,本件31番1土地を共有している(甲15,32の1ないし5)。    ウ 原告は,本件31番3土地を所有している。  (2) 本件30番土地,本件31番1土地及び本件31番3土地(以下「本件各土地」という。)の位置関係は,別紙第1図面のとおりであり,本件30番土地は,本件31番1土地と本件31番3土地の北側に隣接している。  (3) 本件30番土地と本件31番1土地及び本件31番3土地の各境界(以下「本件境界」と総称する。)の所在については,原告らと被告らとの間に争いがある。  (4) 本件30番土地及び本件31番3土地の西側には,別紙第2図面のとおり,南北に走る水路を挟んで,大月市○○町●●23番2の土地(同図面に「23-2」と表記されている土地である。以下「本件23番2土地」という。)及び同所22番7の土地(同図面に「22-7」と表記されている土地である。以下「本件22番7土地」という。)が存在する(甲13)。  (5) 本件各土地及びその周辺は,昭和27年ころから昭和46年ころまでの間,○○土地改良区による土地改良事業の対象となり,昭和46年3月12日,土地改良法による換地処分等が行われ,そのころ,○○土地改良区確定測量求積図(甲14)及び市役所備え付けの地図(甲12(別紙第2図面))が作成された(甲12,14,21の1・2,甲23の1・2,甲31(特に7頁13行目以下),弁論の全趣旨)。  3 争点及び当事者の主張    本件の争点は,本件境界の所在である。  (1) 原告らの主張    ア 甲12号証(別紙第2図面)及び○○土地改良区確定測量求積図(甲14)からも明らかなように,本件境界は,本件23番2土地と本件22番7土地の境界(以下「本件西側隣地境界」という。)に一直線に続くものである。そして,原告らが本件境界として主張する別紙第1図面A2,H5,H4,C3及びC1の各点を順次直線で結んだ線(以下「原告ら主張線」という。)は,本件西側隣地境界の延長線上に存在するから,本件境界は,原告ら主張線である。    イ 被告らは,「本件境界は,別紙第1図面A2,A4,H1及びA3及びA1の各点を順次直線で結んだ線(以下「被告ら主張線」という。)である。」と主張し,その根拠として,本件各土地の現況,すなわち,本件30番土地と本件31番1土地の境界付近には,被告ら主張線に沿って,原告らが設置した高さ約50センチメートルのコンクリート製の擁壁(以下「本件擁壁」という。)が存在し,また,本件30番土地と本件31番3土地の境界付近には,被告ら主張線に沿って,原告が設置したコンクリート敷きと高さ約1メートルのブロック塀(以下「本件ブロック塀」という。)が存在すると指摘する。      しかしながら,本件擁壁は,昭和48年ころ,本件31番1土地を共有していた原告及びA(参加人らは,Aの相続人である。)が,同土地を車両等の通行に耐え得るようにするため,その当時水田であった本件30番土地との境に存在した畔(あぜ)に沿って設置したものであって,本件境界に沿うように設置したものではない。また,本件ブロック塀も,本件境界に沿うように設置したものではなく,本件30番土地の所有者に配慮して,本件境界から15センチメートル程度後退するように設置したものである。  (2) 被告らの主張    ア 本件境界は,被告ら主張線である。このことは,原告及びAが自ら判断して設置した本件擁壁及び本件ブロック塀が,被告ら主張線に沿って設置されていることからも分かる。    イ 本件境界が本件西側隣地境界の延長線上に存在することは知らない。 第3 当裁判所の判断  1(1) まず,本件境界と本件西側隣地境界の位置関係について検討するに,① 土地改良法による換地処分等が実施された折に作成された○○土地改良区確定測量求積図(甲14)及び甲12号証(別紙第2図面)には,本件境界と本件西側隣地境界がおおむね一直線につながるように記載されていること,② 本件境界が本件西側隣地境界の延長線上に存在することは,原告が強く主張し,その本人尋問においても供述するところであり,被告Bも,その本人尋問において,同人の母から本件境界が本件西側隣地境界の延長線上に存在する旨の説明を受けたと供述していること(被告B本人調書18頁)にかんがみると,本件境界は,おおむね本件西側隣地境界の延長線上に存在すると認められる。  (2) そして,証拠(甲33の1ないし6,甲36の1ないし5,甲37,原告本人)及び弁論の全趣旨によると,① 本件西側隣地境界は,既に確定し,同境界に沿って擁壁が設置されていること(本件22番7土地は,本件23番2土地よりも高く造成されている。),② 本件西側隣地境界の東端と別紙第1図面A2点(A2点は,本件30番土地と本件31番1土地の境界の東端として当事者間に争いがない。)を結んだ直線は,おおむね原告ら主張線に沿うこと,③ 一方,被告らが本件30番土地と本件31番3土地の境界の西端であると主張する別紙第1図面A1点は,本件西側隣地境界の東端よりも明らかに南側に存在することがそれぞれ認められる。  (3) 以上によると,本件境界は,原告ら主張線,すなわち,別紙第1図面A2,H5,H4,C3及びC1の各点を順次直線で結んだ線であると確定するのが相当である。  2(1) 被告らは,本件擁壁及び本件ブロック塀の位置など,本件各土地の現況を根拠として,本件境界は被告ら主張線であると主張する。  (2) 確かに,証拠(甲29,33の1ないし6,乙1の1・2,原告本人,被告B本人)によると,① 本件30番土地と本件31番1土地及び本件31番3土地の境界付近には,被告ら主張線に沿って,本件擁壁,コンクリート敷き及び本件ブロック塀が設置されていること,② 本件擁壁は,昭和48年ころ,原告及びAによって,その当時水田であった本件30番土地との間に存在した畔(あぜ)に沿って設置され,また,これに続くコンクリート敷き及び本件ブロック塀は,原告によって,本件擁壁の延長線上に設置されたことがそれぞれ認められ,被告ら主張線が本件境界付近の現況に符合することは否定できない。  (3) しかしながら,本件全証拠を精査しても,① 昭和48年ころに存在した上記畔(あぜ)が,本件30番土地と本件31番1土地の境界に正確に沿うように作られていた事実や,② 原告及びAが,本件擁壁を設置する際,本件境界の所在を確認の上,それに沿って本件擁壁を設置した事実を認めるに足りる的確な証拠はない。したがって,現況が本件境界を反映したものということはできず,被告らの主張は採用できない。  3 よって,本件30番土地と本件31番1土地の境界は,別紙第1図面A2,H5,H4及びC3の各点を順次直線で結んだ線であることを確定し,本件30番土地と本件31番3土地の境界は,別紙第1図面C1とC3を結んだ直線であることを確定することとして,主文のとおり判決する。    甲府地方裁判所民事部       裁判長裁判官   新  堀  亮  一          裁判官   倉  地  康  弘          裁判官   岩  井  一  真

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