hanrei @Wiki H17. 7.14 津地方裁判所 平成16年(行ウ)第25号 無効確認請求



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判示事項の要旨:
町長の公務日程に関する文書の情報公開請求に関し,町総務課職員の所有する手帳はB町情報公開条例で規定された公文書には該当しないとして,文書不存在を理由とする非開示決定の取消請求が棄却された事例


主 文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求める裁判
1 原告
(主位的請求の趣旨)
(1) 被告が原告に対して平成16年7月27日付けでなした被告町長の公務日程に関する公文書不存在の決定が無効であることを確認する。
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
(予備的請求の趣旨)
(1) 被告が原告に対して平成16年7月27日付けでなした被告町長の公務日程に関する公文書不存在の決定を取り消す。
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告
(本案前の答弁)
(1) 本件訴えを却下する。
(2) 訴訟費用は原告の負担とする。
(請求の趣旨に対する答弁)
 主文同旨
第2 当事者の主張
1 原告の請求原因
(1) 原告は,平成16年7月12日,当時の被告町長Aに対し,B町情報公開条例(以下「本件条例」という。)5条に基づき,被告の同月1日から同月12日の公務日程に関する文書(以下「本件文書」という。)の情報公開を請求した(以下「本件情報公開請求」という。)。
(2) 被告は,平成16年7月27日,本件情報公開請求につき,公文書不存在決定(以下「本件決定」という。)をした。
(3) 本件決定は,以下のとおり,無効又は違法というべきである。
ア 被告の義務
 被告は,本件条例1条が規定する次の努力義務を負担している。
(ア) 町民の知る権利を尊重する。
(イ) 町の保有する情報の一層の公開を図る。
(ウ) 町の諸活動を説明する責任を有する。
(エ) 民主的な分かりやすい町づくり推進に努める。
イ 本件文書は,地方公共団体の首長で,上記義務を負う町長が公務を支障なく進めるために,当然作成され,保管されているはずのものである。本件文書を公文書として保有することは,記録の確保ばかりでなく,公務を支障なく進める上で必要不可欠な団体事務である。したがって,被告が,本件文書を公文書として保有することを怠ることは違法である。
ウ 被告は,過去において別表のとおり,同種の文書を公開したり,公開しなかったりしており,その取扱いは恣意的である。とりわけ,原告が平成15年8月1日に行った同年7月1日から同月31日の期間における町長の日程表の情報公開請求に対しては,B町の役場内のLANにおいて使用されているソフトウェア「サイボーズ」による同期間の予定表(乙8。以下,同ソフトウェアによる予定表を「サイボーズによる予定表」という。)を公文書として開示したのであるから,本件情報公開請求に対しては,公文書不存在を理由に非開示とする合理的理由はない。
エ そもそも本件条例がその対象となる「公文書」を「決裁又は供覧等の手続が終了し」たものに限定していることは不当であり,同文言は削除すべきであるのに,これを理由に公開を拒むことは違法である。
(4) 被告町長は,平成17年4月21日にAが辞任し,同年5月23日にCが選任された。
(5) 本件情報公開請求の対象は,被告の平成16年7月1日から同月12日までの期間のサイボーズによる予定表(乙10)だけではないから,原告には,訴えの利益がある。
(6) よって,原告は,被告に対し,主位的に行政事件訴訟法3条4項,36条に基づき,本件決定の無効確認を,予備的に同法3条2項に基づき,本件決定の取消しを求める。
2 被告の本案前の答弁の理由
(1) 本件条例2条2号によれば,文書のうち,公開の対象となる公文書とは,「実施機関の職員が職務遂行上作成し,又は取得した文書であって,決裁又は供覧等の手続が終了し,実施機関が現に保管又は保存しているものをいう。」とされている。
 原告は,本件情報公開請求の対象として,担当職員の作成する手帳も当然含むが,それ以外にも町長の公務日程に関する文書ならば,手書,メモを問わず,たとえばカレンダー上に書かれたものなども含めて公開請求していると主張している。しかしながら,被告の公務日程につき記載を行う文書は,後記のとおり総務課担当職員の手帳以外には存在しないのであり,原告が本件情報公開請求において公開を求める公文書は,被告において元々作成しておらず,存在しないから,判決により本件決定の無効又は取消しが宣言されても,開示すべき対象がない。したがって,原告には,本件訴訟により回復すべき法的利益が存在せず,訴えの利益がないので,本件訴えは不適法である。
(2) 仮に原告が本件情報公開請求の対象として平成16年7月1日から同月12日までのサイボーズによる予定表を含ませていたと主張するのであれば,上記期間のサイボーズによる予定表は,本件訴訟で書証(乙10)として提出され,原告は既にその写しの交付を受けているから,原告には,この点について無効又は取消しを求める訴えの利益がない。
3 請求原因に対する認否及び被告の主張
(1) 請求原因(1),(2),(4)の各事実は認める。
(2) 請求原因(3)のうち,同ア(ア)ないし(エ)が本件条例1条の目的として記載されている事実は認め,その余は否認ないし争う。
ア B町における町長の日程調整事務は,①まず,各課の職員等からB町総務課の担当職員及び町長に対して口頭及び書面でスケジュールの打診があり,②総務課の担当職員が所有する手帳(以下「本件手帳」という。)を確認することにより既に町長の予定が入っていないか確認し,③既に予定が入っている場合やスケジュールの打診が重複する場合,被告町長の判断等により打診のあったスケジュールの可否について,問い合わせのあった課等に回答し,担当職員が本件手帳に記入することによって十分円滑に遂行されており,これ以外に町長の公務日程を記入した文書は作成されていない。
 そして,本件手帳は,当日生じた変更等は通常書き込まれないし,担当職員が被告の日程調整事務を円滑に処理するための備忘メモにすぎないのであるから,「職務上作成し,又は取得した」ものではないし,「決裁又は供覧等の手続」(本件条例2条2号)もなされず,本件手帳の備付けや保存について,条例,規則又は要綱等による定めは一切存在しないのであるから,「実施機関が現に保管又は保存している」ものでもない。したがって,本件手帳が,本件条例により公開の対象となる「公文書」に該当しないことは明らかである。
イ 原告は,過去の決定が本件決定と異なることをもって,恣意的であると主張するが,公文書公開請求は,請求対象文書等が異なることにより判断が異なるのは当然であるから,原告の主張は失当である。
B町の職員はB町の役場内の各パソコンで職員別のサイボーズの予定表に予定を任意に自ら書き込んでいるものであるが,被告町長のサイボーズによる予定表も存在する(乙8,10)。しかし,町長の予定表に記載された予定は,他の職員が代理出席したり,町内行事が単に書き込んであるなど,必ずしも町長の予定であるとは言えないことから,これは本来「被告町長の公務日程に関する文書」には当たらないのであって,平成15年8月1日付けの原告の情報公開請求に対し,被告がサイボーズによる予定表の印刷物(乙8)を公開したのは,申立人である原告の意思を広くくみ取れば,この予定表を公開しても差し支えないと判断して,平成15年8月29日付で同期間の印刷物を原告に公開することとしたにすぎない。ところが,これに対し,原告は,同年8月29日に被告に対し不服申立を行い,同年11月11日の平成15年第5回B町情報公開審査会において,原告の要求している文書はサイボーズによる予定表の印刷物のような簡単なものではなく,もっと詳しいものであり,それがB町にあるはずだと主張した。
 以上の経緯を踏まえ,被告は,本件情報公開請求についても,原告が公開請求した本件文書は,平成16年7月1日から同月12日の期間のサイボーズの予定表の印刷物(乙10)ではなく,本件手帳であると判断して本件決定を行ったものである。
ウ 以上からすれば,本件条例2条2号にいう「公文書」としての本件文書が存在しないことは明らかであり,公文書不存在を理由とする本件決定には何らの違法性もない。
エ 原告は主位的に本件決定の無効確認を請求するが,行政処分の無効確認が認められるためには,当該処分に重大かつ明白な違法性が存することが必要であるところ,前記のとおり本件情報公開請求においては,対象となる公文書そのものが不存在であり,また,本件決定が適法になされたことは明らかであるから,重大かつ明白な違法性は存しない。
第3 当裁判所の判断
1 請求原因(1),(2),(4)の各事実,同(3)のうち,同ア(ア)ないし(エ)が本件条例1条の目的として記載されている事実は当事者間に争いがない。
2 被告の本案前の答弁について
(1) 被告は,本件情報公開請求の対象である本件文書は,被告において元々作成されておらず存在しないものであって,判決により本件決定の無効又は取消しが宣言されても開示すべき対象がないから,原告には訴えの利益がないと主張する。
 そこで検討するに,甲6によると,B町情報公開条例は,次のとおり,規定している。
(定義)
2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
(2) 公文書 実施機関の職員が職務遂行上作成し,又は取得した文書,図画,写真及び電磁的記録(電子式方式,磁気的方式その他人の知覚によって認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって,決裁又は供覧等の手続が終了し,実施機関が現に保管又は保存しているものをいう。
(公文書の公開を請求できる者)
5条 何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有する公文書の公開を請求することができる。
(2) 本件条例の上記規定によると,情報公開請求の対象たる文書が,文書としては存在しているが,本件条例に基づく公開の対象となる「公文書」に当たらないことを理由に文書不存在による非開示決定がなされている場合は,当該文書が「公文書」にあたるとして文書不存在決定が無効又は取消されることにより,開示すべき対象となる文書が存在することになるから,訴えの利益は肯定できるというべきである。
 そして,甲1ないし5,乙12及び弁論の全趣旨によると,後記3(2)アのとおり,原告は,本件情報公開請求において,被告町長の平成16年7月1日から同月12日の公務日程に関する文書(本件文書)として,サイボーズによる予定表ではなく,B町総務課の担当職員の所有する本件手帳の開示を請求するものである。また,本件手帳に同期間の被告町長の公務日程に関する記載がなされていることは被告も自認するところである。したがって,本件情報公開請求の対象たる本件文書は,本件手帳という文書としては存在すると認められるから,原告に訴えの利益が肯定される。これに反する被告の主張は採用できない。
(3) さらに被告は,原告が本件文書にサイボーズによる予定表が含まれていたと主張する場合,原告は被告から当該文書の交付を受けているため,当該文書に関して無効又は取消しを求める訴えの利益はない旨主張する。しかし,訴えの利益は本件文書の開示を求める利益があるかという観点から判断されるところ,本件情報公開請求の対象たる文書が,サイボーズによる予定表のみであるというのであればともかく,上記のとおり本件手帳が存在し同手帳は原告に開示されていない以上,本件決定の無効又は取消しを求める原告の訴えの利益が否定されることはないから,被告の上記主張も採用できない。 したがって,本案前の答弁についての被告の主張はいずれも理由がない。
3 本件決定の適法性について
(1) 当事者間に争いがない事実と甲1ないし5,乙3,7ないし10,12,証人Dの証言及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
ア B町における町長の日程調整は,総務課に所属する職員が担当している。Dは,平成14年4月に総務課係長に就任して秘書業務を兼務しているが,同人は,昭和62年5月から,被告町長の秘書業務等を担当してきた。以前町長の予定は町長室の黒板を使うことで把握されていたが,不便や不都合があったことから,担当職員であるDにおいて手帳を使用することとした。
 その後,B町役場内にLANが設置されてからは,担当職員は,その所持する手帳と役場内のLAN上のサイボーズによる予定表で町長の日程を把握するようになり,各課の職員等から口頭ないし書面で町長の日程についての打診を受けると,本件手帳やサイボーズによる予定表で既に町長の予定が入っていないかを確認した上で,町長の判断を仰ぎ,予定が決まった場合には本件手帳に記入している。サイボーズによる予定表には,町長自身のほか,町長から依頼を受けた総務課担当職員や会議を担当する各課の職員が書き込んでいる。
イ 総務課担当職員が関与することなく,町長自らが日程の打診を受けて予定を入れることもあり,そうした場合には本件手帳に同予定は記入されないし,急に決まった予定については本件手帳に記入されないこともある。また,担当職員は,本件手帳の枠外に自身の個人的な予定を記載することもある。
ウ 本件手帳は,B町文書事務取扱規程によって決裁又は供覧等の手続が予定されておらず,実際にも決裁又は供覧等の手続はとられていない。また,サイボーズによる予定表についても決裁又は供覧等の手続はとられていない(乙7)。
エ 原告は,平成15年7月9日,被告に対し,同月8日から同月10日の期間における被告町長Aの日程表の情報公開請求を行った。同請求に対し,被告は,同年7月9日に情報公開請求の対象文書として,上記期間に被告が出張して参加した度会郡町村会の北海道方面の旅行会社作成に係る「ご旅行日程表」の公開決定をし,原告はその写しを入手した(甲5)。
オ さらに,原告は,平成15年8月1日,被告に対し,同年7月1日から同月31日の期間における被告の日程表の情報公開請求をした。同請求に対し,被告は,上記期間の被告の日程表は作成していないため不存在との理由で,同年8月13日に本件条例7条の4に基づくものとして,公文書不存在決定をした。その後,被告は,同月29日になって情報公開請求の対象文書が確認されたとして上記期間における被告の日程表としてサイボーズによる予定表について公文書公開決定を行い,同日,本件条例7条3項に基づき,その旨を原告に通知した(甲2,3,乙8)。
 上記サイボーズによる予定表によると,被告が,日々公務で出席する会議等の記載のほかに,被告は,同年7月3日に県民局に,8日から10日に度会郡町村会行政視察として,14日から16日に議員行政視察研修随行として,28,29日に過疎対策で,それぞれ出張する旨の記載がなされている。
 これに対し原告は,同年8月29日に,同月13日付けの公文書不存在決定の取消しを求める異議申立てを行い,その理由として,公務遂行の時間調整の必要から首長の日程表作成は町長秘書の必須業務であり,関係職員もサイボーズによる予定表ではない日程表の存在を認めていると主張した。そして,原告は,同年11月11日の平成15年第5回B町情報公開審査会で,原告が情報公開請求している文書はサイボーズによる予定表の印刷物のような簡単なものでなく,より詳細な町長の予定表で,B町にある筈であると主張した(乙9,12)。
カ 被告は,原告が平成16年7月12日に行った本件情報公開請求について,上記オの経緯をふまえ,その対象たる本件文書はサイボーズによる予定表は含まれずに,本件手帳をいうものであると判断して,同月27日に本件条例7条の4に基づくものとして,本件手帳が「公文書」に当たらないとして公文書不存在を理由とする本件決定を行った。
キ 被告は,本件訴訟係属後,仮に原告が本件情報公開請求の対象として平成16年7月1日から同月12日までのサイボーズによる予定表を含ませていたと主張する場合に備えて,平成17年2月17日の本件第3回口頭弁論期日に,上記期間中の被告のサイボーズによる予定表を,書証(乙10)として提出した。
(2) 本件公開請求の対象文書の存否
ア 乙10によると,被告の平成16年7月1日から同月12日までの期間のサイボーズによる予定表には,被告の公務の予定として,被告は,同月1日は9時から定例課長会議ほかの,2日は10時から県水産基盤設備協会総会ほかの,5日は9時から広域連合会議ほかの,7日は14時から合併協議会ほかの,8日及び9日は議員研修随行の,12日は13時30分から教民常任委員会ほかの記載がなされている。
 この事実と上記3(1)で認定した事実によると,被告の公務日程に関する文書として,サイボーズによる予定表(乙10)と本件手帳があると認められるが,それら以外に,町長の公務日程に関する文書が存在すると認めるに足りる的確な証拠はない。そして,上記のとおり,原告の平成15年8月1日付け情報公開請求に対する被告の決定に関し,原告は異議申立てをしてサイボーズによる予定表は公開請求の対象ではない旨強く主張していたこと,上記請求と本件情報公開請求における対象文書がともに当時の被告町長Aの日程に関する文書であることなどに鑑みると,原告は,本件訴訟においても,本件文書にサイボーズによる予定表が含まれずに,本件手帳が公文書に当たると主張してその公開を請求しているものと解される。そして,被告において,原告の意図をそのように理解したことが不合理とはいえない。
イ そこで,本件手帳が本件条例により公開が請求できる「公文書」に当たるか否かについて検討する。
本件条例では,公開が請求できる公文書とは「実施機関の職員が職務遂行上作成し,又は取得した文書,図画,写真及び電磁的記録」であって,「決裁又は供覧等の手続が終了し,実施機関が現に保管又は保存しているもの」とされるところ(本件条例2条2号),本件手帳は,B町文書事務取扱規程によって決裁又は供覧等の手続が予定されいる文書に該当せず(同規程6条),実際にも決裁又は供覧等の手続きはとられていないことによれば,「公文書」には該当しない。そして,本件手帳は,上記認定のとおり,担当職員が知り得た範囲の町長の予定を急遽決定されたものを除いて記載しているもので,必ずしも正確性は担保されていないこと,その枠外には担当職員の個人的な予定が記載されることもあること,担当職員が従前の取扱いの不便さを改善するために私的に使用し始めたものであることからすれば,町長の日程調整のために備忘録として便宜上用いられているものというべきであり,本件手帳に,「決裁又は供覧等の手続」が採られていないことは不合理ではない。
(3)ア 原告は,情報公開請求に対する被告の取扱いが恣意的であると主張する。確かに,平成15年8月1日付け情報公開請求と本件情報公開請求では,原告が対象文書にサイボーズによる予定表を含ませているか否かについて,被告の対応は異なっているが,被告のこの対応の相違は,上記3(1)における原告の異議申立てにおける主張内容によれば不合理とはいえないから,被告の取扱いが恣意的なものということはできない。
イ 原告は,町長の公務日程に関する文書を「公文書」として保管しないのは違法であり,これを理由に公開を拒むことは違法である旨主張する。
そこで検討すると,町長の公務日程に関する文書は性質上決裁又は供覧等の手続が不可欠というものではないし,被告は,上記のとおり,原告の平成15年8月1日付け公開請求に対して,同月29日に同年7月1日から同月31日までの期間における被告のサイボーズによる予定表の公開決定を行っており,本件情報公開請求に対しても,平成16年7月1日から同月12日までの期間における被告のサイボーズによる予定表を,被告が情報公開請求された対象文書の可能性があるとして,本件訴訟において証拠として提出している。そして,上記各サイボーズによる予定表には,町長である被告の公務上の行動が具体的かつ詳細に記載されており,公開にあたりB町担当者の決裁を得ていてその正確性も担保されていると認められることや,本件条例は,その1条で目的として,原告の請求原因(3)ア(ア)ないし(エ)のとおり,公正で民主的な分かりやすい町づくりの推進に資するため町の保有する情報の一層の公開を図るように規定していることからすれば,町長の公務日程に関する文書としては,サイボーズによる予定表の公開が予定されているものと解するのが相当である。サイボーズによる予定表が作成され存在している以上,被告が町長の公務日程に関する文書を「公文書」として保管しないことが違法であるということはできない。
ウ また,原告は,本件条例がその対象となる「公文書」を「決裁又は供覧等の手続が終了し」たものに限定しているのは不当であり,これを理由に公開を拒むことは違法である旨主張する。
確かに,情報公開の対象となる「公文書」について決裁又は供覧等の手続が終了した文書に限定する必然性があるとは特に認められないが,情報公開請求権は条例によって認められる権利であるところ,本件条例が情報公開の対象となる「公文書」を「決裁又は供覧等の手続が終了し」たものと規定していることが,著しく不合理とまでいうことはできない。
 したがって,同規定に基づいてなされた本件決定が違法になるとは認められない。
エ よって,原告の主張はいずれも採用できない。なお,甲1によると,被告は,本件情報公開請求に対し本件条例7条の4に基づき公文書不存在決定である本件決定をした旨記載しているが,甲6によると,その趣旨は,本件条例7条4項に基づく決定であると解せられ,弁論の全趣旨によると,そのことを原告も了解していると認められるから,本件決定に至る上記根拠条文の誤記は,本件決定の効力に影響を与えるものとは認められない。
(4) したがって,本件文書が「公文書」として存在しないことを理由としてこれを開示しないこととした本件決定が違法であるということはできず,他に,本件決定を無効としあるいは取り消すべき事由を認めることはできない。 
4 結論
以上によれば,原告の本件請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
津地方裁判所民事第1部
裁判長裁判官    水 谷 正 俊
裁判官    本 山 賢太郎
裁判官    薄 井 真由子