hanrei @Wiki H17.11.15 富山地方裁判所 平成17年(わ)第168号 強盗致傷被告事件



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平成17年(わ)第168号 強盗致傷被告事件
主文
被告人を懲役11年に処する。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は,分離前の共同被告人A,同B,C,D及びEと共謀の上,パチンコ店から集金された現金等を強取しようと企て,平成16年3月29日午前11時30分ころ,富山市内の路上において,F(当時34歳)運転の普通貨物自動車の前後を普通乗用自動車2台でふさいで停止させた上,Dにおいて,上記貨物自動車の窓ガラスを所携の脱出用ハンマーでたたき割り,Fに対し,その顔面を同ハンマーで数回殴打し,「殺されたくなかったら降りれ。」などと語気鋭く申し向け,同車から引きずり出すなどの暴行,脅迫を加えてその反抗を抑圧し,同人所有又は管理に係る現金約6713万5720円在中の集金鞄等7点(時価合計約1万5600円相当),小切手5枚(額面金額合計1600万7040円)ほか6点在中の鞄1個(時価約1000円相当)ほか45点(現金合計約6万7525円,時価合計約1万3200円相当)が積載された上記貨物自動車1台(時価約60万円相当)を強取し,その際,上記暴行により,同人に対し,加療約3週間を要する顔面裂挫創,鼻骨骨折,左胸部打撲の傷害を負わせたものである。
(法令の適用)
被告人の判示所為は刑法60条,平成16年法律第156号附則3条1項により同法による改正前の刑法(以下「旧法」という。)240条前段に該当するが,所定刑中有期懲役刑を選択し,被告人には前科があるので刑法56条1項,57条により同法6条,10条により旧法14条の制限内で再犯の加重をし,これは確定裁判があった罪と刑法45条後段の併合罪であるから,同法50条によりまだ確定裁判を経ていない判示強盗致傷罪について更に処断することとし,上記加重した刑期の範囲内で被告人を懲役11年に処し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
1 本件は,複数の暴力団組員を含む8名からなる集団が,情報提供役,実行役等の役割を分担し,現金等の輸送車に関する情報を収集・検討し,輸送ルートの下見をするなど周到な準備の上で敢行したものであり,犯行の組織性,計画性は顕著である。その態様は,白昼,路上において実行役4名が乗用車2台で輸送車を挟み撃ちにして停車させた上,その運転手に暴行脅迫を加え,同車ごと現金等を強奪するという大胆かつ粗暴なものである。
輸送車の運転手は,突如として集団に襲われて加療約3週間の怪我を負わされ,著しい恐怖を感じさせられており,その処罰感情も厳しい。また,本件では現金約6700万円を含む合計約8400万円という多額の財産的損害が生じているにもかかわらず,被告人は被害弁償等の見るべき慰謝の措置を講じていない。加えて,本件は,白昼堂々,多額の現金が強取された現金輸送車襲撃事件として地域社会に深刻な不安を与えたものであり,その社会的影響の大きさも見過ごせない。
2 被告人は,知人から金銭奪取が容易な現金輸送車がある旨の話を聞くや,同車の集金時間等,更に詳細な情報収集を同人に依頼し,他方で名古屋の暴力団員である共犯者に同車襲撃の話を持ち掛け,収集された情報を伝えるなどしている。このように,被告人は,本件の首謀者の一人として計画段階において中心的な役割を果たし,分け前として共犯者間では最も多い約2200万円の現金を得ている。さらに,被告人は,確定裁判及び累犯前科を含む7犯の前科を有し,服役後,再度暴力団に加入して本件を敢行しており,素行が甚だ芳しくない。
以上の点に鑑みると,被告人の刑事責任は相当重大である。
しかしながら,他方,現金以外の被害品の多くは被害者に還付されていること,本件を認めて反省の態度を示していること,上記確定裁判による刑と併せて服役すること,養育すべき子がいることなど,被告人のために酌むべき事情も認められる。
そこで,これらの諸事情を総合考慮し,被告人を主文の刑に処するのが相当であると判断した。(求刑 懲役12年)
 平成17年11月15日
    富山地方裁判所刑事部

        裁判長裁判官   手   崎   政   人


           裁判官   大 多 和   泰   治


           裁判官   五 十 嵐   浩   介

〔参考事項〕
Bは,懲役7年(強盗致傷)
Dは,懲役8年(強盗致傷,窃盗)
Eは,懲役7年(強盗致傷,窃盗)
他に本件を幇助した2名につき,それぞれ懲役4年6月,同3年
(平成17年12月15日現在で判決宣告済みのもの)