H18. 2.17 甲府地方裁判所 平成17年(ワ)第274号 所有権移転登記手続請求

不動産の売買契約を原因とする所有権移転登記請求が棄却された事例


判   決
主   文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実および理由
第1 請求
 被告は原告に対し,原告から1343万2650円の支払いを受けるのと引換えに,別紙物件目録記載の土地建物につき平成17年4月19日売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ。

第2 当事者の主張
 1 争いのない事実
 被告は別紙物件目録記載の土地建物(以下「本件土地建物」という)を所有しており,その登記を了している。

 2 請求原因
 被告は平成17年4月19日,本件土地建物を代金1343万2650円で原告に売った。
 よって原告は被告に対し,売買契約に基づき,本件土地建物につき,原告から代金1343万2650円の支払いを受けるのと引換えに,原告に対する平成17年4月19日売買を原因とする所有権移転登記手続をすることを求める。

 3 請求原因に対する認否
 請求原因の売買の事実は否認する。

第3 当裁判所の判断
 本件全証拠によっても原告の主張する売買の事実を認めることはできない。
 原告は,売買が成立したことの証拠として2通の文書を提出するが(甲3,4),いずれの文書にも,韮崎市所在の「有限会社A」が本件土地建物を被告から買ったという趣旨の記載はあるものの,原告についてはまったく言及がない。このような文書によって原告と被告の間の売買の成立を認めることはとうていできない。
 なお,原告は,本件訴えの提起後,本件で主張しているのと同様の売買の成立を前提として,被告を相手方とする処分禁止・妨害禁止の仮処分命令を甲府地方裁判所に申し立てたが(同裁判所平成17年(ヨ)第○○号),同裁判所がこれを却下し,この決定が確定していることは当裁判所に顕著な事実である。このことからしても原告の請求には理由がないというほかない。

   甲府地方裁判所民事部

 裁判官  倉 地 康 弘
(別紙)省略

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最終更新:2006年03月06日 12:47
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