H18. 1.11 名古屋地方裁判所 平成17年(ワ)第3957号 不正競争行為差止等請求事件

 原告が,被告の商号の要部が原告の商号と同じであることなどを理由に営業主体の誤認・混同をもたらしているとして,被告の商号使用差止め,商号登記の抹消,被告ドメイン名の使用差止め及び損害賠償を求めた事案について,被告の商号使用及びドメイン名使用が不正競争行為に該当するとして,損害賠償の一部を除く請求を認容した事例


平成18年1月11日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成17年(ワ)第3957号 不正競争行為差止等請求事件

口頭弁論終結の日 平成17年12月12日

判          決
主          文

1 被告は,その営業上の施設及び活動に「スズケン製薬株式会社」の商号を使用してはならない。
2 被告は,静岡地方法務局富士支局平成16年11月22日付けをもってした被告の設立登記のうち,「スズケン製薬株式会社」なる商号の抹消登記手続をせよ。

3 被告は,ドメイン名「suzuken-fc.com」を使用してはならない。

4 被告は,原告に対し,150万円及びこれに対する平成17年10月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

5 原告のその余の請求を棄却する。

6 訴訟費用はこれを5分し,その1を原告の,その余を被告の各負担とする。

7 この判決は,第4項及び第6項のうち被告負担部分に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 原告の請求
1 主文第1ないし3項と同旨

2 被告は,原告に対し,300万円及びこれに対する平成17年10月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要等

本件は,医薬品の製造・販売等を業とする原告が,「スズケン製薬株式会社」の商号を用いて健康食品の販売等を行っている被告に対し,上記商号の要部は「スズケン」にあって,原告の商号と同じであることなどを理由に,営業主体の誤認・混同をもたらしていると主張して,不正競争防止法2条1項1号,3条1項・2項に基づき,上記商号使用の差止めと上記商号登記の抹消を,同法2条1項12号,3条1項に基づき,被告のドメイン名の使用差止めを,さらに,同法2条1項1号,4条及び民法710条に基づき,これらの不正競争行為により生じた無形損害及びその処理のために要した弁護士費用の合計額の内金300万円の損害賠償並びにこれに対する民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求めた事案である。

1 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実)


(1) 当事者

ア 原告は,昭和21年8月10日,「株式会社鈴謙洋行」の商号をもって設立された医薬品,試薬,動物用医薬品,医薬部外品等の販売及び製造等を目的とする株式会社であり,昭和39年10月,商号を「株式会社スズケン」(以下「原告商号」という。)に変更した(甲1,3)。
イ 被告は,平成16年11月22日,「スズケン製薬株式会社」の商号(以下「被告商号」という。)をもって設立された健康食品の販売等を目的とする株式会社である。


(2) 原告の規模及び広報活動等

ア 原告は,佐賀県,長崎県,大分県及び宮崎県を除く全国43都道府県に支店又は子会社を設けており,全国規模で医療情報の提供,物流等を行っている。

また,静岡県内には,被告所在地である富士市内に富士支店を設けているほか,7支店が設置されている(甲3)。

イ 原告は,しばしば,中日新聞,朝日新聞及び日本経済新聞などの日刊紙の題字下に「健康創造のスズケン」,「http://www.suzuken.co.jp」などと記載された宣伝広告を掲載している(甲7の1ないし3)。
ウ 原告は,インターネット上にホームページ(「http://www.suzuken.co.jp/」のアドレスのうち,「suzuken.co.jp」を「原告ドメイン名」といい,原告商号と併せて「原告商号等」という。)を開設し,会社内容等を掲載している(乙2)。


(3) 被告の事業内容

被告は,インターネット上にホームページ(「http://www.suzuken-fc.com/」のアドレスのうち,「suzuken-fc.com」を「被告ドメイン名」といい,被告商号と併せて「被告商号等」という。)を開設して,「発芽そば発酵エキスサラサラそばの恵み」,「固体マイナス水素イオン」,「飲む美容液」及び「ヒマラヤ岩塩」などの商品を販売している(甲2,8)。
2 本件の争点

(1) 原告商号の周知性の有無
(2) 営業表示の類似性と営業主体の混同のおそれの有無

(3) 不正競争防止法12条1項1号の適用の有無

(4) 損害の発生と額


3 争点に対する当事者の主張

(1) 争点(1)(原告商号の周知性の有無)
(原告の主張)


原告商号は,全国的規模において,医療品卸しのほか,医薬品の製造・販売,医療機器製造・販売などの部門を中心に,原告の営業表示として広く認識され,極めて高い周知性を有する。

(被告の主張)

原告の主張は否認する。

(2) 争点(2)(営業表示の類似性と営業主体の混同のおそれの有無)について
(原告の主張)


ア 被告商号である「スズケン製薬株式会社」のうち,「製薬」は,単に医薬品の製造又は販売,あるいはその両方を取り扱う会社であること,すなわち業種を表示するにすぎず(なお,被告は現実には,医薬品の製造・販売はしていない。),他の会社と識別する機能を有しないから,「スズケン」が被告商号の要部である。そうすると,原告商号と被告商号とは,その要部において同一である。

また,被告ドメイン名も,同様にその要部である「suzuken」において原告ドメインと同一である。

イ 被告は,健康食品の販売業を営んでいるところ,健康食品は,医薬品そのものではないが,医薬品に隣接するものとして,取引先又は需要者に対し,医薬品を扱う会社が,自ら又は別会社を設立して健康食品を取り扱っていることを容易に想起させるものである。現実に,原告の富士支店に対し,「スズケン製薬はお宅でやっているのか。」という問い合わせが数件あった。

被告商号の使用は,原告が,原告商号の要部である「スズケン」を用いて「スズケン製薬株式会社」なる会社を設立し,健康食品の販売をしているかのような誤認・混同を生じさせかねない。
(被告の主張)

原告の主張は否認する。
ア 被告は,被告商号である「スズケン製薬」だけでなく,別紙のとおり,ロゴマークと一体不可分に組み合わされた表示を看板等に使用しており,原告商号との類似性は存在しない。


また,「スズケン」と「製薬」も一体不可分のものであって,「製薬」は単なる業種を示すものではない。現に,「スズケンホーム株式会社」,「株式会社スズケン&コミュニケーション」及び「スズケンエステート」なる商号の会社が存在し,ホームページを開設しているが,これらの会社と同様,「スズケン製薬株式会社」の商号及び被告ドメイン名は,他の会社と識別する機能を有している。したがって,この点においても,原告商号との類似性は存在しない。

イ 原告は,富士支店に対する問い合わせの事実について,証拠を提示せず,またその主張に係る問い合わせの件数について,「数件」というあいまいな表現を用いており,虚偽の疑いがある。

被告は,インターネットのホームページを用いて健康食品等の販売を行っているが,被告のホームページと原告のホームページを離隔的に観察し,さらに商標法との相違などから判断しても,これを原告のものと誤認させるものではない。
(3) 争点(3)(不正競争防止法12条1項1号の適用の有無)について
(被告の主張)


被告商号は,静岡地方法務局富士支局において認められた商号である上,「スズケン」と称する企業の数は,業種別電話帳であるタウンページに掲載されているものだけで,全国に約250社も存在しており,ごくありふれた普通名称であるというべきである。
したがって,原告が「スズケン」との名称を独占的に用いる権利を主張するのは不正競争防止法1条の精神に反するというべきであるから,被告商号等の使用差止め等を求める請求は,権利を濫用するものとして許されない。


(原告の主張)

被告の主張は否認する。
普通名称は,取引者又は需用者において,特定の商品又は役務を指す一般名称として認識され通用しているものを意味し,例えば,商品である弁当に「弁当」との名称をつけるように,そのような名称によっても誰が製造・販売しているかを識別できないようなものをいうのであって,「スズケン」がこれに当たらないことは明らかである。


(4) 争点(4)(損害の発生と額)について
(原告の主張)


原告は,被告の本件不正競争行為により信用を毀損されるという無形損害を被っており,その損害を回復するには,被告に対して金銭をもって償わせるのが相当であるところ,その金額は,少なくとも300万円を下回らない。
また,原告は,本件訴訟に先立ち,被告に対し,平成17年8月3日付け書留郵便で被告商号の使用をやめるよう申し入れ,同書面は,同月4日,被告に到達した。しかし,被告は,この申入れを全面的に拒否するとの回答をしたため,原告は,本訴提起を余儀なくされたところ,本件訴訟の提起及び遂行には,原告訴訟代理人及び補佐人に依頼することが不可避である。そのための費用としては,原告訴訟代理人及び補佐人が所属する事務所ごとに各100万円が相当であるところ,同費用は,被告の本件不正競争行為に起因し,同行為と相当因果関係のある損害というべきである。

よって,原告の損害は合計500万円となるところ,原告は,被告に対し,その内金として300万円を請求する。


(被告の主張)

原告の主張は争う。
被告の商品と原告の商品とは競合するものではないから,原告の営業上の利益が侵害されることはない。また,原告の主張する信用毀損の事実についての証明は何らなされていない。

第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(原告商号の周知性の有無)について


(1) 前記前提事実に証拠(甲1ないし6,7の1ないし3,8,乙1ないし3,5の1ないし3)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。

ア 原告の前身は,昭和7年11月13日に名古屋市東区において,「鈴木謙三商店」の屋号をもって創業された個人としての医薬品卸売業者であり,創業当時から「鈴木謙三」の姓と名の一字ずつをとって「スズケン」の愛称で呼称され,やがて中部地区の医薬品卸売業界では名を知られる存在に成長した。

その後,同事業者は,昭和21年8月10日,静岡県浜名郡において,その愛称を基に「株式会社鈴謙洋行」の商号をもって法人成りし,昭和22年11月には,これを「株式会社鈴木謙三商店」に社名変更し,さらにその翌年の昭和23年4月,個人事業の営業権を譲り受け,昭和39年,社名を現在の「株式会社スズケン」に変更した。
この間,原告は,関東地方や北陸地方に営業拠点となる支店を開設し,その規模を拡大していった。


イ 原告は,創立70周年を迎えた平成14年度には,連結売上高が1兆円を超え,平成16年3月には資本金131億2900万円,従業員数6314名の規模にまで成長し,佐賀県,長崎県,大分県及び宮崎県を除く全国43都道府県に支店又は子会社を設けて,全国規模で医療関係の情報収集,物流等を行う体制を整えているほか,インターネットサイトである「Click-M.i」を開設したり,「スズケンメディカル」及び「スズケンファーマ」と題する出版物を発刊して,医療機関やその従事者等に対し,医療情報の発信を行っている。

また,原告は,医療機器のオリジナルブランドである「Kenz」製品を開発しているほか,グループ企業である三和化学研究所では,原告のロゴマークの付された「グルテストエースR」などの小型血糖測定機を開発しており,血糖自己測定市場では大きなシェアを誇っている。
さらに,原告は,生活習慣改善指導事業として,食物繊維を配合した緑茶や低刺激性の透明石鹸などの販売も行っている。


ウ 原告は,インターネット上にホームページを開設しているほか,中日新聞,朝日新聞及び日本経済新聞などの日刊紙の題字下に「健康創造のスズケン」,「SUZUKEN」,「http://www.suzuken.co.jp」などと記載された宣伝広告をしばしば掲載している。

また,原告の支店・営業所における看板や営業用の車両には,「SUZUKEN」と表記されている。
(2) 以上の認定事実によれば,原告商号における「スズケン」の表示は,そのアルファベットによる表記(SUZUKEN)も含め,医薬品卸売業を行う原告の営業表示として,遅くとも昭和39年ころまでには中部地方を始め,関東地方,北陸地方の需要者に周知され,その後,医薬品の卸売業のみならず,医療機器の開発,医療情報の発信や健康増進関連事業などの医薬品卸売業に関連する事業を全国規模で展開した結果,これらの分野においても,遅くとも平成14年ころまでには,上記営業表示が原告の商品又は営業を示すものとして広く認識されるに至り,現時点においてもその周知性は維持されていると認められる。

2 争点(2)(営業表示の類似性と営業主体の混同のおそれの有無)について

(1) 商号の類似性について

原告商号である「株式会社スズケン」のうち,「株式会社」の部分は,会社の種類を示しているにすぎないから,主体についての識別力を有するものでないことは明らかであるのに対し,「スズケン」の部分は,「スズ」と「ケン」の組み合わせから成る造語であって,これを付せられた主体が原告であることを表象する固有の名称であるから,この部分にこそ,営業主体等の識別力が存在すると認められる。
他方,被告商号である「スズケン製薬株式会社」のうち,「株式会社」の部分については上記と同様であり,「製薬」の部分も,業種を示す普通名詞にすぎず,それ自体,主体についての識別力を有するものとは考えられないから,結局,主体が被告であることの識別力を有するのは,「スズケン」の部分というほかない。

そうすると,原告商号及び被告商号のいずれにおいても,付された主体の識別力を有する部分,すなわち要部は,両者に共通な「スズケン」の部分であるから,全体として被告商号は原告商号に類似すると認めるのが相当である。

この点について,被告は,別紙のとおり,被告商号はロゴマークを含めて一体不可分のものであり,「スズケン」と「製薬」も一体不可分であるから,原告商号との類似性を有しない旨主張するが,別紙の表示を全体的,離隔的に観察しても,ロゴマーク(大きさを異にする6枚の葉状のものが略扇状に展開しているもの)は被告商号と独立した存在であって,これと一体不可分のものと認めることはできない上,ロゴマークに上記の識別力が存在するとも認められない。また,「製薬」の部分が単なる業種を示すにすぎず,何らの識別力も有しないことは上記のとおりであるから,「スズケン」と一体不可分であるか否かにかかわらず,上記の判断を覆すものとはいえない。

よって,被告の上記主張は採用できない。


(2) ドメイン名の類似性について

また,被告ドメイン名である「suzuken-fc.com」のうち,「.com」の部分は,一般ドメイン名であって上記の識別力を有せず,「-fc」の部分も,製薬会社を意味する英語の頭文字を組み合わせたもの(ただし,正確には「pharmaceutical company」であって「pc」となる。)と推測されるものの,それ自体には有意性がないから,識別力を有する要部は「suzuken」の部分と認められるところ,これは,原告の営業表示である「スズケン」ないしそのアルファベット表記である「SUZUKEN」と同じ外観及び称呼であるから,被告ドメイン名は,原告の上記営業表示に類似すると認めるのが相当である。
そして,証拠(甲8,乙1)によれば,被告は,インターネット上において,原告の営業表示と類似する被告ドメイン名を自己のサーバーを識別するために使用していること,被告ドメイン名を利用して,ホームページ上で,「発芽そば発酵エキス」,「ヒマラヤ岩塩」などの商品を販売していることが認められるから,被告には,上記ドメイン名を使用するにつき,不正競争防止法2条1項12号所定の不正の利益を得る目的があると認められる。


(3) 営業主体の混同のおそれについて

今日における企業活動は,当該企業単体だけでなく,系列企業を用いての分業や事業拡大が多く行われていることから,営業表示の主体と類似表示の使用者の営業分野が必ずしも重ならず,直接の競合関係が存在しているわけではないとしても,なお,両者間に営業上の密接な関係があるとの誤信を招く可能性があり,かかる誤信に基づいて営業表示の主体に有形無形の損害が生じるおそれは否定できない。
したがって,不正競争防止法2条1項1号にいう「混同を生じさせる行為」とは,他人の周知の営業表示と同一又は類似のものを使用する者が,自己と上記他人とを同一営業主体と誤信させる行為のみならず,両者間にいわゆる親会社,子会社の関係や系列関係などの緊密な営業上の関係が存するものと誤信させる行為をも包含すると解するのが相当である(最高裁判所昭和58年10月7日第二小法廷判決・民集37巻8号1082頁参照)。

これを本件についてみるに,被告は,「発芽そば発酵エキスサラサラそばの恵み」,「固体マイナス水素イオン」,「飲む美容液」,「ヒマラヤ岩塩」などのいわゆる健康食品,美容食品等の商品をインターネット上で販売するに当たり,原告の営業表示に類似する営業表示を使用しているところ,原告がその隣接業種である医薬品卸売業等を営んでいることを考慮すれば,一般需要者が,原告と被告との間に,親会社,子会社の関係や系列関係などの緊密な営業上の関係が存するものと誤信することが十分に考えられ,現に,証拠(甲10の1)及び弁論の全趣旨によれば,両社の関係についての問い合わせが複数件原告に来ていることが認められるから,不正競争防止法2条1項1号所定の混同のおそれを肯認するのが相当である。

3 争点(3)(不正競争防止法12条1項1号の適用の有無)について

不正競争防止法12条1項1号にいう営業の普通名称とは,理髪店や喫茶店などのように,取引界において,営業についての一般的名称(普通名詞)として認められているものをいうと解されるところ,原告の営業表示である「スズケン」がこれに当たらないことは明らかである。
この点につき,被告は,「スズケン」の語を用いた名称の企業が約250社存在することを理由に,「スズケン」が普通名称となっている旨主張するが,上記の事実が認められる(乙6)からといって,「スズケン」が上記理髪店や喫茶店などと同程度に普通名詞として慣用されているとは到底認められない。


4 争点(4)(損害の発生と額)について

(1) 以上によれば,被告による被告商号の使用は不正競争防止法2条1項1号により,被告ドメイン名の使用は同項12号により,それぞれ不正競争行為に該当すると認められるので,原告に対し,これによって生じた損害を賠償すべき義務を免れない。
(2) そこで,被告が賠償すべき損害の額について検討するに,原告は,まず信用毀損による無形損害として300万円を主張する。しかしながら,本件全証拠によっても,被告の行為によって原告の信用等が毀損された事実を認めることはできない。


次に,弁護士費用等として200万円を主張するところ,前記前提事実に証拠(甲10の1・2,甲11の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,「スズケン製薬はお宅でやっているのか。」という問い合わせを受けたことから,事態の収拾を原告代理人に依頼したこと,同弁護士は,被告に対し,平成17年8月4日到達の書留郵便にて,被告商号の使用中止を申し入れたこと,被告は,原告代理人に対し,被告商号は「株式会社鈴建」に由来するものであり,使用中止の申入れを拒絶する旨の書簡を送付したこと,そのため,原告は,原告代理人2名のほか,補佐人として4名の弁理士に依頼して本件訴訟を提起するに至ったこと,以上の事実が認められる。
上記認定事実によれば,原告は,被告による不正競争行為の中止等を求めるために,原告代理人等に本訴の提起・遂行を委任することを余儀なくされたと認められるところ,本訴提起に至るまでの経緯,本件事案の内容及び難易度,弁理士への依頼と協議の必要性,その他本件に表れた一切の事情を総合すると,本件不正競争行為と相当因果関係のある弁護士費用としては150万円をもって相当と判断する。

5 結論

以上の次第で,原告の本訴請求は,被告に対し,不正競争防止法2条1項1号,3条1項に基づいて,「スズケン製薬株式会社」の商号の使用差止めを求め,同法3条2項に基づいて,静岡地方法務局富士支局平成16年11月22日付けをもってした同被告の設立登記のうち,「スズケン製薬株式会社」なる商号抹消登記手続を求め,同法2条1項12号,3条1項に基づいて,「suzuken-fc.com」のドメイン名の使用差止めを求め,同法2条1項1号,4条に基づいて,損害賠償150万円及びこれに対する不正競争行為の後の日であることの明らかな平成17年10月20日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,これらを認容し,その余は理由がないから棄却し,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法61条,64条本文を,仮執行宣言につき,同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。


    名古屋地方裁判所民事第9部

          裁判長裁判官   加  藤  幸  雄




             裁判官   舟  橋  恭  子




             裁判官   片  山  博  仁


(別紙省略)

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最終更新:2006年03月13日 13:27
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