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小説:悲しみを、乗り越えて」(2005/08/13 (土) 00:58:27) の最新版変更点

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 「・・・なっ!?ウソだろ・・・」 それは突然の知らせだった。 ―――――彼女が死んだ。 原因は交通事故。即死だったそうだ。 このことを聞いても、信じ込むのに少々の時間を要した。 だけど葬式の日、不思議と涙が出なかった。泣くことさえ知らないように。 それからオレは学校を休むようになった。行かなければいけないと分かっていても、行く気になれない。 その次の日も、オレは学校を休むことにした。やはり、行く気にはなれない。 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・ どれくらい時間がたっただろうか。外はもう、日が傾き始めている。 ピンポーン・・・ (ん?誰だろう・・・) 今 家にはオレしかいないので玄関へと行く。 ガチャッ  「・・・よぉ」 ドアの向こうには勇哉(ゆうや)が立っていた。  「・・・なんか用か?」  「いや、お前最近学校休んでるし、大丈夫かな・って・・・」  「心配すんな、大丈夫だって」 本当は大丈夫じゃない。大切な人を失って、今すぐにでも死んでしまいたい気持ちだ・・・。  「・・・」  「どうした?」  「やっぱお前、大丈夫じゃないだろう?」  「・・・顔に出てたか?」  「何年ダチやってると思ってんだよ!」  「・・・それもそうだな」 こんなときにこそ、なのか。こんな何気ない会話でも嬉しく思える。  「・・・まぁあがれよ」  「そうさせてもらうぜ」 寂しさを紛らわすためなのか、それとも友人という理由で・なのか、オレは複雑な気持ちの中、こいつを招き入れた。 そしてオレの部屋にはいり、お互い適当なところに座る。  「とりあえず今まで配られたプリントとか渡すぜ」  「・・・サンキュ」 オレはプリントを受け取る。が、それを読む・いや、一瞬でも目を通す気力さえ起きない。  「・・・ハァ・・・」 自然とため息が出てしまう。あの日からいろんなことを考えすぎて、疲れているのだろうか。  「なんで・・・こんなことになっちまったんだろう・・・」  (あっ) 思わず口に出してしまった。よほど追い詰められてるのか。  「お前・・・あんま無理すんなよ」 それは励ましの言葉なのか、慰めの言葉なのか・・・。  「いっそ、死んでしまいたいよ・・・」  「・・・え?」 オレの返事を聞いて、勇哉は驚きの表情を浮かべている。無理もないだろう。  「そうすれば、あいつのもとへと行けるのかな・・・」  「ちょっ、お前・・・」  「そうだよ、そうすればオレはあいつとずっと一緒にいられるんだ・・・」  「おい!」 ―――ドゴッ!  「・・・痛って・・・!」 オレは勇哉に殴られた。思えば初めてかもしれない。  「いきなり殴・・・」 ―――ドムッ!!  「ぐぁ・・・!!」 連続で殴られた。しかもモロに入った。  「勇哉・・・お前・・・!」 ―――ガスッ!!!  「痛ッてぇ・・・!」 野郎、何考えてやがんだ?  「勇哉、てめぇ・・・!」  「怒れる、ってことは、生きてる・ってことだ」  「・・・はっ?」 何を言い出すんだコイツは・・・。  「お前は今、オレに殴り返したい。そう思ってるだろう」  「ああ。思いっきりな」  「それはつまり、オレを殴れるまで死にきれない・ってことだな」  「・・・あ?」  「・・・死にたいとか、言うんじゃねえよ・・・」 (・・・・・・!) 急に真剣な顔で言われたからなのか、その言葉が胸を刺激する。  「お前の彼女だって、死にたくて死んだわけじゃないだろう?」  「・・・・・・」  「ここでお前が死んでも、なんの解決にもならねえよ」  「・・・うるせえ・・・」 痛いところを突かれたのだろうか、感情的になってきそうになる。  「彼女を失って悲しむお前がいるってことは、お前が死んで悲しむヤツもいるんだぞ」  「・・・どうせオレが死んでも、誰も悲しまねぇよ・・・」  「バッキャロー!」 ―――ズドッ!!!!  「うぐぁ・・・!」 またしてもこいつは・・・!!  「悲しむやつリストォ!」  「はぁ?」 また急になにか言い出す。悲しむやつリスト??  「まずお前のおかん、おとん、んでオレ、太一、弘司、ヨッシー、俊平、絵美、理緒、優子さん、霧島、タク、やすー、大輔、えーと・・・その他諸々!」  「・・・・・・」 いきなり、しかも早口でバーッと言われてしまったので、思わず唖然としてしまう。  「まだまだ総勢4008人いるんだけどな!どうだ、思い当たるフシありまくりだろ?」  「・・・・・・」 あながち否定はできないかも知れない。  「そして1番悲しむのは、他でもない、お前の彼女じゃないのか?」  「――――!!」 その言葉が一番、オレの胸に突き刺さった。今までの、どの言葉よりも。  「・・・これでもまだ死にたい・なんて言うのか?」  「・・・・・・」  「死にたいなら、このまま殴り殺してやってもいいけどな!」  「・・・それは困るね・・・」  「ほ~う・・・」  「殴られっぱなしでたまるかよ!」  「上等だ!」 ・・・何かが吹っ切れた気がする。完全に、ではないけども。だけど前よりもだいぶ気持ちが楽になったように思う。 勇哉は話術が上手いのか、オレの心が感化されやすいだけなのか分からない。 だけど、さっきまでの暗闇はどこかへ吹き飛んだ。  「・・・勇哉・・・」  「ん?なんだ?」  「・・・サンキュ・・・」  「ヘヘッ!」 この夜、オレは思いっきり泣いた。全てを洗い浚い吐き出すように、泣いた。 ・・・・・・大事な人を失ったことは重いことかもしれない。 しかし、それを克服していかないと前へ進めない。 だけど、忘れることは決して出来ない。どんなことがあっても。 でも、「記憶」として残すことは出来る。 オレは未熟だ。だからまだ「記憶」として残せず、「心の中」に残っているままだ。 いつか完全に「心の中」から「記憶」へと移行するまで、オレは成長しないといけないんだ。 ・・・・・・この悲しみを、乗り越えて。 ~あとがき~ 所要時間、1時間弱!サクッと書いてみました。いやぁ、ホントに短いですね。 ちょっとした息抜きに・と書き始めたんですが、最後らへん終わらそうとする気満々ですね・・・w たぶん面倒に思ってきたんでしょう、管理人が(ダメジャン)。 まぁ短いし(?)、こんな終わり方でいいのかな?なんて思ってますけど。 ちなみにこの小説は前に言ってた「現在鋭意製作中」のモノではありません。 現在鋭意製作中のやつは、まだまだ時間がかかりそうなんです・・・。 でもいつか完成させるので待っててくださいネ~!

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