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授業も終わり、今は下校時。帰り際、姉ちゃんはなぜかよそよそしい。微妙にオレと距離をおいて隣を歩いている。オレ、なんか悪いことしたかな?
「姉ちゃん、なんで離れて歩くんだ?」
オレは目線を下げ、姉ちゃんに話しかける。目線どころか、腰までおろさねば・・・。
「・・・・・・言っても笑わない?」
「笑わんよ」
これじゃホント、どっちが上なのか分からないな。
「・・・ちょっと前なんだけど、祐樹と歩いてたら、後ろから『ロリコン』って声が・・・」
「オイオイそれオレが犠牲者じゃないのか?」
「まぁ、そうなるわね」
笑いたいんだけど、なんか怒りたい・・・、そんな絶妙な気分になる。
ていうか、最初に「笑わない?」って聞くのおかしいだろ! 全然笑えんわ!
「・・・まぁ姉ちゃん、ちっちゃいもんな」
「ちっちゃいゆーな!」
そしてお決まりのごとく、オレを見上げてキッと睨んでくる。だから怖くないって。
睨みつけてんのに見上げてるって・・・。逆言うとオレが見下してんじゃん。
「あんたの身長、20cmほど欲しいわ」
「そんなに!?」
「ってそれでも私の方がちっちゃいじゃない~っ!」
ひ、ひとりでツッコんでらっしゃる・・・。冷静さを取り戻してください・・・・・・。
「あ、そういえばスーパー寄らないといけないのよ」
「へぇ、そうなんだ」
急に冷静さを取り戻したのか、現実味のある発言が飛んでくる。スーパーか・・・。
なにか切らしているものがあるのだろうか。それか今日の晩飯のことかな?
「・・・あんたも行くのよ」
「えぇ~」
ここはなんとしてでも断っておきたい。なにより行っても意味ないし、めんどくさいし。
つーか、小学生じゃあるまいし、ひとりで行けるじゃないか。(見た目小学生だけど)
「えと・・・私一人だと『お嬢ちゃん、えらいね~』とか言われちゃうのよ!」
「オレと行くと『よくできた妹さんですね』って言われるぞ」
「それもそ・・・・・・って、どっちにしろ いじめられるの私じゃない!」
途中まで気付かなかったのか、妙なタイミングで2発目のひとりツッコミが。
何気にテンション高いし。そんなに自虐ネタを披露してどうする・・・・・・。
「ま、姉ちゃん、ちっちゃいもんな」
「ちっちゃいゆーなって!」
毎度毎度同じようなことを言っているオレたち二人。そんでオレを睨む姉ちゃん。
あまりの身長差に少し身を屈めるオレ。それでもあんまり変わらないけど。
と、ふいに姉ちゃんが、
「あ、でも、もしかしたら『ふがいないお兄さんですね』って言われる可能性も!?」
うわぁ、そう逃げたか。オレを媒介にすることで被害を最小限に・・・・・・
「・・・ってそれ、ある意味姉ちゃんもなじられてないか?」
「妹扱いされるよりマシよ」
「お兄さんって単語が出てる時点で、すでに妹扱いだと思うが・・・」
「・・・うるさいわね」
変にパニクってるのか、いろいろな盲点を見逃しまくっている。
実際にそう言われたとして、オレは別にそこまでムカつきもしないし、特に何も感じない。
やはりどう転んでも、姉ちゃんがなじられるのは確実だ。
「なんにせよ、祐樹も行くのよ?」
「へいへい・・・」
行くか行かないかでもめてると、延々とループしそうなので、仕方なくオレが折れる。
若干姉ちゃんに同情してるのかもしれんな・・・・・・。
・・・・・・
「これも必要ね」
「あいよ」
姉ちゃんが指定した商品を、オレがかごに入れていく。姉ちゃんだとカートを押すのがすごく大変そうなので、いつもオレが押している。ついでに言うと、かごの中へ商品を入れるのもオレの役目。ちっちゃいからカートの上のかごまで届かないらしい。
実際姉ちゃんがしてることといえば、隣を歩いて買う商品を決めてるだけ。
かたやオレは商品をかごに入れてカートを押し、レジ後、袋につめ、それを持って帰る。重労働の嵐じゃないか。この野郎め。
「なぁ姉ちゃん、この幼児用の椅子に座ってたら楽なんじゃないのか?」
「なにふざけたことぬかしてんのよ」
ちょっとした冗談のつもりで言ったのに、なにやら本気の目で睨まれた。地味に怖い。
「まぁイケる冗談さ」
「古っ・・・」
・・・・・・
買うものも全て決まり、レジへ通す。するとレジのおばちゃんが、
「あらぁ、しっかりしたお子さんですねぇ」
「お子っ・・・・・・!?」
「・・・・・・」
思わず吹き出しそうになったのを慌てておさえる。姉ちゃんは黙り込んだままだ。
入店時から今まで、店員には何も言われていなかったが、まさか最後でこんな大爆発が起こるとは。しかも最悪の新パターン。
「・・・姉ちゃん?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
店員さんもなにかを察したのか、急に黙り込み、しんとした沈黙が訪れる。嗚呼、早くレジ打ち終わって欲しいな・・・・・・。
・・・・・・
結局、姉ちゃんは家に帰るまで(帰ってからもしばらく)、ずっと黙ったままだった。
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*ちっちゃなお姉ちゃん 第3話
授業も終わり、今は下校時。帰り際、姉ちゃんはなぜかよそよそしい。微妙にオレと距離をおいて隣を歩いている。オレ、なんか悪いことしたかな?
「姉ちゃん、なんで離れて歩くんだ?」
オレは目線を下げ、姉ちゃんに話しかける。目線どころか、腰までおろさねば・・・。
「・・・・・・言っても笑わない?」
「笑わんよ」
これじゃホント、どっちが上なのか分からないな。
「・・・ちょっと前なんだけど、祐樹と歩いてたら、後ろから『ロリコン』って声が・・・」
「オイオイそれオレが犠牲者じゃないのか?」
「まぁ、そうなるわね」
笑いたいんだけど、なんか怒りたい・・・、そんな絶妙な気分になる。
ていうか、最初に「笑わない?」って聞くのおかしいだろ! 全然笑えんわ!
「・・・まぁ姉ちゃん、ちっちゃいもんな」
「ちっちゃいゆーな!」
そしてお決まりのごとく、オレを見上げてキッと睨んでくる。だから怖くないって。
睨みつけてんのに見上げてるって・・・。逆言うとオレが見下してんじゃん。
「あんたの身長、20cmほど欲しいわ」
「そんなに!?」
「ってそれでも私の方がちっちゃいじゃない~っ!」
ひ、ひとりでツッコんでらっしゃる・・・。冷静さを取り戻してください・・・・・・。
「あ、そういえばスーパー寄らないといけないのよ」
「へぇ、そうなんだ」
急に冷静さを取り戻したのか、現実味のある発言が飛んでくる。スーパーか・・・。
なにか切らしているものがあるのだろうか。それか今日の晩飯のことかな?
「・・・あんたも行くのよ」
「えぇ~」
ここはなんとしてでも断っておきたい。なにより行っても意味ないし、めんどくさいし。
つーか、小学生じゃあるまいし、ひとりで行けるじゃないか。(見た目小学生だけど)
「えと・・・私一人だと『お嬢ちゃん、えらいね~』とか言われちゃうのよ!」
「オレと行くと『よくできた妹さんですね』って言われるぞ」
「それもそ・・・・・・って、どっちにしろ いじめられるの私じゃない!」
途中まで気付かなかったのか、妙なタイミングで2発目のひとりツッコミが。
何気にテンション高いし。そんなに自虐ネタを披露してどうする・・・・・・。
「ま、姉ちゃん、ちっちゃいもんな」
「ちっちゃいゆーなって!」
毎度毎度同じようなことを言っているオレたち二人。そんでオレを睨む姉ちゃん。
あまりの身長差に少し身を屈めるオレ。それでもあんまり変わらないけど。
と、ふいに姉ちゃんが、
「あ、でも、もしかしたら『ふがいないお兄さんですね』って言われる可能性も!?」
うわぁ、そう逃げたか。オレを媒介にすることで被害を最小限に・・・・・・
「・・・ってそれ、ある意味姉ちゃんもなじられてないか?」
「妹扱いされるよりマシよ」
「お兄さんって単語が出てる時点で、すでに妹扱いだと思うが・・・」
「・・・うるさいわね」
変にパニクってるのか、いろいろな盲点を見逃しまくっている。
実際にそう言われたとして、オレは別にそこまでムカつきもしないし、特に何も感じない。
やはりどう転んでも、姉ちゃんがなじられるのは確実だ。
「なんにせよ、祐樹も行くのよ?」
「へいへい・・・」
行くか行かないかでもめてると、延々とループしそうなので、仕方なくオレが折れる。
若干姉ちゃんに同情してるのかもしれんな・・・・・・。
・・・・・・
「これも必要ね」
「あいよ」
姉ちゃんが指定した商品を、オレがかごに入れていく。姉ちゃんだとカートを押すのがすごく大変そうなので、いつもオレが押している。ついでに言うと、かごの中へ商品を入れるのもオレの役目。ちっちゃいからカートの上のかごまで届かないらしい。
実際姉ちゃんがしてることといえば、隣を歩いて買う商品を決めてるだけ。
かたやオレは商品をかごに入れてカートを押し、レジ後、袋につめ、それを持って帰る。重労働の嵐じゃないか。この野郎め。
「なぁ姉ちゃん、この幼児用の椅子に座ってたら楽なんじゃないのか?」
「なにふざけたことぬかしてんのよ」
ちょっとした冗談のつもりで言ったのに、なにやら本気の目で睨まれた。地味に怖い。
「まぁイケる冗談さ」
「古っ・・・」
・・・・・・
買うものも全て決まり、レジへ通す。するとレジのおばちゃんが、
「あらぁ、しっかりしたお子さんですねぇ」
「お子っ・・・・・・!?」
「・・・・・・」
思わず吹き出しそうになったのを慌てておさえる。姉ちゃんは黙り込んだままだ。
入店時から今まで、店員には何も言われていなかったが、まさか最後でこんな大爆発が起こるとは。しかも最悪の新パターン。
「・・・姉ちゃん?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
店員さんもなにかを察したのか、急に黙り込み、しんとした沈黙が訪れる。嗚呼、早くレジ打ち終わって欲しいな・・・・・・。
・・・・・・
結局、姉ちゃんは家に帰るまで(帰ってからもしばらく)、ずっと黙ったままだった。
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