「小説:ちっちゃなお姉ちゃん(第3話)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

小説:ちっちゃなお姉ちゃん(第3話)」(2005/11/04 (金) 02:35:03) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

  授業も終わり、今は下校時。帰り際、姉ちゃんはなぜかよそよそしい。微妙にオレと距離をおいて隣を歩いている。オレ、なんか悪いことしたかな?   「姉ちゃん、なんで離れて歩くんだ?」   オレは目線を下げ、姉ちゃんに話しかける。目線どころか、腰までおろさねば・・・。   「・・・・・・言っても笑わない?」   「笑わんよ」 これじゃホント、どっちが上なのか分からないな。   「・・・ちょっと前なんだけど、祐樹と歩いてたら、後ろから『ロリコン』って声が・・・」   「オイオイそれオレが犠牲者じゃないのか?」   「まぁ、そうなるわね」 笑いたいんだけど、なんか怒りたい・・・、そんな絶妙な気分になる。 ていうか、最初に「笑わない?」って聞くのおかしいだろ! 全然笑えんわ!   「・・・まぁ姉ちゃん、ちっちゃいもんな」   「ちっちゃいゆーな!」   そしてお決まりのごとく、オレを見上げてキッと睨んでくる。だから怖くないって。 睨みつけてんのに見上げてるって・・・。逆言うとオレが見下してんじゃん。   「あんたの身長、20cmほど欲しいわ」   「そんなに!?」   「ってそれでも私の方がちっちゃいじゃない~っ!」 ひ、ひとりでツッコんでらっしゃる・・・。冷静さを取り戻してください・・・・・・。   「あ、そういえばスーパー寄らないといけないのよ」   「へぇ、そうなんだ」   急に冷静さを取り戻したのか、現実味のある発言が飛んでくる。スーパーか・・・。 なにか切らしているものがあるのだろうか。それか今日の晩飯のことかな?   「・・・あんたも行くのよ」   「えぇ~」   ここはなんとしてでも断っておきたい。なにより行っても意味ないし、めんどくさいし。 つーか、小学生じゃあるまいし、ひとりで行けるじゃないか。(見た目小学生だけど)   「えと・・・私一人だと『お嬢ちゃん、えらいね~』とか言われちゃうのよ!」   「オレと行くと『よくできた妹さんですね』って言われるぞ」   「それもそ・・・・・・って、どっちにしろ いじめられるの私じゃない!」 途中まで気付かなかったのか、妙なタイミングで2発目のひとりツッコミが。 何気にテンション高いし。そんなに自虐ネタを披露してどうする・・・・・・。   「ま、姉ちゃん、ちっちゃいもんな」   「ちっちゃいゆーなって!」   毎度毎度同じようなことを言っているオレたち二人。そんでオレを睨む姉ちゃん。 あまりの身長差に少し身を屈めるオレ。それでもあんまり変わらないけど。   と、ふいに姉ちゃんが、   「あ、でも、もしかしたら『ふがいないお兄さんですね』って言われる可能性も!?」 うわぁ、そう逃げたか。オレを媒介にすることで被害を最小限に・・・・・・   「・・・ってそれ、ある意味姉ちゃんもなじられてないか?」   「妹扱いされるよりマシよ」   「お兄さんって単語が出てる時点で、すでに妹扱いだと思うが・・・」   「・・・うるさいわね」 変にパニクってるのか、いろいろな盲点を見逃しまくっている。 実際にそう言われたとして、オレは別にそこまでムカつきもしないし、特に何も感じない。   やはりどう転んでも、姉ちゃんがなじられるのは確実だ。   「なんにせよ、祐樹も行くのよ?」   「へいへい・・・」 行くか行かないかでもめてると、延々とループしそうなので、仕方なくオレが折れる。   若干姉ちゃんに同情してるのかもしれんな・・・・・・。 ・・・・・・   「これも必要ね」   「あいよ」   姉ちゃんが指定した商品を、オレがかごに入れていく。姉ちゃんだとカートを押すのがすごく大変そうなので、いつもオレが押している。ついでに言うと、かごの中へ商品を入れるのもオレの役目。ちっちゃいからカートの上のかごまで届かないらしい。   実際姉ちゃんがしてることといえば、隣を歩いて買う商品を決めてるだけ。 かたやオレは商品をかごに入れてカートを押し、レジ後、袋につめ、それを持って帰る。重労働の嵐じゃないか。この野郎め。   「なぁ姉ちゃん、この幼児用の椅子に座ってたら楽なんじゃないのか?」   「なにふざけたことぬかしてんのよ」 ちょっとした冗談のつもりで言ったのに、なにやら本気の目で睨まれた。地味に怖い。   「まぁイケる冗談さ」   「古っ・・・」 ・・・・・・   買うものも全て決まり、レジへ通す。するとレジのおばちゃんが、   「あらぁ、しっかりしたお子さんですねぇ」   「お子っ・・・・・・!?」   「・・・・・・」   思わず吹き出しそうになったのを慌てておさえる。姉ちゃんは黙り込んだままだ。 入店時から今まで、店員には何も言われていなかったが、まさか最後でこんな大爆発が起こるとは。しかも最悪の新パターン。   「・・・姉ちゃん?」   「・・・・・・」   「・・・・・・」   店員さんもなにかを察したのか、急に黙り込み、しんとした沈黙が訪れる。嗚呼、早くレジ打ち終わって欲しいな・・・・・・。 ・・・・・・   結局、姉ちゃんは家に帰るまで(帰ってからもしばらく)、ずっと黙ったままだった。 [[第4話へ>http://www4.atwiki.jp/hayato0420/pages/36.html]] [[第2話へ戻る>http://www4.atwiki.jp/hayato0420/pages/33.html]] [[小説部屋へ戻る>小説部屋]] [[トップへ戻る>トップページ]]
*ちっちゃなお姉ちゃん 第3話   授業も終わり、今は下校時。帰り際、姉ちゃんはなぜかよそよそしい。微妙にオレと距離をおいて隣を歩いている。オレ、なんか悪いことしたかな?   「姉ちゃん、なんで離れて歩くんだ?」   オレは目線を下げ、姉ちゃんに話しかける。目線どころか、腰までおろさねば・・・。   「・・・・・・言っても笑わない?」   「笑わんよ」 これじゃホント、どっちが上なのか分からないな。   「・・・ちょっと前なんだけど、祐樹と歩いてたら、後ろから『ロリコン』って声が・・・」   「オイオイそれオレが犠牲者じゃないのか?」   「まぁ、そうなるわね」 笑いたいんだけど、なんか怒りたい・・・、そんな絶妙な気分になる。 ていうか、最初に「笑わない?」って聞くのおかしいだろ! 全然笑えんわ!   「・・・まぁ姉ちゃん、ちっちゃいもんな」   「ちっちゃいゆーな!」   そしてお決まりのごとく、オレを見上げてキッと睨んでくる。だから怖くないって。 睨みつけてんのに見上げてるって・・・。逆言うとオレが見下してんじゃん。   「あんたの身長、20cmほど欲しいわ」   「そんなに!?」   「ってそれでも私の方がちっちゃいじゃない~っ!」 ひ、ひとりでツッコんでらっしゃる・・・。冷静さを取り戻してください・・・・・・。   「あ、そういえばスーパー寄らないといけないのよ」   「へぇ、そうなんだ」   急に冷静さを取り戻したのか、現実味のある発言が飛んでくる。スーパーか・・・。 なにか切らしているものがあるのだろうか。それか今日の晩飯のことかな?   「・・・あんたも行くのよ」   「えぇ~」   ここはなんとしてでも断っておきたい。なにより行っても意味ないし、めんどくさいし。 つーか、小学生じゃあるまいし、ひとりで行けるじゃないか。(見た目小学生だけど)   「えと・・・私一人だと『お嬢ちゃん、えらいね~』とか言われちゃうのよ!」   「オレと行くと『よくできた妹さんですね』って言われるぞ」   「それもそ・・・・・・って、どっちにしろ いじめられるの私じゃない!」 途中まで気付かなかったのか、妙なタイミングで2発目のひとりツッコミが。 何気にテンション高いし。そんなに自虐ネタを披露してどうする・・・・・・。   「ま、姉ちゃん、ちっちゃいもんな」   「ちっちゃいゆーなって!」   毎度毎度同じようなことを言っているオレたち二人。そんでオレを睨む姉ちゃん。 あまりの身長差に少し身を屈めるオレ。それでもあんまり変わらないけど。   と、ふいに姉ちゃんが、   「あ、でも、もしかしたら『ふがいないお兄さんですね』って言われる可能性も!?」 うわぁ、そう逃げたか。オレを媒介にすることで被害を最小限に・・・・・・   「・・・ってそれ、ある意味姉ちゃんもなじられてないか?」   「妹扱いされるよりマシよ」   「お兄さんって単語が出てる時点で、すでに妹扱いだと思うが・・・」   「・・・うるさいわね」 変にパニクってるのか、いろいろな盲点を見逃しまくっている。 実際にそう言われたとして、オレは別にそこまでムカつきもしないし、特に何も感じない。   やはりどう転んでも、姉ちゃんがなじられるのは確実だ。   「なんにせよ、祐樹も行くのよ?」   「へいへい・・・」 行くか行かないかでもめてると、延々とループしそうなので、仕方なくオレが折れる。   若干姉ちゃんに同情してるのかもしれんな・・・・・・。 ・・・・・・   「これも必要ね」   「あいよ」   姉ちゃんが指定した商品を、オレがかごに入れていく。姉ちゃんだとカートを押すのがすごく大変そうなので、いつもオレが押している。ついでに言うと、かごの中へ商品を入れるのもオレの役目。ちっちゃいからカートの上のかごまで届かないらしい。   実際姉ちゃんがしてることといえば、隣を歩いて買う商品を決めてるだけ。 かたやオレは商品をかごに入れてカートを押し、レジ後、袋につめ、それを持って帰る。重労働の嵐じゃないか。この野郎め。   「なぁ姉ちゃん、この幼児用の椅子に座ってたら楽なんじゃないのか?」   「なにふざけたことぬかしてんのよ」 ちょっとした冗談のつもりで言ったのに、なにやら本気の目で睨まれた。地味に怖い。   「まぁイケる冗談さ」   「古っ・・・」 ・・・・・・   買うものも全て決まり、レジへ通す。するとレジのおばちゃんが、   「あらぁ、しっかりしたお子さんですねぇ」   「お子っ・・・・・・!?」   「・・・・・・」   思わず吹き出しそうになったのを慌てておさえる。姉ちゃんは黙り込んだままだ。 入店時から今まで、店員には何も言われていなかったが、まさか最後でこんな大爆発が起こるとは。しかも最悪の新パターン。   「・・・姉ちゃん?」   「・・・・・・」   「・・・・・・」   店員さんもなにかを察したのか、急に黙り込み、しんとした沈黙が訪れる。嗚呼、早くレジ打ち終わって欲しいな・・・・・・。 ・・・・・・   結局、姉ちゃんは家に帰るまで(帰ってからもしばらく)、ずっと黙ったままだった。 [[第4話へ>http://www4.atwiki.jp/hayato0420/pages/36.html]] [[第2話へ戻る>http://www4.atwiki.jp/hayato0420/pages/33.html]] [[小説部屋へ戻る>小説部屋]] [[トップへ戻る>トップページ]]

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: