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小説:グレート・ダッシュ!」(2006/04/08 (土) 00:45:35) の最新版変更点

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  「あぁ~・・・ヨガファイヤ~・・・」   時は放課後。普段ならこのまま帰宅→就寝のガトリングコンビネーションを決めようと思っていたのだが、掃除という屈辱的なイベントが発生してしまい、あえなく断念。   というか掃除のことなんかすっかり忘れていて、いつも通り帰ろうとしたら担任に捕獲されてしまい、そのままこき使われるハメに。オレが何をしたって言うんだ。 ・・・・・・そして掃除も終わり、オレは下駄箱へ移動する。   「あれ、橘。まだ帰ってなかったんだ?」   「ああ、掃除あったんだよ」 千冬(ちふゆ)と遭遇。コイツも掃除かなんかだったのだろうか。   「これからバイトか?」   「そうよ」   「がんばるねぇ」 そんなかったるいモノよくやってられるよなぁ。さすが(?)千冬だ。   そうこうしてる内に靴を履き終わり、オレたちは校門へ向かおうとする。そこで、   「お、瑩ァ!」   オレを呼ぶ声が聞こえる。振り向くと、   「ん? 祐司か」 そこには、かつて真悟の開催した謎のロワイヤルで出会った、原田祐司がいた。   「今 帰りなのか?」   「ああ」 どうやら祐司は部活のようだ。たしか陸上部だったような気がする。それにしても、速そうな足してるよなぁ、コイツ。無駄な肉がないっていうか・・・。   「なぁ、ちょっと走っていかないか?」   「へ?」   祐司は唐突にそう言うと、校庭に用意されているスターティングブロックを指差した。なるほど、こいつぁ面白そうだ。   「いいねぇ、よっしゃ勝負だ!」   「望むところさ!」   「熱いわねぇ・・・・・・」 千冬がポヘ~ッと呟く。もう自分には全く関係ありません的なツラしてやがるし。   「お前も来るんだよ、計測係りとして!」   「え、私!?」 なんかマジでビックリされてしまった。そんな想定外のことだったのだろうか。 ――――バサッ・・・   適当に準備体操を終え、学ランを脱ぐ。まぁ、明らかに祐司の方が走りやすそうな格好してるんだがな。ランニングウェアだし。   「あ、そうだ千冬、祐司に『ユウジは私が守る!』って言ってみて」   「なんでよ?」   「いいから言ってみて!」   「・・・・・・ユウジは・・・私が守る!!」 千冬は放課後の虚空に、力いっぱい叫んだ。   「お、お前上手いなぁ・・・すげぇ似てるし」   「?」 今にもクエスチョンマークが頭の上に出てきそうなほど、きょとんとされてしまった。   さていよいよ、世紀のレースが始まる。世界で最も短いであろう、熱い戦いが、今。   「オレはもうセットできたぞ。瑩は?」 スターティングブロックをガチャガチャいじり終わったらしく、祐司がそう言う。   「あぁ、オレこれよく分かんねぇからいいや」   「え、スタブロ使わないのか!?」 すごい勢いで祐司がビックリする。あってもなくても別に変わんねーだろ。   「・・・・・・って、そういうお前もスパイク履いてないじゃないか」   「いやまぁ、瑩 普通の運動靴だし・・・」   「だったらいいじゃねぇか! さ、始めようぜ!」   スタート地点とゴール地点に、その他の陸上部員が配置された。計測係りになる予定だったはずの千冬は、ただの観客に成り下がった。   ついに、始まる・・・・・・。   「位置について」 部員A(仮)が言う。オレと祐司はそれぞれ隣り合うスタート位置にスタンバイ。オレは姿勢を低くし、祐司はブロックに足をかけ、腰を下ろす。   「用意」 続けて部員A(仮)が言う。オレは足に力を込め、祐司は静かに腰を上げる。    ――――パァン!   銃声が空を駆け抜ける。瞬間、オレと祐司は大地を蹴り、走り出す。たった50メートル。そんな短い距離の中、オレたちは雌雄を決するため、戦う!   開始早々、スタートの段階では一瞬オレがリードしていた。しかし1秒もしないうちに祐司が若干、視界に入る。つまりは僅差で抜かれていると言うことだ。   しかしそこからまた1秒もしないうちに、少しずつ祐司のスピードが緩んでいくように見えた。つまりはオレが段々抜き始めていると言うことだ。   その後、徐々に視界から祐司が消えていき、ついには完全に映らなくなっていた。今目に見えているのは、この先に広がる、勝利のゴールだけだ。   それから、オレの視界に祐司が入り込むことは二度と無かった。   そして・・・・・・     「一着、5秒88。二着、6秒07」 ゴール地点にいた部員B(仮)がそう告げる。   「ハァ、ハァ・・・オレの・・・ハァ、勝ち・・・の、よう・・・・・・だなぁ・・・」   久しぶりに全速力で走ったので息がもたない。身体もものすごく熱い。今すぐ冷却コートが欲しいくらいに。   「ふぅ~・・・・・・やっぱりキミは速いなぁ・・・」 だが祐司は全然息切れしていない。さすが陸上部だ。   「橘、あんた相変わらず速いわね・・・」 千冬がゴール地点までトテトテと小走りで来て、そう言う。   「はっはっはっ、恐れ入ったかぁ~・・・ハァ、ハァ・・・」   実際しゃべっているだけで体力が削られていく。ほんの少し走っただけなのに。これが帰宅部部長(自称)の宿命なのか?   グリュッ・・・・・・   「ぬあっ!?」 なにやら突然、ふくらはぎが異様な感覚に襲われる。そして・・・   「痛ててててててててえぇっ! ああぁあぁあ~っ!」 どうやら足がつってしまったようだ! 引っ張られ劈かれるような、とにかくめっさ痛い!   「あ、瑩、大丈夫か?」   「ちょっ、痛てて! 大丈夫じゃ・・・ねえぇ!」   勝負に勝ったオレの方が苦しんで、負けたはずの祐司が余裕ブッこいてるなんて・・・! なんか・・・勝った気がしねぇ!   「た、助けてくれぇ~」   「もう橘、ホラ、しっかりしなさいよ!」   千冬の声が遠く聞こえる中、オレの魂の叫びが、むなしく空に響き渡る。   足が痛ぇ。これに尽きる。 ~あとがき~ 足つると、ものすごく痛いですよね。管理人です。とりあえず走る際、スタブロ・スパイクはあった方が断然速くなるでしょう。今回は[[「逃亡者と追跡者」>小説:逃亡者と追跡者(前編)]]以来出番の無かった彼(祐司)を、再び登場させてみました。密かに瑩を陸上部へ引き込みたいと思う祐司であります。 [[小説部屋へ戻る>小説部屋]] [[トップへ戻る>トップページ]]
  「あぁ~・・・ヨガファイヤ~・・・」   時は放課後。普段ならこのまま帰宅→就寝のガトリングコンビネーションを決めようと思っていたのだが、掃除という屈辱的なイベントが発生してしまい、あえなく断念。   というか掃除のことなんかすっかり忘れていて、いつも通り帰ろうとしたら担任に捕獲されてしまい、そのままこき使われるハメに。オレが何をしたって言うんだ。 ・・・・・・そして掃除も終わり、オレは下駄箱へ移動する。   「あれ、橘。まだ帰ってなかったんだ?」   「ああ、掃除あったんだよ」 千冬(ちふゆ)と遭遇。コイツも掃除かなんかだったのだろうか。   「これからバイトか?」   「そうよ」   「がんばるねぇ」 そんなかったるいモノよくやってられるよなぁ。さすが(?)千冬だ。   そうこうしてる内に靴を履き終わり、オレたちは校門へ向かおうとする。そこで、   「お、瑩ァ!」   オレを呼ぶ声が聞こえる。振り向くと、   「ん? 祐司か」 そこには、かつて真悟の開催した謎のロワイヤルで出会った、原田祐司がいた。   「今 帰りなのか?」   「ああ」 どうやら祐司は部活のようだ。たしか陸上部だったような気がする。それにしても、速そうな足してるよなぁ、コイツ。無駄な肉がないっていうか・・・。   「なぁ、ちょっと走っていかないか?」   「へ?」   祐司は唐突にそう言うと、校庭に用意されているスターティングブロックを指差した。なるほど、こいつぁ面白そうだ。   「いいねぇ、よっしゃ勝負だ!」   「望むところさ!」   「熱いわねぇ・・・・・・」 千冬がポヘ~ッと呟く。もう自分には全く関係ありません的なツラしてやがるし。   「お前も来るんだよ、計測係りとして!」   「え、私!?」 なんかマジでビックリされてしまった。そんな想定外のことだったのだろうか。 ――――バサッ・・・   適当に準備体操を終え、学ランを脱ぐ。まぁ、明らかに祐司の方が走りやすそうな格好してるんだがな。ランニングウェアだし。   「あ、そうだ千冬、祐司に『ユウジは私が守る!』って言ってみて」   「なんでよ?」   「いいから言ってみて!」   「・・・・・・ユウジは・・・私が守る!!」 千冬は放課後の虚空に、力いっぱい叫んだ。   「お、お前上手いなぁ・・・すげぇ似てるし」   「?」 今にもクエスチョンマークが頭の上に出てきそうなほど、きょとんとされてしまった。   さていよいよ、世紀のレースが始まる。世界で最も短いであろう、熱い戦いが、今。   「オレはもうセットできたぞ。瑩は?」 スターティングブロックをガチャガチャいじり終わったらしく、祐司がそう言う。   「あぁ、オレこれよく分かんねぇからいいや」   「え、スタブロ使わないのか!?」 すごい勢いで祐司がビックリする。あってもなくても別に変わんねーだろ。   「・・・・・・って、そういうお前もスパイク履いてないじゃないか」   「いやまぁ、瑩 普通の運動靴だし・・・」   「だったらいいじゃねぇか! さ、始めようぜ!」   スタート地点とゴール地点に、その他の陸上部員が配置された。計測係りになる予定だったはずの千冬は、ただの観客に成り下がった。   ついに、始まる・・・・・・。   「位置について」 部員A(仮)が言う。オレと祐司はそれぞれ隣り合うスタート位置にスタンバイ。オレは姿勢を低くし、祐司はブロックに足をかけ、腰を下ろす。   「用意」 続けて部員A(仮)が言う。オレは足に力を込め、祐司は静かに腰を上げる。    ――――パァン!   銃声が空を駆け抜ける。瞬間、オレと祐司は大地を蹴り、走り出す。たった50メートル。そんな短い距離の中、オレたちは雌雄を決するため、戦う!   開始早々、スタートの段階では一瞬オレがリードしていた。しかし1秒もしないうちに祐司が若干、視界に入る。つまりは僅差で抜かれていると言うことだ。   しかしそこからまた1秒もしないうちに、少しずつ祐司のスピードが緩んでいくように見えた。つまりはオレが段々抜き始めていると言うことだ。   その後、徐々に視界から祐司が消えていき、ついには完全に映らなくなっていた。今目に見えているのは、この先に広がる、勝利のゴールだけだ。   それから、オレの視界に祐司が入り込むことは二度と無かった。   そして・・・・・・     「一着、5秒88。二着、6秒07」 ゴール地点にいた部員B(仮)がそう告げる。   「ハァ、ハァ・・・オレの・・・ハァ、勝ち・・・の、よう・・・・・・だなぁ・・・」   久しぶりに全速力で走ったので息がもたない。身体もものすごく熱い。今すぐ冷却コートが欲しいくらいに。   「ふぅ~・・・・・・やっぱりキミは速いなぁ・・・」 だが祐司は全然息切れしていない。さすが陸上部だ。   「橘、あんた相変わらず速いわね・・・」 千冬がゴール地点までトテトテと小走りで来て、そう言う。   「はっはっはっ、恐れ入ったかぁ~・・・ハァ、ハァ・・・」   実際しゃべっているだけで体力が削られていく。ほんの少し走っただけなのに。これが帰宅部部長(自称)の宿命なのか?   グリュッ・・・・・・   「ぬあっ!?」 なにやら突然、ふくらはぎが異様な感覚に襲われる。そして・・・   「痛ててててててててえぇっ! ああぁあぁあ~っ!」 どうやら足がつってしまったようだ! 引っ張られ劈かれるような、とにかくめっさ痛い!   「あ、瑩、大丈夫か?」   「ちょっ、痛てて! 大丈夫じゃ・・・ねえぇ!」   勝負に勝ったオレの方が苦しんで、負けたはずの祐司が余裕ブッこいてるなんて・・・! なんか・・・勝った気がしねぇ!   「た、助けてくれぇ~」   「もう橘、ホラ、しっかりしなさいよ!」   千冬の声が遠く聞こえる中、オレの魂の叫びが、むなしく空に響き渡る。   足が痛ぇ。これに尽きる。 ~あとがき~ 足つると、ものすごく痛いですよね。管理人です。とりあえず走る際、スタブロ・スパイクはあった方が断然速くなるでしょう。今回は[[「逃亡者と追跡者」>http://www4.atwiki.jp/hayato0420/pages/31.html]]以来出番の無かった彼(祐司)を、再び登場させてみました。密かに瑩を陸上部へ引き込みたいと思う祐司であります。 [[小説部屋へ戻る>小説部屋]] [[トップへ戻る>トップページ]]

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