小説:崩れゆく平和 (前編)

    

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・・・・・・今日も、いつも通りの休日を過ごしていた。
そんな、平和な時間がいつも通り流れて行くかのように思えた。

――――平和は突然崩れた。

オレの名前は橘瑩(たちばな あきら)、ごく普通の高校2年生だ。
今日は休日、ということで妹の雪音(ゆきね)とウィンドウショッピングを楽しんで(?)きた。
・・・・9割方オレが振り回されていたが・・・。ぶっちゃけオレは楽しめてない・・・。
ついでに晩飯の材料も買ってきたらしく、雪音が今 台所でハッスルしている。
そして夜はオレとハッスルw・・・なわけないじゃんw さすがにヤバイしw

なんて誰に言ってるのかわからないが、オレはメシができるまでテレビを見ていた。
今までと変わらない、平和な時間だった。

――――そして平和は崩れだす・・・

 「いやああぁぁぁぁあああっっ!!」
 「雪音!?」
キッチンから悲鳴が聞こえる。何があったんだ!?
 「どうした雪音!!」
 「お、おぉお兄ちゃあ~ん・・・」
 「雪音・・・ってうわああぁぁあ!!」
オレが見たもの、それは、右頬から血を流し、血の付いた包丁を振り回し、なぜか泣いている、特異な姿の(?)我が妹だった。
 「お兄ちゃ~ん・・・」
 「あぁあ、と、とりあえず落ち着け、そう、落ち着くんだ・・・」
 「うぅ・・・グス」
 「どうした?何があったんだ?ってその前に包丁(血付き)を置いてくれないか?」
 「あぅ、ごめんね・・・」
そういって雪音は包丁(血付き)を傍らに置く。
・・・あぶない、もうすぐでオレに刺さるところだったぜ・・・。
 「それで、どうしたんだ、雪音」
改めて問いかける。
 「キ、キッチンに、ゴ・・・」
 「ゴールドエクスペリ・・・」
 「お兄ちゃん、落ち着いて」
 「ハイ、すいませんでした・・・」
雪音が少しマジ顔で言ったのでちょっとビビッた。背景でゴゴゴゴゴゴとか言ってそうな雰囲気だ。
 「あのね、ゴ、ゴゴ、ゴキブリ・・・」
 「・・・を醤油でアブって食ったのか。ほー、すごいなお前」
 「お兄ちゃん・・・?(#゚Д゚)」
 「ハイ、もう本当にスイマセンでした・・・」
雪音が包丁に手を伸ばしかけていたのでちゃんと聞くことにする。
 「お兄ちゃん・・・ど、どうしよう・・・」
 「要するにゴッキーをブッ殺してくれ・ってことだろ?」
 「う、うん・・・」
そうと分かればたやすい。昆虫1匹ブッ殺すくらいワケねえし。
 「あのね、倒してくれないとゴハン作れないの・・・」
 「大丈夫、まかせとけって」
 「ファイトッだよっ!?」
 「お前も少し落ち着いたほうがいいぞ」
そういってオレはキッチンに旅立つことにする。

 (・・・ってまずは武器調達だな)
そう思い、とりあえず思いつくものをあげてみる。
●スリッパ
●新聞紙
●ハエタタキ
●殺虫剤
 (う~ん、まず殺虫剤は必須だろ)
 「雪音、殺虫剤どこ?」
 「あ、ごめん、キッチンにある・・・」
 「マジかよ・・・」
仕方ないな。ここは手元にあるスリッパと新聞紙で行くか。
 (・・・・・・!)
 「雪音・・・」
 「うん?なに?」
 「そういやお前、ほっぺたケガしてんじゃん」
 「え?あ、ホントだ。さっき包丁振り回したからかなぁ」
 「しゃーねぇなぁ・・・」
たしかこの部屋には救急箱があったはずだ。そう、このタンスの2番目の引き出しに・・・。
 「おっ、あった!」
オレはそういって救急箱からバンソウコウを取り出す。
 「ほら、雪音、こっち向いて」
 「いいよぅ、自分でできるよぅ・・・」
 「いいからこっち向けって」
 「もう~・・・」
しぶしぶ(?)こっちを向いた雪音の頬に、バンソウコウを貼る。
 「・・・あ、ありがとう、お兄ちゃん・・・」
 「気にすんなって・・・」
 「・・・・・・」
なんとなく間が空いて気まずくなってしまった・・・。こういう空気は苦手なんだよな・・・。
 「・・・ゴキブリが元凶じゃ、ムードもクソもないよねぇ~・・・」
オレはその場の空気を裂くためにギャグのつもりで言った。が、
 「・・・お兄ちゃん、最悪・・・」
えぇ~?マジで?そんなにキツい一言だったか?
 「いや・・・その・・・ゴメン・・・」
 「もういいよぅ・・・」
余計気まずくなってしまった・・・。
 「それより早くゴキブリ倒してよぉ!」
 「ハイよ~」
雪音に見送られて、オレは戦場へと旅立った。


この部屋、そしてもう一つの部屋を越えるとそこはバトル・フィールド(キッチン)だ。
・・・よし、出て来い、ゴッキー!
そうして武器を構えようとした瞬間・・・!
カサカサッ!!
目の前をゴキブリが通過!
・・・こう見えても脚力には自信があるんでね・・・。(50m走、5秒8)
いざ勝負!!
オレは右手に構えたスリッパを振り下ろす!
 「光になれぇ――――ッ!!」
ドゴオォォオッ!
フローリングの床に、その衝撃音が響く。・・・やったか!?
カサカサカサ!!
そんな不気味な足音を立て、オレの右手へと走ってくる!!
 「ぐあぁ、ゴルディ!!」
オレは必死に右手を振り回す。どうやらゴッキーはオレの右手から飛んでいったらしい。
 「くぅ、ゴルディオン・スリッパが破れるとは・・・!やはりハンドなしではキツいのか!?」
なんていってても仕方ないのでとりあえずキッチンを散策する。
 「雪音―――っ!!」
10秒ほどして雪音がこっちへ来る。
 「もう、大きな声出さないでよ、聞こえてるってば・・・」
 「それより雪音、今のうちに殺虫剤を!」
 「え?今いないの?」
 「早く!」
 「え、えーと・・・」
雪音が殺虫剤を探し始める。その間もオレは気を抜けない。
 「雪音、まだか?」
 「もうちょっと待っ・・・きゃああぁぁぁああっっ!!」
 「雪音!」
よくみると雪音のいた棚の下からゴキブリが這い出てきていた。
 「よくも雪音を!くらえ!」
オレはちょうど手に持ったままだったスリッパを投げつけた。
――――メメタァッ!! 今度こそやったか!?
 「・・・!!な、なにぃーっ!?」
確かにゴッキーに当たったはずだ!なのにゴッキーにダメージは届いていない!!
 「やつの装甲は硬い!それゆえやつの称号は”鋼”!!」
 「お兄ちゃん!そんなアブなげなボケかましてないで、さっさとやっつけてよ!!」
 「あぁ!」
スリッパを投げてしまったので今手元にあるのは新聞紙のみだ。
 「逃がすかぁ!!」
ゴッキーはまた棚の下へと逃げ込もうとする!
 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
オレの新聞紙ラッシュがゴッキーを捕らえた!それでもやつは棚の下へ逃げようとしてる!!
 「そんな悪あがきは無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無アァッ!!」
ベシャッ! グチャチャ! パリ! デュル!
 「お兄ちゃん、それ以上やったら・・・」
 「このくらいしないと、こいつは・・・」
 「・・・いや、片付けるの面倒になるよ?」
 「それもそうだな」
オレは手を止めた。気づくと、床も新聞紙もなんかモザイク的存在なものが飛び散りまくっていた。
 (コ・・・コレは絶対さわりたくねえぞ・・・手袋越しであっても・・・)
 「雪音・・・あとは・・・頼んだ・・・ぞ・・・」
 「お兄ちゃん、片付けてくれたらおっぱい触らせてあげる」
 「雪音、雑巾とゴミ袋を用意してくれ。あとはもう休んでていいぞ」
 「うん、わかった♪」
そういって雪音は先ほどの部屋へと戻っていった。
フフフフ・・・フハハハハァ―――ッ!最高にハイ!ってやつだ!歌の1つでも歌いたい気分だ!
 「雪音~、終わったぜ~♪」
 「えっ?ちょっ・・・ホントに?」
(あたし今この部屋に戻ってきたばかりだよ・・・?)
・・・・・・・・
 「ホントだ・・・キレイになってる・・・・・お兄ちゃんどうやったらそんなに早くできるの・・・?」
雪音はそのフローリングの輝きに唖然としている。というか冷や汗かいてる。
 「それじゃ雪音・・・」
 「ゴキブリもいなくなったし、ゴハン作らないと♪ 待っててね、お兄ちゃん」
 「え?あ、ハイ・・・」
そういい残し、雪音は何事もなかったかのように再びキッチンへと戻っていく。
(・・・・・・アレ?なんか重大なイベント忘れてない?)
これは確かめねばならない。じっちゃんの名にかけて!
 「なぁ、雪音・・・」
 「ん?なあに、お兄ちゃん」
(―――!!)
雪音はすでに包丁を装備している!ま、まずい!非常にまずい!
 「・・・ゴ、ゴハン、楽しみだなぁ~・・・」
 「もう、待ってて・って言ったでしょ?」
 「ハ~イ」
命を危険にさらすような恐怖からのがれ、部屋にリターン。
 (・・・幻聴だったのかなぁ・・・)
・・・何かと心残りがあるけど、まぁいいか。
再びオレはテレビを見始めた。

―――――平和が戻ってきた。・・・かに思えた。

スタスタスタ・・・
 「お兄ちゃん・・・」
 「んあ?」
雪音は今にも泣き出しそうな表情をしている。
 「ゴ、ゴキブリが・・・」
 「また出たのか?」
雪音はコクコク、とうなずく。
 「1体じゃ・・・なかったのか!?」
 「お兄ちゃん、早くぅ・・・」
 「あぁ、まかせとけ!アキラ、いきます!」

オレは再び、戦場へと旅立たねばならなくなってしまった。

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