小説:戦いの果てに (前編)

    
―――――戦いとは、生きていくうえでの自然の摂理である。

勝者は神に、敗者は悪へ。それが、物質世界の掟・・・・・・。

チーンコーンカーンコーン・・・
 「・・・ふあぁ、やっと授業終わったか・・・」
オレ、橘瑩(たちばな あきら)、授業は全部、睡眠学習で過ごす高校2年生だ。
先ほどのチャイムで6時間目の授業が終わり、放課後になった。
 (・・・今日はどうしようかなぁ・・・)
などと、夜寝るまでの自由時間をどうしようかと考えていたとき、
 「瑩ァ、今からヒマか?」
と、ダチの赤島真悟(あかしま しんご)が実にタイミングよく話しかけてきた。
 「おぉ、ヒマだぜ」
 「・・・行くか?」
 「フッ、上等だ!」
一見、理解不能!理解不能!な会話をしつつ、オレと真悟は「ある場所」へと旅立つ。

・・・・・・・
オレと真悟は学校の近くにあるゲーセン、「亀のゲーム屋」にやってきた。
 「真悟、今日のヒットポイントはなんだ?」
 「気分によるが、最高で12ポイントだな」
 「いいね!」
ヒットポイントとは、オレたちの間でゲーセンで費やせる金額のことである。1ポイント=100円だ。
 「瑩は?」
 「オレも同じくらいかな」
そして、とりあえずゲーセン内を一周する。空いてるのを探すために。
 「瑩ァ、あれやろーぜ」
 「えぇ~・・・だってアレ絶対おめえ勝つじゃん・・・」
 「かたいこと言うなって」
 「しゃーねーな・・・」
真悟が言うのは、パンチング・マッスィーン、「ツチノコ・アルファ」だ。要するにパンチ力の強い方が勝ちってやつだ。
・・・なんでこんなワケわからないネーミングなのかは謎だ。
 「先攻はオレに行かせてくれ」
 「おう」
オレはコインをいれ、グローブをはめる。サンドバッグがスタンバイされる。
そして、ゲームスタート!
 「ブロウクン・ファント―――ム!!」
――ドゴオォォオォッ!!
オレの改心の一撃がはいる!そして、計測された結果は・・・
――263kg!!
 「うん、まぁこんなもんかな」
オレの中でも結構いいほうの記録が出た。
 「そんじゃ次オレな」
そうして真悟がグローブをはめる。
(・・・どうせまたお前の勝ちだよ、この野郎)
 「いくぜ!!ゴムゴムのぉ・・・ピストルゥ!!」
――ズドオォォオォッ!!
別に腕は伸びていないが、景気のいい音が響き渡る。さて、結果は?
――1029kg!!
 「へっへ~、オレの勝ち~」
 「相変わらずベジータみてえだな・・・」
実際こんなパンチ力あったらプロの世界で通用するだろう。なぜコイツがプロ進出しないのか。
そう、この数値はバグなのだ!しかも真悟がやったときのみに出るもので、原因は分からない。
そして、なぜか必ず、絶対といっていいほど、真悟のみに起こるバグで、バグデータなのにちゃっかりランキングに入ってしまう。
だからこいつの1位は文字通り、ゆるぎないもので、他校では伝説になってるくらいだ。
 「・・・実際お前、オレと大差ないじゃねーか」
 「瑩、それは禁句だぞ♪」
これを言うと真悟は微妙に焦る。伝説を崩されたくないようだ。
 「じゃ、ノーゲームってことでさ・・・」
 「・・・やれやれだぜ」
だったら最初からやるなよ・・・と思わないでもない。

・・・・・・
 「真悟、これやるぞ!」
 「上等だ!」
オレの目に付いたのは、ガンシューティングゲーム、「バイオレンス・ハザード」だ。
これは(だいたい分かるだろうが)ゾンビを手持ちの銃を使って撃ち殺して行くゲームで、なぜかゾンビに名前を入力できるシステムになってる。
 「名前どうする?」
 「・・・西本でいいや」
 「そうだな」
ゾンビの名前、「西本」に決定。なにかとリアリティがある。
とりあえずルールは、多く西本(ゾンビ)を撃ち殺した方が勝ち、となっている。
 「瑩、西本に襲われんなよ?」
 「その心配は、全くないぜ!」
そして、ゲームが始まった! オレと真悟は銃を構える! 
 『分からないところが、分からないんです!』
なぜか奇妙な鳴き声をあげて、西本(ゾンビ)が襲い掛かってくる!しかも序盤なのにかなり複数で!
 「くらえ! レールガン!」
――ズドン! ドン! ズガン!
 『なんでそんなことするん!?』
撃たれた西本(ゾンビ)は鳴き声をあげて崩れ落ちる。今回はしっかり意味も通ってるので怖い・・・。
――カチッ、カチッ・・・
 「やべっ、弾切れじゃん! しゃーねー・・・」
このゲームは、弾切れしたときのために、コマンド入力で戦う格闘システムもある。
って、明らかにリロードした方が効率いいのに、なぜこんな不要なシステムをつけるのか・・・。このゲーセンは謎が多い。
 「おし、いけぇ!」
――ガシ!
オレのキャラは、ひるんだ西本(ゾンビ)をつかみ取り、
――ゴガシャアァァッ!!
近くのゴミ箱へと頭からダンクシュートした! 突っ込まれた西本は、必死で足をバタバタさせている!
しかし、その間にもオレの方へと別の西本が群がってくる!
 『うんこもらした、うんこもらした』
またもや奇妙な鳴き声を発している!って、近づいてくんなボケェ!
オレは光速でおっぱいリロードし、うんこをもらしてしまったらしい西本を撃ち殺す!
 『もれた、もれたぁ~!』
しかし、複数で襲われたため、そのうち一体がオレに突進、牙をむく!
――ザシュ!
 「あっ、くそ、ダメージ負ったし!」
ムカついたので、攻撃してきたその西本にはゴミ箱ダンクを決め、残りの西本にはオレの得意技、「超連射」で落とす!
 『マジもれた! マジ漏れた! マジモレタ!』
超連射に追いつけず、西本は次々と倒れていく。
 「まだまだだね」
そして、第1ステージが終わり、第2ステージへと進む。
その前に、真悟の方が気になった。
 「どうだよ、真悟」
 「東大合格、ってとこかな」
 「・・・・・・?」
よくわからないことを言われたが、まぁ気にしないでおこう。
っと、第2ステージが始まる。
 『がああぁぁぁああぁっっ!!』
 「うわ!」
さっきとは迫力が全然違う西本が、真悟を襲う!
真悟、深いダメージを負い、残りライフ、1ポイント!
 「くそ、こんなとき、融合解除があれば・・・!」
・・・なぜオレのキャラは襲われずに、真悟のだけ襲われるのだろう・・・?
現にオレの画面に映っているのはさっきと同じ、うんこ、うんこ、と連呼してる西本だけだ。
 (ま、運がなかった・ってことだな)
オレは悠々と西本殺害ポイント(ゾンビ撃退数)を稼がせてもらおうか。
・・・・・・
そして第3ステージ、進出したのはオレだけだ。
 「なんでお前だけなんだよ・・・」
真悟が恨めしそうに見ている。無理もないわな・・・。
というか第3ステージ、もうどうでもよかった。勝っても負けても、真悟にはすでにポイントで勝利してるし。
 「ま、ラク~にやらせてもらいますわ」
 「さいですか・・・」
真悟はつまらなさそうに返答する。まぁ、見てるだけだもんな・・・。
そう思ってる間、すでに第3ステージが始まっていた。
 「あっ、ヤベ・・・」
いつのまにかダメージを受けていた。しかも毒があるらしく、体が動かない。
 (こんなのアリかよ!)
毒で体が動かないなんて鬼な設定だ。その間にも、敵の攻撃は続く。
―――GAME OVER!!
 「・・・ちょっと待てえぇぇ!!」
あまりにも理不尽だ。ってまぁ、ゲームだから仕方ねーけど。
 「アキラちゃ~ん、やられちゃったねぇ♪」
真悟がかなり嬉しそうにほざいてる。
 「ま、お前には勝ってるし、お前には勝ってるしな」
 「2回ゆーな!!」
もちろん、わざと2回言ったんだがな。イヤミをこめて。

・・・・・・
今のところ、オレと真悟の勝負は1-0。(最初のは無効試合のため)
 「やはり真悟よ、男なら肉弾戦だよなぁ・・・?」
 「・・・フッ、まさかオレに勝つ気でいるのかい?」
肉弾戦。それは、エア・ホッケーのことだ。コレに関してはお互いに同じくらいのレベルだ。
 「瑩、オレさっき負けたからタマ、オレ側でいいよな?」
 「かまわないぜ」
タマとはアレだ。あの・・・ホッケーで飛ばすアレだ。(正式名称、知りません)
そしてコイン投入、ゲームスタート!
 「いくぜ瑩! フレイム・セイバー!」
――ズド! カン!カン! カシャン!
勢いよくシュートされたタマが、壁に何回かはじかれ、オレのゴールに入ってしまう。
 (・・・ヤベ・・・こいつのタマ速え・・・)
 「へっへ~、1点ゲット~♪」
真悟は試合開始早々、点を入れることが出来てウヒョウヒョしてる。
 「・・・点を入れたね・・・」
 「ん?」
 「親父にも入れられたことないのに!」
オレは燃え上がる闘志を、ありったけこいつにぶつけるぜ!
 「あわてるなよ、瑩。まだ始まったばかりだぜ!」

―――そう、まだ戦いはほんの序盤に過ぎなかった。


|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|
  

更新履歴

取得中です。