小説:雨の日に・・・

    
―――ザザァアアァ―――
・・・朝から降りしきる大量の雨は、あたかも穢れきったオレの心を隅々まで洗い流してくれているように思える。
オレの名前は橘 瑩(たちばな あきら)、嫌いな教科は体育以外全部の高校2年生だ。
  「雨は・・・いつあがるのかな?」
容赦なく降り注ぐサマは、まるでライオンのようだ。(意味不明)
  「さてと・・・」
オレは今起きたばかりの気だるい身体を持ち上げ、雪音のいるリビングへと向かう。
雪音とは、オレのかわいいかわいいかわいいマイシスターのことだ。
ちなみに今の時間は12時23分47秒。普段なら遅刻どころの騒ぎではないが、
今日は日曜日。思わず寝たいだけ寝てしまった。
  (ったく、「めざめろテレビ」見過ごしちまった・・・って日曜だからやってないじゃん・・・)
心の中で一人ツッコミ。フッ・・・
そしてオレはリビングへと到着。かわいい雪音が「おはよう、お兄ちゃん」って・・・
  「・・・あれ?」
おかしいな、いつもならそう返ってくるはずなのに。
  「雪音?」
・・・・・・・・・・・・
沈黙が続く。呼びかけても答えがない。
  「どこへ行ったんだ?」
テレビがつけっぱなし、ということから外出ってのはない。ってか雨降ってるし。
  「・・・・・・」
まさか、オレに愛想つかして出て行っちまったとか?
ってんなアホな。まるで嫁みてえじゃねぇか。
  「・・・・・・嫁?」
それもいいかも知れんな・・・ぐふふふ・・・。
なんて妄想にふけっている場合じゃないでしかし! 雪音を探さねば!
  「探すってもどこ探したらいいのやら・・・」
とりあえず家の中にはいるだろうし、待ってれば現れるだろう。
  「新聞は・っと・・・」
どうせだし、テレビでも見ながら待つことにしよう。

・・・・・・
あれから5分たった。
たった5分しかたってないが、オレにとっては長い時間だ。
  「ホントにどこか行ってんのか?」
不安が募ってくる。家の中にいるだろうことはなんとなく分かっているのだが・・・。
―――ガチャッ
  「!!」
リビングの入り口のドアが開かれる。そこにいたのは、
  「あれ、お兄ちゃん起きてたんだ」
雪音。そう、今さっきまでオレが探してた最愛の(?)人物だ。
  「それよりお前、どこ行ってたんだ?」
  「え? 別にどこも行ってない・・・よ?」
おもックソ怪しいな。絶対なんか隠してやがる。
  「雪音、詮索するつもりはないが、どこへ行ってたんだ?」
って、おもックソ詮索しとるやんオレ!
  「・・・・・・トイレよぅ・・・」
  「へ?」
なぁんだ、トイレか。雪音が顔を少し赤らめて言う。 そりゃそうだよな~。
  「トイレにしては長いな・・・・・・大きいほうだったか?」
  「違うわよ・・・」
  「小さいほうにしては時間的におか・・・・・・あっ・・・」
  「・・・・・・」
言ってから遅いと思ったが、ようやく気付いた。今日はアレの日だったか・・・。
  「雪音・・・ゴメン・・・」
  「・・・・・・」
依然変わらず黙り続ける雪音。そりゃぁそうだよなぁ・・・。
  「あの・・・えと、ホント・・・ゴメンな?」
  「・・・あのね、お兄ちゃん」
少し冷めた口調で、淡々と言い放つ雪音。あぁ、殺される・・・。
  「・・・・・・できちゃったみたい・・・」
  「・・・え?」
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
  「え?」
思わず2回驚いてしまう。いや、むしろ驚き足りないくらいだ。
  「ゆ、雪音、今なんて?」
恐る恐るオレは雪音に質問する。だが返ってくる答えは、
  「だから、その・・・妊娠・・・しちゃったみたい・・・」
さらに核心を突いたようなアンサーが。
  「えと、その、オレは・・・つまり・・・だから・・・」
混乱するオレの脳内組織。高鳴る心臓の鼓動。激しく勢いを増す呼吸。
落ち着け・・・落ち着け・・・素数を数えて落ち着くんだ・・・

・・・2、3・・・5、7、9・・・11、13・・・・・・17、19・・・24・・・・

ダメだ。余計頭が混乱してしまう。素数じゃないの出てきてるし。
まずはもち・・・いや落ち着くんだ。落ち着いて、今度は冷静な質問をするんだ。
  「えぇと、それは妊娠何ヶ月目なのかな?」
何を聞いとんねんオレは!
  「まだ2ヶ月だよ」
ってオォオーイ!! 何普通に返してんねん! しかも2ヶ月ってリアルな数字やな!
冷静に考えるんだ・・・妊娠したとなるとオレはパパ・・・雪音はママに・・・
いやいやそんなことじゃない。何で二人の未来設計なんか考えてるんだ。

もう一度冷静に考えるんだ。妊娠したってことは、すなわちオレと雪音がセ・・・
  「ごぷはぁ!」
  「お、お兄ちゃん!?」
いかん、思わず鼻血が吹き出してしまった。しかも両方の穴から。
おっと、鼻血に気をとられてしまった。 さらにもう一度考えるんだ。落ち着いて。

・・・・・・つまりは、オレが雪音に手を出したことになる・・・。
つーことはオレが理性を失い、欲望に走ったときだ。っていつもそんな感じだが。
可能性のある日とすれば・・・・・・あっ!

たしか、依然雪音がストーカーに狙われていたとき、一緒に寝た記憶がある。
まさかそのときに? いや、あのときは理性が勝って途中で手を引いたような・・・。
今思えばもったいないな・・・・・・チッ・・・
って何考えとんねんボケ! あのときは手を引いて、そのまま眠りについ・・・

・・・待てよ? それは眠ったのではなく、オレの意識が飛んでいた可能性も?
オレに自覚が無いだけで、実際は雪音とその夜、セ・・・・・・
  「うぐあぁ!?」
  「ちょっと・・・お兄ちゃん大丈夫!?」
鼻血がさらに加速を増し、なぜか耳からも噴射していた。って鼻血ちゃうやん!
いや今はブラッドのことはいい。足りなくなったら輸血と勇気で補えばいいんだ!
  (・・・・・・うぅ)
でもやっぱりさすがに苦しい。血を流しすぎたぜ・・・。

さて・・・
オレと雪音がしちゃったとして・・・・・・どう転んでもオレの責任になってしまう。
しかも自分の家族・・・妹となんて・・・人として・・・・・・
  (ん?)
待てよ、雪音って義理の妹だからその面では大丈夫なのか。そうだったそうだった。
って納得してどないすんねん! 結局人としての問題、解決してへんやん!

・・・やはり、オレの記憶が間違っているのだろうか。
オレの知らないうちに、してしまったのだろうか。
しかしもう、戻れない。常に時は刻まれていくのだから。 (もうパニック状態やね by作者)
  「雪音・・・・・・」
  「ん、なに?」
たしかに腹の中のガキは堕胎費さえ出しゃすぐにでも堕ろせる。
だが、それは腹の中の子供を殺すということに・・・
  「がんばって・・・育てような・・・」
  「・・・お兄ちゃん」
やってしまったことは仕方ない。開き直りといえば、そうかもしれない。
だけどこれは償いでもあるだろう。禁断の果実を食してしまった、オレたちの・・・。
  「あの・・・お兄ちゃん?」
  「なんだ? 雪音」
この先のことに不安を抱いているのだろう。オレも不安だからな。
  「ものすごく言いにくいことなんだけど・・・」
  「なんだ? 言ってみ」
財政的なことや世間体のことだろう。そんなのオレも同じ苦しみだ。
  「言っても、怒らない?」
  「怒んないよ」
そもそもオレが全て悪いんだ。むしろオレが怒られても不思議ではない。
  「・・・あれ・・・全部、ウソだからね・・・・・・」
  「・・・え?」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
  「え?」
またもや2回驚いてしまう。なんとなく分かっていたが。 (絶対分かってないって)
  「お兄ちゃんが変なこと聞くから、ちょっとからかってみたの」
  「ちょっ・・・ゆ、雪・・・」
  「あー、面白かった! お兄ちゃん、これからは気をつけてよね?」
  「・・・ハイ」
そんな女の子にしかつけないようなリアリティのあるウソはやめて下さい・・・。
オレはそう思ったが、あえて口に出さないことにした。
  「・・・でも」
少し冷えたカンジで、雪音が唐突に口を開く。
  「あんなに真剣に考えてくれるなんて・・・・・・ちょっと、嬉しかったよ?」
  「雪音・・・」
  「え、えと・・・私、お昼ゴハン作るから!」
そういって雪音はそそくさとキッチンの方へ走って行った。
オレの方も、雪音にああ言ってもらえて嬉しいよ。
  「・・・やれやれだぜ」

―――雪音の怖い一面と、優しい一面を垣間見た、そんな雨の日の午後だった。



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