小説:雨の降る休日

    
―――ザザァ―――
朝から降りしきる大量の雨は、あたかもオレの心を洗い流してくれているように思える。
オレの名前は橘 瑩(たちばな あきら)、放課後はゲーセン三昧の高校2年生だ。
  「雨はいつあがるのかな?」
別にあがってもあがらなくてもどっちでもいいが。
  「そういや今日は日曜日だな」
とはいっても、することないし。かといって雨降ってるから外出も出来んし。
  「やれやれだぜ」

・・・・・・
部屋でマンガを読みふけっていたが、時間につれヒマになってきたので
リビングへ向かう。たぶん雪音(ゆきね)もいるだろう。
雪音とは、オレのデーモン級にかわいいマイシスターのことだ。
  「雪音~」
いつものように呼びかける。可憐に振り返って、「あ、お兄ちゃん」って・・・
  「・・・・・・」
あれ?
・・・オレの目の前には、ソファーに座りながらテレビを見ている雪音がいる。
振り返るのは可能なはずなのに・・・無視? いや雪音に限ってそんな・・・
  「雪音~!」
  「・・・・・・」
もう一度、声を大きくして呼びかけてみるが、反応なし。
  ナチュラル無視?
それともテレビに夢中なのか? 仕方ないので、雪音の傍に行って叫んでやろう。
 オレは雪音の座っている位置まで向かい、大きく呼吸する
  「ん?」
  「・・・スー・・・・・・」
寝てやがりますよ。そりゃナチュラルに無視できますわな。
 なんとなく1人で納得する。そうでないと無駄に傷つく・・・・・・。
と、オレが感傷に浸ってる中、雪音は寝息を立てて眠り続ける。
  「かわいい寝顔で眠りやがって」
文句になってるのかどうか分からんが、とりあえず言ってみる。
言ってみたところで、起きないことに変わりはないが。
  「さて・・・」

●普通に起こす
●このまま寝かせておく
●寝てるのをいいことに・・・

いきなり選択肢が頭の中に。しかも3つ。ひとつ危ないの混ざってるし。
今はまだおやつ時の時間だ。夜ならアレだが、とりあえず3番目はないな。
普通に起こして雪音と楽しく過ごすのも悪くないし・・・
このまま寝かせておいて、かわいい寝顔をずーっと眺めてるのも悪くない。
  「両方捨てがたいな・・・」
ポロッと独り言として出る。だが雪音は起きる気配なし。
  「ここは面白みに欠けるから、やっぱ起こさんとな」

さて、どう・・・
●肩を揺すって起こす
●ほっぺたを突っついて起こす
●おっぱいにタッチして起こす

  「よし、起こすか」
オレの中で選択肢がまたもや出現。当然、オレの答えは決まってる。
  「雪音~・・・」
―――ぷにっ
  (おぉ~)
相変わらず柔らかい、心地よい感触がオレのボディ全体へ伝わる。
ここはやはり、もう1回触れてこそ真の漢だ。 (何を言うとんねん・・・)
―――ふよんっ
  (おぉ、さっきよりも弾力が増して、さらにイイ!)
感無量。この言葉が最もふさわしいだろう。この休日はもうこれでいい。
・・・それにしても、雪音起きないな・・・
  「・・・すー・・・・・・」
さっきと変わらず、寝息をたてて寝ている。寝顔がかわいい。
ていうか、雪音って鈍いのか? こんだけいじっても起きないとは・・・
  「しゃーねーな・・・」
きっと疲れているのだろう。今は寝かせておこう。起こすのはかわいそうだ。
オレは雪音の部屋まで、こいつを連れて行くことにした。
ソファーに座っているので、体勢的にお姫様抱っこがやりやすい。
  「雪音が姫なら、さしずめオレは王子様ってか?」
バカじゃん、オレ・・・

  「よっと」
雪音を持ち上げ、部屋へと連れて行く。
相も変わらず、すーすー寝てやがる。本当に気付いてないのだろうか?
  (それにしても、昔に比べると、やっぱ大きくなったな・・・)
ふとそんな想いにふける。
つーか今のって、もしかしてオヤジ的思考か!?
まずいな・・・オヤジ化してきてしまうとは・・・。いや、気のせいだ。忘れよう。

雪音の部屋に到着。家の中なので、移動も早い。
このまま雪音を抱っこしてるのもまたイイのだが、オレに疲労が残ってしまう。
おとなしく、ベッドへ寝かせてやるのが吉だな。
  (ん? ベッドへ寝かせる? まさしくベッドインだな・・・)
いやさすがにそれはまずいですよお母さん!
やはりここは普通に雪音を寝かせるべきだ。仁徳的にも。
・・・・・・
さて。
雪音を寝かしたはいいが、オレはすることがない。
また部屋でマンガを読むのも窮屈でイヤだし、外いこうにも雨降ってるし。
この時間にやってるテレビを見るにしても、クズ番組ばっかだし。
  (ひさっびさに遊技王カードでもいじろうかな・・・)
いや、どこに置いたか探すのがかったるい。
あぁ~、雨の日ってすることねぇなオイ! 世の諸君もそうなのだろうか?
  (まぁいい、何か思い浮かぶまで雪音の寝顔でも眺めておこう)
そしてオレは雪音の傍らで、そのかわいい寝顔を眺めることにした。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

  「はっ!」
思わず寝てしまっていたようだ。とっさに目が覚める。
しかもベッドに雪音の姿が無い! って起きたからに決まってるだろ!
  「!」
ふと気付くと、オレにふとんがかけられていた。雪音がかけてくれたのだろう。
やっぱり雪音は、優しいなぁ・・・。
と、いつまでも雪音のベッドでハァハァ・・・・・・してないっちゅーねん。
とりあえず目も覚めたし、リビングへ行くとするか。

・・・・・・
  「雪音~」
リビングに着き、呼びかける。さぁ、今度こそは・・・
  「あ、お兄ちゃん・・・・・・さっきはありがとね」
  「おへぁ?」
呼びかけに答えてくれただけでも嬉しいのに、なぜか突然礼を言われる。
思わずビクーリして、変な返事しちまったじゃねえか、この野郎め!
  「部屋まで運んでくれたの、お兄ちゃんでしょ?」
  「あぁ、あれは森の妖精さんがやってくれたのさ」
なんだよ、別にそんなこと礼を言わんでもいいだろうに。
  「もう、お兄ちゃんったら」
  「それはそうと、ふとんかけてくれたの雪音だろ? ありがとな」
雪音に礼を言われたので、何気にオレも言っておくことにする。
  「じゃ、おあいこだね」
  「ま、そうなるな」
実際、勝負事でもないのにおあいこと言えるのかどうかはアレだが、まぁいいや。
  「それじゃお兄ちゃん、ゴハン食べよっか」
  「そうだな」
時計を見ると、ちょうどメシ時の時間だった。
まるでタイミングをハカって目が覚めたみたいでなんか釈然としないが、
そこは雪音の愛情(?)でカバーだ。 (何を言うとんねん・・・)
  「「いただきまーす」」

――― 特に何もしてないが、なにか充実感の残る、そんな雨の降る休日だった。

~Fin~


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