小説:獣たちの楽園

    

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―――自然界を生きていくうえで、大切なのは「知ること」だ。

  「あー、そういや明日、日曜かぁ」
オレの名前は橘 瑩(たちばな あきら)、ゴキブリ相手に気絶した高校2年生だ。
  「・・・そういえば」
オレはふとあることを思い出す。

・・・・・・
  「雪音、雪音はいるかのぉ?」
雪音(ゆきね)とはオレのかわいい、いやかわいすぎるグレートなマイシスターのことだ。
  「なぁに、お兄ちゃん?」
そういってキッチンからひょこっと顔を出す雪音。どうやら晩メシを作ってたようだ。
  「明日、ふたりで出かけようか」
  「うん、いいよ」
あっさりと了承。なにか物足りないような気がするなぁ・・・。

・・・・・・
そして日曜日。予定通り、雪音とお出かけ中のオレだ。
  「やっと着いたな、『アドベンチャー世界』に」
  「私、初めて来るかも」
ここは「アドベンチャー世界」。結構広範囲な、大きめの動物園だ。
以前、雪音がストーカーに狙われていたとき、その犯人から届いたラブレターの中に、
ここのチケットが入っていたのだ。しかも2枚。犯人は雪音と行く気だったらしい。
もちろんラブレターは捨てたが、チケットは残しておいたのだ。
  (こんなところで役に立つとは。あのストーカーには何気に感謝せんとな)
有効期限は今日までだったので、まさにギリギリだ。
さて、とっとと入場しますかね・・・。

・・・・・・
いやぁ、なんか今回は展開が早いな・・・。
なんてオレは一体誰に言ってるのだろうか。まあいい。
  「なぁ、雪音」
  「なあに?」
オレはアホみたいかつ、超ありきたりな質問をぶつけてみる。
  「なんかさぁ、こうしてるとデートみたいじゃない?」
さぁて、雪音からなんて返ってくることやら。
  「え、お兄ちゃんもそう思ってたの?」
予想外の答えが。もしや・・・
  「じゃあ雪音もなのか?」
  「・・・うん♪」
シンクロ率400%じゃないかぁ! さすがはマイシスター! エクセレント!
  「やっぱり雪音はかわいいな」
  「え、えぇ? お兄ちゃん!?」
・・・まずい。思わず口に出してしまった。
  「さっそく見て回るか!」
  「う、うん、そうだね・・・」
なんとかごまかすことに成功したぜ。もはやプロの領域だ。 (いや、それはないよ・・・)

・・・・・・
とりあえず、近いところからグルッと一周、見て回ることにした。
  「さあて、オレの動物博士っぷりを見せてやろうか」
  「お兄ちゃん、詳しいの?」
  「フフ・・・」
オレはなんとなく得意気になる。と、ちょっと忠告せねば。
  「まぁ今からオレが言っていくことの正否は、雪音、お前の判断に任せる」
(同時に、読者にも任せます)
  「それって私、自分で調べた方が早いんじゃ・・・」
ごもっともなツッコミが返ってくる。それじゃぁおもしろくないんだよなぁ~。
  「雪音よ、そんなこと言うんなら・・・・・・実はお前が・・・」
  「あ、あぁあわわ・・・わ、分かったわよぅ・・・」
  「うむ。それでいい」
雪音の慌てぶりがかわいい。巻き戻してもう一度見たいくらいだ。

っと、話しながら歩いてるうちに、目の前にアニマルが。
  「雪音、こいつはマウンテンゴリラって言うんだ」
  「へぇ~、そうなんだぁ」
実際、ネームプレート見て言ってるだけだが。なぜか雪音、気付いてないし。
  「ゴリラが胸を叩くしぐさは、ドラミングって言うんだぜ」
  「お兄ちゃん、よく知ってるね」
  「フフン・・・」
確かそうだったような気がする。間違ってたらアレだな。
さて、次はっと・・・。

  「おっ、こっちはキリンだな。昔は首が短かったらしいぞ」
  「へぇ~・・・」
1へぇ~だな。満へぇ~には程遠いじゃないか。
つーか、賞金100円になるのでは!? それはまずいな・・・。
さて次~。

  「あ、メガネザルだ。中にはホントにメガネかけたヤツもいるらしいぜ」
  「お兄ちゃん、それはウソっぽいよ・・・」
  「ウソっぽいとかゆーな!」
って言われてもしゃーないよね、今のは・・・。 実際ウソだし。
はい次~。

  「あれはハムスターだな」
  「なんで動物園にハムスターいるの!?」
雪音らしからぬ口調でツッコミを入れてくる。オレも同じこと思ったよ。
  「きっとアレだな。ハムスターってかわいいからだろうな」
理由になってないだろうが、なんかそれっぽいからいいや。
  「でも、かわいいからってハムスター置くのは・・・」
  「ハムスターよりも、お前のほうがかわいいって・・・」
  「・・・えっ!?」
  「・・・・・・」
はい次いきましょ~。

  「お、水系モンスターのゾーンだって」
要するに水族館も兼ねてるってことだろう。ややこしいような、そうでないような・・・。
  「でも・・・モンスターって・・・」
  「雪音、言いたいことはオレも分かるよ」
  「・・・うん」
ここの動物園は動物の扱いがひどくないか? モンスターだぜ? モンスター。
ま、いいや。そんなの業者の勝手だ。ちゃちゃっと見て回ろうか。
そしてオレと雪音は、水族館のコーナーへと入っていった。

と、さっそく海洋生物ハケーン。
  「お、ラッコじゃん。貝殻割ってるあいつらは、パンチ力300kg超えてるんだぜ」
  「ラッコさん、強いんだねぇ~」
雪音のほのぼのとした返事と、信じ込んでんのか、リアクションとってんのかの微妙な
返しがまたかわいい。ていうか、ツッコめよ・・・。
  (実際、300kgあったらオレ負けるんじゃねぇ?)
ま、現実そんなマッスルラッコいるわけないよね~。 そんじゃ次~。

場所を広くとられた、大きめのアニマルを見つけた。
  「おぉ、ホッキョクライオン! 無理したらフュージョンできそうだな!」
こう、バック宙して、勢いでガブって噛まれて・・・って死ぬやん!
  「・・・お兄ちゃん、あれ、みるからにライオンじゃなくてシロクマじゃない・・・」
  「むぅ、そこはツッコんで欲しくなかったな」
オレも無茶だろうと分かってて言ったからな。クマ見てライオン言うって・・・。
  「うぅ、ごめんなさぁい・・・」
  「・・・許す!」
もちろんかわ・・・・・・はい次!

  「こ、こいつは・・・」
オレが次にハケーンしたのは、一昔前に話題になった、
  「雪音、これってアレだな、タマ・・・タマ? タマちゃんだな!」
そう、昔、とある川に住みついていた、ゴマフアザラシがいたのだ。
  「お兄ちゃん、連呼するのはヤメテ・・・・・・」
言ってから気付いたが、この名前を連呼することで、普通のペットっぽい名前が、
暗黒の名前に変わるもんな・・・。
  「今のはオレのケアレスミスだな。スマソ」
狙って言ったっぽく聞こえがちだが、決してそうではないぞ。
  「そういや、ゴマフアザラシといえば、少年あべし! を思い出すな」
  「それって、あべし! じゃないんじゃない?」
  「ま、なんにせよすごい名前に変わりはないな」
というかどうでもいいよね。
  「・・・ひでぶ! だっけ?」
いやどうでもいいって。

・・・・・・
そろそろネタが尽きてきたなぁ。
つまりはおもしろみのあるアニマルがいなくなったってことだ。
  (ふむ・・・困ったな・・・)
このままでは、だらだらとエンディングになってしまう。
  「お兄ちゃん、アイス食べない?」
突然雪音がさりげなくフォローしてくれた。たぶん無意識でだろう。
  「ナイスアイデアだな、それ」
というか、たまたま目の前にアイス売り場があったから言ったんだろう、雪音。
ってかそれフォローって言うのだろうか?

そしてアイス売り場に着陸。別に飛行していたわけではないが。
  「雪音、どれ食うんだ?」
なかなか種類が多い。ハゲーンダッツ並だ。
  「う~んと・・・じゃぁ、バニラにしようかな」
なんてシンプルなモノを頼むんだコイツは。バニラなんかそこらのコンビニで買えるじゃん。
まぁ、それが好きって言うんなら別にいいんだけど。
  「オレは・・・そうだな、チョコミントにしよう」 (作者の好きな味です)
注文し終わると、謎のマスクをした店員がカップにアイスをつめ込んでいく。
しかもやけにムキムキだし。そんなに筋肉使うような仕事なのか?
・・・・・・
マッスルな店員からアイスを受け取り、近くにあったベンチへと腰掛ける。
  「ほい、雪音のバニラ」
オレは雪音の分を渡す。
  「ありがと」
それを受け取る雪音。さっそく食べている。
アイスと言えばアレだ。イベントが盛りだくさんなはずだ。
ちょうどヴァニラアイスだ。こぼれてくれたら卑猥な図になるぜ。
口に付いたら「アイス付いてるよ?」なんて言って・・・。
  (ウヘヘヘヘ・・・)
どんどん妄想が広がる。こんな兄貴ですみませんねぇ~・・・。
  「あー、おいしかった♪」
と、雪音はアイスを食べきったようだ・・・・・・って、え?
  「ちょ、雪音、早くない?」
  「えへへ・・・甘いものは別腹って言うでしょ?」
  「さいですか・・・」
ってそれ、食べる速度と関連性薄くないか?
別腹だとしても、あんな速さで食べきるとは・・・。
神、だな。
  (っと、オレも早く食わねぇとな)

・・・・・・
あんまり食べた気がしない。味わって食ってないからな。
しかも結局、なにも起きずに終わったし。
  「ノーイベントでフィニッシュかよ・・・」
  「え?」
  「いや何でもねえ・・・」
またしても独り言が。なんだ? 寂しいのかオレ?

―――リーンゴーン・・・
突然、なにやら時計搭らしき物体から音が。
  「もうこんな時間か」
帰ったら少し遅めの晩メシになるであろう、そんな時間だった。
  「そろそろ帰ろっか、お兄ちゃん」
  「そうだな」
オレと雪音は、売店で適当に土産を買って、帰路についた。

・・・・・・
・・・

  「自転車でフェンス越しに走っている電車と勝負してて、勝てるわけないだろうと、
  ふとちょうどバイクが走っていて、勝負対象をそっちへ切り替えて、それでもやっぱり
  勝てないからと前にいる学生相手に勝負を申し込んで、でも結局向こうの方が
  速くて、結果、全ての勝負に負け、無駄に自転車をこいだ分、アホみたいに
  体力を使ってしまった・・・っていう状況の、30%くらい疲れたなぁ、今日は」

  「えと・・・お兄ちゃん?」
雪音は、なんて言ったの? みたいな顔をして、オレのほうを見ている。
  「要するに、絶妙に疲れた・ってことだ」
自分でも今なに言ったか覚えてないくらいだしな。
  「私は楽しかったなぁ~」
  「オレも楽しかったぜ!」
  「でも今、疲れたって・・・」
  「それは言葉のアヤちゃんだ」
ここで楽しくなかった・みたいなことを言っては、漢が廃るってモンだ!
でも実際、地味に疲れてたりするんだけどね。
  「そんじゃちょっと寝るから、晩メシんときに起こしてくれ」
  「あ、待って。晩ご飯、何食べたい?」
晩飯のことなんか考えるヒマが無いくらい、楽しんでくれたのかな?
そうだとしたらすごく嬉しいけど。
  「そうだなぁ・・・・・・雪音、お前を食べたいな♪」
  「もう、冗談言う元気は残ってるんだから・・・」
  「HAHAHA・・・」
・・・・・・9割9分は本気だがな・・・
てか、ちょっとくらい恥じらってくれてもよかったのに・・・・・・。慣れたのか?
  「んじゃ、無難にヤキソバで」
  「うん、分かった」
何が無難なのか全然分からないが、気分はヤキソバだ。
さて、ちょっくら寝ますかな・・・・・・

今日は、久しぶりに童心に返ったような気がした。いつも返ってる気もするが。
とにかく、楽しい一日になってくれて、なによりだ。

―――明日もがんばろうか! そんな気が、わいてくるぜ!

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