小説:雨がやんだら・・・

    
―――ザザァ―――
朝から降りしきる大量の雨は、あたかもオレの心を洗い流してくれているように思える。
オレの名前は橘 瑩(たちばな あきら)、体育の授業が大好きな高校2年生だ。
  「今日も雨か・・・」
・・・さぁて、休日でヒマだし、雪音(ゆきね)のいるリビングへと行きますかな。
雪音とは、オレのベリーかわいい、マイシスターのことだ。

・・・・・・
オレは早速、リビングについた。家の中だから移動も速い。
  「レ~ッツ・マ~イ・シスター!!」
  「あ、お兄ちゃん」
今回は普通に返事してくれたようだ。普通すぎて面白みはないけど。
まぁ、少し前、ナチュラル無視されたからなぁ・・・。それに比べりゃマシだ。
  「雪音はオレと合体することによって、グレートマイシスターになるのだ!」
  「・・・・・・お兄ちゃん」
なんかすごくその視線が怖いんですけど・・・。オレそんなにひどいこと言っ・・・・・・
  「言ってから気付いたが、なかなかに卑猥だな・・・」
  「・・・・・・もう」
いや、オレより早く気付く雪音もなにかと問題あると思うが。
ま、そんなこと言ったらインパクトスルーされそうだから黙っておくけど。

  「雨降るなんて、タイミング悪いよねぇ」
  「そうか?」
雪音がそう言うが、なにがタイミング悪いんだろう?
  「今日はお兄ちゃんとおつかい行こうと思ってたのに」
  「・・・どうせ荷物持ちだろ?」
  「それもあるけど・・・」
ていうか、男が買い物についていく理由なんて、考える限りそれしかないだろう。
オレにとってはタイミングのいい雨だな。ナイスタイミング・レイン!
って結局は別の日に連れまわされるから意味ねーじゃん!
  「やれやれ・・・雨がやんだら行くか?」
  「雨、やむといいけど・・・」
  「そうだなぁ・・・」
別に今日でも他の日でも、オレにとってはどっちでもいい。
結局は行かなきゃならないからな。
  「とりあえず、お昼ゴハン食べよっか」
  「そうだな」

・・・・・・
いつもどおり、雪音の作ったご飯はそこら辺のレストランよりも遥かにおいしい。
それにしても、今日はやけに雨が降っている。やむ気配ナシだ。
雨が降っていても買い物は行けるが、さすがになぁ・・・。
  「なぁ雪音、しりとりしようぜ」
  「え? 別にいいけど・・・」
いきなりで驚いたのか、一瞬雪音はきょとんとした。
  「そんじゃオレからな。んー・・・タンス」
  「えーと・・・すずめ」
  「メール」
  「・・・ルビー」
こんな他愛無いことにでも付き合ってくれる雪音はホントにかわいい。
だからといって、負けるわけにもいかないがな。
  「ビール」
  「えと・・・ルアー」
  「アール」
  「る・・・留守」
  「スマイル」
  「ル・・・ルクセンブルク」
  「クール」
  「・・・ねぇお兄ちゃん」
  「ん、なんだ?」
雪音が勝負の最中に水をさす。まぁ、言いたいことは大体分かるが。
  「さっきから『る』が最後に付く単語しか言ってない?」
  「気のせいじゃないのか?」
  「・・・勝てる気がしないよぅ」
ま、しりとりの極意は「ら行」にあるからな。他にも「わ」で攻めるとか。
なにより雪音、オレに勝とうとしてたのか。土台無理な話だな。
・・・そんな強気なところもまたかわいいけどな。

  「雪音~、雨やませろよ~」
  「なに無茶なこと言ってんのよ・・・」
確かにこの上ないくらい無茶な話だろう。できたら文字通りゴッドだ。
・・・ゴッドマイシスターってのも悪くないな。
  「雪音は神様・・・てか」
  「え?」
  「なんでもない・・・」
オレ様お得意(?)の独り言が発動してしまったか。やれやれだぜ。

・・・時間が無為に流れていく。それでも雨はやまない。
  「雪音・・・・・・ヒマ・・・」
  「そうねえ・・・」
台所の片付け、部屋の掃除を終えた雪音も、さすがにヒマのようだ。
何もすることがない、っていうのはここまで苦痛だったのか・・・。
いつもなら寝るんだが、寝ようにも眠気が・・・。
  「ふぁ~・・・・・・」
と、雪音があくびを。どうやら眠気を催したらしい。
  「雪音、眠いのか?」
  「うん・・・ちょっとね」
あくびをしたせいか、絶妙に涙目だ。その麗しい瞳が素敵です。
  「雪音、膝枕してやろうか?」
  「え? じゃ、じゃあしてもらおうかな・・・」
男が膝枕なんておかしな話だが、以前雪音にしてもらったことがあるので、
そのお礼とお返し(?)という意味も込めて、だ。
  (それにしても、こうもあっさり受け入れてくれるとは・・・)
微妙に恥じらってたようなカンジもするが。そこがキュートでたまりませんな。
  「ほれ、雪音」
オレはソファーに腰掛け、雪音を誘導する。
  「お、お願いします・・・」
なぜか口調が丁寧になる雪音。そこまでアレなのか?
雪音は、オレの膝へゆっくりと倒れこんでくる。そして頭を委ねてくる。
心地よい重みが、オレの膝へと伝わっていく。
  「ねぇお兄ちゃん・・・」
  「なんだ?」
少しか細い声で、雪音がオレに問いかけてくる。
  「え、えと・・・・・・頭、撫でて欲しいなぁ・・・なんて・・・」
  「しゃーねぇな・・・」
急に甘えてくる雪音がいとおしく見え、断るわけにもいかない。
というか元々断る気は無かったが。
  「えへへ・・・」
オレが頭を撫で始めると、雪音はかわいい微笑を浮かべる。
撫でてるオレ自身も、サラサラの髪が気持ちいいので、悪い気はしない。
  「お兄ちゃん、なんだか私、眠くなってきたよ・・・」
  「フラダンスの犬みたいなセリフだな」
  「お兄ちゃん、それ・・・ひふあうぉ~・・・はぅ・・・・・・」
言っている最中にあくびが入り、意味の分からない言葉になる。
まぁさしずめ、「それ違うよ」と言いたかったのだろう。たぶん。
  「眠たいなら寝ていいぞ。雨がやんだら起こすし」
  「うん・・・じゃ、おやふみ~・・・」
  「おやすみ、雪音」
そう言って雪音はスースーと寝息を立て始め、眠りに落ちていく。

いやぁ、ごっつかわええでしかし! たまらんな!
このまま雨やまなくてもいいんじゃ・・・・・・いやいっそ、夜までやむな!
オレは窓の外を確かめる。うん、まだドシャ降りだ。
てか、雨やんでも雪音を起こさなきゃいい話か。言い訳なんていくらでも作れるし。
  「いつまでも寝顔を見つめてられるってわけだな」
やれやれ、雨に感謝せんとな。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

  「・・・いつまでこの幸せは続くのだろうか・・・・・・」
やむことのない雨が降り続き、静寂とした部屋の中、寝ている雪音・・・・・・
今この場でオレは、少なからず孤独を感じている。
昔からのクセなのか、一人になると、いやでも余計なことを考えてしまう。

いつまでもこの生活が続くとは限らない。どれだけ固い絆でも、いつかは崩れるものだ。
  (いつか雪音も・・・・・・)
ずっとオレのそばにいてくれる保証は無い。
ヘタをすれば、明日にでもオレのそばからいなくなってしまうのだろう。
  「・・・う~ん・・・お兄ひゃん・・・・・・」
  「!?」
雪音が突然、オレを呼ぶ。ってどうせ寝言だろうけど。
でも、唐突だったせいか、余計なことを考えていたのが吹き飛んでくれた。
やっぱり、雪音はオレにとって、そばにいなくてはならない存在なのだろうか。
  「ふぅ・・・やれやれだぜ」
考えるだけ無駄だ。前向きに行かないと。
  「雨は、いつあがるのかな?」
いつまでも降り止まない雨は、まるでオレの心を映した鏡のようだった。

~FIN~


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